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ツアー・ダウンアンダー2018 総括

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全ての選手が力を発揮し、掴み取った栄光だった。その結果、アシストとして出場していたはずのインピーが総合優勝。昔からチーム力は随一と言われていたこのチームらしい勝ち方だった。

 

2018年シーズン最初のUCIワールドツアーレース、ツアー・ダウンアンダーが6日間の日程を終えて終了した。

第20回目を迎えた今大会は、例年以上の盛り上がりを見せることとなった。各チームのスター選手が集まり、多彩な国籍の選手たちが活躍し、誰もが想像していなかった総合優勝者を輩出。

ツアー・ダウンアンダーという非欧米のレースの「格」が、より高まる結果となった。

 

今回はこの第20回ツアー・ダウンアンダーの振り返りを行っていく。

大会を通して活躍したと言える選手たちを個人的見解をもってレビュウ。今後、注目していくべき選手という観点でも紹介していきたいと思う。

 

目次

 

 

総合優勝 ダリル・インピー(南アフリカ、33歳)

誰もが想像していなかった総合優勝者。彼自身にとってもこれは意外な結果であった。

しかし、実は決して不思議なものではない。放送中に栗村さんも言っていたように、3年前のダウンアンダーではウィランガ・ヒルも12位でゴールしており、総合成績でも7位と、可能性を見せてはいた。

そして2年前、エースのサイモン・ゲランスが総合優勝を成し遂げたとき、誰よりも彼の総合優勝をサポートし続けていたのが、このインピーであった。彼が中間スプリントポイントなどでゲランスをアシストしきっていなければ、あのときの結果はなかったかもしれない。

今回、そのゲランスがチームを去った中で、ゲランスと同じように、ボーナスタイムを積み重ねていく形でインピーが栄光を掴み取れたのは、偶然でも何でもない、必然であったのだ。その意味で、今回のような結果を、来年以降も期待していくことすら可能だろう。

 

それでも、彼はエースではなかった。今回はあくまでも、カレブ・ユワンのアシストとしての参加を果たしていたはずだった。第2ステージ、スターリング登りフィニッシュ。2年前の同じフィニッシュではユワンは早々に遅れてしまっていた。だが今回は、インピーがそのユワンを支えた。そして、最後は共にスプリントし、美しいワンツーフィニッシュを飾った。

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このとき、ユワン以上に激しいガッツポーズを見せていたインピー。アシストとして最高の仕事をこなした瞬間の、喜びだったに違いない。

しかしまさか、このときの「2位」が、最後に彼を栄光の舞台に立たせることになるとは。これだからダウンアンダーは面白い。

 

インピーはこれからも、あくまでもアシストとしての活躍を続けることになるだろう。他のステージレースで今回のように総合優勝を求めて走っていく、というようなことはなかなか考えづらい。ヘイマンやタフトと同じように、チームにとって欠かせない縁の下の力持ちとして、活躍を続けていってくれるはずだ。

それでも、そんな彼らに訪れる、今回のような一瞬の輝き。そんなことが時折あるからこそ、ロードレースという競技は面白く、そして美しいのだ。

おめでとう、インピー。 

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南アフリカ人選手として初となるダウンアンダー総合優勝。彼自身も語っていたように、今後も南アフリカからの有力選出の輩出はどんどん続いていきそうだ。

 

 

総合2位 リッチー・ポート(オーストラリア、32歳)

ウィランガ・ヒル5連勝。誰も塗り替えることはできないであろう大記録を打ち立てた。まさに「ウィランガの王」である。

しかし、総合優勝にはわずかに届かなかった。ダウンアンダー20年の歴史の中で、2回目となる「0秒差決着」。しかも、スプリンター向けでなくなった近年のダウンアンダーとしては初である。

それでも、昨年ツールの大クラッシュを経て、本格的なレース復帰戦となったこのダウンアンダーでの成果としては十分すぎる結果だ。似たような経緯をたどって総合優勝を果たした昨年は、ロマンディ総合優勝やドーフィネ総合2位など、彼のキャリアの中でもトップクラスの実績を叩き出すことができた。昨年はツールでのリタイアが勿体なかったが、今年も同様の成績と、そして今度こそツールでの大活躍を期待したいところである。

チームとしても、これまでのBMCとは一味違った動きを見せられていたように思う。この時期だからというのもあるだろうが、ゲランスやデニスはもちろん、昨年は平坦牽引で活躍していた元オーストラリアロード王者マイルス・スコットソンが、今年新設のノートンサミットの登りと力強い牽引を見せてくれていた。

昨年はダウンアンダー以外での活躍がイマイチだったスコットソンだったが、今年は果たしてどうなるか。

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ウィランガ・ヒル5連覇。今年も、追随する選手に一度も前を譲ることなく、力で突き放しての勝利だった。1.5kmに及ぶ道程を、ダンシングだけで乗り切るその爆発力は圧巻だ。

 

 

総合6位&新人賞 エガンアルリー・ベルナル(コロンビア、21歳)

誰もが期待はしていた。が、まさか期待通りの結果を持ってくるとは。本当に底知れぬ男である。

そもそも、あのウィランガ・ヒルを、ヨン・イサギレやロベルト・ヘーシンクよりも早く登って区間5位でゴールしていることがまず凄い。本当に「キンタナ2世」になりうるかもしれない。つい、期待し過ぎてしまう。

 

ということで、次は2月6日開催のステージレース「コロンビア・オロ・イ・パス」に注目。1クラスで今年創設のレースではあるが、すでにリゴベルト・ウランやナイロ・キンタナが出場を決めている。キンタナは昨年同時期のステージレース「ボルタ・ア・バレンシアナ」で総合優勝をしており、今大会も早速総合優勝を狙って本気で走る可能性は十分にある。

そんな環境で、ベルナルがどこまで走れるか。せめて総合表彰台に立つ姿は見てみたい。

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「23歳や24歳でピークを迎えて終わる選手にはなりたくない」という旨の発言をしていたというベルナル。ただの期待の新人で終わらなそうな才覚を本気で感じさせる男だ。

 

 

山岳賞 ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、22歳)

第1ステージ~第3ステージと連続して逃げ、第5ステージでも同様に逃げたことで、非常に理想的な形で安定して山岳賞を獲得。獲得したらすぐに集団に戻る効率的な走りも功を奏した。第5ステージではそのスタイルが少しだけアダとなったけれど。

放送の中でも触れられていたように、昨年のU23版ジロでも山岳賞を獲得している。そして、プロデビュー1年目でのこの堂々とした走り。

今後、山岳逃げにおける注目選手の1人として常にチェックしうるライダーになるかもしれない。

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目指すは、アフリカ勢初の「シャンゼリゼでの特別賞ジャージ着用」。順調に経験を積み重ね、成長していってほしい。

 

 

区間1勝&ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、27歳)

ピュアスプリントでは昨年同様、まだ完全には出来上がっていないようには感じる。しかし、第4ステージ、1級山岳ノートンサミットの登りを含んだステージでの勝利は、サガンという男の総合力の高さを見せつけた。

1級山岳をしっかり乗り越える力はもちろん、その後の下りと登り返しでのアタック、それが飲み込まれた後も冷静に水を頭からかぶり、そして最後に飛び出したインピーの背後にしっかりと乗って、そして狭い隙間をすり抜けてからの力での勝利。

サガンという男の勝負強さ、クレバーさ、そしてバイクコントロールの巧みさなど、彼の強さを象徴する要素全てが詰まった実に彼らしい勝利だった。

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クリテリウム含め2勝と、ポイント賞の獲得。世界チャンピオンとしての強さを十分に発揮した開幕戦だった。

 

 

区間2勝 アンドレ・グライペル(ドイツ、35歳)

ミスター・ダウンアンダー完全復活。昨年は苦しいシーズンを過ごし、年末には不幸にも見舞われた彼が、新シーズンを最高の形で切り開いた。

ジーベルクやデビュッシェールといったアシストたちの働きも良かったのは間違いないが、それ以上に、第1ステージも第6ステージも、比較的集団の中ほどから加速していき、先行するユワンの背後を獲って最後は力でねじ伏せる、というスタイルだった。昨年のキッテルもそうだが、近年、トレインの効力が発揮しづらく、スプリントも個人戦になりつつある中で、そういった状況への適応力の高さを見せつけた勝ち方だったと言える。

まだまだトップスプリンターであることを示したグライペル。今年はどこまでいく?

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ゴリラ、完全復活。現状、今後の出場レース予定はパリ~ルーベくらいではあるが、2月のステージレースでもどこかに出場し、またスプリント勝利を稼いでくれることだろう。

 

 

区間1勝 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、28歳)

注目はしていたが、それでも結局、勝てはしないだろう、とは思っていた。しかし、クリテリウムでも第3ステージでも、ずば抜けた加速力でもって他を圧倒。昨シーズン後半からの勢いをそのまま受け継いだかのような鮮烈な勝利を飾った。

間違いなく、例年以上に快調な滑り出しと言えるだろう。今のところ出場予定レースはミラノ~サンレモくらいだが、ドバイ・ツアーなどで、キッテルたちを相手取っての真剣勝負にも期待したい。そして、2年前は勝てないままリタイアし、昨年は出場叶わなかったジロでの、4年ぶりの勝利にも。チームとしても、盤石な支援体制を築いてくれるはずで、今年は彼にとって最高の年になりそうだ。

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昨シーズン後半から調子を上げ続けているヴィヴィアーニ。新チームとの相性も悪くなさそう。

 

 

区間1勝 カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳)

正直、戦前抱いていた期待以上の結果ではなかったのは事実。他の選手の状態が非常に良かったというのもあるが、飛び出すタイミングだったり、飛び出してからの持続力だったりで、昨年ほどの圧倒的な強さを感じられなかった。

それでも、第2ステージ、スターリング登りフィニッシュでの勝利は見事である。何しろ2年前は、同様のステージで早々に失速していたのだから。とはいえ、そもそも彼が注目を集めるきっかけとなった、2015年ブエルタでの勝利は登りフィニッシュであった。そして、2年前と違って、今回はあくまでもユワンがエース。インピーという、登れるスプリンターがユワンのために最高のアシストをしてくれたのも、功を奏した。

そしてもしかしたら、ユワン自身が、これまで以上に登りというのを意識したトレーニングを進めていた部分があるのかもしれない。もしそうだとしたら、意識しているのはおそらく――昨年ジロにおいて、山岳すらも乗り越えて、マリア・チクラミーノ獲得を果たした、最大のライバル・ガヴィリアの存在かもしれない。

今年はツール初出場を考えているというユワン。そしてガヴィリアも、同様にツール初出場を果たすかもしれない。

ユワンの今大会における変化は、そんな状況に向けての、伏線だったと言えるかもしれない。

 

 

総合5位 ドリース・デフェナインス(ベルギー、34歳)

ノートンサミットを越える第4ステージでは先頭集団内でゴールし、ウィランガ・ヒルステージでもスラフテルらと共に4位ゴール。第3ステージでも区間9位に入るなど、登坂力とスプリント力を兼ね揃えた生粋のパンチャー。

IAM時代の2016年はベルギー・ツアーとツール・ド・ワロニーというパンチャー向けのHCクラスステージレースを2つ制している。ロンド・ファン・フラーンデレン14位や、イル・ロンバルディア13位などの実績も持つ。

こういう、ダウンアンダーで地味に活躍する選手は、暫くした後に、大爆発を見せるパターンがままあるように感じる。昨年ブエルタで活躍したウッズなんかが良い例である。またクイックステップ・フロアーズというチーム自体が、ブランビッラやデラクルスといった才能ある選手にしっかりと結果をもたらしてくれているチームでもある。

よって、この選手、今年か来年にはグランツールでの区間勝利や総合TOP10入りを実現してくれるような気がする。注目しておいて損はないだろう。

まあ、すでに34歳という年齢でもあり、基本はアシストとなるだろうが、その点でも十分に期待が持てる選手である。アラフィリップやユンゲルスのアシストとして、彼らのグランツールでの活躍を支える役回りにも期待したい。

 

 

フィル・バウハウス(ドイツ、23歳)

チーム・サンウェブとしては、本来はアルントがエースであったはずなのだが、今回はバウハウスの方が調子が良かったようだ。実際、第1ステージの区間6位だけでなく、第3ステージでは飛び出したヴィヴィアーニにしっかりと喰らいつき、最後はユワンを差して区間2位に入り込む。昨年はドーフィネで勝利して驚きをもって迎えられたが、今年はさらなる飛躍を見ることができそうだ。

ジロなどでの区間勝利に期待したい。

 

 

シモーネ・コンソーニ(イタリア、23歳)

クリテリウム、第1ステージで共に区間5位。第3ステージでは区間4位にまで登りつめ、最終ステージでも区間7位。登りを含んだステージではまだ厳しいが、ピュア平坦ゴールならば十分な強さを発揮しつつある。

さすがにまだツール、というのは厳しいが、ジロやブエルタならば今年早速結果を出すこともできそうだ。ライバルのリカルド・ミナーリが今回十分な結果を出せなかった一方で、このコンソーニが一歩先んじることができた。イタリアのネオプロ期待の星。次の出場レースはまだ不明だが、出場となった際にはしっかりと注目していこう。

 

 

スコット・ボーデン(オーストラリア、22歳)

全6ステージ中、第1~第3ステージと第5ステージの計4ステージで逃げに乗るという驚異の体力。これだけ暑い中で、である。

現在はベネロング・スイスウェルネス(旧アイソウェイスポーツ)所属の選手であり、ツアー・オブ・ジャパンへの出場なども期待できる。その際には必ず注目していきたいところ。

放送の中でも確か触れられていたと思うが、マウンテンバイクの選手でもあり、クロスカントリー種目で2015年にオセアニア大陸選手権U23部門優勝、2016年には国内選手権エリート部門で優勝している。

サガンをはじめクロスカントリー種目出身の選手は伸びしろが大きいため、数年以内のワールドツアーチーム入り十分果たせそうだ。

重要なのはその先。昇格しただけで終わる選手とならないよう、今のうちにしっかりと基礎を固めておいておきたいところ。

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その他の選手状況

若手としては、最終ステージで別府のアシストも受けてボーナスタイム獲得を成功させ、総合9位にまで登りつめたルーベン・ゲレイロ、総合13位のピエール・ラトゥール、総合15位のサム・オーメンなどが、山岳ステージでも崩れることなくそこそこの順位をキープできたのは悪くない結果だった。シーズン開幕の状態としては良い方だろう。

一方、ニュージーランド人として、オーストラリア人同様の状態の良さをもって迎えることを期待していたジョージ・ベネットが、途中までは総合TOP10に入っていながら、最終日に落車したことで結果として崩れてしまったのは残念。しかし彼には総合表彰台を狙うだけの走りを見せてほしかったので、そもそも総合8位辺りでも満足とは言えない。

同じように期待していたが残念な結果だったのは、ネイサン・ハースと彼のチームメートであり昨年新人賞のレストレポ。共に終盤の山岳ステージで大失速。暑さも大きな原因ではあった様子。

レストレポはこんなところで止まる男ではないと信じている。今後、2月には国内選手権も控えているので、そこでの結果などに期待したいところ。

リカルド・ミナーリも、もうちょっと結果を出せると思っていたが、残念だった。同年代・同国のコンソーニに差をつけられてしまった形だ。昨年はドバイ・ツアーにも出場していたが今年はどうだろうか。挽回を望む。

 

スカイのベルナル以外の期待の若手、ハルヴォーシュンとローレスについて。ハルヴォーシュンはクリテリウムで落車して本戦には出場できず。ローレスはクリテリウムでは6位とそれなりの結果を出すが、本戦ではまったく歯が立たず。ここはまあ、仕方がない。ベルナルが良すぎるだけだ。彼は昨年既にワールドツアーでの経験もあるからね。

同じくツール・ド・ラヴニールで結果を出していたロット・スーダルのランブレヒトUCIルールとの兼ね合いで出場できなかったのも残念。ベルナルとの一騎打ちをぜひ見てみたかった。

 

他には、チームEF所属の元アクセオン、ローガン・オーウェン。ずっと姿を現さず残念・・・と思っていたところ、最終ステージでしっかりと逃げに乗って目立ってくれた。良かった。

 

最も残念だったのはFDJのダヴィデ・チモライ。初日で栗村さんに存在を忘れられておりヒドイ!と思ったけれどその後も結局、まったく結果を出せず。まあ、しょうがない。チームとしても2人も落車リタイアを出してしまい、最初から本気を出して臨むレースではなかったとはいえ散々である。

今年もFDJは不運?

 

 

総括

昨年・一昨年のダウンアンダーは、クリテリウムも含めた全ステージでオーストラリア人が勝利する、という状況だった。それはそれで面白くはあるのだが、一方で「所詮ダウンアンダーはハイシーズンのオージーたちにだけ有利で、それ以外の地域の選手にとっては本気を出さないような、そんなレースなのか」という思いも片隅にはあって、もやもやしていたところではあった。

 

だが、今年の結果はそういった評価を吹き飛ばしてくれた。昨年、7年ぶりの出場を決めたサガンが今年も出場を続けてくれて、しかもグライペルが4年ぶりの出場、ヴィヴィアーニも例年出場している南米のレースではなくこちらを開幕戦に選んでくれた。

そして彼らが皆、本気でぶつかり合った結果、昨年のようなユワンの独壇場ではなく、各ステージ実に多様な勝ち方を見せてくれる非常に面白い展開を生んでくれた。ユワン自体も、これまでにない勝ち方をしてくれていたように思う。

 

今回のダウンアンダーは、1級山岳ノートンサミットという、ダウンアンダーにしては長めの山岳を取り入れる新しい挑戦があった。このステージでの山岳バトルは実に見ごたえがあった。結果としてはクライマー以外を打ち砕くような破壊力には至らなかったが、それが逆に、レース全体の接戦を演出する良いスパイスになったのかもしれない。

 

来年もまた、新たな注目選手の参加表明を待ち望んでいる。また、ステージ構成に関しても、今年のように新たな挑戦を取り入れていってほしい。

ダウンアンダーというレースが、より魅力的なものへと進化し続けることを望んでいる。今年のダウンアンダーは、大成功だったと言えるだろう。 

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ベテランの活躍と若手の台頭。そのバランスが今年は絶妙であった。

CCC Sprandi Polkowice 2018年シーズンチームガイド

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読み:ツェツェツェ・スプランディ・ポルコウィツァ

国籍:ポーランド

略号:CCC

創設年:2000年

使用機材:Guerciotti (イタリア)

2017年ヨーロッパツアーランキング:10位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

  

2018年ロースター

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昨年もジロに出場し、エースのヤン・ヒルトが活躍するなど注目を集めたチーム。今期はUAEから一流スプリンターのマルコ・クンプを獲得し、スプリントでの活躍を目指す。昨年アルガルヴェで一勝した元コンチネンタルのアントゥネスや、ポーランド人の若手ライダーの躍進にも期待が持てそう。

また、このチームはプロコンチネンタルチームでありながら、チームTTが強いチームとしても注目を集める。世界戦チームTTのメンバーも数名残っているので、この傾向は今年も期待できそうだ。

 

 

 

注目選手

マルコ・クンプ(スロベニア、30歳)

脚質:スプリンター

今シーズンにおけるCCC最大の補強と言えそうなのがこの人物。昨シーズンは勝利なしだが、それでもブリュッセル・サイクリング・クラシックでグライペルをも下して2位に入るなど実力は十分。本人も、クリストフ加入で主役を張れる可能性がより低くなる中で、自らがエースを走れるこのチームから誘いを得られたことは嬉しかったはずだ。

事実、母国のコンチネンタルチームに所属していた2015年には、ツアー・オブ・チンハイレイクで5勝している。ワールドツアークラスで戦うよりも、プロコンチネンタルチームで1クラスやHCクラスのレースで伸び伸びと走る方が性に合っているのかもしれない。

そしてジロ・ディタリアなどで、かつてのチームメートであるモドロらと戦うことも十分に可能そうだ。ポーランドチームの新エースとして、十分な活躍を期待している。

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手前がクンプ。今年こそ、表彰台の頂点に立ちたい。 

 

アマーロマヌエル・アントゥネス(ポルトガル、28歳)

脚質:クライマー

昨年は母国ポルトガルのコンチネンタルチーム、W52/FCポルトに所属していた。

メジャーなレースとしてはヴォルタ・アン・アルガルヴェの最終ステージでの勝利が印象に強いが、それ以外にもポルトガルのワンデーレース、ステージレースともに勝利や総合優勝、山岳賞と幅広く活躍している。

ポルトガル人選手の若手~中堅クラスでは今最も注目すべき存在の1人だ。

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母国最大のレースで、キャリア最高の勝利を遂げたアントゥネス。人生の次なるステージへと登った。ここで止まるな! 

 

ピョートル・ブロジナ(ポーランド、23歳)

脚質:TTスペシャリスト

昨年のポーランド国内選手権U23個人タイムトライアルで優勝。ツール・ド・スロバキアのプロローグでも5位となり、その勢いのまま同レース総合3位、新人賞も獲得した。

ツアー・オブ・ターキーにも出場し新人賞2位。今は経験も少なくTTの力のみ突出している感はあるが、今後、よりオールラウンダーに活躍の幅を広げそうな若手である。

 

アラン・バナシェク(ポーランド、21歳)

脚質:スプリンター

昨年は弱冠20歳にして5勝。ツール・ド・ラヴニールでも連日TOP10入りを果たし、ツアー・オブ・ブリテンでもガヴィリア、ヴィヴィアーニ、クリストフ、フルーネヴェーヘンに続く区間5位を獲るなど、今後の可能性を強く感じさせる走りを見せた。

 

シモン・サイノック(ポーランド、21歳)

脚質:不詳

昨年はアタッキ・チームグストのメンバーとして度々来日。ツール・ド・熊野のプロローグで優勝したり、国内選手権U23個人タイムトライアルで2位に入るなどの活躍を見せた。

Cofidis, Solutions Crédits 2018年シーズンチームガイド

読み:コフィディス・ソリュションクレディ

国籍:フランス

略号:COF

創設年:1997年

使用機材:Kuota (イタリア)

2017年ヨーロッパツアーランキング:2位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

  

 

2018年ロースター

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フランスの名門チームでありながら、バイクサプライヤー*1とメインスポンサーの意向によってブエルタ・ア・エスパーニャにも皆勤で出場する、西仏連合チーム。最強クラスの実力をもったスプリンター・ブアニと、山岳逃げが得意なスペイン人クライマーたちによる活躍はワールドツアークラスのチームに引けを取らない。

・・・はずだったのだがここ数年は若干イマイチ。相変わらず1クラスやHCクラスでは無類の強さを誇るものの、ツール・ド・フランスではめっきり目立たなくなってしまったブアニ。そして、ナバロ&マテのスペイン人クライマーコンビも、逃げでは目立つものの勝利には繋がらず、昨年はその逃げでもそこまで覇気がなかったような・・・。

今期からは元モビスターの実力者エラダ兄弟も加わり、更なる強化が図れるか。北のクラシックが得意なベルギー人たちもそれなりにいるので、そちらでも活躍を期待したいところ・・・。

 

 

 

注目選手 

ヘスス・エラダ(スペイン、28歳)

脚質:クライマー

2016年にドーフィネでワールドツアー初勝利を遂げ、2017年に2度目のスペインロード王者に輝いた、今まさに登り龍のスペイン人「90年世代」の1人。

しかし彼はこのタイミングで、プロデビュー以来7年間在籍し続けてきたスペインチームを離れることに決めた。それは前向きな思いで。

「僕はもう27歳だ。新たな責任を背負い、そしてより巨大なレースで到達しうる自分の限界を伸ばしていくには、今が最も大切なタイミングなんだ*2

つまり、彼は「エース」になることを望んだのだ。そして、コフィディスというチームは、ツール・ド・フランスも、ブエルタ・ア・エスパーニャにも出場できる可能性の大きなチームであり、そこでエースとして走れる可能性は、おそらくモビスターよりもずっとずっと大きい。そこで、自らの限界を拡張する可能性に、彼は賭けたのである。

私は彼の挑戦を全力で応援したいと思う。2016年ドーフィネ第2ステージの山頂フィニッシュで、ダニエル・モレーノやトニー・ギャロパンたちの後ろから、もう一段階の加速を見せて華麗にゴールした彼の姿を忘れていない。

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そんな彼が主役になれるチームがここならば、彼をもっと応援していきたいと思う。

兄であり、バルベルデなど歴代のエースたちを力強く支えてきた兄ホセも共に移籍を決めた。彼のアシストもまた、ヘススを輝かせる重要な鍵となるだろう。 

 

 

ナセル・ブアニ(フランス、28歳)

脚質:スプリンター

かつてはフランス最強と言っても過言ではない程の実績を叩き出していたが、最近ではめっきり・・・とはいえ、ヨーロッパツアー1~HCクラスのレースでの勝率は非常に高く、UCIヨーロッパツアー個人ランキングでは堂々の首位。チームのランキング2位に対する貢献度も大きい。

よって、プロコンチネンタルチームのエースとしては申し分のない存在ではあるのだが、やはりツール・ド・フランス出場常連チームのエースとしては、ツールでの勝利をしっかりと獲れるようになってほしい。出場しただけで褒められるようではダメなのである。

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頑張れブアニ! でも手はあまり出さないように・・・。

 

 

クリストフ・ラポルテ(フランス、26歳)

脚質:スプリンター

基本的にはブアニ発射台だが、ブアニが出場できなかった2年前のフランスでは代わりにエースを任され、区間上位を何度か記録した。2017年シーズンはブアニはちゃんと出場するものの不調で、このときもやはり、1ステージだけ区間5位を記録した。

そんな彼の2回だけあるプロ勝利は、いずれも「ツール・ド・ヴァンデ」。そして、今年のツールはヴァンデ県で始まる・・・これは、チャンスか? もしかして・・・?

 

 

ジュリアン・シモン(フランス、33歳)

脚質:パンチャー

実力はあるのにプロコンチネンタルチーム一筋。アシストもできるベテランだが、アルデンヌ・クラシックへの適性は高く、いつか勝利を狙いたいところ。2017年シーズンはグランプリ・ワロニーで3位、グラン・プレミオ・ブルーノ・ベゲッリで8位など。リエージュで10位以内を狙うことは十分可能だろう。

ツアー・ダウンアンダー2018 スタートリスト&プレビュー

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いよいよこの14日から開幕する、2018年シーズン最初のUCIワールドツアーレース、ツアー・ダウンアンダー

 

今回は、このツアー・ダウンアンダーの全チームスタートリストと、それぞれのチームへの簡単なレビューを行っていく。

※年齢は全て数え年表記となっております。

※No.は直前で変更になる可能性もあります。

 

 

↓コースプレビューや注目選手などはこちら!↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

1~.BMCレーシングチーム(BMC)

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2014年~2017年のダウンアンダー覇者が勢揃いするという、メンバーだけ見たら最強チーム。実際、ポートは最有力優勝候補だし、万が一彼の調子が上がらなくともデニスやゲランスで狙うことができるというのは安心。昨年よりはクライマー向きとは言えないコースだが、それならばゲランスで狙えるのだから本当に隙がない。

スコットソンは昨年の国内ロード王者。昨年のダウンアンダーでは平坦牽引に活躍しまくっていたので、今年もその雄姿を見たい。昨年はこのダウンアンダー以外ではイマイチだったので・・・。

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リッチー・ポート、2年連続の総合優勝なるか。また、ウィランガ・ヒル5連勝という記録樹立にも期待がかかる。

 

総合優勝  ★★★

スプリント ★★☆

逃げ    ★☆☆

 

 

11~.ボーラ・ハンスグローエ(BOH)

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昨年、7年ぶりの出場を果たしたものの、結局は勝利を掴めずに終わった世界チャンピオンが、再び舞い戻ってきた。今年こそ勝利できるか? ベネット、マッカーシー、ゼーリッヒといった昨年も連れてきた発射台メンバーだけでなく、右腕ボドナールと新加入のオスまで連れてきて、昨年以上の本気さが伝わってくる??

総合優勝は新加入のケノーで狙う。カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース優勝者でもあり、オーストラリアのレースとの相性は悪くない。

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サガンマッカーシーに注目が集まりがちだが、ベネットも昨年調子の良かったメンバーの1人。ターキーでは怒涛のステージ4勝を叩き出した。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★★☆

逃げ    ★☆☆

※ベネット、ケノーが体調不良という情報も有り。本戦に間に合うか・・・?

 

 

21~.ミッチェルトン・スコット(MTS)

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ダウンアンダー最強のスプリンター、ユワンをエースに据える。この2年間でクリテリウム含め14ステージ中8勝。今年も早速国内選手権クリテリウムで優勝し、幸先は良い。

若干の不安材料は、直前の国内選手権ロードで、最後の最後、マッカーシーに力負けしたところ。優勝自体はチームメートのエドモンドソンが獲得したので良いのだが、今年は昨年のようなスプリントステージ全制覇、というのは難しいかも??

昨年ダウンアンダー最強の逃げスペシャリストであったバウアーも加わり、スプリントでも逃げでも活躍してくれそうだ。そして、総合優勝争いに、若きオールラウンダー、ハウスンが絡んでくる可能性も・・・?

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見事、今年の国内ロード王者に輝いたエドモンドソン。今回のダウンアンダーは、ナショナルジャージの最初のお披露目式となるはずだ。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★★★

逃げ    ★★☆

 

 

31~.ロット・スーダル(LTS)

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グライペル、4年ぶりの復活。かつてこのダウンアンダーでは2回の総合優勝と16回のステージ優勝を叩き出している。年々クライマー向きになりつつあるダウンアンダーから暫く距離を置いていた彼が、この度、満を持して復帰。ユワンの独壇場をぶち壊すことができるか?

メンバーもそれに合わせて昨年までと一新。バク、ジーベルク、デビュッシェールというグライペル親衛隊を引き連れてきてやる気満々。もちろん、昨年山岳賞のデヘントや鉄人ハンセンなど、逃げでも十分に見所アリ。

ランブレヒトは昨年ラヴニール総合2位の期待のネオプロ。総合争いに、意外な形で絡んでくるかも? ライバルはベルナル。新人賞争いに注目だ。

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2017年シーズンは振るわない結果となってしまったグライペル。例年と違ったパターンでのシーズン入りを目指す今年、全盛期を取り戻すことができるか?

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★★☆

逃げ    ★★★

 

 

41~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)

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昨年はブエルタ・サンフアンで1勝し、その勢いのままアブダビ・ツアーでの総合優勝を成し遂げていたコスタ。今年はおそらく初出場となるこのダウンアンダーで、同じく幸先の良いスタートを切りたいところ。

ウリッシも比較的相性の良いレースであり、コンディションによっては総合優勝も十分に狙える選手。個人的に好きな選手なので応援したい。

ただこのチームはガチガチに総合優勝を狙うというよりも、調整も兼ねた積極的な逃げを打つ方が多くなるだろう。モーリやボノなんかは必ずと言っていいほど逃げを狙ってくるはずだ。また、コンソーニもプロ2年目でまだまだ若手の選手ではあるが、昨年のツアー・オブ・ターキーでは連日上位に食い込む走りを見せていた期待のスプリンター。勝利までは狙えなくとも、今回のダウンアンダーでどこまで実力を見せてくれるか、楽しみである。

 

総合優勝  ★★☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★★☆

 

51~.ディメンションデータ(DDD)

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2013年総合優勝者スラフテル、昨年ツアー・オブ・カリフォルニア新人賞のモートンあたりに注目。レンショーは昨年はイマイチだったが、基本的にダウンアンダーのスプリントには強い選手。

ドラミニ、デイヴィスといったネオプロや、昨年のダウンアンダー・クラシックでネオプロながら勇気ある単独エスケープを見せたオコナーなど、若手の割合が多い構成となっており、成績よりも選手たちの経験を積ませることに力点が置かれていると見ることもできるだろう。

彼ら若手の逃げに期待していきたい。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★☆☆

 

 

61~.バーレーンメリダ・プロサイクリングチーム(TBM)

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ポッツォヴィーヴォやゴルカを加えた、バーレーンメリダの新総合チームのお披露目式。昨年はニバリ班だったボアーロやアニョーリも加わり、結局はニバリしか目立てなかった昨年へのチームとしての反省の色が随所に見られる。

スプリンターで核となる選手がいないため、場合によっては新城がスプリントに参加する可能性も・・・? 楽しみにしたい。ボアーロは2年前のダウンアンダーの逃げでも目立っていたので、そちらも期待。ボアーロの顔はコアラに似ているのでオーストラリアのレースとは相性が良い筈(失礼)。

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昨年に続き参戦。今年は1月から目立ってくれるか? 怪我には注意。 

 

総合優勝  ★★☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★★☆

 

 

71~.チームEFエデュケーションファースト・ドラパックp/bキャノンデール(EFD)

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名前が長い。

基本は逃げを中心に少しでも目立つことが目標。とはいえ、コンディション的には悪くないはずのオーストラリア人の割合が多いのと、クラークやモレーノでの総合上位狙いも十分に可能性がある。

そもそもこのチームは期待していないときに意外な活躍を見せてくれるチームなので、我々としては期待しないようにしつつ期待したいところである。

昨年爆発したウッズも、元はこのダウンアンダーでその片鱗を見せていたりした。その意味で、今回は元アクセオンのネオプロ、オーウェンくんの頑張りに密かな注目を向けておこう。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★☆☆

 

 

81~.チーム・サンウェブ(SUN)

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メンバーの平均年齢が25歳を切るという、驚異の若手率。だからといって勝ちを捨ててるわけでは決してなく、昨年カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース優勝者のアルントが、ドーフィネで1勝しているバウハウスを引き連れて本気で勝利を狙ってくるはずだ。

またハミルトンはウィランガ・ヒルなどでも良い走りを見せる元Unisa選手だし、ストーラーも昨年新人賞2位の、オージー期待の若手の1人である。十分に目立てる可能性のあるチームだと言えるだろう。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★★☆

逃げ    ★☆☆

 

 

91~.アージェードゥーゼル・ラ・モンディアル(ALM)

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このチームこそ、逃げに積極的に乗って目立たなくてはどうしようもないチーム。乗ったとしても勝利までは期待しづらいチームでもあるのだが・・・ガスタウアーとか、モンタグーティとか、逃げに乗ったときの勢いは良いんだけどねぇ。

ラトゥールの新人賞獲得は少し可能性あるかも。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ☆☆☆

逃げ    ★☆☆

 

 

101~.アスタナ・プロチーム(AST)

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ここもAG2R同様、総合では正直どうしようもない(LLサンチェスが少し可能性あるくらいか?)ので、逃げで頑張るしかないチーム。

ただ個人的には、ミナーリの活躍に期待したいところ。さすがに勝利までは取れなくとも、ステージ上位に何度食い込めるかどうか。同じイタリア若手スプリンターのコンソーニと熾烈な争いを繰り広げてほしいところ。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★☆☆

 

 

111~.チーム・カチューシャ・アルペシン(TKA)

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昨年総合4位の新加入ハースをエースに据え、アシストとしてもゴンサルベスやマシャド、昨年新人賞のレストレポなどを揃えかなり本気で総合優勝を狙う布陣だ。

スプリントでは勝利を狙えそうな人材がいないのが残念。せめてプランカートルがいればなぁ。

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移籍して早速チームのエースを任されるハース。昨年は惜しくも逃した表彰台を今年こそは!

 

総合優勝  ★★☆

スプリント ☆☆☆

逃げ    ★☆☆

 

 

121~.エフデジ(FDJ)

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いつもはエースのアシストを担うモラビトやプライドラー、チモライなどがそれぞれのエースとして参戦。まだコンディション的にも十分ではないだろうから結果までは求めないが、うまくハマれば勝利も狙える実力者たちだ。

あとはデュシェーヌやルーの逃げに期待、かなぁ。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★☆☆

 

 

131~.モビスター・チーム(MOV)

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昨年は赤いジャージのチームが多くてこのダウンアンダーから混乱していたが、今年はこのモビスターがアスタナに寄せ過ぎてしまって紛らわしい!と感じるダウンアンダーになるかもしれない。

チームとしてはまあ、もともと本気でこのレースに臨むチームではないのでこんなところか、といったところ。スペイン期待の星ソレルがウィランガ・ヒルでどんな走りを見せてくれるかということと、昨年も逃げで目立ったズッターリンに今年も期待、といったところか。

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★☆☆

 

 

141~.クイックステップ・フロアーズ(QST)

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新チームに鞍替えしたヴィヴィアーニの早速のデビュー戦。例年この時期は南米のステージレースへの参加が多かったが、今年はキッテル親衛隊のサバティーニ、クリストフ親衛隊のモルコフを引き連れてオーストラリアへ。きっと「2位」は大量獲得してくれるはず・・・! 冗談はさておき、今年のジロに向けた調整としての意味合いも大きいとは思うので、そのコンビネーションの具合を確かめておきたい。

総合優勝狙いの選手としてはカペッキとマス。とくにマスは、調子が良ければ新人賞も狙っていけるかもしれない。

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昨年の悔しいジロ不選出からの、大逆転のシーズン後半を過ごしたヴィヴィアーニ。心機一転で更なる結果を出すことができるか。 

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★★☆

逃げ    ★☆☆

 

 

151~.チーム・ロットNLユンボ(TLJ)

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ベネットとヘーシンクで総合上位を狙うことは十分に可能だろう。とくにベネットは先日も国内選手権に参加したばかりで、そこでも4位と悪くはなかった。21歳のときにブルゴス新人賞を獲得したオリフィエもアシストとして役立つ。

このチームの特徴は逃げに積極的である点だが、メンバーの顔触れはどちらかというと北のクラシックスペシャリストたちであって、逃げスペシャリスト、といった感じではないのだが若干不安。バッタリンが第2ステージとか第4ステージでいい逃げを見せてくれるかも。

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仕上がりは悪くないはずのベネット。昨年から続く良い流れを継続していけるか?

 

総合優勝  ★★☆

スプリント ★☆☆

逃げ    ★★☆

 

 

161~.チーム・スカイ(SKY)

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サンウェブ以上に平均年齢が低い。それもそのはず、今年デビューの選手が3名*1、昨年デビューの選手が2名である。ベテラン役も比較的若めの選手で、控えめに言ってやり過ぎである。

それでも期待してしまうのは、やはり期待の若手衆が揃い踏みだからである。ベルナルは果たしてどこまでやれるのか。新人賞候補の1人である。

そして元U23世界チャンピオンのハルヴォーシュンと、元U23英国ロードチャンピオンローレス。昨年のラヴニールでも激しくやり合ったライバル同士だが、どっちがスプリントのエース獲るの?大丈夫?ゴール前で揉めない??

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世界が注目する大型新人・ラブニール覇者ベルナル。ウィランガ・ヒルで、ポートに喰らいつくなどしたら驚きである。

 

総合優勝  ★★☆

スプリント ★★☆

逃げ    ★☆☆

 

 

171~.トレック・セガフレード(TFS)

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ここも若手を比較的多めに連れてきた。ネオプロも2名。個人的に注目しているのは2年前アクセオンでカリフォルニア等で活躍したゲレイロ。昨年ダウンアンダーの難関パラコーム登りフィニッシュにて7位。ブルターニュ・クラシックでも6位を獲るなど純粋なスプリント力もあり、コンディション次第では今回のダウンアンダーをかき回す選手の1人となれるだろう。

昨年は晴れてポルトガルロード王者にもなっているので、ナショナルジャージを着用しての参戦となる。

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別府選手は初参戦? 開幕から日本人選手揃い踏みというのは嬉しい。 

 

総合優勝  ★☆☆

スプリント ★★☆

逃げ    ★☆☆

 

 

181~.チームユニサ・オーストラリア(UNA)

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毎年恒例のナショナルチーム。Unisaとは南オーストラリア大学のことで、ダウンアンダー全体のスポンサーも務めている。

ボーデンとポーター、ロー、ヴォンホフは、昨年のオーストラリア国内シリーズのチームランキング1位*2である「ベネロング・スイスウェルネス・サイクリングチーム」に所属。デンプスターとアールはイスラエルサイクリングアカデミー、ウェルスフォードは今年新設のプロサイクリングチーム「オーストラリアン・サイクリングアカデミー」に所属している選手である。

アールはチーム右京所属だった昨年も参加しており、ウィランガ・ヒルで区間6位に入るなどの好走を見せる。ヴォンホフも2015年ダウンアンダー初日ステージで驚きの勝利を見せている選手で、今年の国内選手権クリテリウムでも2位。十分活躍が期待できる。

一方、このチームの魅力は、今後の活躍が期待される若手オーストラリア選手をチェックできるという点があり、ハミルトンなども元々このチームで走って活躍していた。しかし今回のUnisaはベテラン選手の割合が大きく、若手が少な目なのが残念である・・・まあ昨年の若手は活躍できなかったしなぁ。

ボーデン、ポーター、ウェルスフォードは今のところまったくその実力を知らない選手たちではあるが、今回のダウンアンダーでどんな走りを見せてくれるのか・・・楽しみである。

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チーム右京で活躍してくれたアール。今後も注目していきたい。ジロ出場の可能性もあるかも?

 

総合優勝  ☆☆☆

スプリント ★★☆

逃げ    ★☆☆

 

 

 

19チーム、全133名。

内、オーストラリア人28名(21.1%)

イタリア人19名(14.3%)

スペイン人9名(6.8%)

 

全体の平均年齢:29.0歳

*1:正確にはベルナルは昨年プロコンチーム所属だった為ネオプロではないが。

*2:日本で言えばマトリックスパワータグ。

Caja Rural - Seguros RGA 2018年シーズンチームガイド

読み:カハルラル・セグロスエルヘアー

国籍:スペイン

略号:CJR

創設年:2010年

使用機材:DE ROSA (イタリア)

2017年ヨーロッパツアーランキング:17位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

  

 

2018年ロースター

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昨年までは、スペイン籍唯一のプロコンチネンタルチームとして、ブエルタ出場常連チームとなっていた。そして、スペイン人の有望な若手を、モビスターなどのワールドツアーチームへと供給する役割も担っていた。

2015年はオマール・フライレがブエルタ山岳賞を獲得。2016年はツアー・オブ・ターキーで区間2勝と総合優勝まで手に入れた。

しかしその立役者たちも次々とチームを離れ、2017年はたったの4勝。しかも2クラスがほとんど。ブエルタでもまったくと言ってもいいほど活躍ができず、影が薄くなった印象だ。

2018年シーズンはずば抜けて強い新加入選手がいるわけではない。それでも、チェラーノやイサードなど、外国人選手が大きな助けになりそうな予感はある。また、そういうときだからこそ、こういうチームで伸びる、思いもかけぬ才能の存在に注目していきたいところだ。

 

 

注目選手

ダニーロ・チェラーノ(イタリア、29歳)

脚質:クライマー

元々はアルバニアのコンチネンタルチーム、アモーレ&ヴィータというチームに属していたが、コッピ・エ・バルタリ山岳賞獲得、ジロ・デッラペンニーノ優勝といった実績を叩き出したことで、シーズン途中の8月に現チームへ移籍。

そして、ツアー・オブ・ターキーではクイーンステージのタルチュク山頂フィニッシュステージを終えた段階で山岳賞を獲得した。

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最終的には残念ながら2ポイント差で奪われてしまうものの、全体的に不調だった2017年シーズンのカハルラルにおいて、強力な助っ人であったことは間違いない。

2018年シーズンはさらなる山岳ステージ、ワンデーレースでの勝利を期待したい。もちろん、本人にとって初となるブエルタでの活躍というのも。 

  

ヤニス・イサード(フランス、25歳)

脚質:スプリンター

昨年末で解散してしまったエキップ・シクリスト・ドゥ・アルメー(フランス陸軍チーム)で2クラス中心とはいえ5勝を稼ぎ、チーム躍進の立役者の1人となった選手。ステージ勝利数の乏しかったカハルラルにとって、最も期待しているであろう新加入選手である。

 

セルヒオ・パルディーリャ(スペイン、34歳)

脚質:クライマー

2009年ツアー・オブ・ジャパン総合優勝者。2年だけだがモビスター在籍経験もあり、グランツール出場経験も豊富。ブエルタでは毎年、総合10位台を安定してキープしており、チーム随一のベテランとして今期も活躍が期待される。

今年は1~2クラスのステージレースでの区間勝利や総合上位を期待したいところ。

 

ネルソンアンドレス・ソト(コロンビア、24歳)

脚質:不詳

昨年はコロンビアのコンチネンタルチーム、コルデポルテス・クラロに所属。そしてブエルタ・ア・コロンビアで区間3勝とポイント賞を獲得した。

まだまだその実力は未知数だが、今後の躍進に期待が持てる選手の1人だ。

 

 

Aqua Blue Sport 2018年シーズンチームガイド

読み:アクアブルー・スポート

国籍:アイルランド

略号:ABS

創設年:2017年

使用機材:3T (イタリア)

2017年ヨーロッパツアーランキング:22位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

  

 

2018年ロースター

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2017年発足の新チーム。当時、英国ロード王者だったアダム・ブライスや、解散したばかりのIAMサイクリングなどから選手を集め、注目を集めていた。

しかも、いきなりのブエルタ出場枠の獲得。ばかりか、そこできっちりとステージ優勝。ツール・ド・スイスでも1勝しており、1年目のプロコンとしては十分な結果だったと言える。

とはいえ、勝者はたったの2人。しかも、元IAMの、ベテラン~中堅選手によるもの。若手やアイルランド人選手による勝利はなく、そこは今後に期待したいところ。

2018年はU23ヨーロッパロード王者のキャスパー・ペダースンなどが加入。アクセオンからも実力のあるアイルランド人も加わり、昨年とはまた違った活躍の仕方を楽しみにしたい。

 

 

注目選手

キャスパー・ペダースン(デンマーク、22歳)

脚質:ルーラー

昨年はコンチネンタルチームのジャイアント・カステリに所属。トラックとの兼用選手で、2017年のトラック世界選手権では団体追抜のメンバーに選ばれ、見事金メダルを獲得した。

その経験がゆえに独走力は高く、ロードにおいてもヨーロッパ選手権U23ロード部門と、ポルドノルド・デンマーク・ルント(デンマーク1周)第1ステージにて、それぞれ逃げ切りで強豪スプリンター勢を振り切っての勝利を決めている。後者のレースでは、その後の個人TTでも好走を見せ、総合成績でも3位と健闘した。

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2018年シーズンは期待の若手が大量にデビューを果たしているが、そのうちの1人であり、2018年のアクアブルーで最も期待できる選手の1人である。

 

ステファン・デニフル(オーストリア、31歳)

脚質:クライマー

言わずと知れた、ブエルタでの勝者。昨年はほかにも、地元のオーストリア1周レースでも総合優勝を果たしている。

IAM創設当初からのメンバーだったが、その頃に勝利はなし。しかし昨年の走りによって周りの見る目も変わったことだろう。今後はチームを引っ張っていくキャプテンの1人として、そして総合エース、もしくは山岳逃げ屋として、活躍していくことだろう。

 

ラリー・ワーバス(アメリカ、28歳)

脚質:クライマー

デニフルと並ぶ、2017年アクアブルーの勝利獲得者。ツール・ド・スイスの山頂フィニッシュで、カルーゾを破って勝利するという、強い走りを見せつけた。

そして、アメリカ国内選手権ロード部門でも優勝。今年はナショナルジャージを着て走ることに。

 

アダム・ブライス(イギリス、29歳)

脚質:スプリンター

ティンコフ在籍中の2016年に英国ロード王者に。期待をもって現チームに加入したものの、2017年シーズンは2位続きで結果が出せず。

ブエルタ・ア・エスパーニャでも区間3位が一度だけ。今年は大きな勝利がほしい。

 

エドワード・ダンバー(アイルランド、22歳)

脚質:ルーラー

有力選手の育成に定評があるアクセオン・ハーゲンベルマンスにて育ってきたアイルランド人。昨年は、U23ロンド・ファン・フラーンデレンで優勝。

今後、チームの中心になれるよう、今年は成長と経験の1年にしてほしい。

Androni - Sidermec - Bottecchia 2018年シーズンチームガイド

読み:アンドローニ・シデルメク・ボッテーキア

国籍:イタリア

略号:ANS

創設年:1996年

使用機材:BOTTECCHIA (イタリア)

2017年ヨーロッパツアーランキング:3位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

2018年ロースター

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ツール・ド・ラヴニール総合優勝を果たし今年スカイに移籍した期待の新人No.1、ベルナルが元々在籍していたチーム。かつて、ミケーレ・スカルポーニなども在籍し、成績を残している。

1クラスと2クラスのみだが、2017年シーズンは22勝と好調。とくに2016年から引き続き、ツアー・オブ・チャイナでの大量勝利が目立った。

今年はジロのワイルドカード獲得なるか?

 

 

注目選手

ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、24歳)

脚質:ルーラー

昨年のティレーノ~アドリアティコで、第2ステージでの逃げにより山岳賞ジャージを獲得。第4ステージでも逃げたが、その日の勝者キンタナに一度は奪われる。が、ITTを翌日に残した実質的な最終ステージで再度逃げに乗った結果、見事、山岳賞ジャージを自らのものにした。

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とはいえ、クライマーとしての実績はさほど多くなく、むしろスプリンターと定義してしまった方が適切かもしれない。

昨年のツアー・オブ・ターキーでは3度、スプリントステージでTOP10入りを果たしている。

 

ファウスト・マズナーダ(イタリア、25歳)

脚質:クライマー

ネオプロの昨年、ツアー・オブ・ターキーのクイーンステージで区間4位。そのままの勢いで総合3位となった。今後期待の若手の1人だ。 

 

ケビン・リベラ(コスタリカ、20歳)

脚質:不詳

珍しいコスタリカ人ライダー。わずか19歳で挑んだ昨年のツアー・オブ・チャイナⅠの開幕ステージで逃げ切り勝利。そのまま総合優勝を決めた、底知れぬ男。

アマドールに続く母国の英雄となれるか?

 

フランチェスコ・ガヴァッジ(イタリア、34歳)

脚質:パンチャー

20代後半の時期にランプレ、アスタナとワールドツアーチームに在籍していた。グランツール出場経験も豊富で、バスク1周やブエルタでの勝利経験もある、チーム随一のベテランである。現チームは今年で3年目。

2017年ツアー・オブ・ターキー総合7位。

 

ロドルフォアンドレス・トーレス(コロンビア、31歳)

脚質:クライマー

ワールドツアーチーム所属経験はないが、2014年・2015年はチーム・コロンビアに所属し、ブエルタやジロにも出場している。2015年ブエルタで、フランク・シュレクと逃げて惜しくも区間2位となったのは記憶に新しい。

ブエルタ・サンフアンは昨年総合3位。似たレースであるツール・ド・サンルイスでも総合2位の経験有。今年もエースとして狙っていく。

 

 

2018年シーズン主要出場予定レース(1/7時点)

1/21~ ブエルタ・サンフアン(アメリカツアー2.2)

出場予定選手

1.ロドルフォアンドレス・トーレス

2.マヌエル・ベレッティ

3.マルコ・フラッポルティ

4.フランチェスコ・ガヴァッジ

5.ファウスト・マズナーダ

6.アンドレア・ヴェンドラーメ

 

トーレスで総合優勝を狙い、5つあるスプリントステージではベレッティをエースに立てるか? マズナーダの躍進にも期待。

結果が出たらまたここに追記する(予定)。