りんぐすらいど

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ジャパンカップ2017

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ジャパンカップ観戦。

昨年まではこの時期全く休みが取れなかったために行きたくとも行けないことが続いていたが、今年からは仕事も変えて気兼ねなく行けるようになった。

 

とはいえ行く気はそこまでなかったのだが、コンタドール、リッチー・ポート出場となれば行かないわけにはいかない。ということで、1ヶ月前に慌ててホテルを予約。すでに宇都宮駅周辺は満杯で、駅近だが1万7千円のホテルと、小山だが5000円のホテルとで真剣に悩み・・・前者にした。そしてそれは正解だったと思う。

 

 

当日は生憎の雨。というか台風。この時点でまた行く気が失せかけていたが、せめて1日目は出よう、と。2日目参加するかは当日決めようと考える。

21日土曜日の朝はゆったりと出発。15時のクリテリウム本戦開始に間に合えばいいやのマインド。

また、朝10時に開店するモンベルに行くことも考えていた。

 

そして到着したモンベル御徒町店。色んな人からオススメされていたサンダーパスの上下とブーツ、撥水スプレー、防水小分け袋などを購入。ここまで気合を入れたのであれば行かないわけにはいかない。

 

 

ということで、14時に遅ればせながら宇都宮到着。まずはホテルに荷物を預け、ブーツだけ履いて出発する。

クリテリウムの日はそこまで雨が降らないかな&正直傘差しながら遠くから見れば良かったかなという気持ちだったのでモンベルの上下は着用せず。

しかし上だけでも着てくればよかったとのちに後悔。目の前でクリテリウムが展開されているのに遠巻きに眺めるなど不可能・・・!  傘を諦め雨にあたりながら観戦を開始する。

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最初の観戦ポイントのすぐ近くに、昨年のジャパンカップでも注目を浴びたろすもん(@fabian0318)さんを発見。

写真をお願いすると快く応じてくれる。しかし興奮しすぎて大事な本体(?)が完全に見切れてる。

まあ、ろすもんさん自体はジャストな位置なのでこれはこれで良い、と思う。

(写真掲載も許可していただきありがとうございました)

 

ほかにもキクミミさんも来ていて、ろすもんさんと並んで雨宿りしている姿は凄いインパクトがあった。

あとキクミミさん、小さな女の子に何かあげてた。手慣れてる。

 

 

最初のポイントからは暫くして移動し、意外と人垣の少ない地点などで間近の観戦を行なえた。ただ速すぎてあまり良い写真は撮れず。残念。

パルコ2階から眺めている人たちもいた。自分もそちらに向かう。ゴール前もよく見えてなかなか良い観戦ポイントだったが、実況の声が聞こえないのはネック。結局フィニッシュもそこで見たのだが、フィニッシュの盛り上がりこそ実況を聞いてナンボだと思うので、次回は避けようとは思う。カノーラが集団から飛び出して行く姿を、上から眺めることができたのはとても良かったのだけれど。

(Jsports オンデマンドのタイムラグがなければ合わせて観れるんだけどねー)

 

カノーラはとても強い。というかタイミングが素晴らしかった。終わってみれば、意外でもなんでもない結果だったように思う。それくらい、カノーラはもはや信頼できる選手である。

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1日目の夜はあきさねさんと合流し餃子を食べるなど。あとホテル前の出待ちを発見したのでしばし参加し、リッチーやハースが出てくるのに遭遇した。リッチーが目の前!  いきなり過ぎて写真を撮り忘れた。周りの人達はコンタドールファンが多いんだろうけれど、リッチーに対する反応が意外と薄いのにびっくり。リッチー、あまりオーラないからな(笑)

 

 

 

2日目は完全フル装備&余計な荷物はホテルに預け、万全の状態で参戦。

あまりに酷い天気なので古賀志林道を登るのは諦める。幸運に恵まれ、スタート/ゴール前の席を確保できたため、基本は移動せずにそこを中心にウロウロすることにした。

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スタート前に談笑するリッチーとプジョル。接点なさそうだけど仲良いんだね。スタートに並んだときもギリギリまで話してた。

 

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マリノ! with寿司ドラゴン帽子!

唐突な写真依頼ですみませんでした。

 

レース自体は雨のために14周回から10周回に削減されたけれど、むしろ観戦するにはちょうど良いくらいの長さになったのではないかなと思う。

来年がドライな環境なら、ゆったりとした時間の中で古賀志にもぜひ登ってみたい。

 

 

展開についてはしっかりとは終えていないが、トルークなんかは終始逃げていたのかな?  コンディションのせいか、短くなったからもあるのか、基本的に先手を打って動いた選手たちがチャンスを掴める展開だったようだ。

最後の逃げ切り集団に雨澤と初山が入ったとのことで大興奮。

初山は途中、積極的な原因の結果、脱落してしまったようだが、雨澤は最後の最後まで残り、カノラ、プラデスに次ぐ3位。

上位3チームがすべて日本の関わっているチームであり、また非ワールドツアーというなかなか面白い結果となった。

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そしてカノーラ、前人未到クリテリウム&ロード制覇。

チームとしても初、非ワールドツアー所属選手の勝利も、2011年のハース以来のこととなる。

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これからの成長、伸びも十分に期待できる選手となった。

Forza!  Marco!

 

 

 

流石に雨が厳しかったので、レース終了後は即座にシャトルバスに向かう。

来年晴れたら、ちゃんと表彰式まで出よう。

レースが短縮されたこともあって、バスに乗った時点で13時。帰宅したのが17時半なので、翌日に仕事を控える身としてはとても丁度良かったように思う。

 

 

色んな意味で得難い体験をしたジャパンカップ2017。

来年はさすがに晴れてほしい。

ツール・ド・フランス2018 注目コースプレビュー

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10月17日に、2018年ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションが行われた。

本格的な「パリ~ルーベ」コース、ラルプ=デュエズの復活、そして前代未聞の65km山岳バトルコースなど、来年も注目を集めるコース設定である。

 

クリス・フルームの「5勝クラブ入り」は果たせるのか。あるいはトム・デュムランの参戦によりフルームの連勝が阻まれるのか。それともキンタナやリッチー・ポートなど、ライバルたちによる勝利が狙えるのか・・・。

来年のツール・ド・フランス優勝者予想に思いを馳せるためにも、注目すべきコースをいくつかピックアップして確認していきたい。

 

 

なお、今回の記事は以下のCyclowiredの記事を参考にしていきたい。いくつかのステージは断面図もあるため要チェックだ。

www.cyclowired.jp

また、ツール・ド・フランス公式サイトも確認している。断面図はないが、細かいポイントが書かれている。言語を英語にできるのでそれで確認しよう。

Route of Tour de France

 

 

注目コース① 第3ステージ(7月9日月曜日)

ショレ~ショレ 35km(チームタイムトライアル)

ツール・ド・フランスとしては3年ぶりとなるチームTT。しかも、3年前と同様、ブルターニュ地方でのチームTTのため、当然起伏もそれなりにあるだろう。

実際、公式サイトの紹介でも「最後の方に登りがあり、選手たちは何度もペースを乱されるだろう」とある。

そして距離も35kmと、3年前(28km)以上に長い。2009年の第3ステージ(38km)以来の長さである。ちなみにこのときは、1位のアスタナと3位のサクソバンク――最終総合上位をほぼ独占した2チームである――のタイム差が40秒。第3ステージからいきなり、総合争いに大きな影響をもたらすステージとなりうる。しかも、個人ではなくチームの力が問われるチームTTで大きな差がつきうるというのは、タイム差がつきづらくなりつつある昨今のツールだからこそ、非常に注目すべきものとなるだろう。

 

ちなみに3年前はこのチームTTが非常に盛り上がった。第9ステージという、チームTTにしてはかなり遅めの登場だったこともあるが、モビスター、スカイ、そしてBMCといいった総合勢が、ごくわずかなタイム差を巡って鎬を削っていた。

最後はニコラ・ロッシュがわずかに遅れたチーム・スカイが、1秒未満のタイム差でBMCに負けるという手に汗握る展開。今年も、登りが終盤にあるということで、見逃せないチームTTを見られそうな気がする。 

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3年前のブルターニュ28kmTTTの覇者BMC。2018年も有力候補間違いなしだ。

 

 

注目コース② 第6ステージ(7月12日木曜日)

ブレスト~ミュール・ド・ブルターニュ・ゲルレダン 181km

「ミュール・ド・ブルターニュ」すなわち、「ブルターニュの壁」の名を冠するこのフィニッシュは、同じく3年前にも登場した。

全長2000m。平均勾配6.9%。最大勾配15%。数値だけ見れば、「ミュール・ド・ユイ」すなわち「ユイの壁」ほどではない、と思うかもしれないが、この激坂の最大の特長は、ひたすら直線、まっすぐの登りだ、ということ(公式サイトにはその写真もあるためぜひ見てほしい)。

直線の激坂は登る者の意志を挫けさせる。クヴィアトコウスキーも、山岳賞ジャージを着ていたテクレハイマノも、この登りで早々に遅れていった。そしてクリス・フルームがペースを上げたことで、ヴィンツェンツォ・ニバリも大きく遅れ、総合勢のシャッフルもかかった。その中から飛び出したアレクシー・ヴュイエルモが、鮮烈なツール初勝利を飾る。「激坂ハンター」としての名を背負うきっかけになった勝利だ。

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そんな「ミュール・ド・ブルターニュ」を、今年は何と2回登る。1周目で着実に足を削られたパンチャー、総合勢が、最後の登りでどんな動きを見せるのか。楽しみだ。

 

ちなみに「ゲルレダン」は、コミューンとしての「ミュール・ド・ブルターニュ」が今年1月にサン=ゲダンと合併して誕生した新コミューンの名である。

 

 

注目コース③ 第9ステージ(7月15日日曜日)

アラス城塞~ルーベ 154km

第9ステージというのはいわばツール・ド・フランスにおける最初の山場であり、重要なステージだ。2年前のツールがこの日にクイーンステージをぶち込んだように、例年強烈な山岳ステージが設定されることが多い。

しかし今年はこの日に、「ミニ」パリ~ルーベを放り込んできた。しかも、4年前のように逆向きで、しかもアランベール手前で終わるようなコースでもなく、3年前のように重要なパヴェが外されたコースでもなく、モン・サン・ペヴェル、ポン・ティボー、カンファナン・ペヴェルなどの本家パリ~ルーベにおいても終盤で重要な役割を果たすパヴェ区間が連続し、最後はしっかりとルーベにゴールする「本格派」だ。

しかも距離が154kmと短い分、スタートから47kmでいきなり最初のパヴェが登場し、そのままラストまで連続して立て続けにパヴェが登場する。日曜日のレースのため、多くの視聴者がフルタイムで視聴できるだろうが、本家のように序盤が退屈な展開に・・・ともならない素敵なコース設定だ。

 

とにかく、モン・サン・ペヴェル、ポン・ティボー、カンファナン・ぺヴェルの連続する終盤が楽しみすぎる。この3つのセクターは、過去のパリ~ルーベでもアタックや決定的な小集団が形成された区間でもあるのだ。本家における最終重要地点であるカルフール・ド・ラルブルがないのは残念だが、本家に負けない盛り上がりを見せてくれるだろう。

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4年前の「ミニ」パリ~ルーベでは、雨の地獄の中、ラース・ボームが勝利した。この日、フルームがツールを去り、ニバリがライバルたちから大きなリードを奪った。

 

 

注目コース④ 第12ステージ(7月19日木曜日)

ブール・サン・モーリス・レザルク~ラルプ・デュエズ 175km

チームTT、ミュール・ド・ブルターニュ、「ミニ」パリ~ルーベ・・・なにかと「3年ぶり」の多い来年のツールだが、これもまた「3年ぶり」のラルプ・デュエズの復活。

しかも、3年前と同様に「クロワ・ド・フェール(鉄の十字架)峠」とのセット。さらに来年は、そこにもう1つの山岳「マドレーヌ峠」がついてくる。マドレーヌもクロワ・ド・フェールも20km以上の長距離登坂。そこに最後に10km登坂+平均勾配10%の難関峠が待ち構えているのだから、このステージが2018年のクイーンステージと言われても何の不思議もない。

 

3年前の「クロワ・ド・フェール&ラルプ・デュエズ」のときは、クロワ・ド・フェールで先行してアタックしたバルベルデにキンタナが後追いして合流。これは下りの手前でフルームたちに捕まえられるが、最後のラルプ・デュエズでも再びキンタナがアタック。最終的にフルームに1分30秒近いタイム差をつけ、総合タイム差は1分12秒。キンタナがフルームに最も近づいたツールとなった。

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2017年ツールはバルベルデのまさかの初日リタイアで夢と消えた「最強の2人」のコンビネーション。来年こそこれがかっちりとハマる姿を見たい!

 

最初の休息日明けに第10・第11と続いてきたアルプス3連戦の締めくくりとなるステージだけに、どんな展開と総合争いが巻き起こるのか予想がつかない。フルームのライバルが現れるのだとしたら、この辺りでその可能性を見せなければなるまい。

 

 

注目コース⑤ 第17ステージ(7月25日水曜日)

バニェール・ド・ルション~サン・ラリー・スーラン 65km

「超短距離山岳ステージ」は近年のグランツールのトレンドだ。初登場は2016年のジロ第16ステージと見做して良いだろうか。このときはまだ133kmと今思えばそこまで短いという印象はなく、しかし展開は終始激しいものだった。

 同じ年のブエルタの、第15ステージも118.5kmと短く、そしてコンタドールとキンタナによる積極的な攻撃が成功し、最終的にキンタナがフルームを破るきっかけとなったステージとなった。

そして今年。ツールもいよいよ短距離山岳ステージを取り入れた。それが第13ステージ。101kmと、上記2つのコースよりもさらに短いステージとなった。ミュール・ド・ペゲールという厳しい登りも含んだ、注目のコースであった。

 

だが、ツールは2018年に、さらなる衝撃的なコースを用意した。それがこの第17ステージ。距離は65km。もはや長距離個人TTと言い張っても通じてしまうような距離である。それでいて3つの山岳を用意し、最後は山頂フィニッシュだというのだから凄まじい。

終始アタック間違いなし。一瞬たりとも見逃せないステージだ。ところで来年から、タイムアウトに対するルールも厳格化するようだが、このステージに関してはさすがに目を瞑るべきではないのか・・・?

 

なお、来年のツールは「短距離山岳ステージ」がこの第17ステージだけでなく、第11ステージ(108km)にも登場するのだから恐れ入る。しかもこちらも山頂ゴール。来年のツールは今年と比べて200km以上短くなるとのことだが、だからといって楽になるとは決して言えないのだということが良くわかる。

 

 

まあ、無駄に長いだけのステージや、危険なダウンヒルステージを用意するのとは違ったスペクタルを用意すること、しかも、視聴者が楽しむうえで重要な「短距離」に注目することは、もしかしたらツールのコース設計思想としては健全なのかもしれない。

とくに物議を醸す落車が続発した2017年のことを考えると、変化の方向性としては正しいと言えるのかもしれないね。

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短距離山岳ステージはドラマを生み出しうる。近年最大のそれは、2016年ブエルタ第15ステージの「キンタナ・コンタドール逃げ」だろう。

 

 

注目コース⑥ 第19ステージ(7月27日金曜日)

ルルド~Laruns 200km

2018年ツールの「最終山岳ステージ」は、アスパン、トゥールマレー、そしてオービスクといった、ピレネーの誇る名峠が連続する難関ステージ。だが山頂フィニッシュではなく、下りフィニッシュ。しかも、2011年・2012年に連続して登場したときとは逆方向――すなわち、ヴォクレールフースホフトを苦しめた平均勾配7.1%・登坂距離16.4kmの登りを、このステージでは「下って」ゴールする。

近年、下りが勝敗を決めることが多くなりつつある、と言われて久しい。逆に言うと、登りでは差が付きづらくなっているのだ。

とはいえ、下りはスペクタルだけでなく、危険も伴う。今年のツールの第9ステージのような悲劇が繰り返されないことを願う。

 

ちなみに、今年の第9ステージで、フルーム以上のダウンヒルを見せたのがロマン・バルデ。このときは下った後の平坦が長すぎて勝利を掴み損ねたが、この日は下りきってのゴール。

今、最もツール総合優勝に近いフランス人が、栄光を掴みうる最大のチャンスがこのステージだと言えるだろう。次の日が彼にとって鬼門となる個人TTなだけに・・・。

 

 

このあと、ツールは今年同様に「(総合争いにおける)最終日個人タイムトライアル」を迎える。31kmの中距離個人TTは、今年最終日のそれと同様に、バスク地方ならではの起伏に満ちた、一筋縄ではいかないタイムトライアルだ。

 

 

平坦ステージは8つ。

丘陵ステージは5つ。

山岳ステージは6つ。そのうち山頂ゴールは3つ。

そして個人TT(31km)とチームTT(35km)。

 

今年のツールは「難易度が低すぎて」タイム差がつかない、という事態に陥った。来年はどうだろう。山頂ゴールは決して多くないが、第10~12ステージのアルプス3連戦などは、実にスペクタルに溢れた激戦区となりそうだ。

何より、石畳ステージなど、山岳以外でもバリエーションに富んだコースレイアウトで、個人的に最も面白かったと感じている2015年に類似しているのが好感をもてる。

 

誰に向いたコース設定なのだろうか。「クライマー向け」と言われたコース設定のときも、結局は随一の登坂力をもったフルームにとっては決して苦手ではなかった。下りを取り入れてもそれはフルームにとってライバルに差をつけるチャンスともなった。

今年は、フルームにとってはトラウマとなる石畳の存在や、キンタナがフルームを打ち倒したラルプ・デュエズ、そしてこれもまたフルームにとってはトラウマである「短距離山岳ステージ」が2つ、しかも片方はその究極形態といったところだ。

そして(影響はそう大きくないだろうが)チームのメンバー数の減少。

フルームにとっては、あまり好ましくない要素が揃っているのは確かなようだ。

 

とはいえ、デュムランが参戦する気になるようなTTの量、というわけでもなさそうで、果たして誰が集まり、誰が総合優勝を狙いうるのか、今から予想するのは当然、至難の業である。

 

 

だが、個人的にはこの辺りで、そろそろキンタナに華をもたせてやってほしいようにも思う。今年実現しなかったバルベルデとの黄金コンビを復活させ、コンタドールに負けない積極性を見せて、そして、3年前、あと一歩のところまで迫って成し得なかった、ツール総合優勝の栄冠を、そろそろこの男に渡してあげたい思いでいっぱいだ。

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ツール・ド・フランスは完璧すぎて、逆に振り返ってみると詰まらなかった、という思いに駆られることも多い。それよりもジロ、ブエルタの方が面白い、というような。

 

それでも、このコースプレゼンテーションもそうだが、やはり自転車ロードレース最大のお祭りだけあって、その開催の瞬間まで盛り上がり方、わくわく感は他のレースと比べても頭2つも3つも飛び抜けている。

 

だから、来年も、このツールに向けての一連の「お祭り」を楽しんでいければと思う。この記事がそのための1つのピースとなるのであれば幸いだ。

 


The Route in 3D - Tour de France 2018

2017年シーズンを振り返る① 今年のベストレース4選+1

昨年に引き続き、今年も個人的に盛り上がった4つのレースを振り返ってみる。

完全に独断と偏見による選択のため、悪しからず。

ほかにこんなレースが面白かったよ!というのがあれば、ぜひ。 

 

 

 

第4位 パリ~ニース第8ステージ

まるで昨年の焼き直しだった。パリ~ニース最終ステージは昨年と同じく、ペイユ峠とエズ峠という2つの1級山岳を越えてニース市街へとゴールするレイアウト。

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そして、最終日までの展開もほぼ昨年と同じ。首位は昨年のゲラント・トーマスと同様のチーム・スカイで、昨年はトーマスの総合優勝を支えた男、セルヒオルイス・エナオが今年はマイヨ・ジョーヌを着ていた。

これを追うのがアルベルト・コンタドール。31秒差というタイム差は、昨年の15秒よりは大きいものの、やはりあってないようなもの。

もちろんコンタドールは、この日も仕掛けてきた。

 

勝負所はやはりペイユ峠。昨年はチームメートだったラファウ・マイカが強烈な牽引を見せていたが、今年はチームが変わり、同じく移籍してきたハルリンソン・パンタノがその役目を担った。

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昨年のツールで驚異的な走りを見せていた男が、今年はコンタドールにとって最も頼れる存在になった。

強烈なパンタノのペースアップで集団は絞り込まれ、やがて万全の状態で発射されたコンタドールダニエル・マーティンやイルヌール・ザッカリンなどを一瞬で引き千切った。

セルヒオ・エナオだけがかろうじてコンタドールに喰らいついたものの、コンタドールは踏み止めることなくダンシングを続け、やがてエナオも引き離されていった。

 

 

コンタドールは逃げ集団に合流。この後も自ら先頭で走り続け、やがて最後のエズ峠の登りで逃げ集団からも抜け出した。

このとき、コンタドールについていけたのはマルク・ソレルとダビ・デラクルスの2人のみ。エナオたち総合勢はコンタドールとの間に1分以上ものタイム差をつけられた。

 

ラスト15kmの下り坂。昨年はここで、ゲラント・トーマスがコンタドールたちを猛追した。このとき、トーマスを下りでも支え続けたのがエナオだった。

今年、登りではコンタドールに完敗した彼も、昨年同様のダウンヒルを見せつけた。集団の中で自ら先頭に躍り出て先陣を切るエナオ。タイム差が、少しずつ、確実に縮まっていく。

 

いよいよゴール地点の海岸通り「ケ・セ・ゼダジュニ」に到達する。このときタイム差は30秒。かなり際どい戦いだ。

なんとしてでもゴールのボーナスタイムを手に入れたいコンタドール。しかし、彼を差し切って勝利したのは、クイックステップのダビ・デラクルスだった。

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エナオコンタドールから21秒遅れでゴールした。コンタドールは2着のボーナスタイム6秒と、中間スプリントポイント通過時のボーナスタイム2秒を獲得している。

今ステージ開始前の2人のタイム差は31秒――つまり、わずか2秒差で、軍配はエナオに上がったのだ。

 

 

パリ~ニース史上に残る僅差での決着。それも、2年続けて。

すべてはコンタドールの走りによって生まれたものだ。

彼は勝利こそ得ることはできなかったが、観る者を皆楽しませてくれる、最高の走りを見せてくれた。

 

これは、のちのブエルタにおける彼の走りの前触れだったのかもしれない。

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Summary - Stage 8 (Nice / Nice) - Paris-Nice 2017

 

 

 

第3位 ロンド・ファン・フラーンデレン

詳しい内容はすでに記事にまとめてある。

suzutamaki.hatenablog.com

 

すべては、今年6年ぶりに復活した伝説の激坂「カペルミュール」で始まった。ゴールまで残り96km。勝敗に絡むことはないと思われていたこの地点で、攻撃を仕掛けたのは今年引退を控えたトム・ボーネン

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この攻撃によって、彼を含む13名の小集団が形成された。その中に、クイックステップジルベールとトレンティンを加えた。一方、彼らにとって最大のライバルとなる2人――すなわち、ペテル・サガンとフレッヒ・ファンアフェルマートは、この小集団に乗り遅れた。これがこの日の最大の勝負の分かれ目であった。

 

次に勝負が動いたのは「2週目オウデクワレモント」であった。ゴールまで残り55km。そこまでの道程を主にボーネンとトレンティンのみで牽引していたクイックステップは、ここで満を持してジルベールを発射する。

キャノンデールのセップ・ファンマルケがすかさずこれに飛びつこうとするが、ジルベールの背後についていたボーネンがわざとペースを落としたのか、ジルベールは単独で抜け出すことに成功した。

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ここから、55kmに及ぶ長距離の独走が始まる。

 

 

普通に考えれば、独走逃げ切りなど考えられない長距離。しかし、ジルベールは迷いなく走り続け、そのタイム差を維持し続ける。

もしかしたら彼にとって、追い付かれてもいい、とも考えていたのかもしれない。直前のドワルスドール・フラーンデレンでも、自らのアタックを囮にして、チームメートの勝利を手助けした。

それよりも、自らが飛び出ることによって、追走集団内のチームメートが前を牽く義務から解放されることを狙ったのかもしれない。いずれにせよ、数の有利を最大限に活かした、実にクイックステップらしい作戦だったと言える。

 

だが、結果的にこの独走がそのまま勝利に繋がった。猛追するサガンとファンアフェルマートも、終盤のサガンの落車によってチャンスを失う。

過去50年で最長の距離の独走を経て、ジルベールは念願のロンド勝利を手に入れた。

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ジルベールにとってそれは本当に念願だった。ベルギー人として、フランドルの勝利は実に特別なものであり続けた。

しかし、彼が長年在籍したBMCレーシングでは、彼はアルデンヌ・クラシックのリーダーとしての役目を担わされ続けた。そしてフランドル・クラシックでは、同じベルギー人のファンアフェルマートがエースの座についていた。

ジルベールがそこに入り込む余地はなかった。

 

だから、彼はチームを抜ける決断をした。年俸が下がることすら覚悟して、古巣であるクイックステップへと舞い戻った。ここ数年、大きな勝利がなく、落ち目とすら思われていた35歳のベテランは、移籍初年度で、思いを見事に実現した。

 

 

昨年に続きロンドは伝説を創り上げた。来年はどんな戦いが見られるのか。


De Ronde van Vlaanderen - Highlights

 

 

 

第2位 ジロ・ディタリア第14ステージ

こちらも以下の記事にまとめてある。

suzutamaki.hatenablog.com

今年はデュムランがキンタナを破り総合優勝という、昨年にも増して熱い展開だったジロ・ディタリア。その中でも、今年のジロを象徴するステージは、クイーンステージの第16ステージではなく、この第14ステージだったと思っている

 

舞台は「パンターニの山」。聖地オローパ。全体の平均勾配は6.2%だが、残り7kmを越えたあたりから厳しくなり、後半の平均勾配は8%前後ある。

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集団をコントロールしていたのは、今大会最強チームであるモビスター。残り6kmを過ぎて、最も厳しい区間イゴール・アントンが飛び出すと、続いてザッカリン、アダム・イェーツ、ポッツォヴィーヴォ、そしてペリゾッティが次々にアタックする。

このペースアップの中で、キンタナの最終牽引役を担うはずだったアマドールが脱落。だが、同じように遅れかけていたアナコナが意地でもって前方に復帰し、そのまま再び集団を牽引し始めた。

そして残り4km。ついにキンタナが発射。唯一ついていけたザッカリンも、やがて残り3.2kmで突き放されてしまう。

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ここからデュムランの反撃が始まる。ザッカリンを吸収した追走集団は、デュムランが先頭に立って牽引。他の総合勢は誰一人前を牽こうとしない中、ひたすらデュムランが単騎でキンタナを追い続けた。

キンタナはダンシングでペースを上げ続ける。だが、それを追うデュムランはひたすらシッティングスタイルで黙々と登り、2人のタイム差は10秒を超えることなく維持される。キンタナの本気の走りを前にして、デュムランは負けることのない登坂力を見せつけた。

 

そして残り1.5km。ついに、デュムランがキンタナに追い付く。と、同時に腰を上げ、一気にキンタナを抜き去った!

これはすぐに捕まえられるが、そのあともデュムランがキンタナを含む小集団を先頭で牽引。遅れてしまったニバリとのタイム差を開いていく。

先頭はデュムラン、ザッカリン、キンタナ、そしてランダの4人。ひたすらデュムランが先頭で牽く。残り300mを切ってザッカリンが飛び出す。デュムランがこれを追う。最初にキンタナが遅れ、次にランダもついていけなくなる。最後の100mを越えたところで、デュムランがザッカリンを抜き返した。

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ありえない勝利だった。ブロックハウスではキンタナが強さを見せつけていた。そのキンタナに、登りで喰らいつく走りを見せたのだ。

そして最後の4kmをほぼ先頭で走り続けていたデュムランが、最後にスプリントでザッカリンを差し切って勝利をする。もはや、理屈ではない強さを、このときのデュムランは発揮していた。

 

だからこそ、このステージは、今年のジロを象徴するステージだったと私は思う。2015年ブエルタの第9ステージと並び、自転車ロードレースの歴史に残る名ステージだった。

Giro d'Italia: Stage 14 - Highlights

上記動画ラストの、実況の大興奮ぶりは聞いていて楽しい。やはり実況者にとっても、衝撃的なステージだったことがよくわかる。

 

 

 

第1位 ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージ

これについては誰も異論はないだろう。この10年のサイクルロードレース界の頂点に立ち続けていた男、アルベルト・コンタドールが、その自転車人生最後の山岳ステージで、見事な勝利を決めた。

その勝ち方もまた、近年の彼を象徴する勝ち方だった。連日にわたるアタック。失敗しても諦めず、繰り出し続けた。その最後に、彼は大きな成功を勝ち取ったのだ。

 

舞台はアングリル。2008年、コンタドールが最初にブエルタを制した年にも、彼が勝利した伝説の峠である。

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レースは最初に18名の逃げ集団を形成した。ニコラ・ロッシュやロマン・バルデ、イェーツ兄弟にエンリク・マス、シュテファン・デニフルなど強力なメンバーが多く含まれていた。

集団をコントロールしていたチーム・スカイは、いつもの通り彼らをそのまま逃がそうと考えていた。だがそんなメイン集団の動きにストップをかけたのが、トレック・セガフレードだった。彼らは積極的に集団の前を牽き、逃げ集団に2分以上のタイム差を許さない走りを見せた。

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正直、ここでトレックの選手たちが足を使ってしまうことは、大きな賭けであったはずだ。それでも、チームはコンタドールを信じ、彼の勝利のためにこの大きな賭けに打って出たのだ。

あとは、エースが彼らの信頼に応えるだけ、である。

 

大きな動きは、最後から2番目の山、残り20km地点あたりから始まるコルダル峠の下りで巻き起こった。逃げ集団からアタックし峠を先頭通過したマルク・ソレルが落車。メイン集団から飛び出していたダビ・デラクルスも激しくクラッシュし、リタイアを余儀なくされた。

そして残り12km。下りの終盤で、コンタドールがアタックした。パリ~ニースでも彼を支えたハルリンソン・パンタノを従えて。また、支えるべきエースを失ったエンリク・マスとも合流して。

パンタノはもちろん、マスもまた、スペイン人の偉大なる先輩であるコンタドールのために先頭を牽いた。

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のちにマルク・ソレルも加え、スペインの若き才能の力を借りながら、ついにコンタドールは独走態勢へと移る。

 

このブエルタでは、序盤の2~3ステージで体調不良に襲われ、大きくタイムを失った。この時点で彼は総合争いから脱落したものと、思っていた。だが、その後も厳しい山岳ステージでは繰り返し勝負を仕掛け、うまくいかないことも多かったが、第3週に入ってからもその調子は続いた。

そして最後の最後、この第20ステージで、ついに彼は掴み取った。

アングリルでの2度目の勝利。そして彼の自転車選手生活における、最後の勝利。

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実に見事な勝利であった。

そして彼の後方では、メイン集団から飛び出したワウト・プールスとクリス・フルームの姿が。この年、史上3人目のツール・ブエルタ連覇を成し遂げたフルームは、最後のコンタドールの勝利に対して全力を尽くすことで敬意を表した。

 

ブエルタは毎年劇的な展開を見せてくれるが、今年もまた、ブエルタは熱い熱い、とても熱い戦いを見せてくれた。 


Summary - Stage 20 - La Vuelta 2017

 

 

 

番外編 ハンマーチェイス

ある意味で歴史に残る名勝負となった。日本語実況も合わせて聞くと面白さ倍盛り。主催者の意図通りの面白さになったのかというと微妙な気はするが、自転車レースの新たな可能性を開いたのは確か。

改善すべき点も勿論多い。前日までのハンマークライム、ハンマースプリントは、正直うまくいかなかった部分も多いだろう。最終日のチェイスも、たとえばドラフティングに関するルールなどは最高の余地ありと思われる。

それでも、これまでにないレースを見せてくれた。自転車ロードレースのミニ競技として、今後も期待がもてるレースであった。

 

最初の2日間の結果を踏まえ、最終日はチーム・スカイが最初にスタートし、その32秒後にチーム・サンウェブがスタートする。普通に考えれば、チームTT能力でクイックステップやBMCにも匹敵する力量をもつスカイが圧倒的優位に思えたが、チーム・サンウェブが意外な走りを見せて少しずつスカイとのタイム差を詰めていく。そして残り4km。ついに追い付いたサンウェブは、逆にスカイを追い抜いて先頭に躍り出る。

 

そして最終コーナーを曲がり、ホームストレートに突入したスカイウェブ・・・もとい、チーム・スカイとサンウェブ。全体的にはスカイの選手が前方にいるが、このレースでの勝敗を決めるのは先頭ではなく、4番目の選手。スカイの4番目たるゲオゲガンハートが遅れ、サンウェブの面々に飲み込まれそうになるが、最後の最後、踏ん張り切ったゲオゲガンハートが右手を突き上げてフィニッシュラインを通過。

すでにゴールしていたスカイの先頭の選手たちは後ろを振り返り勝利を確認するという、実に奇妙なフィニッシュシーンを見ることとなった。

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今後、さらなる進化を遂げ、より面白いレースに発展してくれることを期待している。

ところで、今年はこのリンブルフでのレースのほか、中国と南アフリカでやる予定だった、はずだったのだが、どうなったのだろうか。さりげなく行われていた?それとも中止? まあ、1年に1回くらいじゃないと、逆にテンションが持たないかもしれないが・・・。

来年も1回でもいいので、ちゃんと開催されることを願う。


【衝撃の光景・珠玉のトーク】今年のベストレース1位 ハンマーチェイス 優勝決定戦

 

 

 

以上、個人的見解にもとづく今年のベストレース4選+1であった。

冒頭にも述べたが、ほかにこのレースがとても面白かった、などあれば助言願う。

パリ~トゥール2017 クイックステップ劇場、千秋楽の勝利

今年のパリ~トゥールはクイックステップがそのチーム力を十分に活かしきり、マッテオ・トレンティンが今年7勝目を果たした。

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Jsportsより。

チームとしても、これで今シーズン52勝目。2012年から続く「50勝超え」は6年連続での達成となっている。

 

 

今回のパリ~トゥールは、クイックステップのチームとしての強さを十分に発揮し尽くした勝利だった。

よく春先なんかでは「数の有利(笑)」などと、実力者を揃える割にはレースの展開させ方に失敗する印象も強い最強軍団だが、こうして毎年結果を出している以上、やはり確実に強いのだ。

そして、今年はとくに、様々な勝ち方を見せてくれたシーズンだった。フィリップ・ジルベールの活躍や、イヴ・ランパールト、ジュリアン・ヴェルモトなど縁の下の力持ちの戦い方、そして3つのグランツール全てで最多勝利を遂げる、エーススプリンターたちの実力。

 

今回は、そんなクイックステップの集大成たる今回のパリ~トゥールを見直して、彼らの強さを再確認したいと思う。

 

 

 

パリ~トゥールは毎年シーズン終盤に行われる、「落ち葉のクラシック」の1つである。その名の通りフランスのパリからトゥールまでの234.5kmの距離を走るが、この時期の風の影響もあって毎年ハイスピードに展開し、終盤の2つの丘の存在もあり、集団スプリントと逃げ切り勝利とが交互に来るような手に汗握る展開を特徴とする。

毎年高い注目度を誇るが、主催者はあえてワールドツアーへの昇格をしない方針と聞いたことがある。そのため、Jsportsでも放送されるレースでありながら、エキップ・シクリスト・ドゥ・アルメ(フランス陸軍チーム)など普段はなかなか見ることのできないマイナーなチームたちの姿をテレビで見ることのできる数少ないレースでもある。

 

 

優勝候補は昨年勝ったフェルナンド・ガヴィリア。 

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しかしクイックステップ・フロアーズは、彼だけでなく2015年優勝のマッテオ・トレンティン、チェコロードチャンピオンのズェネク・スティバール、ルーベ覇者ニキ・テルプストラにトップスプリンターのリケーゼ、逃げスペシャリストのケイセなど、実力者揃い。

誰が勝ってもおかしくない、そんな面子であった。

 

 

実際、残り20kmを過ぎたところでエースのガヴィリアが落車。

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Jsportsより。

 「誰でも勝てる」チームがゆえに、すぐにチームメートがガヴィリアのために下がる、ということもなく、彼は自らの力のみでブリッジを仕掛けながら先頭集団へと戻ろうとする。

先頭集団になんとか戻り、スティバールやランパールトなども彼を引き上げるために降りてきてくれるが、このとき既にガヴィリアは力を使い切っていた。

残り10km地点から始まる1つ目の丘、「コート・ド・ボー・ソレイユ」(登坂距離700m、平均勾配5.4%)で、ガヴィリアは完全に脱落する。

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Jsportsより。

 

一方、集団の先頭では、マッテオ・トレンティンが自らの勝ちパターンに持ち込むべく、登りで一気にペースを上げて集団を切り離しにかかった。

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Jsportsより。

これは見事に成功し、先頭集団は6名に絞り込まれる。その中に、トレンティンと、もう1人クイックステップの選手(おそらくリケーゼ)。さらに直後に、切り離された後続集団からもう1人、クイックステップの選手(おそらくテルプストラ)が飛び出してきてブリッジを仕掛けてきた。

先頭集団7名に3名のクイックステップの選手。かなり勝率の高いこの集団を維持するべくトレンティンも積極的に前を牽くが、徐々に追走集団との距離は縮まっていき、下り切るタイミングでほぼ一体化しようとしていた。

 

が、即座にやってきた2つ目の丘「コート・ド・ルパン」(登坂距離400m、平均勾配5.9%)でトレンティンが再度アタック。チーム・サンウェブのセーレンクラーウ・アナスンがこれに喰らいつく。

 

1対1の関係に持ち込まれた先頭2名。だがここに、取り残された集団からさらにブリッジを仕掛けてきた選手がいた。

ニキ・テルプストラだ。

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Jsportsより。

 2vs1。しかも、ブエルタ4勝の絶好調スプリンター、トレンティンと、オランダITTチャンピオンの経験もある独走力高いテルプストラの組み合わせ。

あまりに絶妙なペアを相手取り、アナスンがいかにいい選手といえど、勝てる見込みがほぼなくなった。

 

しかも、グライペルやオリバー・ナーゼンを抱える追走集団内にも、リケーゼが入り込んでおりローテーションの妨害を仕掛けている。

先頭でも追走でもクイックステップのチームメンバーたちが常に仕事をし続ける万全の状態。

これが、「最強軍団」の底力なのだ。

たとえエースが不運に見舞われてカードを1枚失ったとしても、即座に他の実力者たちが勝ちを狙うための動きをそつなくこなしていく。

これは今年のロンド・ファン・フラーンデレンでも見ることのできた、クイックステップのチームとしての強さだった。

 

 

あとはもう、定石通りである。

トレンティンが来期、チームを去るという点だけが若干の不安材料ではあったが、スプリンターとルーラーという役割分担がしっかりと決まっている2人だっただけに、最後は問題なくテルプストラが先頭固定、からのトレンティン飛び出しで、アナスンに追い付かせることもなく勝利を掴んだ。

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Jsportsより。

残り200mからの早めの飛び出しではあったが、必死にもがいたアナスンの健闘むなしく、危なげのない勝利であった。

 

「ニキは完璧なリードアウトをしてくれた。僕の仕事は、7年間過ごしたチームに感謝してシーズンを終えるために、このレースで勝利することだったんだ。そしてそれを叶えることができて、今僕は最高の気分だ*1

 

 

 

こうして、チームとしての52勝目を挙げて、ヨーロッパにおける本格的なシーズンは終わりを告げた。

あともう少し、アジアなどでレースが残ってはいるが、今シーズンはほぼほぼ終わり、と見てよいだろう。

「銀河系軍団」とも呼ばれた、現時点での最強チームと言って過言ではないクイックステップ・フロアーズは、2012年からの6年連続年間50勝超えという偉業を成し遂げた。

 

 

 

しかし、このクイックステップも、来年は大きな変革を迎える。

キッテル、トレンティン、デラクルス、マーティン、ベルモト、バウアー、ブランビッラ・・・ここ数年のクイックステップの栄光を支えてきた強力なメンバーが、一気に流出する。

この抜け出るメンバーの勝利数を合計すると25勝分になる、というとその衝撃の大きさがよりイメージしやすいだろうか。ブランビッラも今年こそ勝利はないものの昨年は3勝+マリア・ローザ着用を果たしており、ベルモトもツールで他の誰にも真似できないような牽引役を果たしてみせてくれていた。

これまでもトニー・マルティンやジャンニ・メールスマンの脱退など、実力者の流出は経験してきたものの、今回のそれは規模があまりにも大きすぎる。

 

 

とはいえ、これはもしかしたら、パトリック・ルフェーブル監督の新たな戦略なのかもしれない。かつてチームを支えてきたベテラン選手たちをあえて流出してでも、チームとしての新しい方針を策定していこうとする、そんな思惑があるのかもしれない。

 

残っているメンバーはユンゲルス、アラフィリップ、ガヴィリアなどの若手が中心。さらに、ラブニールで強い走りを見せたイギリス人のジェームス・ノックスや、コロラド・クラシックで新人賞を獲得したコロンビア人のホナタン・ナルバエズなど、より若い才能を積極的に迎え入れている。

 

その他の新メンバーとしても、シーズン後半で勝利を量産しているエリア・ヴィヴィアーニなど、実力者もしっかり加えている。

若手を中心に、堅実な勝利を積み重ねていく。若手が活躍できる場を提供していく。そんな思い、狙いがあっての変革なのかもしれない。

 

 

来年はもしかしたら、「50勝」は難しいかもしれない。

しかし、だからといってクイックステップの走りが、「つまらないもの」になることはないだろう。

来年もきっと、あらゆるレースでエキサイティングな走りを見せてくれるはず。

クイックステップ・フロアーズは「最強」でなくとも「最高」のチームであり続けてくれるはずだ。

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ジロ・デッレミリア2017 バーレーン・メリダのチームとしての走り

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ジョヴァンニ・ヴィスコンティが、およそ1年ぶりの勝利を飾った。バーレーンメリダに加入し、ヴィンツェンツォ・ニバリの右腕として働き始めてから、初の勝利である。

 

「多くの感情が渦巻いているよ。ずっとずっと長い間、勝利を待ち焦がれ続けていたから。今日は完璧な1日だった。言葉もないよ」

 

34歳、トリノ生まれのベテランライダー。ドーピング疑惑の中に放り込まれたこともある、イタリアきってのオールラウンダーの1人。今年のジロでは、もう1人のベテランライダー、フランコ・ペリゾッティと共に、ニバリのジロ総合3位、ブエルタ総合2位を支えた。

 

そんな彼を勝利に導いたのは、バーレーンメリダのチームとしての強さだった。

 

 

 

ジロ・デッレミリアは今年で100回目を迎える。開催年はジロ・ディタリアと同年だというから、非常に歴史の長いレースである。

その最大の特長は、平均勾配10%、最大勾配18%の激坂「サン・ルーカ」をラストに控える10km程度の周回コースを、なんと5周回もする、というレイアウトだ。周回ごとに着実に集団の足を削っていく非常にタフなこのレースで、大きな動きが巻き起こったのは残り20kmを超え、残り2周となったタイミングだ。

 

それまでにも、何度かの攻撃が繰り広げられていた。AG2Rのミカエル・シェレルが試みたアタックにはジョヴァンニ・ヴィスコンティが1度反応もしている。残り20km付近でチーム・スカイのケニー・エリッソンドもペースを上げるが、アントニオ・ニバリはぴったりとこの背後に貼り付いて、彼を逃がさないように耐え抜いた。

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エリッソンドが攻撃を諦めたとき、 アントニオはそのまま集団の先頭を牽引し続けた。ヴィンツェンツォ・ニバリの弟として、これまではずっとプロコンチネンタルチームに所属し続けていた男。今年、兄の口添えと共に、ようやくワールドツアーチーム入りを果たした彼は、春先のカタルーニャ1周では積極的な逃げを見せ続け、初のグランツールとしてのブエルタに出場するなど、経験を貯め続けてきた。

そして今回のジロ・デッレミリアにおいても、ペリゾッティ、ヴィスコンティ、そして兄ニバリと共に最終局面に残り、残るだけでなくこのラスト2周の最初の重要な4kmを、自ら先頭を牽き続ける形でチームに貢献した。

 

彼の牽引でプロトンがバラバラになったわけではない。

だが、他のライバルチーム――スカイであり、BMCであり、FDJであり、AG2Rである――は、そのプロトンの前方に全ての選手を集めることができず、4人いるバーレーンに対して、多くても3名、他は2名といった選手だけが、勝負できるポジションに残っている、そんな状態になってしまった。

 

だからこそ、残り16km地点での、ヴィスコンティの単独アタックが成功したのだ。バーレーンの集団の後ろに控えていたライバルチームたちは、彼の飛び出しに反応することができなかった。

アントニオはここで脱落する。しかし今大会において最も重要な働きを、この25歳の青年は、やり遂げることに成功したのだ。

 

 

次に動いたのはペリゾッティだ。ヴィスコンティを追うべく、チーム・スカイの準エースと言ってもよいディエゴ・ローザが、全力で先頭を牽引する。カードを1枚犠牲にしてでも、ヴィスコンティを捕まえなければならない、というスカイの強い意志だ。だがこのローザの背後に、ペリゾッティがしっかりと貼りついていた。

残り7kmでローザが脱落した後、今度はウィリエールのダニエル・マルティネスがアタックを仕掛けるが、これにもすぐさまペリゾッティは反応し、その背後につく。

長らくプロコンチネンタルチームで不遇を託っていた今年39歳の大ベテラン。ジロ、ブエルタに続きこのレースでも、ニバリにとっての最終アシストとして最大限の働きを見せたのだ。

 

タイム差は開いていく。焦ったのは、昨年優勝者のエステバン・チャベスである。ヴィスコンティがハイ・ペースで走る下りで、チャベスは集団の先頭に立って自らタイム差を縮めにかかる。

だが、焦り過ぎたのか。今シーズン冒頭から続く不運が今も残っているのか。路面が荒れ、滑りやすくなっている箇所で前輪を持っていかれたチャベスは、そのまま道の脇に大きくコースアウトする形で落車した。後ろからイーガンアルリー・ベルナル、そしてヤン・バークランツといった優勝候補たちもチャベスに向かって突っ込んでいってしまった。

 

この後、BMCの選手もコースアウトしかけるなど、プロトンは大きく混乱し、タイム差はいよいよ30秒を上回る。残り4km。ヴィスコンティ勝利の可能性が大きく高まった。

 

 

残り1.5km。ここで、スカイが最後の攻撃に出た。

ジャンニ・モズコン。先日の世界選手権でも、アラフィリップと共に終盤で攻撃を仕掛けたイタリア人若手の実力者。

最後の「サン・ルーカ」の登りで、先頭のヴィスコンティにブリッジを仕掛けるべく、このパンチャー気質もある男が、力強いペースアップを図った。

これに喰らいついたのが、ニバリである。彼は即座にモズコンを抑えた。

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先頭はヴィスコンティ。これを15秒差で追いかけるのがウラン、モズコン、ロッシュ、そしてニバリだ。ロッシュ、ウランと立て続けにアタックが仕掛けられるが、その背後には常にニバリ。睨みを効かせて、彼らに牽制を行わせる。

 

 

 

ここまできたら、ヴィスコンティの勝利は揺るがない。

さらにニバリは最後にスプリントでウランを突き放し、自らも2位に入り込んだ。

バーレーンメリダの、チームとしての、完璧な勝利だった。

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バーレーンメリダは、今年創設のチームだ。バーレーンのナセル王子が創設し、その目玉選手として注目されたのが、アスタナ離脱を決めていたヴィンツェンツォ・ニバリであった。

 

正直、不安は大きかった。新チームが常にそうであるように、様々なチームからの選手の寄せ集めという形になってしまい、いくら大金を積んで実力者を集めようが、チームとしての纏まりはそう簡単には作れないのではないか。そんな不安と共にシーズンは開幕した。

 

だが、春のツアー・オブ・クロアチアの辺りから、段々とチームとしての強さが発揮されていった。ニバリが総合優勝を果たし、カンスタンチン・シウツォウが総合6位に入ったこのレースを経て、ジロ・ディタリアでは既に述べたようにヴィスコンティ、ペリゾッティが活躍し、ニバリ総合3位。

そしてブエルタでも引き続きペリゾッティの驚異的な献身により、ニバリは総合2位の座を獲得した。新創設チームとしては上出来な結果である。

 

だがそもそもペリゾッティがここまで働ける選手だとは思っていなかった。確かにかつて、ワールドツアーにも所属していたベテランだが、それでも長い間プロコンチネンタルチームで燻っていた選手だ。

それを、ヴィンツェンツォ・ニバリとその周辺が、強い希望をもってチーム入りを望んだという。かつて、短い期間チームメートとして過ごしていたペリゾッティの実力を、ニバリはしっかりと理解していたのだ。

 

かくして、最強の「チーム・ニバリ」が完成する。ある意味でアスタナ時代以上に強力なのかもしれない。来期は新たにゴルカ・イサギーレ、マチェイ・モホリッチ、そして今大会においても強い走りを見せていたドメニコ・ポッツォヴィーヴォが新たにチーム入りすることが既に決まっている。

 

来期はどんな走りを見せてくれるのか。

失われたイタリア籍ワールドツアーチームを受け継ぐ存在としても、期待している。

 

 

 

 

イル・ロンバルディア2017 プレビュー

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「モニュメント」最終戦にして、「落ち葉のクラシック」とも呼ばれる、シーズン終盤最大のレース、イル・ロンバルディア

 

今回はこの、クライマーたちの最終決戦をプレビュウしていく。

 

 

 

コース概要

イル・ロンバルディア――かつてはジロ・ディ・ロンバルディアと呼ばれた――は、5つの歴史あるクラシック「モニュメント」の1つであり、その中で最も、純粋なクライマー向けのクラシックである。

 

ここ数年は1年ごとにスタートとゴールを交換しており、今年は2年前と同じく、ベルガモを出発してコモに至る247kmのコースが用意されている。

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公式サイト(http://www.ilombardia.it/it/percorso/)より。この後の断面図も同様。

 

最初の勝負所は、残り72.7km地点から始まるマドンナ・デル・ギザッロ教会への2段階の登り。

 

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合計した平均勾配は6.2%だが、これはあくまでも途中の平坦部分を含んだうえでの数字。2つある登り区間それぞれの最大勾配は14%と12%と、非常に厳しい。

 

 

プロトンが登りの頂上に到達したとき、教会の鐘の音が鳴り響く。これもまた、イル・ロンバルディアの大きな特徴である。

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マドンナ・デル・ギザッロ教会は「サイクリストの聖地」と呼ばれ、教会の中には世界チャンピオンたちの奉納したジャージや自転車が飾られているらしい。

 

 

 

この登りを終えたあと、短い下りを経て、いよいよ最重要地点「ソルマーノの壁」に至る。

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登坂距離は2km弱と短いが、平均勾配は15.8%。最大勾配は27%に達する。

この山頂が今大会の最高地点となる標高1124m。山頂を越えたあとも、長くテクニカルなダウンヒルが待ち受けている。

 

2年前の大会でも、この登りでクフャトコフスキがアタックを仕掛け、前年覇者のダニエル・マーティンや、2009年・2010年覇者のフィリップ・ジルベールが脱落した。

 

 

この大会が面白いのは、この強力な2つの登りでレースが動き出すものの、それですべてが決まるわけではない、ということだ。

事実、13kmの長いダウンヒルの後に、次の登りまでは16.5kmの平坦区間が控えている。

2年前、ソルマーノの壁で先頭に躍り出たクフャトコフスキとティム・ウェレンスは、アスタナの組織するプロトンによって、この平坦区間で捕まえられてしまったのだ。

 

ラスト20kmからは最大14%の激坂チヴィリオ

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さらに残り8kmから5kmにかけて、最後の丘サンフェルモ・デッラ・バッターリアが待ち構えている。

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厳しい登りだけれども、ゴールからはまだ離れているチヴィリオと、ゴール直前ではあるけれども、そこまで厳しいわけではないサンフェルモ・デッラ・バッターリア。

この2つの組み合わせが、ここまで生き残ってきたクライマーたちに、最後の選択を強いることになる。勝利に向けた、重要な選択を。

 

 

たとえば2年前の優勝者、ヴィンツェンツォ・ニーバリは、まずチヴィリオの登りでアタックした。

これは決まることがなかったが、その後、チヴィリオの下りで彼は再度アタックしたのだ。

プロトンの中でも随一のダウンヒル能力を誇るニバリ。彼の下りを前にして、他の優勝候補たちは後手を踏むことになる。

サンフェルモ・デッラ・バッターリアの登りでダニエル・モレーノが攻勢を仕掛け、ニバリとのタイム差を10秒近くまで縮めることには成功するが、その後再び、バッターリアの下りで突き放される。

 

最後は風に舞うイタリア国旗が、イタリアチャンピオンジャージに貼り付いた格好で、その年を苦しい思いで過ごしてきたグランツール覇者のシーズン最後の栄光を掴み取った。

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とにかく、ラスト60kmからの展開は一瞬の見逃しも許されない。誰がどこでアタックし、どのアタックが勝敗を決めるのか。逃げ切りになるのか、小集団になるのか。あらゆる可能性がありうるレースというのは、見ていて非常に面白い。

 

だからこそ、このイル・ロンバルディアというのは実に見ごたえのあるレースなのだ。

とくに今年の、ベルガモ~コモのコースは。

 

 

 

過去の優勝者

2016年:コモ~ベルガモ。優勝者:エステバン・チャベス

-ローザ、ウランとのスプリントで勝利。

2015年:ベルガモ~コモ。優勝者:ヴィンツェンツォ・ニバリ。

-チヴィリオでアタックしたニバリが下りで差をつけて独走勝利。

2014年:コモ~ベルガモ。優勝者:ダニエル・マーティン

-9名の小集団の中から残り500mでアタックして勝利。

2013年:ベルガモ~レッコ。優勝者:ホアキン・ロドリゲス

-ゴール前10kmのヴィッラ・ヴェルガノでアタックして独走勝利。

2012年:ベルガモ~レッコ。優勝者:ホアキン・ロドリゲス

-ゴール前10kmのヴィッラ・ヴェルガノでアタックして独走勝利。

 

 

ベルガモゴールの2014年・2016年と違い、最後の登りの後に平坦がないため、小集団でのスプリント勝負にはなりにくいだろう。

2015年のニバリ、あるいは2012年・2013年と連勝したホアキン・ロドリゲスのように、終盤の登りでのアタックが鍵となるだろう。

 

しかし勝敗を分けうる登りは2つある。チヴィリオか、サンフェルモ・デッラ・バッターリアか。ニバリはチヴィリオで攻めた。モレノはサンフェルモ・デッラ・バッターリアで攻めようと考え、届かなかった。その駆け引きが面白い。

 

基本的には純粋なクライマーが有利。ニバリのように下りが強いことが、終盤においては肝になるかもしれない。

 

 

そのうえで、今大会の優勝候補を考えてみる。

 

 

 

優勝候補

ティボー・ピノ(FDJ, フランス)

2年はニバリ、モレノに次ぐ3位。それ以前も10位台を獲得している。

今年は初出場のジロで区間1勝&総合4位と大健闘。一方ツールは彼史上最高に存在感を発揮できないまま密かにリタイアし、うまくいかなかったことさえ印象に残さないというある意味クレバーな走りを見せつけた。

結果、「なんかあんまり見なかったけど今年のピノは頑張ったんじゃない?」というなんとなく良いイメージを残すことに成功した。・・・してるよね? 最後にロンバルディアを勝利できたらこれはもう確定である。ツールはなかった。

 

勝機は十分にある。2年前同じコースで3位という実績はもちろん、近年はジロのステージ優勝よろしく、「クライマーの中なら勝てる」微妙なスプリント力を持ち味にしており、小集団スプリントでも勝機はある。また、独走力も昨年あたりからついているため、終盤の登りで抜け出すことができれば独走勝利も十分狙えるだろう。今年ストラーデ・ビアンケで(驚異の)9位を獲るなど、ワンデーレース自体への可能性も見せている。

 

唯一にして最大の弱点は、下り。2年前ニバリが下りで勝利を決めたことを考えるとあまりにも致命的すぎるけれども、これが弱点。さすがに弱点弱点と言われ続けているのでいい加減克服しているような気もしているのだけれどやっぱり不安(そもそも2年前もモレノたちに置いていかれているのだから!)

 

登りで抜け出して独走したのに下りで追い付かれるピノの姿が見える・・・まあそれで集団スプリントになっても勝てる可能性は十分あるから大丈夫! 勝ってくれピノ

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ジロではニバリ、ザッカリン、キンタナをスプリントで下して勝利。ほかにも、シーズン序盤で、コンタドールをスプリントで下してもいる。ロンバルディアまでの各種前哨戦への出場も既に決めており、やる気は十分だ。

 

イル・ロンバルディア前哨戦の1つ「トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ」では、終盤のニバリのアタックに喰らいつく執念の走りを見せた。残念ながら勝利には至らなかったが、コンディションは悪くないはず。

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プリモシュ・ログリッチ(ロットNLユンボ, スロベニア)

チームのエースナンバーを担うのはスティーヴン・クライスヴァイクで、実際にイル・ロンバルディアに向いているのは間違いなくクライスヴァイクだろう。ログリッチェ自身は直前のミラノトリノでも 66位と明らかに良くない順位だし、アルデンヌでの実績があるわけでもない。

それでも彼を推すのは、彼の持っている未知数なポテンシャルだ。とくに、あえてこのイル・ロンバルディアで勝利を狙いうる素質があると考えるのは、ツール区間勝利を成し遂げた登坂力と、世界選手権ITT2位につけた独走力、そして、パイスバスコ第4ステージで、吸収されるたびに2度、3度とアタックを繰り出し続け最後には勝利を獲得したあのアグレッシブな走りゆえである。

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グリッチェもまた、恐れることない走りができる男だ。元々スキージャンパーという異業種から転向してきた選手。ワールドツアーチーム入りも昨年からだ。遅咲きのスーパースター。実力は申し分ないが、周りには強力な選手たちがたくさんおり、その実力の割には注目され重圧に押しつぶされる環境の少なかった彼は、まさに伸び伸びとした気持ちの良い走りを見せてくれる。

まずは「ソルマーノの壁」などの重要地点で集団に残ることが鍵。そのうえで、最後の2つの丘でどのタイミングで仕掛けるか。独走に持ち込めば十分に勝ちを狙えるだけに、すべてはタイミング次第だ。まずもって警戒されないであろうことも、彼にとっては大きなチャンスである。

 

 

ナイロ・キンタナ(モビスター, コロンビア)

先日のミラノトリノでは、チーム一丸となって攻撃を繰り出す姿が見られた。まずはダイェル・キンタナが強力に集団を牽引し、デラパルテ、そしてアナコナがアタックを繰り出した。

キンタナ自体は最終的に4位と表彰台こそ逃したものの、ツール以降、なかなかうまくいかないシーズンを過ごしているモビスターというチームが、この終盤戦においてもうひと頑張りしよう、という意気込みが伝わってくるレースだった。

 

クライマーにも大きく2種類、グランツール向きとワンデー向きがいるように思う。フルームやコンタドールはもちろん前者で、ワンデーレースではまず活躍しない。ダニエル・マーティンやリゴベルト・ウランはどちらかというと後者で、グランツールでも総合上位を獲ることはあるが、リエージュ~バストーニュ~リエージュやこのイル・ロンバルディアで結果を出している。

キンタナはその分類でいうと間違いなく前者なのだが、それでも彼の土壇場でのスプリント力は意外と強かったり、ペースではなくインターバルで登る彼の走りの特徴から考えると、意外とワンデーにも向いている脚質とも言えなくはない。今回、モビスターのゼッケンナンバーはアルファベット順のようで、ナイロがエースナンバーを着けているわけではないのだが、ミラノトリノでの動きを見るに、狙ってくる可能性は十分あるだろう。

「ソルマーノの壁」は当然超えることができるが、そこでどれだけチームメートを残し、最後の2つの登りでどんなアタックを繰り出せるか。

グランツールを1つも獲ることのできなかった今年、その悔しさを払拭するためにも、モニュメント勝利という偉大な功績を残すことができるか。

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チームとしての走りも楽しみにしている。レースを面白くかき回してほしい。

 

 

 

前哨戦

9/30 ジロ・デッレミリア(1.HC)

本日開催。その名の通り、エミリア=ロマーニャ州を舞台にして行われるワンデーレースで、創設は1909年と、実はジロ・ディタリアと同年。1906年開催のロンバルディアに並ぶ歴史の長さを誇る。

このレースの最大の特長は、残り40kmを過ぎてから始まる、登坂距離2km、平均勾配10%弱、最大勾配20%という「サンルーカの激坂」を立て続けに5回、登るということ。周回の距離は10km弱なので、その間隔で5回、ユイの壁にも匹敵する激坂を登らされるのだから、たまったものではない。さらにラストはその頂上でゴールというのだから、難易度は非常に高い。

過去の優勝者を振り返ってみると、やはりパンチャーというよりは純粋なクライマーの方が多い印象だ。そして、注目すべきは昨年の優勝者。これが、イル・ロンバルディアと同様、エステバン・チャベスなのだ。しかも、2位はロンバルディア4位だったロマン・バルデ。3位はロンバルディアでも3位だったリゴベルト・ウランと、リンクする部分が非常に多い。

もちろん、昨年のこの繋がりは偶然の範疇である。それより前の年はそこまで共通点が多いわけではない。そもそも、レースの特徴もロンバルディアとはまたちょっと違ってもいる。だからこそ、ロンバルディア前哨戦としてだけでなく、これ単体で楽しめるレースであることは間違いない。

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10/3 トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ(1.HC)

標高500m以上の山岳を含む78kmを走った後、標高差200m以上の12km周回コースを10周以上回る。ラストはやや登り基調の平坦スプリント。

昨年はコルブレッリが勝利。3年前はアルバジーニ、ほか、ジルベールが勝利していたりと、登れるスプリンターやパンチャー向き。ただし2年前はニバリが優勝しており、その勢いのままロンバルディアも制している。

勝利までいかなくとも、最終集団に入り込めるかどうかで、ロンバルディアに向けた状態を確認することができるだろう。

 

 

10/5 ミラノトリノ(1.HC)

残り24km地点から、2つの強烈な登りが登場。1つ目は4kmで400m、そしてフィニッシュへと至る最後の登りは5kmで500m登る。

まさにクライマー、とくにワンデーレースでは重要な、瞬発力のアル登りが得意な選手に有利だ。昨年はミゲルアンヘル・ロペスが優勝し、2位以下にウッズ、ウラン、ダニエル・モレーノ、ウリッシ、アルと続いている。

その意味で、ロンバルディアに向けた最高の前哨戦と言えるだろう。

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優勝者には独特なトロフィーが授与される。

 

 

 

日本ではDAZNで見られる・・・はずが

※無事、ミラノトリノ、そしてイル・ロンバルディアの放送が行われました。しかし直前ギリギリまで不安が続いていたのは何とも言えず・・・。今後そういったことがないことを期待したいですね。

イル・ロンバルディアの主催はミラノトリノと共に、ジロ・ディタリアの主催者であるRCSスポルトが引き受けているため、当社の放映権を一挙に買い取ったDAZNでの放送が決まっていた。

 

実際に、9月頭のシクリスト・ドゥ・モンレアルの放送直後、解説者の別府始氏も、今後の放送予定としてミラノトリノイル・ロンバルディアの名を挙げていた。今も見れるDAZNの「ヘルプ」内「今後の放送予定」にも、ロンバルディアの名は残っている。

 

が、本日確認した段階では、最新の放送予定の中にミラノトリノはもちろん、イル・ロンバルディアの名すら存在しない。

さらに、本来予定していなかったはずのツアー・オブ・タイフーレイクの放送が告知されている。

(これも微妙に謎で、自分の知っている限り、タイフーレイクは11月開催のはずなのに、放送予定では10月11日から、しかも11日・13日・15日・・・というように1日おきでの放送となっている。どういうことだ?)

 

果たしてミラノトリノイル・ロンバルディアは見られるのか?

見られます、と告知していたものを、直前になって色々あってやっぱり見られません、となるのは百歩譲って良いとしても、それに関して公式から何ら告知がないように見えるのは納得がいかない。

ここ最近は、Jsportsでは見られなかった放送も日本語実況・解説付でどんどん放送し、シクリスト・ドゥ・ケベックモンレアルからはゲスト解説や、待望のテロップなども登場するなど、今後が非常に期待できる状況だっただけに、今回のこの事態は残念極まりない。

 

結果的に見られるようになれば幸いだけれども、現状は予断を許さない状況である。

何か知っている方がおりましたらご教示願います。

 

 

 

とにかくも、シーズンを締めくくるクライマックスとも言えるこのイル・ロンバルディア

レース自体は大きな期待をもって開催を待ちたいと思う。

UCIロード世界選手権2017 総括

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北の大地ベルゲンで行われた、2017年のUCIロード世界選手権。

いくつかあるレースのうち、自分がリアルタイムで見た各レースに関して簡単に振り返る。

 

 

 

男子チームタイムトライアル

男女ともにチーム・サンウェブが勝利

サンウェブというチームは、確かに個人TTで速い選手を揃えてはいるが、圧倒的とまではいかないし、チームTTとなると正直パッとしない印象だった。

実際に昨年は7位。その前は5位だけど、グランツールのTTTでも決して上位に来るようなチームではなかった。

 

だが、今年は6月のハンマーシリーズでの優勝、そしてブエルタでのTTTでもBMC、クイックステップに次ぐ3位と、俄かに強さを増してきていた。極めつけの、今大会の優勝。例年、クイックステップかBMCかオリカか、といった感じでワンパターン化していたチームTTでの覇権争いに一石を投じた。

勝因は、既に各メディアでも語られているように、勝負どころのビルケルンズバッケンを6名全員で越えることができたこと。すごく単純に言えば、文字通りチーム力があった、と言えるのであり、それは今年のブエルタ、ハンマーシリーズ、ツールすべての躍進に共通するキーワードであった。

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来年もこのチーム力を維持できるか?

 

 

U23男子個人タイムトライアル

自分が注目していたキャスパー・アズグリーンは完全に不調に沈み、もう1人注目していたネイルソン・パウェルスはいい感じだったのに最後、メカトラで沈んだ。

結果、残ったのはアズグリーンと同じデンマーク人のミケル・ビョーグ。今年19歳。ようやくU23カテゴリに入ったばかりの超新星である

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ちなみに国内選手権でもヨーロッパ選手権でもアズグリーンにわずかに敗れており、今回リベンジを果たした形だ。

 

アジアチャンピオンのオノデライダーは43位。

前半飛ばし過ぎたのか、最後はヘトヘトだったっぽく、実力もそうだが経験の差も出てしまったか。

世界の壁は厚い。

 

 

エリート男子個人タイムトライアル

前評判通り非常に面白い展開となった。

最後の登りはバイク交換前提かと思いきや、序盤は交換しなかった選手の方がむしろ成績が良いという事態に。

九十九折りが激しく、テンポで登れるタイプが有利かと思えば、意外とペース走行を得意とする選手の方が良い成績を出すなど、予想を覆す事態が頻発した。

 

そんな中、勝利した3名は、これがグランツールの表彰台だと言われても違和感のない面子。というか、こんな表彰台になるようなグランツールって、ぜったい見てみたい! デュムランがフルームに勝ち、しかもログリッチェが表彰台とか! ごはん3杯はいけますよ!

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ちなみに最後の登りを最も速く走ったのはログリッチェらしい。ノーマルバイクに交換した、というのもあるが、やはりこれからのさらなる成長が楽しみになる選手だ。次に速かったのがTTバイクのデュムランだというから、彼の底知れなさも相変わらずである。

 

なお、勝てなかった選手たちの中でも注目したいのがアレクシー・グジャール。終盤までいいペースで走っており、まさかのメカトラで失速した。今まではエスケープスペシャリストといった感じだったが、独走力はもとよりある選手。TTでの活躍に、今後は期待したい。

ケルデルマンも、ブエルタの調子の良さを引き継ぐ好走。そしてデニスも、落車さえなければ表彰台も狙えていた走り。やはりこの男も、今後のグランツールの台風の目となりそうだ。

来年の個人タイムトライアルも、今年ほどではないにせよ山がち。再びオールラウンダー同士の火花が散る様が見られる見ごたえのあるものとなりそうだ。

 

バイク交換ゾーンを爆走していくトニマルは笑った。

 

 

U23男子ロードレース

昨年から? 今年から? ワールドツアーチームに所属する選手もU23カテゴリに参加できるようになったことで、雰囲気も変わったのだろうか。今回ワンツーを獲った2人はいずれもワールドツアーチーム所属ですでに活躍を見せている選手だ。

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それがゆえに・・・と言ってはあれだが、個人的には少々残念だったな、という印象。ラヴニールで活躍したパヴェル・シヴァコフの走りは良かったが、期待していたハルヴォーシュン、ローレス、ペダーセンらはイマイチ目立たず。

 

 

エリート女子ロードレース

オランダチームが、教科書通りのチームプレイを見せつけ、他を圧倒した。まさに、手も足も出ないとはこのことか。男子エリートのベルギーチームなどは見習ってほしい、と思いつつも、まあ実力差がはっきりと出やすい女子レースならでは、の展開とも言えるだろう。

ちなみに女子タイムトライアルの優勝者はアンネミーク・ファンフリューデン。まあこれは、あまりにも順当。彼女はロードでも存在感を示し、それがゆえに他チームが手を出せず、シャンタルの勝利が決まったのだ。まさに王者。

 

その意味で、「最強チーム」は勝ったけど、「最強選手」が勝ったわけではなかったのがこの女子レース。実にロードレースらしい結果だ。

優勝者シャンタルは涙を流しながらゴール。

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その姿を見れただけでも、勝てなかったファンフリューデンは十分満足だろう、と勝手に妄想してみる。

 

 

エリート男子ロードレース

さて、ジュニアやU23、女子のレースを見続けていると、このエリート男子というカテゴリが、いかに完成された選手たちの集まりなのか、ということが良くわかる。序盤から無駄にアタック合戦が繰り返されることなく、落ち着いてレースは展開。そして最後も、逃げ切りを許すことなく、ギリギリだけれどもしっかりと捕まえての集団スプリント。まさに芸術的なレース展開。これが、本当のプロフェッショナルの走りなのか。

 

非常に面白い展開だった。コースが見事だった、とも言えるだろう。勝負所ははっきりしている。サーモンヒル。ただしそれもゴール10kmも手前だ。5km手前から2kmを過ぎるあたりまで、超鋭角カーブが連続するのもアタックを誘発していて良い。最後の瞬間まで誰が勝つのか分からない、誰が勝ってもおかしくない、そんな展開だった。

 

そして、本当にあなたが勝つのか、という終わり方だった。

今大会、本当に一瞬も姿を途中現さなかったペテル・サガンが、最後の最後でするっと前に飛び出てきて、そのまま勝利を掻っ攫った。チームとしての動きもほとんどなかったが、最後の最後に貫禄を見せつけた。

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意外ではなかった。またか、という思いともまた違った。1回目の勝利は非常にサガンらしい勝ち方だった。2回目の勝利は、ボーネンとその年絶好調だったカヴェンディッシュという、世界選手権優勝経験者を力でねじ伏せた圧巻の勝利だった。3回目となる今年は、それらの勝利ともまた違う勝利だった。新しいサガン。ガッツポーズのない勝利という点でも、新しかった。

 

実にクレバーな勝ち方だったとも思う。彼はずっと、集団の後方に控えていた。その存在を示すことがほとんどなかった。そして先頭でアタックが頻発する中、(一応アタックするそぶりは見せたようだが)基本的には彼から勝負は仕掛けなかった。

ひたすら待ちの姿勢。彼にしては珍しい。だが、3年連続優勝のかかった彼が、いつも通り徹底的にマークされて勝利を逃してしまうのを避けるためには、この戦術が確かに必要なことだったのだ。

 

結果として、最後の最後に後方から飛び出てきてのスプリント勝利。ギリギリだったが、彼は賭けに勝った。これは、本当に実力のある選手にしかできない芸当だ。まるで今年のツールのキッテルのようだった。

3回目にして、またも新しいサガンを見せてくれた。だからこそ彼も、3回目だけど激しい、まるで初めてであるかのようなはしゃぎっぷりを見せたのだろう。

サガンはまだまだ成長している。これからも更なる進化を見せる彼を、ずっとずっと追っていきたい。

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マイケル・マシューズは本当に悔しそうだった。

来年リベンジだ!*1

 

 

 

 

 

 

*1:え? クライマー向け? まあ、マシューズならいけるでしょ笑