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Quick-Step Floors 2018年シーズンチームガイド

読み:クイックステップ・フロアーズ

国籍:ベルギー

略号:QST

創設年:2003年

使用機材:Specialized (アメリカ)

2017年UCIチームランキング:2位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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キッテル、トレンティン、ダニエル・マーティン、デラクルス、ブランビッラ・・・ベテランの強豪選手らが次々と移籍。ボーネンも引退。年間50勝を連続で獲得してきたチームにとって、危機が訪れている。その理由は財政難か? いや、それだけではあるまい。チームはこの大量実力者移籍に応える形で、若手の選手を他チームよりも多めに加入させた。

2017年シーズンは研修生として加入しており、ラヴニールで1勝しているコロンビア人スプリンター、アルバロホセ・オデグ(22歳)。U23オランダロード王者で同じくラブニール1勝しているファビオ・ヤコブセン(22歳)。元チーム・ウィギンスで、U23リエージュ2位、ラヴニールでも山頂ゴールで区間2位・総合8位などクライマーとしての素質を見せているジェイムス・ノックス(23歳)。元アクセオンでコロラド・クラシック新人賞、エクアドル国内選手権ロード王者となったジョナタン・ナルバエス(21歳)――。

実に4名ものネオプロを加え、一気に若返ったクイックステップは、目先の勝利以上のものを目指すこととなる。2017年ブエルタコンタドールを助け、スペインの未来のエース候補とまで名指しされたエンリク・マスの存在も、その一端となるだろう。

また、チームに残ったベテランもまだまだ強い選手が残っている。2017年フラーンデレン・アムステルゴールドレース優勝のジルベールはもちろん、2014年ルーベ覇者・2015年フラーンデレン2位のテルプストラ、2015年・2017年ルーベ2位のスティバールなど、北のクラシック&アルデンヌ・クラシックでの戦績は2018年も期待ができるだろう。いつもは「数の有利(笑)」と言われ続けてきたクイックステップも、このジルベールやテルプストラが中心となって巧みなチームワークを見せられるようにもなってきた。

ベテランが導き、若手が成長する。そんな、理想的な体制を作り上げつつあるのが、このクイックステップというチームなのかもしれない。来年は50勝は維持できないかもしれないが、それでも構わない。それでも現代ロードレース界における最重要チームの1つであることは間違いないだろう。

 

 

 

注目選手

フィリップ・ジルベール(ベルギー、36歳)

脚質:パンチャー

アムステルゴールドレース4勝

ジロ・デ・ロンバルディア2勝

リエージュ~バストーニュ~リエージュ1勝

ロンド・ファン・フラーンデレン1勝

2012年世界選手権ロードレース優勝

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主にアルデンヌ系クラシックにおいて輝かしい成績を残してきたベテランライダー。2017年シーズンはここに、「クラシックの王様」ロンド・ファン・フラーンデレンという更なる高みを捧げることとなる。アムステルも4勝目。かつては「黄金のタレ」とも呼ばれ揶揄されてきたこともあったが、その全てを黙らせるような素晴らしい戦果であった。

ある意味頂点に君臨することとなったジルベールが、2018年シーズンに担うべき役割はずばり、「後輩の育成」ではないだろうか。気が付けばチーム最年長に躍り出ており、若手が大量に加入する来シーズンは、自らの勝利以上に、今年のドワルスドール・フラーンデレンで見せたようなチームメートへのアシストを中心に担うことになるのではなかろうか。

そんなジルベールが唯一、本気で目指すとすれば、それはオーストリアで開かれる世界選手権。この栄誉も一度手に入れているとはいえ、「世界チャンピオンを2度以上獲得した男」というのはまだそんなに多いわけではない(過去11人)。既に伝説級の選手として名を刻まれているジルベールが、更なる伝説を目指すとしたらこの世界選手権となるだろう。

もちろん、フラーンデレン2勝というのも、なかなかに得難い果実である。

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2017年のジルベールの勢いを象徴する、アムステル4勝目。同じ元世界チャンピオンのクフャトコフスキを圧倒した。

 

 

フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、24歳)

脚質:スプリンター

 

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研修生だった2015年のツアー・オブ・ブリテンで勝利を飾り、一躍その名を轟かせた若き天才。2016年は同年代の天才たるユワンを下し、ミラノ~サンレモでも終盤で落車したものの可能性を感じさせる走りを見せつけた。

が、グランツールへの出場は回避。シーズン終盤でパリ~トゥールに勝利して再びその名を輝かせたが、それでもまだ、トップスプリンターの仲間入りを果たすのは数年後、くらいに思っていた。

しかし2017年シーズン。まさかのジロ4勝&ポイント賞。トップスプリンターの仲間入りどころではない。現役最強スプリンター候補の一角にすら立ってしまった。もう彼は「期待の新人」ではなく、キッテル・サガンカヴェンディッシュグライペルと並ぶ存在となったのだ。

何より、ジロで見せた、山岳ステージすら余裕をもってこなしてしまう登坂力が驚異的だった。タイプとしてはサガンやマシューズに近いものがある。それはすなわち、ジロだけでなく、ツールやブエルタでも十分にポイント賞を狙える、ということを意味する。

2018年シーズンはツールに出場するのか否か? おそらくは、するだろう。そのためのキッテル放出だったのではないかと勘繰るほどだ。そして、ツールに出場した彼は、誰も侵すことのできなかったサガンの領域すらも、脅かすかもしれない。

そして彼にとって最大の目標の1つであるミラノ~サンレモの行方も気になる。2018年シーズンも見逃せない男だ。

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ジロに続きグアンジーでも4勝。もはや貫禄すら感じさせる余裕のポーズである。

 

 

ジュリアン・アラフィリップ(フランス、26歳)

脚質:オールラウンダー

2015年リエージュ~バストーニュ~リエージュ2位

2015年・2016年フレッシュ・ワロンヌ2位

2017年イル・ロンバルディア2位

2016年ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝 

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2016年のツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝に続き、2017年シーズンはアブダビ・ツアーとパリ~ニースで新人賞と総合5位。ツアー・オブ・グアンジーで新人賞と総合4位だ。

しかし春先の怪我が原因で、予定していた通りのグランツールでの活躍は果たされず。最後のブエルタでなんとかステージ1勝を叩き出せただけで、総合争いにはまったく入り込めなかった。まあそれはそれで良いのだけれど、せっかく2018年はダニエル・マーティンも去り、総合争いのライバルも少なくなるため、経験も兼ねて総合争いにも積極的になってほしいところ。

そして、ひたすら2位続きのアルデンヌ系クラシックでの活躍を。とくにフレッシュ・ワロンヌ。ちなみに脚質的にはクフャトコフスキに近いところもありそうなので、アムステルゴールドレースなんかもイケるとは思うんだけどなぁ。

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2度目のグランツールとなるブエルタで、ついにグランツール初勝利。昨年のツールでは悔しい思いを 繰り返していただけに、この勝利はまさに歓喜の瞬間だったようだ。

 

 

エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、29歳)

脚質:スプリンター

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失われたキッテルの代わりをガヴィリアが務めるとしたら、その代わりをこのイタリアンライダーが担うことになるのだろうか。

リオオリンピックに向けてトラック競技に集中したかったこともあり、2016年シーズンはあまり目立たず。2017年シーズンもジロのメンバーから外されるなど不遇の時を過ごしたが、シーズン後半より怒涛の勝ち星連打。良い状態のまま移籍を決めることができた。

ガヴィリアがツールを狙う分、念願のジロのエースを任されることは十分ありそうだ。総合に集中するチームでもないので、その点でもやりやすい。ユンゲルスがゴール前10kmの牽引役を担ってくれれば勝率もさらに上がる。ヴィヴィアーニにとって、2018年は栄光のシーズンとなりそうな予感がする。

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長い暗黒時代を打ち破るきっかけとなった、ユーロアイズ・サイクラシックスハンブルクでの勝利。このあとの2週間で、4つのレースで5勝することに。

 

 

 

その他注目選手

ニキ・テルプストラ(オランダ、34歳)

脚質:ルーラー

ヘント~ウェヴェルヘムではサガンに「意味不明」とまで罵られたテルプストラ。とは言え、普通に戦ったら勝たれてしまうサガンを封じる動きという意味では巧みな戦術であった。そんな戦術センスはパリ~トゥールで十分に発揮され、チームを去る直前のトレンティンに勝利をもたらした。レース巧者のベテラン。

ボーネン、トレンティンが去る2018年シーズンは、スティバールと並んで北のクラシックのエースを担うこととなる。ルーベは最近調子の良いスティバールに譲り、自らは2位止まりで終わっているフラーンデレンを狙うか? この2つの大レースをクイックステップが共に勝ち取ったとしたら、それはとても輝かしいことである。

キッテルやトレンティンが抜けてもクイックステップは強いのだ、ということを証明しうる選手の1人。頑張れ!

 

ズィネク・スティバール(ベルギー、33歳)

脚質:ルーラー

北のクラシックにおける名誉シルバーコレクターと言えばキャノンデールのセップ・ファンマルケがすぐに頭に浮かぶだろうが、ことパリ~ルーベに限って言えば、このスティバールこそが真のシルバーコレクターである。

2015年・2017年のパリ~ルーベで共に2位。前者はデゲンコルブ、後者はファンアフェルマートにスプリントで敗れている。さらに言えば2014年も5位。このときはチームメートのテルプストラが勝っているのでまだいいが、2013年は共に終盤まで残っていたチームメートのファンデンベルフと合わせて観客との接触で失速。最終的に6位に終わる。

ボーネンが引退し、テルプストラと並んでエースとしてルーベに臨むことができる2018年シーズン。スプリント力を何としてでも強化し、いよいよ勝利を狙っていきたい。

 

イフス・ランパールト(ベルギー、27歳)

脚質:ルーラー

2017年のドワルスドール・フラーンデレンでは、フィリップ・ジルベールとの共闘の果てにワールドツアー初勝利を果たす。その後、国内選手権ITT部門で優勝。さらにブエルタ・ア・エスパーニャでは、平坦ゴールとなった第2ステージで残り1kmから飛び出し、後続集団を牽制するチームメートの力もあって、見事逃げ切り勝利を果たした。

ほか、パリ~トゥールでも7位、さらに昨年の世界選手権ITTでも7位など、独走力もスプリント力もあり北のクラシックへの適性も持つ、平坦スペシャリスト。バウアーやヴェルモトを失ったクイックステップにとって、その穴を埋める可能性を持つ選手筆頭となるだろう。トレンティンの代わりにもなりうるかもしれない。

 

ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、26歳)

脚質:TTスペシャリスト

「90年世代」のデュムランが、その独走力と登坂力でフルームに対抗しうる最有力選手にのし上がりつつある中、その「次の世代」において最も彼に近い脚質を持つのがこのユンゲルスである。2017年はジロ・ディタリアで、アダム・イェーツを下して2年連続の新人賞を獲得。TTの距離が長かったというのもあるが、それでもアダムよりも上位でゴールできたというのは、彼にとっても非常に大きな結果であった。2018年もさらなる成果を目指してほしい。2~3年後には、総合表彰台を狙う選手になるために。

もう1つ、彼に託されたのはチームのエーススプリンターたちに対する献身的なアシストだ。かつてはトニー・マルティンが担っていたその役割、すなわちゴール前10kmからの強力牽引で、あわよくば逃げ切りを狙おうとする選手たちを飲み込む役回りである。ユンゲルスがそこまで働いた後、あとは最強のスプリンター陣が勝利を確実にモノにする。

 

エンリク・マス(スペイン、23歳)

脚質:クライマー

ブエルタ第20ステージでコンタドールを助け、「未来のスペイン人エース候補」と名指しされた男。実際、プロデビュー初年度でありながらブエルタ・ア・ブルゴスで総合2位となるなど、実力は十分。

スペインは本当に若手の実力者不足に陥っているので、じっくりと育っていってほしい。

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2018年ツール 出場メンバー案

1.フェルナンド・ガヴィリア(エーススプリンター)

2.ジュリアン・アラフィリップ(総合エース兼アタッカー)

3.フィリップ・ジルベール(アタッカー)

4.ボブ・ユンゲルス(TTT要員&平坦山岳牽引役)

5.イフス・ランパールト(平坦牽引役)

6.ダヴィデ・マルティネッリ(発射台)

7.アリエルマキシミリアーノ・リチェセ(発射台)

8.ニキ・テルプストラ(石畳要員&平坦牽引役)

 

ガヴィリアをキッテルに代わるエースに据えて、発射台役としてリチェセとマルティネッリを選択。これは2017年シーズンにガヴィリアが4勝した2つのレースでの発射台だからであり、別にサバティーニを入れても良い。

マーティンの代わりの総合エースとしてアラフィリップを選択。総合が厳しくなったらアタッカーとして機能しうるだろう。ユンゲルスは基本、アラフィリップのアシストを担いつつ、状況次第で彼自身がエースとなる。だがいずれにせよ、マーティン時代同様に、アシストには恵まれない状況は続くだろう。総合争いへの比重は低くならざるをえない。

総合でもスプリントでもないアプローチに向けた一手としてジルベールを選択。スティバールというのも良い。

そして2017年シーズンに活躍したヴェルモトとバウアーに代わって、ランパールトを配置する。スプリント争いに持ち込むまでの平坦ロング牽引を一手に担ってもらおう。そしてラスト10kmからは、ユンゲルスの出番だ。

 

 

 

総括

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たとえ主力が失われたとしても、銀河系軍団は銀河系軍団のままだった。スプリントでもクラシックでも、相変わらず活躍するクイックステップを見続けることはできるだろう。総合争いに関しても、グランツールの総合表彰台は難しいかもしれないが、アラフィリップとユンゲルスを中心に良い走りはするはずだし、短いステージレースならばマスやノックスの走りに期待することもできるだろう。

見ていて楽しいチーム。応援したくなるチーム。それがクイックステップであり、2018年シーズンもそこは変わりそうにない。

 

 

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ORICA-Scott 2018年シーズンチームガイド

読み:オリカ・スコット

国籍:オーストラリア

略号:ORS

創設年:2011年

使用機材:Scott (スイス)

2017年UCIチームランキング:7位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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チームタイムトライアルで3本の指に入るチームだけあって、独走力の高い選手を揃えている。タイムトライアルだけでなく平坦での牽引にも貢献しており、今年のジロのタフトの牽引は凄まじかった。

近年はチャベスを中心にクライマーを強化。今年新加入したクロイツィゲルグランツールでは期待通りの活躍はしなかったものの、オーストリアで開かれたプロ・エッツタール5500で勝利するなど実力は示した。来年新加入のニエベは山岳アシストとしては超一流。来年こそ本気でグランツールを獲りにいくようだ。

そしてもちろん、ユワンを中心としたスプリントも目標の1つ。クルーゲ、メスゲッツといった強力な発射台に加え、来年はブエルタで4勝したトレンティンが加わる。グランツールでの勝利数をどこまで伸ばせるか。

 

 

 

注目選手

ヨハンエステバン・チャベス(コロンビア、28歳)

脚質:クライマー

2016年ジロ・ディタリア総合2位

2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位

2016年イル・ロンバルディア優勝

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2015年ブエルタにて、第2ステージの山頂ゴールでいきなりの勝利。マイヨ・ロホ、山岳賞、ポイント賞、そして複合賞全てのジャージを獲得。その後も第6ステージで再び勝利し、最終的にも総合5位と実力を見せつけたコロンビア人。さらに翌年、ジロとブエルタ両方で総合表彰台に立つなど、一躍キンタナに匹敵する存在として注目を浴びた。

しかし、ついにツールに挑戦と期待された2017年シーズンは、精神面と肉体面の両方の不調に悩まされ、失墜。悔しい1年となった。

だが、実力が十分に発揮できれば、すぐにでもツール表彰台に立てるだけの素質はあると感じている。だから来年も、懲りずにツールを狙ってほしい。ニエベの補強を見てもわかるように、チームとしても彼に期待する部分は大きいはずだ。

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今年のブエルタは前半までは良い走りをすることができていたチャベス。だが最後には失速し、総合11位で終えた。

 

 

ケレブ・ユワン(オーストラリア、24歳)

脚質:スプリンター

 

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今年はダウンアンダーで4勝。クリテリウム含めれば5勝。だがそれだけなら、いつもの「オーストラリアだけで強い選手」というイメージで終わった。

しかし今年はそれ以外でも十分に強かった。アブダビ・ツアーでは、逸り過ぎてのガッツポーズによって勝利を逃したものの、雨の中のリベンジスプリントでキッテルやカヴェンディッシュを下した。ジロでは1勝しかできなかったものの、その後のツアー・オブ・ブリテンでは、ガヴィリアを含むライバルたちを圧倒し、3勝を叩き出した。

ジロ4勝とポイント賞を獲得したガヴィリアに比べると、まだまだ一段劣る結果のようにも思える。が、まだ来年で24歳。焦る必要はない。サガンのような走りを得意とするガヴィリアに対し、強力なリードアウトの力を借りながらピュアスプリントにおいて絶対の強さを目指すのもいい。その意味で、ジロやブエルタよりも、ツールでこそ、彼の走りには合っているのかもしれない。

だから、来年はぜひ、ツールにチャレンジしてほしい。キッテルやサガンカヴェンディッシュといった一流スプリンターたちと、最高の舞台でどこまで張り合えるか、ぜひ見てみたい。

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今年のダウンアンダーで圧倒的な力を見せつけたユワン。来年はグランツールで、その実力を示してもらいたい。

 

 

マッテオ・トレンティン(イタリア、29歳)

脚質:スプリンター

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ブエルタで頭一つ飛び抜けた力を見せつけて4勝を記録した。これにてクイックステップ・フロアーズは、ジロ・ツール・ブエルタそれぞれで、別のスプリンターによって4勝以上ずつを記録したことになる。

本来、ピュアスプリントというよりも、混沌とした状況の中でのマッチスプリントが得意、というタイプだった。2015年・2017年と勝利したパリ~トゥールはいずれも終盤で抜け出した小集団でのスプリント勝利。ピュアスプリントでは心もとない部分があるため、ツールなどでは基本的に、ユワンの発射台の役目を果たすことになるだろうとは思っている。

が、本人もイタリア人ということもあって、これまでは果たせなかったジロ・ディタリアでのエーススプリンターというのも望んでいるかもしれない。ユワンはツールと、場合によってはカリフォルニアに集中し、ジロはトレンティンで・・・というのも、今年の勢いがあれば可能かもしれない。

クールネ~ブリュッセル~クールネやオンループ・ヘット・ニウスブラッドなど混戦になりやすい北のクラシックでの勝利も期待したいところ。

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マドリードでも期待された通りの勝利を成し遂げた。残念ながらポイント賞ジャージは持ち帰ることはできなかったが、キャリア最大の結果を出せたのは間違いないだろう。

 

 

 

その他注目選手 

スヴェイン・タフト(カナダ、41歳)

脚質:TTスペシャリスト

カナダ国内選手権ITT部門でも4勝、一度は世界選手権ITTでも2位にまで登りつめた。オリカのチームTTの強さの一翼を担う人物でもあり、彼の誕生日と重なった2014年のジロ初日TTTでは先頭でゴールし、マリア・ローザ着用の権利を頂いた。チームの中の良さを象徴する出来事だ。

そんな彼も来年で41歳。プロトンの中でも最年長選手筆頭だろう。それなのに今年のジロではひたすら牽引し続ける姿が映し出され、来年もまだまだ、チームにとってはなくてはならない存在であり続けてくれるはずだ。

 

ミケル・ニエベ(スペイン、34歳)

脚質:TTスペシャリスト

エウスカルテル・エウスカディ。2014年からチーム・スカイに所属し、フルームの出場するグランツールのほとんど全てに出場し、強力にアシストし続けた。だが昨年のジロで山岳賞を獲るなど、少しずつ自立の気持ちが芽生えてきたか。ブエルタでは最高で総合8位。来年は、チャベスやイェーツ兄弟のアシストを担いつつ、ジロかブエルタでエースを望む可能性もありうる。

とはいえ基本は山岳アシスト。クロイツィゲルと共に、チャベスのツール総合表彰台を支える姿を見せてほしい。

 

ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、22歳)

脚質:TTスペシャリスト

今年はオリカ・スコットの育成チームであるミッチェルトン・スコットに所属。オセアニア大陸選手権で優勝し、U23リエージュ~バストーニュ~リエージュで3位、そしてU23版ジロ・ディタリアで総合2位、ラヴニールで総合4位など、有望な若手としての登竜門をしっかりと登ってのワールドツアー昇格である。

若手を育成する術に長けているオリカだけに、2~3年後の活躍が今から楽しみだ。まずは来年、上位クラスのレースでどこまでの走りを見せられるか。

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2018年ツール 出場メンバー案

1.ヨハンエステバン・チャベス(総合エース)

2.カレブ・ユワン(エーススプリンター)

3.マシュー・ヘイマン(石畳要員&平坦アシスト)

4.クリストファー・ユールイェンセン(平坦山岳アシスト&石畳要員)

5.ロジャー・クルーゲ(発射台)

6.ロマン・クロイツィゲル(山岳アシスト)

7.ミケル・ニエベ(山岳アシスト)

8.マッテオ・トレンティン(発射台)

 

チャベスとユワンの2大エース体制を予想・・・イェーツ兄弟は、まずはジロとブエルタで成績を出そう、てな具合に・・・(新人賞期間は終わったしね)。

石畳もあり平坦アシストの存在は重要だが、上に挙げたヘイマン・ユールイェンセン以外の候補としてタフト、バウアー、ダーブリッジ、ヘイグなどの候補は大量にいる。その中でも石畳適性と山岳でも牽引できる、という特性を考えると上記2名にしたが、もちろんその部分は状況次第だろう。

発射台に関しても、実績からメスゲッツではなくクルーゲを選択。ただここも、平坦アシストと山岳アシストをある程度兼用できる選手が優先されるかもしれない。トレンティンは問題ないが、それ以外の候補としてはインピーやアルバジーニなどがいる。

 

 

 

総評

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選手の放出がありながらも、バウアーの加入もあり、チームTTに関しては引き続き強力。グランツールも更なる強化があり、期待はできるだろう。

ただし、サイモン・ゲランスの放出もあり、アルデンヌ・クラシックで飛び抜けた選手は想像しづらい。クロイツィゲルの頑張り次第か。北のクラシックもクークレールの放出は手痛いところ。ユールイェンセンが頑張れるか?

 

 

 

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Movistar Team 2018年シーズンチームガイド

読み:モビスター・チーム

国籍:スペイン

略号:MOV

創設年:1980年

使用機材:Canyon (ドイツ)

2017年UCIチームランキング:6位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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やはりこのチームらしく、他チームと比べるとクライマーの割合が非常に大きい。また特徴として、ベテラン勢の数が少なく、平均年齢が低いことも挙げられる。スペイン人選手のベテラン層自体は多いが、他チームに在籍していることが多く、モビスター自体はスペイン人の若手を積極的に育成していこう、という意志を感じられる。

その中で、バルベルデベンナーティの年齢の突出ぶりがわかりやすい。とくにバルベルデは年齢を感じさせない活躍を見せており、この年齢でチームのトップエースを張れるのはほかにない特徴だ。

エクアドルコスタリカなど、中南米スペイン語圏の選手が在籍していることも特徴。

来年は何といってもミケル・ランダの加入が注目を浴びている。キンタナ、バルベルデ、ランダのトリプルエース体制でどのような形でグランツールに挑むのか。

ラファエル・バルスも今年ダウンアンダー総合7位など地味な活躍を見せており、来年も期待したい選手の1人だ。

 

 

 

注目選手

ナイロ・キンタナ(コロンビア、28歳)

脚質:クライマー

2014年ジロ・ディタリア総合優勝

2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝

2013年・2015年ツール・ド・フランス総合2位

 

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20歳のときにツール・ド・ラヴニールを総合優勝し、23歳のときにツール・ド・フランスで総合2位にまで登りつめた天才。翌年にはジロを制し、昨年はブエルタも制した。

だが、早熟の天才は得てして、そのキャリア中盤に伸び悩む。2016年ツールでは体調不良、今年はジロとの連戦?準備不足?で結果を出せず。

2度目のジロ制覇も確実視されていたが、新たな才能デュムランの想像以上の走りに阻まれ、今年は控えめに言っても散々なシーズンとなった。

キンタナに再興の可能性はあるか? 当然、それはあるだろう。問題はその時期だが、それは2018年だとも思っている。贅沢を言えば2015年のように、個人TTが極端に短い年を狙いたい。だがそれでも2018年のツールは、ラルプデュエズがあったり、超短距離山岳ステージがあったりと、対フルームにおいてキンタナがチャンスを掴んだタイプのコースに富んでいる。これは大きなチャンスかもしれない。

もちろん、石畳などの不安も残るが、ベンナーティやエルビーティの存在、昨年は初日で失われたバルベルデの助力、そして新戦力ランダがいることで、これまで以上の力をキンタナは発揮できる可能性がある。そして何より、今年はフルームがジロに出場することが決まっている。これほどのチャンスはほかにない。

これが実現すれば、非ヨーロッパで初となる3大グランツール制覇者である。来年は28歳。自転車選手が最もピークを迎える時期といっても過言ではない年。この年に、早熟の天才キンタナは、花を開かせることができるのだろうか。

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2017年は辛いシーズンに終わった。それでも、彼は新たなシーズンに向けて、強い希望を持って臨んでくれるはずだ。

 

 

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、38歳)

脚質:オールラウンダー

フレッシュ・ワロンヌ5勝(2006年、2014年~2017年)

リエージュ~バストーニュ~リエージュ4勝(2006年、2008年、2015年、2017年)

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝(2009年)

プロ通算94勝*1

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2017年は2月~4月のステージレース、クラシックで異様なほどに勝ちまくった。勝利数はスプリンターに匹敵する年間11勝。だが、肝心のツールではまさかの初日リタイア。ブエルタにも出場できず、落差の大きいシーズンとなった。

だが、2018年にキンタナが本気でツール制覇を目指すのであれば、このバルベルデの助力は欠くことができない。もちろんバルベルデも、自身のクラシックへの更なる野望や、2度目のジロ挑戦もありうるかもしれない。それでも、若きエースの栄光の為に、その力を注いであげてほしい、とも思う。

2015年ツール第20ステージでのキンタナとのコンビネーションは完璧だった。そして、2016年ブエルタでキンタナが総合優勝するきっかけとなった第15ステージでの、フルームらの残るメイン集団での働きなど・・・アシストとして働いたときのバルベルデは本当に頼りがいのある男となるのだ。

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一方で彼もまた、遠くない将来に「引退」の瞬間を迎えることになるだろう。そうなったとき、彼が最後に選ぶレースは一体何になるのだろうか。

 

 

ミケル・ランダ(スペイン、29歳)

脚質:クライマー

2015年ジロ・ディタリア総合3位

2017年ツール・ド・フランス総合4位

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この男が最初に脚光を浴びたのは、2015年のジロ・ディタリア第5ステージだったように思う。残り5.5kmでアタックを仕掛けたコンタドールについて行けたのは、リッチー・ポートとアル、そしてこのランダだけだった。

のちにランダはこのジロでステージ2勝を挙げた。第20ステージでも逃げに乗り、エースのアル以上の順位でフィニッシュを迎えることもできる状態だった。それでも、最後はチームのオーダーに従う走りを見せ、自らの勝利の可能性を捨て、アルのために最後まで尽くした。同年のブエルタもまた、アルと共に出場し、ステージ1勝を挙げたうえでアルの総合優勝を支えた。

アシストとしては最強の男。だがエースとして走ることを強く望んだ彼は、2年間過ごしたアスタナを去り、チーム・スカイへの移籍を決めた。

移籍の条件とも言うべきグランツールでのエース――その約束は直ちに、2016年のジロで果たされた。しかしこのときは体調不良に罹り、2週目の冒頭にはもうイタリアを去っていた。翌年、すなわち今年のジロは、ゲラント・トーマスとのダブルエース体制。トーマスをリタイアに追い込んだ大落車に自らも巻き込まれ、総合争いからは完全に脱落してしまった。なんとかステージ勝利と山岳賞は得られたものの、満足のいくレースとはならなかった。

そしてツールでは、フルームに匹敵するが如き実力を見せつけた。だがやはり、フルームのいるスカイではアシスト止まり。だから彼は再び新天地を求めた。今度は母国スペインのチーム、モビスター。

この選択が正しいのかどうかはわからない。キンタナにバルベルデといった長く在籍する強力なエースのいるチーム。果たしてどんな走りを見せてくれるのか。

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実力は申し分ない。だが、ステージレースでの総合優勝やクラシックでの勝利では満足しないだろう。彼が目指すのはあくまでもグランツールの表彰台、できればその頂上。果たしてこのモビスターでその夢に近づけるのだろうか。

 

 

 

その他注目選手 

ホセホアキンロハス(スペイン、33歳)

脚質:スプリンター

ケース・デパーニュ時代から在籍し、来年で12年目となる。モビスター一筋の男。スプリンターとは言うものの、集団スプリントで上位5名に入るような走りはあまり見せず、むしろ平坦牽引役などのルーラー的な役回りが多い。とくに今年出場したジロとブエルタでは、いずれも山岳逃げだったり前待ちだったりと、平坦に限らない走りも見せられる非常に有能なベテラン。キンタナ、バルベルデ、ランダそれぞれのグランツールにおける活躍には無くてはならない存在と言えるだろう。

とはいえ、やはり彼自身の勝利も、見てみたい。今年はアムステルゴールドレースで5位。アムステルはバルベルデにとってもあまり狙っていかないレースなので、JJロハスにはぜひチャンスを掴んでほしいところ。

 

アンドレイ・アマドール(コスタリカ、32歳)

脚質:オールラウンダー

2015年ジロ総合4位。2016年ジロ総合8位。マリア・ローザ着用経験もアリ、それがゆえに母国でお痛をしたことが昨年のチクリッシモ選手名鑑にも載っており、有名な話となっている。

当然それだけ実力のある選手のため、キンタナらのアシストを任せると非常に有能。2016年ジロのバルベルデ、そして2017年ジロのキンタナを支えた。

だが今年のツールはイマイチな結果に終わった。ジロからの連戦とはいえ、同条件でより活躍していた選手もいた。

また、本人の勝利は2012年以来なく、その勝利がプロ生活で唯一の勝利である。現在の契約は来年いっぱい。その次の年に移籍する可能性も、十分ありうる選手かもしれない。

 

ウィネル・アナコナ(コロンビア、30歳)

脚質:クライマー

アマドール:ジロは良かったがツールではまったく活躍できず。 バルベルデ:今年はツールで初日リタイア。 ランダ:読めない。  ということで、最も安定し、キンタナにとって一番頼りになるアシストがこのアナコナである。2013年・2015年ツール総合2位も、2014年ジロ総合優勝も、このアナコナの働きによるところが大きい。今年の秋のイタリアンクラシックでも、アマドールがさっさと脱落する中で長時間牽引するなど、相変わらずの働きっぷりを見せつけていた。最強の右腕。フルームにとってのプールスのような存在である。

となれば、プールスのようにアルデンヌでの勝利なども期待したいどころだが、実際にはバルベルデもいるし、まあ、難しいだろうなぁ。 

 

カルロス・ベタンクール(コロンビア、29歳)

脚質:パンチャー

かつて、突然の里帰り戻ってこない事件や太りすぎ事件などを引き起こした人物とは思えない。昨年あたりから再び調子を取り戻してきて、今年のフレッシュ・ワロンヌではエースのバルベルデのために、逃げを次から次へとアタックして潰す献身的な働きを見せた。そしてハンマークライムでの力強い走りと、そしてツール・ド・フランスではアマドール以上に役立つ山岳アシスト力を見せつけた。

来年もアルデンヌ系クラシックとグランツールでの山岳アシストに期待。もう子豚ちゃんとは言わせない。(でもなんでいつも不安そうな顔してるの?)

 

ヤッシャ・ズッターリン(ドイツ、26歳)

脚質:TTスペシャリスト

シーズン冒頭のダウンアンダーで単独逃げを敢行しており、おやっと注目し始めた選手だったが、今年は国内選手権ITTでマルティンに次ぐ2位、ツールのITTでも悪くない走りを見せるなど、少しずつ才能を見せつけつつある。

モビスターには珍しいドイツ人、ということも注目した理由ではあるが、この辺りは自転車メーカーとの絡みもあるのだろう。色白だが堀が深くイケメン。

 

マルク・ソレル(スペイン、25歳)

脚質:クライマー

2年前のラヴニール覇者。今年はパリ~ニースでコンタドールと逃げたのち、カタルーニャ1周では新人賞も獲得した。初のグランツールとなったブエルタでも積極的な走りを度々見せながら完走するなど、十分なシーズンを過ごせたと言える。

来年は新人賞期間最後の年。何かしら大きな結果を期待したいところ。国内選手権ITT部門でも4位となるなど、独走力も決して低くない。

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カタルーニャ1周終盤で、新人賞ジャージを着ながら、コンタドールバルベルデ、フルームといった強豪たちを牽引して走る。この経験をもとに、来年爆発することが楽しみな選手の1人である。

 

 

 

2018年ツール 出場メンバー案

1.ナイロ・キンタナ(総合エース)

2.アンドレイ・アマドール(山岳アシスト)

3.ウィネル・アナコナ(山岳アシスト)

4.ダニエル・ベンナーティ(平坦アシスト)

5.イマノル・エルビーティ(平坦アシスト&石畳要員)

6.ミケル・ランダ(山岳アシスト)

7.ホセホアキンロハス(平坦山岳アシスト)

8. アレハンドロ・バルベルデ(山岳アシスト)

 

山岳アシストの豪華ぶりはスカイすら凌ぐ可能性があるレベル。その分平坦アシストの層が薄くなると不安ではあるが。また、チームTTも決して短い距離ではないので、山岳アシストもこなせるオリヴェイラ辺りを連れてくる可能性は十分にあるだろう。

どんなに豪華な面子を揃えても、機能しない結果に終わるのもモビスターでは良くあること。メンバー選定は細心の注意が必要となるだろう。

 

 

 

総評

 

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まあ、北のクラシックは絶望的。エルビーティ1人が頑張ってどうにかなるとは思えないし。強力なクライマーたちが揃っているので、グランツールでは絶対に結果を残したい。今年のバルベルデはモビスター全勝利数の半分近くを賄っているので、彼が今年ほどの結果を出せなくとも勝利数を稼げるように、各種ステージレースも含めた区間勝利の数を増やせるようなレースの仕方が課題となるかもしれない。

バルスやロソン、セプルヴェダといった新加入メンバーはその辺りの小回りの利いた走り方を十分にできる選手たちだ。低クラスでも構わないので勝利を稼げるか。

 

 

 

その他のチーム

AG2R La Mondiale 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

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FDJ 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Lotto Soudal 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

*1:PCSでは94勝の表記。ただし100勝達成の記事もあり。要検証。

Lotto Soudal 2018年シーズンチームガイド

読み:ロット・スーダル

国籍:ベルギー

略号:LTS

創設年:1985年

使用機材:Ridley (ベルギー)

2017年UCIチームランキング:13位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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現存するチームの中でもとくに歴史の長いチーム。かつてはヨハン・ムセウやロビー・マキュアンフィリップ・ジルベールなどが在籍していた。カデル・エヴァンスが世界選手権を獲ったのもこのチームに在籍していた頃である。

ベルギー人の比率が多く、とくにスプリントと北のクラシックで結果を出せる選手が多い。しかし今年のブエルタではマルチンスキーやアルメなどのクライマー組が活躍し、ウェレンスやデヘント、そしてベノートなど総合力の高い選手たちも目立っており、安定して強いチームだ。

今年はケウケレールやカンペナールツなどの実力者が加入。北のクラシックでの「勝利」がそろそろ欲しい。

また、若手ベルギー人の積極的な登用も目立つため、彼らの成長が楽しみである。とくにランブレヒトは化け物。ファンフッケもランブレヒトほどではないが力のある選手だ。

 

 

 

注目選手

アンドレ・グライペル(ドイツ、36歳)

脚質:オールラウンダー

プロ通算144勝

ツアー・ダウンアンダー総合優勝2回、ステージ優勝16回

グランツール合計22勝(ツール11勝、ジロ7勝、ブエルタ4勝)

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2015年ツール・ド・フランスシャンゼリゼ含む4勝。2016年は2勝以上できなかったものの、唯一の勝利をシャンゼリゼで飾り2年連続の勝利となった。

しかし、2017年は振るわなかった。5勝。10勝以上を3年連続で果たしていた彼にとっては、非常に悔しいシーズンとなった。寄る年波には勝てないのか?

しかし、一方で「ニューグライペル」も生まれつつある。パリ~ルーベ7位。例年ロンド・ファン・フラーンデレンなどでも、粘り強い走りを見せることがあり、北のクラシックへの適性の高さは折り紙つきだ。本人もルーベでの勝利を望むような発言をしている。今後、ピュアスプリントでの勝利数が失われていったとしても、新たな活躍の場を見出してくれるなら幸い。

しかし石畳に強いとか、本当ついベルギー人かと思ってしまうような選手である。

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キッテルには負けない。

 

 

トーマス・デヘント(ベルギー、32歳)

脚質:クライマー

2012年ジロ・ディタリア総合3位

 

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ツール・ド・フランスでも1000km以上の逃げを敢行していた最強の逃げ屋。また、昨年のモン・ヴァントゥーでの勝利も記憶に新しく、今年はクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで5日間にわたってマイヨ・ジョーヌを着用した、というのも彼の強さを物語っているだろう。

来年も基本は逃げに積極的に乗っていく戦いをすることになると思われる。だが、個人的にはモン・ヴァントゥーのような頂上フィニッシュでの活躍や、ステージレースでの総合争いなどにも期待したい。総合争いができるクライマーの少ないこのチームにおいて、特筆すべき存在となることを願う。

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個人タイムトライアルでも区間9位と力を見せつけ、マイヨ・ジョーヌを守り続けた。途中リタイアが残念ではあったが、来年も同じような走りを見せてほしい。 

 

 

ティム・ウェレンス(ベルギー、27歳)

脚質:パンチャー

2014年エネコ・ツアー総合優勝

2015年エネコ・ツアー総合優勝

2016年ツール・ド・ポローニュ総合優勝

2017年ツアー・オブ・グアンジー総合優勝

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1週間程度の短いステージレースを非常に得意とし、一瞬の隙を突いたアタックからの逃げ切り勝利も十八番。アムステルゴールドレースフレッシュ・ワロンヌなど、アルデンヌ・クラシックでの終盤アタックを持ち味としていたが、今年のそれはイマイチ振るわず。最後にツアー・オブ・グアンジーで総合優勝したことで面目は保ったが、ここ数年少しずつ結果を伸ばしてきた彼にしては若干、物足りないシーズンとなった。

来年の目標はアルデンヌでの勝利と、グランツールでの2勝目。アルデンヌハンターの夢でもあるモンレアルケベックもそろそろ勝利が欲しいところ。

また、今年初出場となったストラーデ・ビアンケでもいきなりの3位と活躍。フランドルとアルデンヌの合いの子のようなこのレースは、アムステルが得意なウェレンスの性には合っているように思う。

ちなみに彼の生誕地であるリンブルフ州は、フランドル地方ではあるものの、ワロン地方にかなり近い位置にある。そんな彼がアルデンヌに適性を持っているのは、やはり土地柄的なものがあるのだろうか。

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毎年何かしらのWTステージレースで勝利しているウェレンス。来年は何を制するか・・・。 

 

 

 

その他注目選手 

イェンス・クークレール(ベルギー、30歳)

脚質:ルーラー

フランス、オーストラリアと他国籍のチームを渡り歩いてきたフランドル人が、満を持して母国のチームに帰還した。今年、ベルギーツアーを制し、ヘント~ウェヴェルヘムも2位と好調の北のクラシックスペシャリスト。ロット・スーダルは意外と北のクラシックの勝利が少ないので、すぐにでもエースとして活躍してくれるだろう。

スプリント力も高いので、グライペルなどスプリンターの発射台としての活躍も期待できるかもしれない。移籍したルーランツの穴を埋める存在になりうるか。 

 

ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、27歳)

脚質:TTスペシャリスト

U23国内選手権およびU23ヨーロッパ大陸選手権にて個人タイムトライアル王者となる。ロットNLユンボ入りした2016年にはエリート部門の国内選手権で個人TT王者、そしてヨーロッパ大陸選手権エリート部門でもITT2位と活躍。そして昨年はついに、ヨーロッパ大陸選手権エリート部門ITTで優勝を果たした。めきめきと経歴を積み上げていく、現在躍進中の男。ジロのITT中にデートのお誘いをして怒られるというお茶目な一面も。

個人的には、昨年ブエルタの、ヘーシンクの勝利を導いた献身的なアシストの印象が強い。来年はデヘントなんかと組んで、グランツールでの勝利もしくはそのアシストを演出してほしい。 

 

ティシュ・ベノート(ベルギー、24歳)

脚質:ルーラー

ウェレンスがアルデンヌの申し子なら、ヘント生まれのベノートはフランドル・クラシックの申し子である。オンループ・ヘット・ニウスブラッドからクールネ~ブリュッセル~クールネ、ストラーデ・ビアンケ、そしてE3といった「春のクラシック」では安定して良い成績を出すものの、なかなか勝利には至らない。なお、グランプリ・ド・ワロニーやケベックモンレアルなど、アルデンヌ風味のレースでもそれなりに良い成績を出しており、パンチャーとしての素質も十分にある。

そしてベノートには、総合ライダーとしての期待も寄せられている。ヴォルタ・アン・アルガルヴェでは2年連続で新人賞。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでも最終総合成績は12位と悪くない。来年はまだ24歳で、新人賞期間もあと丸2年ある。来年はその点での成長が期待されるところである。

そして来年楽しみなのは、未だ果たされていないプロ初勝利。そろそろ、それも大きなレースで、魅せてくれるんじゃないかと期待している。

 

ビョーグ・ランブレヒト(ベルギー、21歳)

脚質:クライマー

才能の塊。2年前にベルギーのジュニアチャンピオン。今年はU23リエージュ~バストーニュ~リエージュを制し、ツール・ド・ラヴニールでも総合2位と、オールラウンダーな脚質を誇る。

来年はアルデンヌ系ワンデークラシックを中心に経験を積み、グランツールなどでは無理をしない程度に慣れていってほしい。本格的に台頭するのはあと3~4年後で構わないので、今この大切な時期を丁寧に過ごしていくことを望む。

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HCクラスやWTクラスのレースでどれだけの実績が詰めるか。来シーズン最も楽しみな選手の1人だ。

 

 

 

2018年ツール 出場メンバー案

1.アンドレ・グライペル(エーススプリンター)

2.ラースユティング・バク(平坦アシスト)

3.ヴィクトール・カンペナールツ(平坦&山岳アシスト)

4.ジャスパー・デブイスト(発射台)

5.トーマス・デヘント(アタッカー)

6.イェンス・デブッシェール(発射台)

7.イェンス・クークレール(平坦アシスト&石畳要員&発射台?)

8.ティム・ウェレンス(アタッカー)

 

今年は振るわなかったグライペル、来年復活はなるか? そのためにも、バク・デブイスト・デブッシェールなどのグライペル親衛隊の活躍に期待がかかる。ルーランツが抜けた穴を、クークレールが補えるかどうか。

そして、今年は期待されながらも果たせなかったウェレンスのステージ勝利。デヘントもカンペナールツと共に逃げて、逃げてチャンスを掴みに行こう。

 

総評

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クラシックもステージ優勝も稼げるはずのポテンシャルは持っているのだが、イマイチ突き抜けた感のない実績。来年はまず勝利、勝利を重ねることが重要だ。

クークレール、カンペナールツの加入がその点でプラスになれるか。そして、ウェレンスやベノートなどの若手の成長が鍵を握る。

 

 

 

その他のチーム

AG2R La Mondiale 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

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BORA - hansgrohe 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

Dimension Data 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

EF Education First-Drapac p/b Cannondale 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

FDJ 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

FDJ 2018年シーズンチームガイド

読み:エフデジ

国籍:フランス

略号:FDJ

創設年:1997年

使用機材:Lapierre (フランス)

2017年UCIチームランキング:17位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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ワールドツアーチームの中でも国籍の偏りが随一のチーム。同じフランス籍のAG2Rが近年国際化を進めているのと比較すると非常にわかりやすい。新加入も半分以上がフランス人で、またフランス籍コンチネンタルチームからの登用が多い。平均年齢も低い。

そんな中、決して関わりが深いわけでもないサンウェブから2名、それも非フランス人を招き入れたのはちょっと意外。両名ともグランツールにおける総合エースのアシストができるタイプの選手で、ティボー・ピノによる総合争いをより狙っていく姿勢の表れか。しかし個人的に、ツールでの総合争いはもう諦めてもいいのではないかと感じており、やるならジロかブエルタで・・・。

ピノ以外の総合エースに乏しいのも難点。ライヒェンバッハは昨年ツールで総合14位と可能性を感じさせたが今年は特に目立たず。ジロではアシストとして力を発揮していたため、今年もピノの側近として活躍してほしい。

若手の有望株はダヴィド・ゴデュ。とくにフレッシュ・ワロンヌでは印象的な走りを見せてくれた。マルク・ソレルなどのライバルたちに負けないよう、来年も短めなステージレース中心に才能を伸ばしていってほしい。

 

 

 

注目選手

ティボー・ピノ(フランス、28歳)

脚質:オールラウンダー

2014年ツール・ド・フランス総合3位

2016年フランス国内選手権個人タイムトライアル部門優勝

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2012年、ツール・ド・フランス初出場にしていきなりの逃げ切りステージ優勝。さらには2014年に総合3位と、全フランス人の期待を一身に背負うこととなった。だがその翌年、度重なるメカトラブルや下りでの落車などが重なり、「キャプテン・ネガティヴ」など国内メディアの煽りも受け、ボロボロになった。これ以降、ツール・ド・フランスでの総合争いから遠ざかってしまった。

だが、それで良かったのだと思う。あまりにも若い時期から期待を背負い過ぎた。とくにフランスは裾野が広い分、そのプレッシャーも他の国以上のものがあったはずだ。彼にはもっと伸び伸び走ってほしい。それこそ、初出場となったジロで、区間1勝+総合4位という成績は、ツールではなかったからこその結果だと思っている。

この結果に気をよくして既に来年もジロ出場を予定しているという噂も? それでいい。むしろツールも出ずにブエルタでもいいんじゃないかと思ってしまっているくらいだ。伸び伸びと、自由に。フランス人としてではなく、1人のロードレーサーとして、満足できる走りを見せてほしい。

昨年は国内選手権ITT部門で優勝して驚かせた彼だが、今年はスプリントの強さも見せつけた。今後はアルデンヌ・クラシックなどでの活躍も期待したいところ。トレ・ヴァッレ・ヴァッレジーネは惜しかった。

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個人的にはイケメンのピノ。年初にサッカー選手と共に撮ってツイッターに挙げていた写真なんかは本当に・・・いつも口半開きなのがまた。

 

 

ルノー・デマール(フランス、27歳)

脚質:スプリンター

2016年ミラノ~サンレモ優勝

2017年フランス国内選手権ロードレース部門優勝

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かつてライバルのブアニと比較され、色んな意味で目立つブアニよりもやや影が薄い印象のあったデマール。昨年はミラノ~サンレモで優勝しその名を轟かせたが、魔法の絨毯疑惑もあり、ストレートに評価されづらい雰囲気が漂っていた。

今年はフランス国内選手権ロードレース部門で優勝。そして、ツール・ド・フランスでの初の勝利。だがこのときも、サガンの失格に完全に話題を奪われ、イマイチ目立たないまま、その後の不調であえなくリタイアとなってしまった。

 

だが、今年のデマールは、チームメートの働きにも恵まれ、非常に強かったと感じている。チモライ、グアルニエーリ、コノヴァロヴァスといったデマール親衛隊は来年も健在。来年こそはツール4勝。いける、いけるぞ!

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ナショナルジャージも着用し、名実ともにフランス随一のスプリンターとなったデマール。来年はさらなる実績を積み重ねていってほしい。

 

 

ダヴィド・ゴデュ(フランス、22歳)

脚質:クライマー

2016年ツール・ド・ラヴニール優勝

2017年フレッシュ・ワロンヌ9位

2017年ミラノトリノ5位

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昨年のラブニール覇者。それだけならまだ騒ぐほどではない。しかし今年のフレッシュ・ワロンヌで攻撃的な走りを見せ、最終的にも9位と、驚異の成績。それだけならたまたまかもしれない。しかしさらにミラノトリノでも5位。ここまで来たら、本物としか言いようがない。

何しろこの成績でまだ21歳なのだ。来年もまだ22歳。もちろん、若いときから期待し過ぎると崩れ落ちるのがフランス人の常であり、あえてあまり期待し過ぎない方がいいのかもしれないが、それでも「90年世代」の早熟具合にやっと対抗できそうな人材が出てきたという感も受ける。

大事に、大切に、しかし着実に・・・来年のFDJはこの才能をいかに磨き上げるか、という責任が重くある。

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キンタナに3秒遅れ、プールスと同タイムでミラノトリノ山頂フィニッシュにゴールしたゴデュ。来年の目標はグランツール完走である。

 

 

 

その他注目選手

ダヴィデ・チモライ(イタリア、29歳)

脚質:スプリンター

イタリアンチームから招来したデマール親衛隊その1。グアルニエーリ、コノヴァロヴァスと共に、ドーフィネ~ツールで強力にデマールをサポートした。

そして彼自身もまた、1人の強力なスプリンターであることは間違いない。カタルーニャ1周で1勝、そしてツール・ド・フランスの後半で、チームがほぼ全滅した中でも、第11ステージで6位、シャンゼリゼでも7位と健闘した。せめてコノヴァロヴァスくらいは、残してあげてやれば良かったに、と思わなくもない。

来年もデマールのアシストとしての活躍を期待しつつ、彼自身の勝利も応援したい。

 

ラモン・シンケルダム(オランダ、29歳)

脚質:ルーラー

非常に多才な選手。今年のオランダ国内選手権ロード部門ではフルーネヴェーヘンをスプリントで破って優勝している。グランツールでは独走力を活かして平坦の牽引とTTT常連として活躍。さらに2016年にはパリ~ルーベで15位に入るなど、北のクラシックを苦手とするFDJにおいては、エースを任される可能性すらある才能の持ち主だ。

新天地FDJでの役割は上記グランツール平坦アシスト役と北のクラシックが中心となるだろう。今年のツールは石畳もあるし、レギュラー入りは間違いないだろう。

 

オルグ・プライドラー(オーストリア、28歳)

脚質:オールラウンダー

密かに好きな選手。昨年のジロではチャベスが勝利したクイーンステージで区間3位と良いところまでいった。絶対いつか輝く瞬間が来る、と信じて応援し続けていたのだが、来年はなんとFDJへ。意外。でも、総合エースの少ないこのチームでなら、輝くチャンスはあるかもしれない。ツールにピノを出場させないで、デマールのステージ優勝を狙う傍ら、自由ポジションでこのプライドラーを泳がせてみるとかどうですか、マディオさん。

もちろんピノのアシストとしての活躍も期待できるだろう。今年のオーストリアITTチャンピオンでもあり、独走力の高さも魅力。 

 

ビアス・ルドヴィクソン(スウェーデン、27歳)

脚質:TTスペシャリスト

密かに好きな選手その2。2年前のジロでITT9位、昨年のブエルタではITT3位と、地味に活躍してるんですよ! 今年のブエルタでも思いのほか映像でも注目されて大興奮。結局は6位だったけれど、スウェーデンITT王者にも輝いたし、来年はさらなる活躍が期待できる、はず。 

 

ベンジャミン・トマ(フランス、23歳)

脚質:ルーラー

今年まさかの大爆発を果たしたフランスコンチネンタルチーム、エキップ・シクリスト・ドゥ・アルメ(通称、陸軍チーム)。まさかまさかのチーム自体が爆発して消滅してしまうとは思わなんだ。陸軍だけに。全て防衛大臣が悪い??

そんな中、このトマは22歳という若さで、ダンケルク4日間とツール・ド・ワロニーというHCクラスのレースで2勝している。チームを象徴する伸び盛り。その成績を引っ提げてさっさとワールドツアーチーム入りを果たしたことで、なんとかチーム崩壊の影響を受けずに済んだ。まだ若いからって残らなくて良かったね。

ダンケルクもワロニーも逃げ切り勝利を果たしている。ダンケルクは迫りくるデマールやボニファツィオといった強力なスプリンターたちからギリギリで逃げ切っての勝利だった。逃げはロマン。来年は、どこかのグランツールで、見事な逃げ切り勝利を果たす彼の姿が見られるかもしれない。ブエルタとかおススメ。

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トラック競技でも活躍。4月の世界選手権ではオムニアムとマディソンで金メダルを獲得した。マジ強い。 

 

 

 

2018年ツール 出場メンバー案

1.アルノー・デマール(エーススプリンター)

2.ダヴィデ・チモライ(発射台)

3.ミカエル・ドゥラージュ(平坦アシスト)

4.ダヴィド・ゴデュ(アタッカー)

5.ヤコボ・グアルニエーリ(発射台)

6.イグナタス・コノヴァロヴァス(スプリント10km手前牽引役)

7.ゲオルグ・プライドラー(アタッカー)

8. ラモン・シンケルダム(平坦アシスト&石畳要員)

 

あえて「ピノが出場しない」という大予想。ひたすらデマールの勝利に集中し、チモライ・グアルニエーリ・コノヴァロヴァス・ドゥラージュといった親衛隊で固めていく。その中で、ゴデュやプライドラーなどがタイミングを見つけて逃げ切り勝利を狙う、そんな体制でいいんじゃないか。

ピノを入れるならモラビトやライヒェンバッハ、モラールなどの山岳アシストもセットでつけなければならないが、そこまでして狙っても難しい気がするし、なぁ。

 

 

 

総評

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ピノグランツール総合上位争い、デマールでステージ優勝を狙っていくことは十分に可能。ただしいずれも、トップの選手以外は微妙。また、クラシック要員には乏しく、とくに北のクラシックは弱い。スプリンターズクラシックでも勝てるチームではないため、結果としてUCIポイントは微妙になりがち。

デマールやチモライなどがまずクラシックで勝利を狙えるようになることと、シンケルダムやベンジャミン・トマなど新加入選手の北のクラシックでの活躍に期待したいところ。 

 

 

 

その他のチーム

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EF Education First-Drapac p/b Cannondale 2018年シーズンチームガイド - りんぐすらいど

EF Education First-Drapac p/b Cannondale 2018年シーズンチームガイド

読み:イーエフエデュケーションファースト・ドラパック パワードバイ・キャノンデール

国籍:アメリカ合衆国

略号:不明

創設年:2003年

使用機材:Cannondale (アメリカ)

2017年UCIチームランキング:10位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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登録選手数は22と、全チーム中最少。元々今年も28と少な目ではあったが、チーム解散危機によって少なからず流出が起きてしまったことも原因だろう。ダヴィデ・ヴィレッラやフォルモロ、スクインシュやスラフテルなど実力者が次々と抜けていった。

一時期は14~16名くらいしか来期のメンバーが確定しない時期もあったが、その後、他のチームではいられなくなった選手たちを中心に補強。若手も積極的に登用して今の形になった。ドッカーやモドロといった実力者も加わったことで、ある意味非常に「キャノンデール(ガーミン?)らしさ」が如実に出るメンバー構成となった気がする。

今年はシーズン開幕時に勝利数に悩んだ。モドロ・マクレーの2大スプリンターの加入がこれを救えるか。ウランの躍進(復活?)は目を瞠るものがあったが、ブエルタにおけるウッズの台頭にも希望を抱かせるものがある。

ベテランから若手まで。華々しい選手は少ないかもしれないが、地道に結果を出すことのできる選手たちが、情熱あるヴォーターズGMのもとで来年も輝くことができるか。

 

 

 

注目選手

リゴベルト・ウラン(コロンビア、31歳)

脚質:オールラウンダー

2013年ジロ・ディタリア総合2位

2014年ジロ・ディタリア総合2位

2017年ツール・ド・フランス総合2位

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ジロで2回総合2位を獲った男は、今年、ツール・ド・フランスでも総合2位を獲得した。ほか、イル・ロンバルディアでも3位が2回。強いのは間違いないのだけれど、あと一歩、ということが非常に多い、悲哀に満ち溢れた選手。

それでも今年のツール総合2位は躍進であった。チームとしても、来シーズン期待の存在であることは間違いない。とはいうものの、同じような成績を来年も出せるかというと、そうはいかないだろうな、という個人的な思い。むしろウランには、イル・ロンバルディアを始めとしたクラシックでの勝利に期待したい。今年のツールでも、ギアチェンジできない状態からのスプリントで勝つという荒業を見せた。土壇場での勝負には強い印象だ。

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意外にもツール初勝利。ジロでも2勝しかしていない。あえて総合を捨て、ステージ優勝に絞る走り方だって許されるとは思うのだが・・・。

 

 

マイケル・ウッズ(カナダ、32歳)

脚質:クライマー

2016年ツアー・ダウンアンダー総合5位

2016年ミラノトリノ2位

2017年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合7位

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彼に注目した最初のきっかけは、2016年ツアー・ダウンアンダーだった。ウィランガ・ヒルをポートから9秒遅れでゴールした彼は、そのまま総合5位でレースを終えた。カナダ人という珍しさもあり、個人的に注目する選手となった。その年のミラノトリノでは、ミゲルアンヘル・ロペスに次ぐ2位となった。

ウッズが大々的に注目を浴びたのは今年のジロからだった。グランツール出場自体が初めての彼は、そのジロでTOP10入りが3回。このときはあくまでも逃げ屋としての走りだったが、続くブエルタ・ア・エスパーニャでは今度は総合争いに参加。TOP10入りをさらに2回追加したうえで、総合7位に入り込んだ。ダヴィデ・ヴィレッラと共に、チーム解散の危機に瀕するキャノンデール・ドラパックに希望をもたらした。

ウランやローランはいるものの、総合狙いの走りができる選手が今一つ足りないこのチームでは、引き続き総合エースとしての走りを期待されるところだろう。決して若い選手ではないが、ある意味でキャノンデール生え抜きと言ってもいいような選手だと勝手に思っている。たとえ目立たなくとも・・・応援している。

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ミラノトリノでも成績を出しているウッズには、山岳系クラシックでの活躍も引き続き期待したい。

 

 

ダニエル・マクレー(イギリス、26歳)

脚質:スプリンター

 

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2016年ツールでカヴ・キッテルに続く区間3位に入った時、彼の可能性を強く感じた。しかし2017年は最高でも5位とイマイチ。シーズン開幕直後はマヨルカ・チャレンジで1勝するなど良い滑り出しではあったのだが・・・それ以外の今年の勝利はユーロ・メトロポールのみ。しかもこれも、相手の早すぎたガッツポーズがゆえと言えなくもない。

来年はついにワールドツアー入りを果たす。まずはツールでのリベンジを狙いたい。ジロはモドロがエースを務めるとして、ツールでは彼のアシストを受けられるとよい。あるいはブエルタに挑むか。ツールよりも確実にスプリンターのグレードが落ちるブエルタならば、マクレーが勝利を狙うことは十分可能そうだ。

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ツールでもTOP争いを演じられるだけの実力はあるマクレー。来年こそは・・・!

 

 

 

その他注目選手

ピエール・ローラン(フランス、32歳)

脚質:クライマー

今年はジロで歓喜の1勝を成し遂げ、なんとか格好をつけることのできたローラン。そのあとのルート・デュ・スッドのクイーンステージで優勝し、いい形でツールに臨めたかと思ったが、肝心のツールではまったく目立てずに終わった。

総合ではもう勝負しない様子だが、それでいいと思う。山岳賞・ステージ優勝でときどき活躍する、そんな姿を楽しみにしたい。ある意味で、ヴォクレールの正統な後継者なのかもしれない。

 

セップ・ファンマルケ(ベルギー、30歳)

脚質:ルーラー

長らく在籍したオランダチームを離れ、キャノンデールへのやや謎な移籍を果たしたファンマルケ。それが功を奏することなく、ここ数年の中でも地味なシーズンとなってしまった。

来年のメンバーも、彼を助けてくれそうなメンバーのイメージが湧かないので、独力で頑張るしかない、か・・・? ツールの石畳では活躍できる可能性あり。 

 

ヒュー・カーシー(イギリス、24歳)

脚質:クライマー

カハルラル在籍中の2016年に、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャで総合9位に入るなど活躍し、期待と共にキャノンデール入りを果たした。が、今年は鳴かず飛ばず。ジロに出場したものの、逃げでの活躍すらできなかった。

まだまだ若いので、これからどんどんと経験を積んでいってほしい。来年の目標はとりあえず、年間2本のグランツール完走だ。

 

 

 

2018年ツール 出場メンバー案

1.リゴベルト・ウラン(総合エース)

2.サイモン・クラーク(山岳アシスト&アタッカー)

3.ミッチェル・ドッカー(TTT要員&平坦アシスト)

4.ダニエル・マクレー(エーススプリンター)

5.サッシャ・モドロ(発射台)

6.タイラー・フィニー(TTT要員&平坦アシスト)

7.ピエール・ローラン(アタッカー)

8.セップ・ファンマルケ(石畳要員&アタッカー)

 

ウランを総合エースにしつつ、マクレーでも勝利を狙う。山岳アシストは同時にアタッカー(逃げ屋)としての役割も担うことになるだろう。誰かのために走るというよりも、それぞれがそれぞれの勝利のためにチャンスを狙っていく、という走り方が主となりそうだ。

山岳アシスト兼アタッカーをもう少し増やすのであればドンブロウスキーやネイサン・ブラウンなどを入れる可能性もあり。カーシーやウッズをジロ・ブエルタにではなくこちらに出すというパターンも十分にありうるだろう。いずれにしても、総合エースを守るためのガチガチの布陣、というのは想像しづらい。

 

 

総評

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グランツールではウランとウッズ、北のクラシックではファンマルケ、アルデンヌでは同じくウッズ&ウラン、そしてステージ優勝でもそれなりにアタッカーが揃っていたりと、いずれのパターンでも勝利を狙える才能はいるものの、今一歩決め手にかける、という印象。

今年はなんとか、シーズン序盤から勝利を稼いでいきたいところ・・・。

 

 

その他のチーム

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Dimension Data 2018年シーズンチームガイド

読み:ディメンションデータ

国籍:南アフリカ

略号:DDD

創設年:2007年

使用機材:Cervélo (カナダ)

2017年UCIチームランキング:18位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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2年連続でUCIランキング最下位。今年はさすがにプロコンチネンタルチームに降格か、とも思ったが何事もなく残留。これがツールをスポンサードしている企業の力か・・・!

とはいえ唯一のアフリカ籍ワールドツアーチームとして、南アフリカを始めとするアフリカ人選手を積極的に抱えているその姿勢は応援し続けていきたい気持ちでいっぱいだ。来年は3年ぶりに、南アフリカのエースクライマー、ルイ・メインチェスが戻ってくる。グランツールでの総合上位にしっかりと入り込んで、UCIランキング最下位を脱出したいところ。

とはいえ、メインチェスに期待していた新人賞ジャージは、その期間を終えてしまう。「アフリカ人初の、シャンゼリゼでの特別賞ジャージ着用」の夢があえなく散ってしまった。その意志を継ぐのはエリトリア人総合期待の星メルハウィ・クドゥスになるのか? 今年はツアー・オブ・オマーン新人賞獲得以外は大した活躍をできていないが、来年は期待したい。

アフリカ人が多いだけでなく、若手も非常に多い。ディベロップメントチームである「ディメンションデータ・フォー・クベカ」からの登用も多く、今後もアフリカにおける自転車界の発展に貢献して頂きたいところ。

 

 

注目選手

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、33歳)

脚質:スプリンター

2011年世界選手権ロード優勝

ツール・ド・フランス通算30勝

ジロ・ディタリア通算15勝

プロ通算145勝(13年間)

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13年間のプロ生活で積み上げたツール通算勝利数は30。ベルナール・イノーと並ぶ歴代2位タイの記録であり、伝説の男エディ・メルクスの記録まであと4勝。カヴェンディッシュであれば、1年で並ぶことも可能な数字だ。

その意味で今年は勿体なかった。ツール第4ステージでの落車による骨折リタイア。狭いエリアに無理して入り込んだという意味でカヴェンディッシュ自身にもやや非がある事故だったかもしれないけれど、そうでなくとも不運に見舞われ続けた2017年シーズンだった。

彼もまた、現役を退くであろう時期は少しずつ近づいてきている。その前にぜひ、前人未到の記録を創り上げてほしい。毀誉褒貶の激しい人物ではあるが、彼もまた、生きる伝説の1人であったと、世界に証明してほしい。

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さいたまクリテリウムで初来日。ファンサービスにも富んでおり、人気の高さを窺わせた。

 

 

ルイ・メインチェス(南アフリカ、26歳)

脚質:クライマー

2015年アフリカ大陸選手権ロード優勝

2015年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合10位

2016年ツール・ド・フランス総合8位

2017年ツール・ド・フランス総合8位

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2年連続ツール・ド・フランス総合8位。それは非常に凄いことで、簡単に真似できるものではない。しかし、新人賞も共に2位。これは非常に悔しい。あと、一歩だったのだ。

残念ながら新人賞ジャージを獲得できる時期は過ぎてしまった。アフリカ人として初めてのシャンゼリゼ表彰台に登るためには、少なくとも総合3位にまで登りつめなくてはならない。メインチェスは安定感は非常に高いものの、総合3位以上に登るだけの突き抜けた何か、を持っているわけではない。彼が表彰台に登る姿を想像するのは、正直言って難しい。

それでも、各種ステージレースやグランツールでの総合上位は十分に狙え、それゆえにチームの悩みの種であったUCIポイントをもたらす救世主にはなってくれそうだ。

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3年ぶりの古巣でチームを牽引する活躍を期待すると共に、早くも後進の育成にも貢献してもらいたいところ。アフリカの希望を背負い、引っ張っていく存在であれ!

 

 

エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、31歳)

脚質:スプリンター

ツアー・オブ・ノルウェー総合優勝3回

エネコ・ツアー総合優勝2回

ツアー・オブ・ブリテン総合優勝2回

ツール・ド・フランス通算3勝

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今年はある意味、ボアッソンハーゲン復活の年だったのかもしれない。もちろん、地元世界選手権で優勝したわけでもないし、ヨーロッパ選手権もライバルのクリストフに獲られてしまっていたりする。しかし、ツアー・オブ・ノルウェーでは劇的な展開で逆転総合優勝に輝き、ツール・ド・フランスでも4年ぶりの勝利を掴んだ。それも、得意なスプリントではなく、クレバーな判断力によるアタックからの逃げ切り勝利で。

そして、純粋なスプリントにおいても、キッテルに喰らいつくような走りを見せた。基本的にはカヴェンディッシュのアシストをやらされることになるだろうが、来年もその走りに期待したい。

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満面の笑みと共に、その手の中のクベカのマークをアピールするボアッソンハーゲン。来年でチーム在籍4年目。かつて期待され、失望もされた若きベテランが、来年も更なる大暴れを見せられるか。個人的にはミラノ~サンレモでの勝利はアリなんじゃないかと思っている。 

 

 

 

その他注目選手

スティーヴン・カミングス(イギリス、37歳)

脚質:ルーラー

2015年・2016年と連続でツール逃げ切り勝利を決めた生粋の逃げ屋。今年も惜しいところまでは行ったものの、さすがに3年連続とはいかなかった。それでもイギリス国内選手権でロード・ITTダブル優勝してしまうなど、年齢を感じさせない活躍を見せ続けている。

世界選手権での活躍も期待されていたが、本人曰く「チームのために」UCIポイントを稼ぐためのレース出場を優先させたのだとか。結果としてチームは最下位を脱出できなかったけれど、プロコンチネンタルチーム時代からチームの屋台骨の1人であり続けているいぶし銀だ。

来年も僕たちをわくわくさせてくれる逃げを、楽しみにしている。

 

トムイェルト・スラフテル(オランダ、29歳)

脚質:パンチャー

UCIポイントを獲得するための効率的な方法は、ステージレースでの総合上位のほかに、クラシックでの勝利が挙げられる。ディメンションデータはクラシックが得意では決してないのだが、その中でも特にどうしようもないであろうアルデンヌ・クラシックにおける救世主となりうるのがこの元キャノンデールのパンチャーである。

かつて、パリ~ニースで2勝。そのときはとんだ新人が出てきたものだ!という強い印象があったものだが、その後は「実力はあるけど地味な選手がたくさん集まる場所」であるキャノンデールキャノンデールらしい走りを続けていた。

でも本当に、地味に強いのだ。今年はグランプリ・ドゥ・ケベックで6位、同モントリオールで3位。ケベックは2015年に4位にもなっており、まさに一線級のパンチャーと言っても差支えない。

来年は脂の乗る年である28歳-29歳シーズン。やるぜ、この男。

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ミークセブ・デベセイ(エリトリア、27歳)

脚質:パンチャー

エリトリア個人TT王者に輝いたこの男。直近のツアー・オブ・グアンジーでガヴィリアやコルトニールスンに混じって区間5位に入ったり、かと思えばウェレンスの勝利した頂上ゴールで錚々たるメンバーに囲まれて区間9位になったりと、なかなかに謎脚質を持った男。ツアー・オブ・オーストリアのアップダウンが激しいコースでは上記のスラフテルに次ぐ区間2位にも入っている。

クラシックで勝利するタイプというよりかは、ステージレースでチャンスを掴んで勝利を狙うことのできるようなタイプに感じる。UCIポイントにはなりづらいかもしれないが、一気に名前を売ることのできるツールでの区間勝利を、来年はぜひ狙ってほしい。

 

ライアン・ギボンズ(南アフリカ、24歳)

脚質:スプリンター

ジロで何度かTOP10に入った、今個人的に最も期待しているアフリカンスプリンター。ツール・ド・ランカウイで総合優勝していたりと、実績も既に出している。

来年もジロに挑戦し、ぜひ勝利を目指してほしい。登りへの適性はあまりなさそうなので、ブエルタはちょっと厳しいかもしれない。

 

 

 

2018年ツール 出場メンバー案

1.マーク・カヴェンディッシュ(エーススプリンター)

2.エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(発射台)

3.スティーヴン・カミングス(アタッカー)

4. ベルンハルト・アイゼル(発射台)

5.ルイ・メインチェス(総合エース)

6.セルジュ・パウエルス(山岳アシスト)

7.マーク・レンショー(発射台)

8.トムイェルト・スラフテル(アタッカー)

 

カヴェンディッシュを中心とした体制を作り上げると共に、メインチェスを中心とした山岳布陣にどこまで力を入れるか、がポイント。また、ヴェルモトもせっかく加入させたからには入れたいところではあるが・・・

アタッカーとしてはこの2名は鉄板だと思うのだが、もしもUCIポイントを優先させるのであれば、この部分を削ってアントンやクドゥスなどの山岳アシストを増やす方向もありうるかもしれない。ボアッソンハーゲンをジロやブエルタに回すという可能性も。

 

 

総評

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インチェスの加入により、多少はグランツール総合争いに絡めるようにはなったものの、まだまだ力不足感は否めない。アルデンヌ・クラシックも、スラフテルなどがどこまで頑張れるか。

ステージ優勝(orスプリントクラシック)での、カヴェンディッシュ・ボアッソンハーゲンの荒稼ぎが来年も必要になる。カヴェンディッシュは復活を期待!

 

 

その他のチーム

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