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ツール・ド・フランス2017 コースプレビュー(3週目)

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第17ステージで、2年ぶりの登場するクロワ・ドゥ・フェール(鉄の十字架)峠には、標高1700m地点にある湖「グラン・メゾン湖」がプロトンを待ち構えている。

 

いよいよ2017年ツールも、最終週「美しきアルプス」を舞台にした戦いが幕を開ける。

とはいえ、近年のように山岳ステージを何連戦もする「ひたすらに厳しい」スケジュールではなさそうだ。シャンゼリゼ含め平坦が3ステージ、上級山岳が2ステージ、個人TTが1ステージ・・・その分、総合で逆転を狙う選手たち(とくにTTがそこまで強くない選手たち)は、数少ないチャンスをものにすべく、2つの上級山岳ステージ、すなわちガリビエとイゾアールで積極的な攻撃を仕掛けてくるはずだ。

あるいは、チームメートにも疲れが溜まってきている中で、スプリント勝利を狙いたい選手が逃げ切りを狙いたい選手をどう追い詰めることができるのか――そんな、手に汗握る駆け引きも、平坦ステージで見ることができるかもしれない。

 

どうコースを用意すれば面白い展開を生み出すことができるのか。主催者側の試行錯誤が垣間見えるこの第3週。

果たして期待通りの展開になるのか、それとも・・・。

 

↓第1週のプレビューはこちら↓

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↓第2週のプレビューはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

 

第16ステージ ル・ピュイ・アン・ヴレ~ロマン・シュル・イゼール 165km(平坦)

3週目の幕開けとなるこのステージは、中央山塊の山岳地帯を越えたのちに長いダウンヒルを経て、ドーフィネ地方のロマン・シュル・イゼールまで向かう、短い距離の移動ステージ。カテゴリも平坦に分類されており、スプリンターたちによる勝負が予想されるが、序盤アタックがかけやすいレイアウトということもあり、ある程度規模の大きい逃げ集団が作られてそのまま逃げ切り、ということも十分起こりうる。

また、ゴールは若干の登り基調。

ちなみにゴール地点のロマン・シュル・イゼールは、あのピエール・ラトゥールの故郷でもあるようだ。どうだろう、ラトゥール。今年は山岳賞を狙って2週目あたりでしっかりと獲得し、凱旋するというのは。あるいは、このステージでしっかり逃げに乗って、逃げ切りでのステージ優勝を狙うというのは。もちろん新人賞というのもアリだな。

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第17ステージ ラ・ミュール~セール・シュヴァリエ 183km(上級山岳)

いよいよアルプスに突入! アルプス2連戦の1日目は、「鉄の十字架」を意味する超級ラ・クロワ・ドゥ・フェール峠と、「ツールで最も高い峠」ガリビエの、実に6年ぶりの登場が待っている。前回登場予定だった2015年は落石により中止。その前が2011年で、この年はアンディ・シュレクが優勝している。

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ガリビエに関しては、直前の1級山岳テレグラフからのほぼ連続登坂となるため、その間の5kmのダウンヒルを除いても、合計登坂距離30kmとして考えることができる。

その間の平均勾配は7%と、決して甘くはない。さらにガリビエは登りの最後の6kmが最も厳しいという——6kmという距離は、フルームの「射程距離」であり、また、そのあとのダウンヒルからのゴールは、近年の彼にとって最も得意とするパターンと言えそうだ。たとえポートが登りでフルームに喰らいつけたとしても、下りではまったく相手にならなかったことを、ドーフィネでは証明されている。

 

総合を巡る激しいバトルと、ラストの手に汗握る追走劇が見られることは必至。

こういうステージでは、アシストの少ないエースは危機に立たされやすいだろう(たとえばダン・マーティンとか・・・ポートも危険だ)。

2011年のガリヴィエ山頂ゴールステージで、自らのタイムアドバンテージをしっかりと守り抜き10日目のマイヨ・ジョーヌを確定させたヴォクレール。 ある意味で勝者アンディ以上のガッツポーズを見せてくれた。人生最後のツールで、彼はどんな走りを見せてくれるのか。

 

 

第18ステージ ブリアンソン~イゾアール 179.5km(上級山岳)

ツールでは定番となるイゾアール峠が、今年初めて、フィニッシュラインに置かれた。イゾアールを制するものはそのままツール総合優勝も飾っていることが多いというが、今年は、果たして。今年は山頂ゴールの数が少な目であるため、山岳賞を巡る争いにおいても重要となるだろう。

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厳しさは言うまでもない。あえて言うとすれば、第1週や第2週の山に見られたような、極端に勾配が厳しい区間があるわけではなく、厳しい傾斜が一定で続く、という特徴がある。そのため、キンタナのようなインターバルで攻めるタイプよりも、フルームのようなペースで登るタイプの方が向いている、というところか?

ラスト7kmからの真剣勝負。もちろん、それまでの地点で、「最強チーム」によって足を削られることが最も危険なパターンなので、注意していかねばならない。

イゾアール峠が前回登場したのは2014年第14ステージ。マイヨ・ジョーヌを着たニバリを護るアスタナのトレインが印象的なステージだった。

 

 

第19ステージ アンブラン~サロン・ド・プロヴァンス

新たな伝統となりつつあった「シャンゼリゼ前日の山頂ゴール」は今年は鳴りを潜め、まるで2014年ツールの再来かのように、平坦→個人TTでツール2017総合争いは幕を閉じる。近年の、「フルーム一強」に対する主催者なりのカウンターなのだろうか。

いずれにしても、厳しいアルプス2連戦で傷ついた総合エースたちは、この日しっかりと休息を取ったうえで翌日のタイムトライアルに備えることだろう。余計なトラブルを生まないように、平坦アシストたちもしっかりと彼らを守護するはずだ。

そしてスプリンターたちにとっては、シャンゼリゼ前の最後のチャンス——とはいえ、それはアタッカーたちにとっても同様だ。スプリンターチームの疲弊具合などによっては、彼らアタッカーたちが付け入る隙は十分にあるレイアウトだ。あるいは、総合エースのお守りを課せられてきたアシストたちの中にも、最後のチャンスに向けて勝負する許可を得られるかもしれない。

とくに、クイックステップの豊富なアタッカー陣が黙ってそうにない。

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第20ステージ マルセイユマルセイユ 22.5km(個人TT)

シャンゼリゼ前日個人TTが、3年ぶりに帰ってきた。2011年にはアンディ・シュレクを泣かせ、2014年には総合2位と3位の入れ替えを生んだ、個人TT決戦。

とはいえ、先2つと比べても、今年の特徴はまず、距離が短いこと。総合勢同士のタイム差が、1分以内に収まることすら考えられるだろう。

そしてもう一つの特徴が、丘の上に立つ「ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド」への平均勾配10%の登坂を含むこと。

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これまでにない独特な個人TTコースで、どんな波乱が待ち構えているかはわからない。少なくとも言えるのは、その基本的な力では頭一つ抜けているはずのトニー・マルティンが、このステージで勝利できる確信がまったくないこと。

ジロ最終ステージで見られたような、意外な伏兵による勝利を見ることができるかもしれない。

もちろん、総合勢にとっても重要な1日。ドーフィネでフルームもマルティンも下したリッチー・ポートが、この日まで好調を維持し続けることができていれば、念願のマイヨ・ジョーヌを着てシャンゼリゼに向かうことができるかもしれない。

 

 

第21ステージ モンジュロン~パリ・シャンゼリゼ 103km(平坦)

スプリンターの聖地、シャンゼリゼ。ジロは今年、最終ステージを個人TTで終えたが、ツールが最終日からシャンゼリゼを外すというのは、考えられないことだろう。

2009年~2012年はカヴェンディッシュが4連勝。2013・2014はキッテルが連勝。そして2015・2016はグライペルが連勝。時の最強スプリンターに常に栄誉を授けてきたこのシャンゼリゼで、今年勝つのは誰だ?

個人的には、ブライアン・コカールにそろそろ勝利してほしいように思う。とくにこのシャンゼリゼで。2015年は本当に惜しかった。

フランス人がシャンゼリゼで勝つ。これが実現されれば、実に14年ぶりの出来事となる。

ただし、コカールが出られれば、の話ではあるが・・・。

 

 

刻々と迫るツール・ド・フランスに向け、少しでもイメージの助けになれば幸い。  

ツール・ド・フランス2017 コースプレビュー(2週目)

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第12ステージのゴールとなるペイラギュード。12年ツール、13年ブエルタで登場したこの山は、常に霧で覆われているイメージだ。

 

2017年ツールのプロトンは、いよいよ2週目に突入する。

ピレネー中央山塊が待ち受ける、厳しさと変化に富んだラインナップだ。

目玉となるのは今大会2度目の山頂ゴールとなるペイルギュードのステージと、そして100km超短距離山岳ステージの存在だ。

 

例年に比べて、この第2週で総合争いが決定的になる、というほどの破壊力をもっているわけではないが、それでも気を抜けない展開が多く待ち構えていそうである。

 

↓第1週目のプレビューはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

 

第10ステージ ペリグー~ベルジュラック 178km(平坦)

3ステージぶりのピュアスプリントステージ。ボルドー地方を駆け巡るステージとなり、ゴール地点のベルジュラックもやはりワインで有名。葡萄畑が映ることもあるかもしれない。

休息日明けで厳しいコースでないだけマシだが、こういうステージでは魔が潜むことも。落車などに気をつけたい。

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第11ステージ エイメ~ポー 203.5km(平坦)

フレンチ・ピレネーでは定番となるポーの街にゴールする平坦ステージ。ラストは下り基調が続くため、ハイスピードでのトレイン合戦が見られるかもしれない。

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第12ステージ ポー~ペイラギュード 214.5km(上級山岳)

今大会2度目の山頂フィニッシュは、2012年大会の最後の山岳ステージでバルベルデ勝利したペイラギュード。2012年大会以来2回目の登場となる。

これ自体は2級山岳(以前は1級山岳)なのだが、直前に超級バレス峠と1級ペイルスルド峠がセットとなるため、単純な個人の力だけでなく、チーム力が重要になるステージと言える。とくにこの時点で総合で遅れている選手がいれば、ペイルスルドからの積極的な攻撃が見られることだろう。

なお、2013年のブエルタでもラストがほぼ同じレイアウトで登場しており、そのときはアレクサンドル・ジェニエが勝利している。

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5年前のペイラギュードでは、フルームとウィギンスのコンビが、総合1位・2位を決定付けた。 

 

 

第13ステージ サン・ジロン~フォワ 101km(上級山岳)

2016年は短距離ステージが流行した。ジロの第16ステージ、そしてブエルタの第15ステージ。いずれも、ハイスピードで掟破りの展開が巻き起こり、総合争いに大きな影響を及ぼした。ブエルタに至っては、このステージがなければ総合優勝はフルームの手に渡っていただろう、というレベルである。

だから、というわけではないとは思うが、今年のツールも短距離ステージを取り入れた。しかも、ジロの130km、ブエルタの110kmよりもさらに短い100km。

先2つのステージと違って山頂ゴールではないものの、1級山岳が3つ。

しかも最後の1級山岳ミュール・ド・ペゲールは、ラスト3kmの平均勾配が12%、最大勾配18%という頭オカシイ代物。なにせ「峠(Col)」でなく「壁(Mur)」だもんなぁ。

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よって、レース展開としては、激坂もイケるアタッカーたちの攻撃と、そこからのハイスピードダウンヒルによる逃げ切り狙い、という展開になりそう。距離が短いので体力が残っている追走集団との追いかけっこは、実に見所がありそうで楽しみだ。いかに厳しい登り、ダウンヒルといえども、山頂から30kmも残っているとどうなるか予想がつかない。

ジロでは大量のタイムアウトも生み出しかけた短距離ステージ。このステージでは長いダウンヒルと平坦のおかげでリカバリーも効くかもしれないが、その点でも気を付けていきたいところ。ジロよりもルールに厳格な気がするのがツールなので・・・。

あとは、ツールのピレネーステージは天候に恵まれないことも多いイメージなので、雨のダウンヒルで大きな落車とかが起きないことを願っている。

毎年、何らかの「事件」で盛り上がってしまうのは本意ではないので。

 

 

第14ステージ ブラニャック~ロデス 181.5km(中級山岳)

2年前のツールで、ヴァンアーヴェルマートがサガンを差して勝利したのと同じフィニッシュ。確か、ティンコフさんがテレビ壊したのってこのステージだよね?

今回も総合勢の争いは大人しくなるだろうから、ステージ優勝を狙うパンチャーたちによる激しいバトルが見られるはず。サガンvsアーヴェルマートはもちろん、ツール・ド・スイスのベルン登りフィニッシュでサガンとデゲンコルブを下したマイケル・マシューズにも注目が集まりそう。

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2年前のロデスで勝利したヴァンアーヴェルマート。彼にとってのツール初勝利であった。まさかその翌年にマイヨ・ジョーヌを着て、さらにオリンピックで優勝するとは、誰も予想していなかったのではないか。

 

 

第15ステージ レサック・セヴェラック・レグリーズ~ル・ピュイ・アン・ヴレ 189.5km(中級山岳)

今大会4つ目の山岳地帯・中央山塊を駆け巡る。中央山塊はものすごく厳しい山岳があるわけではないけれど、とにかくデコボコで負担のかかるコースレイアウトを提供してくれる。今ステージの目玉となるのは、ラスト40kmから30kmにかけての、1級山岳ペイラ・タイヤド峠

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厳しい山頂からの、30kmのダウンヒルゴールという点は、第13ステージとも似通っているが、第13ステージよりも全体の距離は短く、そして第2週のラストステージということで、より劇的な展開が生まれる可能性も。総合勢でも大きな動きが生まれかねないので、気が抜けない終盤戦となりそうだ。

 

ちなみにこういうレイアウトのステージでは、ほぼ確実にサガンが逃げる。

こういうステージでサガンを逃せば、マイヨ・ヴェールは彼の手に渡ることになるだろう。

もしも彼からマイヨ・ヴェールを奪い取りたい選手がいるのであれば、ここで動かざるをえないだろう。

ツール・ド・フランス2017 コースプレビュー(1週目)

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デュッセルドルフ中心部にある、現代建築が並ぶメディア・ハーバー。昨年のモン・サン・ミシェルも美しかったが、2015年のオランダのような現代風の街並みもいいものだ。

 

いよいよ開幕が目前に迫る、ツール・ド・フランス2017。

今回はその1週目のコースについて、簡単にプレビューしていきたい。

 

今大会は30年ぶりにドイツの都市からスタートし、ベルギー・ルクセンブルクを経てフランス国内に。

そして最大の見所は、今大会、フランスにある主要な5つの山岳地帯をすべて回る、ということ。すなわち、ヴォージュ山塊・ジュラ山脈・ピレネー山脈中央山塊・アルプスの5つである。

よって、クライマー向けのツールとも言われることがあるが、頂上ゴールは3つだけ。近年の流行りともいうべき「下りゴール」や「超短距離ステージ」など、トリッキーなステージを用意することでマンネリ化を防ぎたい運営側の思惑が透けて見える。

そして、もう一つ注目すべきが、例年に比べてタイムトライアルの総距離が短めだということ。・・・そこまで短いか?と思わなくもないが、そのいずれの要素も、某チームの独壇場になるのを避けたい、という思いが伝わってくる。果たしてうまくいくか。

 

なお、以下の情報は公式サイト(http://www.letour.fr/le-tour/2017/us/)を元にしております。

 

↓第2週のコースプレビューはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

↓第3週のコースプレビューはこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

 

第1ステージ デュッセルドルフデュッセルドルフ 14km(個人TT)

ほぼ真平の個人TTで開幕するツール・ド・フランス2017年大会は、1987年の西ベルリン開催から実に30年ぶりのドイツスタートとなった。

もちろん、母国開催ということで、観客たちも、そして本人も強く望んでいるであろう、トニー・マルティン。その勝利への期待が高まっている。

そのマルティンは今年、いまだにITTでの勝利がない。直前のドーフィネでもリッチー・ポートにわずか2秒届かずであった。彼が得意としている世界選手権のような長距離ITTではなかった、というのも原因の一つかもしれないが、このステージもその意味で、彼が「得意ではない」距離と言えてしまう。

 

いや、そんなことはない。実は、2年前、オランダ・ユトレヒトで開幕を迎えたツールも、初日ITTがほぼ同じ、13.8kmの距離であった。そのときも、ローハン・デニスに敗れての2位ではあったが、今大会ではデニスがいない。さらに言えばそのとき3位のカンチェラーラも、4位のデュムランもいない。ドーフィネで勝敗に影響を及ぼした可能性のある起伏もほぼ存在しない。

 

よって、やはりここはマルティンに期待したい!

彼自身もそのために、全力の調整を行ってきているはずだ。

30年ぶり母国開幕戦でのマイヨ・ジョーヌ着用。

その、感動的なストーリーをぜひ我々に届けていただきたい。頑張れマルティン

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第2ステージ デュッセルドルフリエージュ 203.5km(平坦)

初日ITTの舞台デュッセルドルフをスタートし、アルデンヌクラシックで有名なリエージュの街に向かう203.5km。4級山岳が2つあり、とくにステージ後半はそれなりの標高まで登るため、純粋な平坦ステージとはいいがたい。とはいえさすがに最後は集団スプリントとなるだろう。

逃げグループから最初の山岳賞が出るため、逃げメンバーに注目。とくに今大会初出場となるワンティ・グループゴベールの選手の活躍に期待だ。

また、ラストのスプリントだけでなく、中間スプリントでも争いが起きるのがツールの特徴でもある。今回の中間スプリントはやや登り勾配。サガン、マイケル・マシューズあたりの走りに注目したい。

ツール・ド・フランス2017、最初のスプリント覇者は誰になるのか。

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第3ステージ ヴェルヴィエ~ロンウィ 212.5km(中級山岳)

リエージュ南東の街べルヴィエを出発して南下。ルクセンブルク国内に入り最後はフランスのルクセンブルク国境沿いの街ロンウィに到着する。

全体的には平坦基調だが、ラストは11%の激坂部分を含む登りゴール。昨年同様に、サガンが制するか? それともマシューズあたりが執念を見せるか?

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第4ステージ モンドルフレバンス~ヴィッテル 207.5km(平坦)

ルクセンブルクの年モンドルフレバンスから出発し、フランスのヴィッテルへ。このヴィッテルは、ツールのスポンサーとしても有名なミネラルウォーターの水源がある村である。

第2ステージに続くピュアスプリンター向きのステージだが、最後は少しだけ(勾配1%程度)登っている。

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第5ステージ ヴィッテル~ラプランシェ・デ・ベルフィーユ 160km(中級山岳)

今大会最初の山頂ゴールは、ヴォージュを代表する1級山岳ラプランシェ・デ・ベルフィーユ。3年前のツールで、1周目のラストに現れたクイーンステージのラストを締めくくった山であり、その年の優勝者ニバリが2勝目を飾った山である。5年前のツールでは前年の優勝者エヴァンスを振り切って、クリス・フルームがツール初優勝を決めた。

そんな、曰く付きの山だけに、今大会も注目が集まる。ただ昨年のツールにせよ今年のジロにせよ、これだけ序盤に出てくる「重要ステージ」に関しては、結果として大きな動きが起きない傾向にもある。とはいえ、その傾斜は厳しく、フィニッシュの250m手前には最大勾配20%の超・激坂区間も。

やはり、気になるステージとなるのは必至だ。f:id:SuzuTamaki:20170609223202p:plain

 

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第6ステージ ブズール~トロワ 216km(平坦)

再び平穏な平坦ステージ。今大会3回目の、純粋なスプリントステージだ。この辺りで今大会のスプリント勢の調子が大体わかり始めてくるか。

この日の中間スプリントもやや登り基調。

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第7ステージ トロワ~ニュイ・サン・ジョルジュ 213.5km(平坦)

この日も平坦ステージ。中間スプリント直前は一旦下ってから「みょん」と登っていく独特な地形。ワインで有名なコート=ドール県を通るため、葡萄畑が多く見られるかも。この地形もそれゆえかもね。

途中、一気に下る地点があるため、その辺りでの落車に注意したい。2年前、カンチェラーラも巻き込まれた大規模な落車も、確かこんな感じのレイアウトのところだった気が・・・。

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この日はぜひ、「ニュイ・サン・ジョルジュ」のワインを飲んで観戦しよう!  

 

 

第8ステージ ドル~スタチオン・デ・ルス 187.5km(中級山岳)

「近代細菌学の父」ルイ・パスツールが生まれた町であるドルを出発し、プロトンはいよいよ「2番目の山」ジュラ山脈に突入する。

この日はまだ、小手調べといったところか? 3級・2級ときて1級山岳は決して楽ではないが集団がバラバラになるほど強烈、というわけではないだろう。登り切ったあとも、ほぼ平坦なルートがおよそ10km残っている。

明日の凶悪なステージのこともあり、この日はまだ総合争いが過熱するようなことはないはず。よって、ステージ優勝を狙う山岳逃げスペシャリストたちの、積極的な動きが見られるはずだ。デヘント、ローラン、ルイ・コスタなどなど・・・。

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第9ステージ ナントゥア~シャンベリ 181km(上級山岳)

ついに来た、今大会のクイーンステージ候補。最後に登場する超級モン・デュ・シャ(猫の山)の破壊力は、すでにドーフィネで痛いほど思い知っている。この山で各チームのアシストはほぼ粉砕され、最終的に残ったのはアル、フルーム、ポートだけだったのだ。

そして、あのときと同じようにこの日もモン・デュ・シャの下りを経たうえでのゴールとなる。あの日よりも下り切ってからの距離は長いが、同じように、下りで圧倒的なスピードを誇るフルームが、力を見せつける可能性が高い。

さらにドーフィネのときと異なるのは、モン・デュ・シャに至るまでの間に2級山岳が1つ、3級山岳が2つ(公式サイトのMapを見るとわかる)、そして超級コル・ドゥ・ラ・ビシェと、昨年の第15ステージでも登った超級グラン・コロンビエールが待ち構えており、その両方ともかなり厳しい登りとなる。この段階から、激しい攻撃が繰り広げられる可能性は十分にあり、モン・デュ・シャに到達する頃には、万全の選手とそうでない選手との間に、致命的なタイム差が生まれている可能性もあるだろう。

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いずれにせよ、今大会において最も重要なステージの1つになるのは間違いない。

この日だけは、本当に最初から最後まで見逃すことができない。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2017

最終日まで総合争いがもつれ込む、激戦となったクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ。

ジロに引き続き、各チームに対する勝手な評価をつけていく。

 

★の数は、そのチームに対する戦前の期待度と比べ高い結果だったかどうかを基本にしている。紹介するチームはそのメンバーの総合順位が高い順である。

 

 

 

アスタナ・プロチーム ★★★★★

ヤコブ・フールサン総合優勝

ヤコブ・フールサン2勝(第6・第8ステージ)

文句なしの★5つ。だって、まさか、あのフールサンが、ねぇ。

もちろん、フールサン自身はツールで総合7位を獲ったこともある総合系の選手であり、今回のツールでもエースで走ることがチームとして決まっていた。それでも、総合ベスト10に入れるかどうか、に留まるものだと思っていたので・・・。

とはいえ、やはり3週間のグランツールで、今大会最後の3日間のような絶好調ぶりを発揮できるだろうか、というと不安は拭えない。アルがツールに出るとして、うまくコンビネーションを取りながら、どちらかで総合表彰台を目指す走りをしてほしいところ。アスタナはダブルエースで挑むと・・・という話もあるが、2015年のジロにせよブエルタにせよ、結果的に良い形で終えられたと思うんだがどうだろう。むしろ、ダブルエース体制で喧嘩するくらいの状況の方が、強い時代のアスタナを思い出せていい気がする。

まあ手放しでは喜べない。アルも総合5位で終えられたとはいえ、肝心なところで失速する姿が目立った。アシストも、ほとんど存在感無し。

とはいえ、スカルポーニに捧げる最高の2勝を、ありがとう、フールサン。

 

 

BMCレーシングチーム ★★★☆☆

リッチー・ポート総合2位

たしかに、ポートの走りは素晴らしかった。今年のツールでも期待できるほどに。

それでも、彼の走りにやはり不安定さを感じてしまう部分と、そしてチームのアシストのあまりの不甲斐なさに・・・。

もちろん、BMCのアシストがいないときは、スカイも含めた他チームのアシストも既にいなくなっているときだったりはするので、一方的に評価を下すわけにはいかない。それでも、スカイが間違いなく、今大会以上の最強の布陣で現れるであろうことを考えると、やはりポートだけが独りになってしまう可能性、というのを考えざるを得ない。

ってか、ロッシュ、何やってんの・・・ブックウォルターの方が頼りになる走りをしていた気がする。

ヘルマンスも、ジロほどの走りは見られなかった・・・これは疲れだろうか。ちなみに彼はやっぱりツールは不参加っぽい?

まあでも、やっぱり、最終日のポートの、鬼気迫る走りには感動もした。ずっと、最強のアシスト、って感じのイメージだった彼が、本当の意味で最強のレーサーとして大舞台に挑むにあたって、最高の状態を作れていることがよくわかった。期待しているよ、リッチー。

 

 

クイックステップ・フロアーズ ★★★★☆

ダニエル・マーティン総合3位

マーティンが想像以上に頑張りを見せて2年連続の総合3位。相変わらずの積極性も見せてくれて、本当に1週間のステージレースなら十分強い。今年もツールでは総合トップ10には入れそうな様子だが、やはりそれ以上は望みがたい。

他のメンバーも正直、目立つことのなかったチーム。ただまあ、それは予想通りではある。だからマーティンの頑張りをふまえ、★4つ。

 

 

チーム・スカイ ★★★☆☆

クリス・フルーム総合4位

フルームの下りは圧倒的であった。昨年の第8ステージの走りが偶然ではなかったことを証明してくれた。

しかし一方で、登りに関しては大きな課題が残った。まだ本番ではない、にしても過去のフルームの実績を考えると、現段階でのこの調子を、前向きに捉えることは難しい。

好材料もあった。ミハウ・クフャトコフスキの調子の良さだ。

昨年は病気もありイマイチ実力を発揮しきれない状況が続き、ツールへの出場も果たせなかった彼だったが、今回は絶好調。フルームが遅れるときには常にその傍にいて彼を支え続けていた。「ツールでは最強の男の傍にいたい」という彼が繰り返し語っていた目標を、叶えることができそうだ。

一方で、それ以外のアシストについては、正直「最強のチーム」としての雰囲気を見せられずに終わったように思う。逆に言えば、ツール本戦では、もっと「最強」を揃えることができれば、たとえフルームが今大会のように万全でなかったとしても、十分に戦っていける気がする。

フルームの圧倒的な登りは、アシストたちによる強烈な牽きの後に発射されることで、他を寄せ付けない走りへと変わる。

また、今大会最終ステージでの彼の失速も、結局はそれまでの道中でひたすら彼が前を牽き続けなければならなかったがゆえ、と見ることができる。

結局はチーム力が、フルームという最強を支えていたのだ、ということがよくわかる大会だったかもしれない。クフャトコフスキに加え、スイスに出場しているニエベや、あるいはセルヒオルイス・エナオなどが加わることによって、ツールにおける最強のチーム・スカイが作れるのであれば、まだまだフルームの3連覇はその可能性を高く維持できるだろう。

 

 

AG2Rラモンディアル ★★★☆☆

ロマン・バルデ総合6位

ある意味でほぼ唯一、戦前の予想と完全に合致したのがこのバルデの結果。可もなく不可もなく。まあそうだよねっていう結果。

走りに関して言うと、意気込みは感じるのだがやはりパワー不足。唯一の躍進が第7ステージだったが、突然のアタックを周りが見逃し、前待ちするヴュイエルモに合流してそのままゴールという、彼がよくするタイムの稼ぎ方。その、彼自身のパワーがゆえに、というよりも、時機をうまく見るタイミングでの勝利というか・・・。

そう考えてみると、エース以外の選手が良く頑張っていたように思う。初日から逃げていいところまでいったドモン。まだまだ総合エース級とは張り合えないながらも力強い走りを見せ続けてくれていたピエール・ラトゥール。春の好調をいい形で山でも残しているオリバー・ナーセン。そして、春は不調だったが山での頼れるアシスト役としての可能性が出てきたアレクシー・ヴュイエルモ。長らくAG2Rは、アシストが役に立たないというイメージをもっていたが、昨年ツールのシェレルと合わせ、この点が強化できれば結構イケる気がする。バルデもポッツォヴィーヴォも、アタック力はないんだけどひたすら安定感あるので、アシスト次第では本当に化ける気がするよ。

サミュエル・デュムランはさすがにもうワールドツアーのスプリントで一線を張るのは難しいよねぇ・・・かといってスウィフトのような走りをできるわけでもなく、ううむ。

 

 

ボーラ・ハンスグローエ ★★★★☆

エマヌエル・ブッフマン新人賞

エマヌエル・ブッフマン総合7位

ついに来た!ブッフマンの時代が! 2年前のアスパン~トゥールマレーのステージでの走りを見て以来、ずっと期待していたこの男。ついに才能を開花させつつある! だったら最初から表彰台予想で新人賞候補にしてあげればいいものを、そこでひよってメインチェスにしてしまって本当スミマセン。 

今回のツールにもぜひ出場してほしい。とはいえツールで新人賞を狙おう、とまで言うつもりはあまりない。それよりは、マイカにとっての最高のアシスト役として働いてくれることを望む。そして、数年以内には、ドイツ人としてツール総合表彰台を狙う選手へとぜひ成長してほしい。

ところで、ケーニッヒどうしたの?と思ったら第3ステージでリタイアしてたのね。

まあ、仕方ない。ブエルタまでに調子を取り戻し、大暴れしてほしいところ。

 

 

UAEチーム・エミレーツ ★★★★☆

ルイ・メインチェス総合8位

正直、想像していたよりはメインチェスの走りが良かったので一安心。今年もツール総合ベスト10に入れるか? 新人賞は惜しくも逃してしまったが、3週間の走りに関しては、ブッフマンよりもアドバンテージがあるはず。サイモン・イェーツも調子が悪そうだし、ツール本戦での新人賞候補としては健在、のはず。

あとはベン・スウィフト。負けはしたが、凄い走り。スプリンターなのにひたすら山で頼りになる男だが、こうして山での勝利すら狙えるようになると、チームとしては嬉しい限りだ。こういう走りは、スカイではできなかったと言えるかもしれないね。

ウリッシも悪くはなかったので、ツールでの活躍に期待したい。

 

 

モビスター・チーム ★★★☆☆

アレハンドロ・バルベルデ総合9位

過度な期待を持っていたので失望もあるが、普通に考えればこれくらいでも全然不思議ではない。予想外の結果を出すが、期待されると萎むトリックスター。このまま期待せずにいればきっとまたツールでは大暴れしてくれるはず。

スカイ同様に、アシストも「最強」ではないため、それを揃えたツール本戦では、キンタナとのダブルエース体制を踏まえ、やはり総合表彰台争いに食い込んでくる可能性は十分。それにしても、ヘスス・エラダやダニエル・モレーノが脱落するタイミングが早過ぎた気が・・・彼らはツール組の気がするんだけど、大丈夫か? そちらの方が心配。

 

 

ロット・スーダル ★★★★☆

ラファエル・バルス総合10位

バルスは確かに山で走れる男で、ダウンアンダーでもいつも総合成績はそれなりによく、今年はついに7位にまで上がっていた。だけど、本格的な山岳が登場するステージレースで総合ベスト10に入れるようになるとは・・・マキシム・モンフォールとセットでロット・スーダル山岳部としてブエルタあたりで頑張ってほしいなぁ。2人も契約今年までだけど。

そして山岳部と言えば、ということでトーマス・デヘントは誰よりも目立っていたね。山岳賞を狙ってほしい思いもあったけれど、途中リタイアしちゃったし、最終的には調子があまりよくなかったのかな。ベノートも総合12位と健闘し、デヘント・ウェレンス・ベノートの3人が揃う今年のツールは、もちろんグライペルの頑張りも合わせ、ロット・スーダル祭りになる可能性も十分にあるのでは。

 

 

トレック・セガフレード ★★☆☆☆

コンタドール。自慢の積極的な走りを見せることもなく、総合ベスト10からも陥落。ここ数年の中でも特に厳しい結果に終わってしまった。

パンタノ、モレマといった強力なアシストを加えた状態で挑むツール本戦に期待したい。

昨年ツールでは良いスプリントを見せていたトゥーンスも、トラブルからの第2ステージタイムアウト失格。

チーム全体として散々な結果だったと言わざるをえない。

 

 

オリカ・スコット ★☆☆☆☆

チャベスは調子を全く取り戻すことができず、まあ、それはいい。久々ということもある。問題はサイモン。ジロでのアダムの活躍とつい比較してしまう・・・。

そしてサイモン・ゲランスとダリル・インピーのスプリントコンビも一切存在感を示せずに終わる。

クロイツィゲルがそれなりに良い走りをしていたことが、若干ツールに向けて期待が持てる程度か。とにかく復活してもらわねば・・・。

 

 

チーム・サンウェブ ★★★★☆

フィル・バウハウス1勝(第5ステージ)

22歳のバウハウスが、ジロの好調ぶりを引き継いでついに勝利。さらに、21歳のサム・オーメンが、TTでも力を発揮して、一時期新人賞ジャージを身に纏うなど、若手が大爆発してくれた。

ただ肝心のエース、バルギルが、やっぱり肝心なところで失速してしまうのがなぁ。

マシューズと合わせ、主にスプリントでの、ツールでの活躍に期待する。

 

 

チーム・ロットNLユンボ ★★★★★

クーン・ボウマン山岳賞

クーン・ボウマン1勝(第3ステージ)

24歳の若手ボウマンがまさかの山岳賞&ステージ1勝。正直、まったく期待していなかったチームだったので、この成績には文句なしの★5つ。しかし、なんだ、ここはカリフォルニアか、ってう感じの出来ですな。

ボウマンの童顔レベルは恐ろしく、チャベスとかとはまた方向性が違う。なんというか、失礼だけどここはジュニアか?という思いすらしてしまう。

だが休む時はきっちり休み、第7ステージなどの本格山岳ステージでもきっちり逃げる。実力は間違いなくあり、かつクレバーな走りもできるため、今後も期待できる逸材だ。

 

 

コフィディス・ソリュシオンクレディ ★☆☆☆☆

うーん・・・言うべきことは見つからず。

 

とりあえずブアニ、ツールまでは大人しくしていてね。

 

 

ワンティ・グループゴベール ★★★☆☆

今年ツール初出場のプロコンチネンタルチームとしては、最低限の走りはできたと思う。逃げにも積極的に乗り、エースのギョーム・マルタンは、とりあえずラトゥールレベルの走りはしっかりとできた。総合18位。ツール本戦も同じくらいの順位がキープできれば上出来だ。24歳。若き、将来有望なフレンチオールラウンダーだ。

 

 

キャノンデール・ドラパック ★☆☆☆☆

タランスキー、総合22位。フォルモロも、ジロの疲れが取れていなかったのか、途中リタイア。最終日のサイモン・クラークの走りが少し目立ったくらいか。

とりあえずタランスキーのツールまでの復活を期待する。

 

 

バーレーンメリダ ★★☆☆☆

コルブレッリが勝てないのはまあいい。そんなに甘くはない。総合やステージ優勝も期待はしていなかったのでいいのだが、せめて逃げではもうちょっと目立ってほしかったなぁ、というところ。

 

 

カチューシャ・アルペシン ★★☆☆☆

カリフォルニアに続きクリストフ絶不調。対するチームの状態は引き続き良好。今大会最もトレインが有効に機能していたチームなのは間違いない。リック・ツァペルのリードアウトだけでも強いのに、そこにトニー・マルティンによる牽引が加わると本当無敵なんじゃないかと思う。あとはクリストフさえ復活してくれれば、ツールでの1勝は期待できる。

 

 

ディメンション・データ ★☆☆☆☆

ボアッソンハーゲンはスプリントで絡めず、パウエルスも総合20位以内にすら入れず、ベルハネもジロの疲れが残っているのか途中リタイア。

今年もWTからの降格の可能性がひしひしと高まる・・・。

 

 

デルコマルセイユプロヴァンス ★★★★☆

とにかく毎日欠かさず逃げ続けた。ツール出場権を持つわけでもない彼らにとって、このうえない存在感のアピールに繋がったであろう。

プロコンチネンタルチームに昇格した昨年は3勝にとどまり、失望に見舞われた。今年もまだ2勝。状況は決して良いとは言えない。

それでも、ワールドツアーレースでこれだけ山岳も含めて喰らいつく走りを見せ続けていれば、いつかはきっと、という思いがある。

最も惜しい結果だったのがシシュケヴィチュス。パリ~ニースでもいい走りを見せている彼が、今後数年以来にWT以上での勝利を掴むことを期待している。ってか、絶対勝てる状況だと思っていたのに、ボウマン強いわー。

 

 

ディレクト・エネルジー ★☆☆☆☆

コカールは最高で3位。悪くはないが、「お前ツール出さんぞ」というGMのプレッシャーが噂される中では、満足のいく結果ではない。一体どうなっちゃうの??

そしてヴォクレール、最後のドーフィネ。期待されていた逃げは見られず。調子は万全とは言えない? ツールではどうなるか・・・。

そして存在感がなくなっていくシカール・・・。

 

 

FDJ ★★★★☆

ルノー・デマール ポイント賞受賞

ルノー・デマール1勝(第2ステージ)

チーム内最高順位は91位か。すごいな(笑)

デマールの勝利は決して不思議ではないのだけれども、やっぱり、よく頑張った!という思いが強い。実はドーフィネは初勝利。そして、グランツールでも確か未勝利なので、今回のツールは期待したいところ。

今回のデマールの勝利をもたらした立役者は、チモライではなく、同じイタリア人のヤコボ・グアルニエーリ。ゴール前の集団の中で埋もれてしまったデマールを、きっちりと中盤くらいにまで引っ張り上げたグアルニエーリ。しかもこのとき、ボアッソンハーゲンによるプレッシャーをかけられたのに対し、グアルニエーリはきっちりとこれを押し返した。

グアルニエーリの牽引は中盤で終わってしまったが、そこから先はデマールが一気に加速。誰も寄せ付けないそのパワースプリントで、今大会数少ないスプリント勝利を奪い取った。

ピノもライヒェンバッハも出なさそうな今大会のツールで、期待がかかるのはとにかくデマール。その前哨戦として、十分に良い結果を出せたように思う。

 

 

 

表彰台予想答え合わせ

総合優勝:クリス・フルーム  → 総合4位

総合2位:リッチー・ポート → 総合2位

総合3位:アレハンドロ・バルベルデ → 総合9位

総合4位:アルベルト・コンタドール → 総合11位

総合5位:エステバン・チャベス → 総合26位

総合6位:ロマン・バルデ → 総合6位

総合7位:アンドリュー・タランスキー → 総合22位

総合8位:ダニエル・マーティン → 総合3位

総合9位:レオポルド・ケーニッヒ → リタイア

総合10位:ルイ・メインチェス → 総合8位

新人賞:ルイ・メインチェス → 新人賞2位

ポイント賞:サイモン・ゲランス → 選外

山岳賞:トーマス・デヘント → リタイア

ひどい(笑) ゲランスとかかすりもしなかったな・・・。

 

 

総括

フルームの不調、ポートの好調、アスタナのダブルエースへの期待など、一言で言ってツールが楽しみになるドーフィネだった、と言えるだろう。

もちろんこの1週間のレースで読み取れることは決して多くはない。総合以外も含めて、メンバーも変わるし、ツール本番ではまた全く違う結果をもたらしてくれるだろう。

今回のツールは頂上ゴールも少ないが、昨今のロードレースが、登りだけでは決まりづらいということも改めて実感できたドーフィネでもある。

近々、ツールのコースも概観していこうと思うが、今回の結果も踏まえ、当たらない表彰台予想も懲りずにやっていこうと思う。

ツール・ド・スイス2017 注目選手プレビュー

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ドーフィネとは異なる、「もう1つのツール前哨戦」ツール・ド・スイス

出場メンバーは比較的、ジロ出場組なども多いものの、久々に復帰となるミゲルアンヘル・ロペスやワウト・プールス、ツールではエースとして走るヨン・イサギレなど、こちらにも注目選手が多数出場。

また、ドーフィネと比べても遜色ないくらいに厳しいコースレイアウトもあり、単純に総合系の力量を測るステージレースとしても注目度が高い。

 

スプリンターにおいてもサガン、そしてガヴィリアの一騎打ちが見られるなど話題性も抜群。

 

そんな、「ツール・ド・スイス」で個人的に注目している選手を紹介していく。

※今後、出場選手が変更になる可能性もあります。

※年齢はすべて数え年表記です。

 

 

 

ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、23歳)

昨年総合優勝者。アスタナの、そしてコロンビア人の注目若手選手であったが、母国でのトレー人中の事故により、昨年イル・ロンバルディア以後の一切のレースに参加できず。

当初はツアー・オブ・カリフォルニアでの復帰も噂されていたがそれにも間に合わず。今回のスイスでようやくの復帰となりそうだ。

長期のブランクの影響は必ず残っているだろう。今回のレースで十分な力を発揮できるとは思わない。しかし、できればブエルタで、アルと共にダブルエース体制で臨めれば心強い。ニバリ、スカルポーニを失ったアスタナにとって、彼の存在はより一層重要になっている。

 

 

ローハン・デニス(オーストラリア、27歳)

ジロを悔しい形でリタイアしてしまったデニスが、総合エースを担う力量が本当にあるのかどうかを確認する最大のチャンスがこのスイスだ。総合2位となったティレーノ~アドリアティコよりも確実に厳しいこのレースでどれだけの結果を叩き出せるか。エースナンバーは背負わないようではあるが、総合においてはエース級の待遇となるだろう。

また、最終日ITTで、ジロでは果たされなかったトム・デュムランとの一騎打ちがどうなるかも非常に楽しみである。比較的起伏を含んだタイムトライアルではあるが、そこへの対応力がどれほどのものになっているか。

 

 

ペーター・サガン(スロバキア、27歳)

デビューしたばかりの2010年から毎年欠かさずに出場。昨年は第2・第3ステージで優勝。この7年間で合計13賞。ポイント賞も2012年~2015年と4年連続で獲得している(昨年はリケーゼに敗れ2位)。

今年のツールは歴史に残る6年連続ポイント賞受賞がかかった重要な年。そこに向けてのウォーミングアップとして、このスイスでの状態には注目が集まるだろう。

チームとしても、ツールメンバーを確定するうえで重要になるレースである。ボドナール、ブルグハート、マッカーシーなどなど、サガンのアシストとして最も活躍していけるのは誰か。

 

 

ティム・ウェレンス(ベルギー、26歳)

ツール出場が内定している、ロット・スーダルの稼ぎ頭の1人。今シーズンは開幕直後のマヨルカ・チャレンジ2勝とアンダルシア1勝という、本人史上最高のスタートを切れたのだが、最も期待されていたアルデンヌ・クラシックがイマイチだった。それでもストラーデ・ビアンケ初出場で3位に入るなど状態は十分に良いはずで、今年2回目の出場となるツールでの1勝を期待したい。

ロット・スーダルはほかに、ダンケルクやベルギーで勝利し好調なイェンス・デブシェールに注目。ツールではグライペルの最も頼れる発射台となるだろうが、このスイスではおそらくエーススプリンター。(直前で不参加に)

 

 

ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、37歳)

スイス国内のレースでは無敵なイメージのある彼だが、2005年以来毎年欠かさず出場しているツール・ド・スイスでは、意外にも3勝でとどまっている。

直前の前哨戦「GP・デュ・カントン・ダルゴヴィ(GPアールガウ)」では4位とまずまずの結果。

 

 

トム・デュムラン(オランダ、27歳)

まさかジロで総合優勝してすぐにまたこのスイスで暴れまくるとも思えないが・・・どうなるのか読めないのが彼であり、またサンウェブというチームでもある。ドーフィネでもバウハウスが1勝し、オーメンの調子も良い。今、間違いなく最も勢いのあるチームだ。

このスイスのメンバーもかなり強い。ジロでは消化不良だったケルデルマンがデュムランの最強アシストを務め、久々に見る気がするニキアス・アルントが、マイケル・マシューズの最終発射台としてツールに向けた最終調整を行う。あらゆるステージでその存在感を発揮しそうなチームである。

 

 

ヨン・イサギレ(スペイン、28歳)

ジロでは総合優勝こそその存在感を十分に発揮した新チームの、ツールにおける総合エースとしての重責を担う。正直、今シーズンはここまで「決して悪くはないけれど期待以上かというと微妙」な成績でやってきた。むしろ、意外性も含め兄ゴルカの方がよっぽど目立っている印象だ。

昨年はカンチェラーラを驚かせたほどのダウンヒルTTを見せ、そのままツールの区間優勝ももぎ取った彼の、新たな伝説の始まりをここスイスでも見たいところだ。

ただ、最終日ITTの最後のダウンヒルには気を付けて。なんかヨンって、TTで落車するイメージが強いのよね・・・。

バーレーンはほかに、スイス前哨戦「GPアールガウ」3位のボニファツィオのスプリントにも期待したい。

 

 

ハルリンソン・パンタノ(コロンビア、29歳)

ツールにおけるコンタドール親衛隊の一角を占める予定の超級クライマー。パリ~ニースでの献身ぶりも記憶に新しく、「コンタドール今年こそ・・・!」の責任を一身に背負う。

このスイスではそこに向けての実力試しでもあり、合わせて折角の総合エース。しっかりと結果を目指したい。総合表彰台を取れれば、今後の立ち位置にも大きく影響してくるはずだ。ちなみに昨年は総合4位。

チームメートには「GPアールガウ」2位のデゲンコルブもおり、ファンポッペル、デコルト、フェリーネたちと共にスプリントでの勝利を狙う。

 

 

ルイ・コスタ(ポルトガル、31歳)

2012年~2014年と3年連続総合優勝。まさに彼の黄金期であった。思い切ってドーフィネに出場した2015年から徐々に歯車が狂い始め、今年はアブダビツアーでの総合優勝によってやや挽回したものの、初出場のジロではあと一歩で勝利が掴めず悔しい思いに。今年も、スイスでの復活を狙う。

が、正直、もう総合優勝狙うのは厳しいんじゃないかなって思う。それよりはアタプマの可能性にかけた方がいい気も。コスタはまず区間勝利を狙おう。

そして同じくジロではてんでダメだったサッシャ・モドロが、直前のGPアールガウで見事勝利! その勢いを繋げることができるか?

 

 

リリアン・カルメジャーヌ(フランス、25歳)

昨年ブエルタを制したフランスの新たな「新鋭」は、今年に入ってからさらに勝利を挙げ続けている。我々の期待以上に。

エトワール・ドゥ・ベセージュ1勝&総合優勝、コッピ・エ・バルタリ1勝&総合優勝&ポイント賞、シルキュイ・シクリスト・サルテ1勝&総合優勝。いずれもクラス1のレースではあるが、ワールドツアーレースでも、パリ~ニースで山岳賞獲得など、しっかりと結果を残している。

しかしやはり、そろそろまた「1勝」が欲しい。ワールドツアーで。まだ厳しいかもしれないが、ぜひ、今回のディレクトエネルジーの総合エースとして、存在感を示してほしい。

コカールがディレクトエネルジーを去る、という噂も出ている。ヴォクレールもいなくなり、シャヴァネルもそろそろ・・・となるだろう。その中で、ディレクトエネルジーを引っ張っていける存在として、カルメジャーヌの存在はより重要なものとなっている。

 

 

ヤン・ヒルト(チェコ、26歳)

ジロで大ブレイクした新たな才能。来年どのチームからオファーが来るか楽しみである。本人がどう思っているかはわからないが、少しでも良い条件を引き出すためにも、今大会もしっかり存在感を示したいところ。メンバーもジロから引き続き参加が多く、実力は申し分なさそうだが疲れも心配。

パテルスキーは直前のポーランドのステージレース(1クラス)で区間1勝+総合優勝

(直前で不参加に)

 

 

ちなみにコースに関しては以下の、サイバナさんのサイトに詳しいので参考までに。非常に厳しいコースとなっていることがよくわかる。

ツール・ド・スイス2017コースプレビュー! - サイバナ

 

総合優勝候補にマティアス・フランクを推していて成程!と思う次第。

個人的にはあえてパンタノを推しておきたい。コンタドールのアシストとしてのコンディションチェックのはずが、やったらいけちゃった、みたいな。

 

新人賞はメルハウィ・クドゥス、ポイント賞はフェルナンド・ガヴィリア(サガンに勝て!)、そして山岳賞はカルメジャーヌで行ってみたいと思います。

ハンマーシリーズ スポートゾーン・リンブルフ2017 第3ステージ ハンマーチェイス

The・カオス!

 

ハンマーシリーズ第1戦「スポートゾーン・リンブルフ」第3戦は、前日のスプリントと同じシッタート・ヘレーンで開催された、14.9km×3周のチームTT方式の追いかけっこ「ハンマーチェイス」。

まず開催直前の段階で、前日に発表されたスタート順とは異なるスタート順が発表され、新たな方式のレースに主催者含め混乱した中で進んでいることを窺わせた。

 

結果、チーム・スカイが最初の出走チームとなり、そこからおよそ30秒程度遅れてチーム・サンウェブが続くことに。

これではスカイの圧勝になるかな・・・と思えばそんなことはなく。

デュムラン不在のサンウェブ(しかも6人しか登録していなかったがゆえにほぼ全員が既に2日間を走っており疲労が溜まっているはずの)が予想以上に良い走りをし、一方のスカイはカリフォルニアITTで勝利したばかりのジョナサン・ディヴェンがまさかの早期脱落。

残り3.5kmほどの地点でついにサンウェブがスカイを追い抜く。最初の30秒のタイム差を埋めたわけだから、驚嘆に値する。

 

だがさすがのスカイ。この後もしっかりとサンウェブを捉えたまま離さず(ドラフティングに引っかからないように多少の隙間を空けつつ)最終コーナー直前、残り500mのラインでサンウェブに並んだ!

その後、サンウェブは(おそらく)レナード・ケムナが独りで先行してしまい、後続の3人(シンケルダム、ワイテンス、ワルシャイド)と離れてしまう。スカイの選手がすぐさまその間を埋める!

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そして最終コーナーを右に曲がり、ラストのストレートに。

スカイ、圧倒的有利、かに思われた。しかし・・・

 

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タオ・ゲオゲガンハート、遅れる!

 

今回のレースは「4人目」のゴールがそのチームのゴールとみなされる。スカイにとっての「4人目」がこのタオであり、彼がサンウェブの残り3人よりも遅くゴールしてしまえば、スカイは敗けてしまうことになる。

 

 

これを好機とばかりに、加速するサンウェブの3人。

しかしタオも、ここで負けるわけにはいかない。死に物狂いでペダルを回し、そして——

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誰よりも早く、ガッツポーズをするタオ。

(冒頭の画像がそれを前から見たものである)

 

そりゃそうだ。前の3人は、自分たちのゴールでチームが勝ったのかはわからないのだから。タオだけが、勝利を判定することができる。

空撮のカメラも、先頭の3人はまったく映さず、この「4人目」のタオだけを映していた。ロードレースとして、かなり新鮮な映像(笑)。

 

もう、何から何まで新しすぎて、異様で、実況解説も興奮状態だったが、見てるこっちも(そしてリアルタイムで視聴していたTwitterのタイムラインも)爆笑状態でレースを見る、という経験をすることとなった。

 

 

正直、レースの完成度はまだまだ80%にも達していないのだとは思う。ドラフティング禁止というルールは徹底されることなく、むしろ徹底することなど不可能な状態で、1日目・2日目のポイント配分やルールも適性だったのかどうかは議論が待たれることだろう。

 

しかし、観る側にとっても、やる側にとっても新鮮なことばかりだったこのレースは、選手たち自身も経験したことのないような興奮の中で、彼らなりに楽しみ、達成感を得ることのできるレースだったよう、ではある(もちろん、負けた側は色々と不満もあるだろうが・・・)

改善点・反省点も多々ある中で、新しい刺激と視点をもたらしてくれた、この「選手主導のレース」がひとまずは成功(?)のもと幕を閉じたのはよかったと思う。

 

伝統的な、完成度の高い種々のレースをメインに据えながら、こういった新しい試みがより洗練された形で今後も発展していくことを願う。

 

そして、それらが完成された暁には、第一回となった今回のレースを顛末を、また笑い話の一環として振り返ることができたらそれはきっと幸せなことなんだろう。

 

とりあえず、面白かった! 選手たち、主催者、Jsportsの実況の方々、お疲れ様。そしてありがとう!

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2017 全チームスタートリスト&プレビュー

本日から開催されるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネの、全チームスタートリストおよび、簡単なプレビューを行う。

 

参考リンク

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

 

1~ チーム・スカイ

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2013・2015・2016年の総合優勝者フルームがエースナンバーを着ける。彼は同じ年に、ツール・ド・フランスも総合優勝を果たしている。落車した2014年に関しては、ツールも同じく落車してリタイア。まさに、ツール本戦のフルームの調子を占ううえで、この大会は非常に重要になるのだ。

とくに今大会は、例年にも増して厳しい勾配の登りが連続する。それはツール本戦とて変わらない。無敵のペース走行を見せ続けてきたフルームがどこまで対応できるか。

メンバーも相変わらず豪華。今年ストラーデ・ビアンケとミラノ~サンレモを制し、復活の兆しを見せるクフャトコフスキが、今年こそツールでフルームを助けると息巻いている。登りではボズウェル・クネース・ダビロペスの3銃士が活躍し、平坦ではロウ・スタナードの最強ルーラーが牽引してくれる。元イギリスチャンピオンのピーター・ケノーはもちろん、山でも平地でもフルームを全力アシストしてくれることだろう。最近ちょっと調子よくなかったみたいだったが、回復はしているのかな?

もちろんこれでも「一軍」には程遠い。なにしろ、ゲラント・トーマス、ワウト・プールス、セルヒオルイス・エナオなどがここにはいないのだから。彼らのいない中で他チームに対し圧勝に近い結果を出せれば、本戦ではより盤石と言えることだろう。

 

 

11~ AG2Rラモンディアル

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昨年総合2位、ツール本戦でも総合2位だったロマン・バルデがエースナンバーを着ける。今年はここまで調子があまりよくないシーズンを過ごしている。とくにパリ~ニースでは魔法の絨毯で失格までしてしまって・・・ツールに向けたコンディション調整がうまくいっているかどうか、このドーフィネでしっかり見極めたい。

登りではラトゥールの成長に期待したい。今後、総合エースを張る素質を持っているかどうか。ITTでも頑張ってほしいね。

個人的にはそろそろ、アクセル・ドモンの逃げ切り勝利を見てみたい、という思いが・・・今大会は厳しい登りでの逃げが決まるレイアウト少なそうなのが残念ではある。

 

 

21~ クイックステップ・フロアーズ

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昨年総合3位、ツールでは総合9位だったダニエル・マーティンがエース。アラフィリップはツールに間に合いそうになさそうだ。

急勾配の登りはマーティンにとって決して苦手ではないレイアウト。今回も総合上位を狙いたい。それ以外ではリケーゼがスプリントを担当し、アルデンヌ寄りの第1ステージをヴァコッチあたりが頑張れる、か? あまり勝てなさそうなメンバーというイメージ。

 

 

31~ BMCレーシング

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フルームが今大会で最も危険に感じるライバルと言っているらしい、リッチー・ポート。実際、昨年のツールで、ほぼ唯一、フルームの登りについていけた選手であるように思う。序盤のアクシデントさえなければ、総合2位に入ることは十分可能だったろう。今年もツアー・ダウンアンダー、そしてツール・ド・ロマンディで総合優勝。いい状態でここまできている。

アシストも揃っている。今年新加入のロッシュに加え、ツアー・オブ・オマーン総合優勝のヘルマンスが強力な牽引をしてくれるはず。もはや「アシストのいないBMC」は過去のものだ!・・・というようなシーンを見たい。

 

 

41~ トレック・セガフレード

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ここ最近、なかなか結果に繋げることのできていないコンタドール。もはやCyclingnewsの「ツール・ド・フランス注目の10人」の中にすら選ばれないほど。ただ、「レースを一番面白くしてくれる選手」としては間違いないのがコンタドール。今年のパリ~ニースも非常に盛り上がった。

その意味で、今大会の最終ステージ、単距離かつ激坂フィニッシュというこのステージでの活躍は期待したいところ。厳しい登りであれば、もしかしたら彼にとっても最適なのかもしれない・・・。

ツールで彼を補佐する最強の2人、パンタノとモレマは今回不参加。パンタノはスイスでエースを張る予定。2人がいない中、どれだけの走りを見せられるか。

また、別府選手も、ここでしっかりとアピールして、なんとかツールメンバーに選ばれたいところ。

個人的にはトゥーンスのスプリント勝利が見たい。あるいは、スペルディアも、そろそろ勝利を決めてほしいねぇ。。。

 

 

51~ モビスター・チーム

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とにかく強い37歳、バルベルデ。今シーズン出てる3つのステージレース全てで総合優勝。フレッシュ・ワロンヌリエージュ~バストーニュ~リエージュでも勝利して、今年すでに11勝。出てるレースの半分以上を勝利で終えている。無敵。

この勢いのままだと、ツールではフルームにとってはキンタナ以上の強敵になりうる。今大会最も動きに注目したい選手だ。

ここも、強力だが「最強」ではないメンバー。アルカスやカルパスといった若手有望選手の成長ぶりも楽しみだ。

 

 

61~ オリカ・スコット

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シーズン序盤に負傷し、今回は久々の出場となる。エースを張らないのはそのためか? しかしツール初出場を目指すチャベスにとって、前哨戦としてのドーフィネにかける思いは人一倍高いはずだ。メンバーもクロイツィゲルにサイモンとエース級が揃っており、昨年ブエルタチャベスを全力アシストしたハウスンの存在も心強い。最低でも表彰台を取らないと。

一方、スプリントでもゲランス&インピーの最強コンビが揃っており、起伏多めの今大会のスプリントでは、ボアッソンハーゲンやクリストフに次ぐ優勝候補となりうるだろう。とくにボアッソンハーゲンは、ツアー・オブ・ノルウェーで激戦を繰り広げた相手。リベンジを果たしたいと考えているはずだ。ポイント賞候補。

 

 

71~ アスタナ・プロチーム 

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口惜しいジロ欠場。昨年も散々な結果に終わった彼の、リベンジは果たせるか。チームとしても、スカルポーニ以来の勝利をなんとしてでもあげたい。ツールはあくまでもフールサンエースでいく、と宣言している首脳陣が、このドーフィネでアルをエースに指定したのは、昨年の1勝を重く見たからだろう。頑張れアル。底力を見せろ!

チームの1勝への思いは並々ならぬことが、メンバーからも伺える。フールサンはもちろん、ルツェンコにLLサンチェス。積極的な面子を揃えている。まず1勝。しっかりと1勝。何が何でも。

 

 

81~ チーム・ロットNLユンボ

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グリッチェもヘーシンクもいない。カリフォルニアで総合優勝したベネットも。クレメントは確かに昨年総合15位、ツールでも総合18位と、総合力のある選手ではあるが、しかし・・・。ほかに勝利できそうなメンバーはいるだろうか。バッタリンの逃げに期待といったところか。

 

 

91~ コフィディス・ソリュシオンクレディ

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スープ&ブアニ、最凶のヤクザ・スプリンターズ。フランスのステージレースではめっぽう強い彼らの1勝は十分に期待できるだろう。とくにほら、ブアニはどうせ今年もツールで序盤か始まる前にいなくなるでしょう?(暴言) じゃあここで勝っておかないとね。

 

 

101~ ロット・スーダル

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ギャロパンはさすがに総合TOP10入りは難しいとは思うが、ツール本戦に向けても、ステージ勝利を積極的に狙ってほしいところ。昨年モン・ヴァントゥーを制したデヘント、アルガルヴェ新人賞を獲ったベノートの走りにも注目。バルスとかもそろそろ大きな勝利を期待したいところ。

 

 

111~ FDJ

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デマールは今年5勝しているがワールドツアーでの勝利はパリ~ニースでの1勝のみと、昨年に比べると少し寂しい。今年新加入の強力なスプリンター、チモライも連れてきているので、ブアニやコカールに負けない走りをしっかり見せてほしい。

フレッシュ・ワロンヌで力強い走りを見せてくれた、2016年ラヴニール覇者ダヴィド・ゴデュの走りにも注目したい。普段はメガネのインテリ系。ワイルド系のラトゥールに負けるな!

 

 

121~ カチューシャ・アルペシン

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クリストフ、今期6勝。しかしワールドツアーの勝利は、今年昇格したばかりのエシュボルン・フランクフルトのみ。直近のツアー・オブ・カリフォルニアでは散々な結果に終わった。一方、今期新加入のアシスト、リック・ツァペルは上々の仕上がり。ライバルのボアッソンハーゲンに負けるわけにはいかない。世界選手権でのエースの座もかかっている。

マルティンも新チームでの初レースであるバレンシアでいきなりの逃げ切り勝利。一方で得意のはずのITTでの勝利はなし。アルガルヴェではカストロビエホに負け、ベルギー・ツアーではマティアス・ブランドルに負けた。単距離は得意でないかもしれないが、ツールの母国スタート時のITTは単距離。しっかり仕上げていきたい。

 

 

131~ チーム・サンウェブ

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2012年ラヴニール覇者のバルギル、そろそろ花を咲かせたい。総合でもステージでも、中途半端な結果ばかり。昨年総合3位を獲ったスイスではなくこちらへの参加を決めたのは覚悟の表れか、それともデュムランに追い出されたのか・・・。

ジロで上位に来る走りを見せたバウハウス、そしてオーメンなどの若手にも注目したい。

 

 

141~ バーレーンメリダ

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元ドーフィネ覇者ブライコビッチがエース。とはいえもう7年前のこと。基本はコルブレッリのスプリントで戦うことになりそう。アントニオ・ニバリもカタルーニャで積極的な逃げを見せていたので期待したい。

幸也は基本はコルブレッリのアシストか? 一番ユキヤ向きなのは第1ステージだが、果たして。

 

 

151~ キャノンデール・ドラパック

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2014年覇者タランスキー。以来、不遇の時を過ごしてきたが、昨年ブエルタ総合5位と、先日のカリフォルニアでの勝利など、復活の兆しが見えてきている。まずはこのドーフィネで、ベスト5を狙いたい。

ジロ総合10位と喰らいついたフォルモロの新人賞もチームの目標となるだろう。最大のライバルはもちろん、サイモン・イェーツだ。

 

 

161~ ディレクトエネルジー

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昨年はキッテル相手にかなりいいところまでいったコカール。今年こそはツール1勝を狙いたい。そのためにも、このドーフィネでの勝利は最低条件だ。

そして、トマ・ヴォクレール。人生最後のツール。ドーフィネでも第1ステージから逃げに乗る可能性大。新城と一緒に逃げたら感激しちゃうな。

 

 

171~ ディメンション・データ

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最大の目標はボアッソンハーゲンのステージ優勝だろうし、それは結構成し遂げてくれそうな気はするのだが、やはり今年もWTクラス存続が危ぶまれそうなので、総合上位も狙っていきたいところ。一番可能性があるのはパウエルスかな・・・。

 

 

181~ UAEチーム・エミレーツ

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昨年総合9位、ツールでも総合8位のメインチェス。今年はバスク1周でも総合6位と悪くない。ベスト5目指して頑張ってほしいところ。ウリッシも狙っていけるか。

スプリントではスウィフト。登りスプリントはどちからといえば得意だとは思うが、さすがに今回の面子の中で勝利を得るのは難しい、かなぁ。

 

 

191~ ボーラ・ハンスグローエ

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ついに復活、ケーニッヒ! ジロでその走りを見たかったが・・・ツールに出るとしてもマイカのアシストに徹し、本命はブエルタだとは思うのだが、まずは現状がどんなものなのか見ておきたい。

そして個人的に一番期待しているのがブッフマン。ボーラの叩き上げでまだ若いが、初出場となった2年前のツール・ド・フランスで、アスパン~トゥール・マレーの難関山岳ステージで終盤まで逃げ切って区間3位。そのときの優勝者がマイカである。

今年もツアー・オブ・ジ・アルプスで総合7位につけるなど才能を発揮中。2年前のドイツロードチャンピオンでもあり、今、最も期待できるドイツ総合系ライダーである! 今回の新人賞も取ってしまえ!

 

 

201~ ワンティ・グループゴベール

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今年、ツール初出場が実現。まずはどれだけ積極的に逃げに乗せられるか。そして、エースのマルタンが、どこまで山岳でついていけるか。元クイックステップで、今年ル・サミンでの勝利をチームにもたらしたヴァンケイスブルク、元FDJの北クラ巧者オフレドなど、実力者も多数。

 

 

211~ デルコマルセイユプロヴァンス

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アジアやフランスの1~2クラスのレースでそこそこ活躍しているチーム。別府選手の古巣で、ドーフィネの舞台は庭先のようなもの。とにかくまずは逃げだ。

ジュルアン・エルファレスは元コフィディス→ソジャサンでツール・ド・フランスにも3度出場し、最高で総合25位までのし上がったこともある。一番の実力者であることは間違いなし。

シシュケヴィチュスって凄い印象に残っている名前だと思ったら昨年のパリ~ニース第1ステージで逃げていた選手だ。今年のパリ~ニース第2ステージでも10位に入るなど、結構走れる選手なので期待したい。エヴァルダス・シシュケヴィチュス。声に出して読みたい。

 

 

 

 

表彰台予想

総合優勝:クリス・フルーム

なんだかんだでやっぱりこの選手だよなぁ・・・と思ってしまう。今のところ隙なし。すなわち今年のツールも彼で決まりかな、と思ってしまう。この予想が打ち破られるとしたらそれはレースが面白い展開になったときだ。

 

総合2位:リッチー・ポート

昨年、フルームにほぼ唯一ついていけた選手として、今年も期待しておきたい。あとは、変なところで遅れたりしてしまうその不運さ、さえなければ・・・。

 

総合3位:アレハンドロ・バルベルデ

やはり今年の調子の良さは見逃せない。総合優勝は難しくとも、これくらいは入ってくるのでは。それこそ、ツール本番でも。

 

総合4位:アルベルト・コンタドール

頑張れー! 調子は悪くないと思うので・・・激坂でフルームにどれだけ突き放されずに粘れるか。

 

総合5位:エステバン・チャベス

初のツール狙いということで、このあたりにまずは落ち着くんじゃないかと。怪我の調子からの復帰もどうなるか。

 

総合6位:ロマン・バルデ

今年のここまでの調子を見ているとこのくらいと考えてしまう。フランス人が2年連続で調子がいい、というイメージがない、というのも理由の1つ。

 

総合7位:アンドリュー・タランスキー

正直、これくらいは頑張ってほしい、という願いを込めて。

 

総合8位:ダニエル・マーティン

激坂耐性もあるのでもうちょっと上に行けるかな・・・? しかしあまりに長い登坂はそこまで得意というイメージもないし、アシストがそこまで頼れそうにないので、ベスト10に入るかどうかも厳しい、かもしれない。

 

総合9位:レオポルド・ケーニッヒ

個人的に好きな選手ではあるが、復帰直後ということもあって、いけてもベスト5は難しいかな、というのが本音。

 

総合10位:ルイ・メインチェ

ということで同時に新人賞候補。ほかの新人賞候補のフォルモロはタランスキー、サイモンはチャベス、ブッフマンはケーニッヒがいるので、彼ら次第というところもあるだろう。メインチェスもそろそろツール本戦でも目立たねばというところなので、頑張れという思いを込めて。

 

 

ポイント賞:サイモン・ゲランス

順当にいけばボアッソンハーゲンが2年連続、というのも有力だが、むしろパンチャー寄りなレイアウトが多めであることも踏まえ、そして最近ちょっと目立てていないゲランスにリベンジの機会を、ということで。あるいは、ステージ優勝までは取れないけれど上位に来そう、という意味合いも込めて。チャベスがいるのにエースナンバーをつけるその気合も見込んで!

 

山岳賞:トーマス・デヘント

今年ダウンアンダー山岳賞受賞。ある程度自由に動けそうなチームであることも加味して。ツールに向けて、昨年以上の活躍を! 昨年はせっかくモン・ヴァントゥー勝ったのに、同日に起きた「事件」のせいでイマイチ目立ちきれていなかった気がするしね・・・。