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りんぐすらいど

ロードレース関連の記事が中心。https://twitter.com/SuzuTamaki

ツアー・オブ・ジ・アルプス2017 総括

ジロ・デル・トレンティーノから名前を変えて、初開催となったツアー・オブ・ジ・アルプスは、「ジロ前哨戦」としての役割を十分にこなし、劇的な5日間の日程を終えた。

最終的にポディウムの頂点に立ったのはゲラント・トーマス。

初の総合エースとして挑むジロ・ディタリアに向けて「士気を高めることができた」とトーマス自身も語る*1ように、幸先の良い一週間となった。

www.cyclingnews.com

「ボンドーネの登りでたくさんの攻撃にさらされたけれども、僕は落ち着いていた。ピノがおそらく最強だったので僕はただ彼についていった。彼のアタックにも常に反応した。彼は強かったけれど、僕は彼についていくことができたんだ。そして最後の5kmでランダが追い付いてきてくれた。そして最後の登りで僕らを牽いてくれたんだ。とても頼もしかったよ*2

 

そう、最終日のヴァソン・モンテボンドーネ(全長22km/平均5.2%)でピノ、スカルポーニ、ローランの激しい攻撃を受け続けたチーム・スカイは、トーマスのアシストを全て失うという結果に見舞われた。元々6人しかメンバーのいない(他チームは8人)今回のスカイは、さらにこの日のステージの序盤でイアン・ボズウェルを失っていたのだ。

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だがトーマスはライバルたちの攻撃に冷静に対処し続けた。

そして、ランダが戻ってきたのだ! しかもそのまま集団を牽引し続け、最後はしっかりと先頭集団でゴールするほどのタフネスさを見せつけた。

 

まるで、クリス・フルームを幾度となく優勝に導いたリッチー・ポートの如き走りである。

 

昨年は失意のままにシーズンを終えることになったミケル・ランダが、アシストとしての最高のポテンシャルをもって今回、ジロ・ディタリアを迎えることができそうである。

 

 

ただ、この「ジ・アルプス」は、確かにジロに向けての良い予行練習にはなったものの、完全なそれではない。

 

「この勝利は僕にとって大きな自信につながるものとなった。けれど、この5日間の戦いは来る3週間の戦いとはまったく異なるんだということはわかっている。ジロで戦うべきライバルたちも全員ではなかった*3

 

実際、今大会ではピノ、スカルポーニ、デニスなどはジロ本戦と同様であったが、さらなる重要なライバルであるキンタナ、そして昨年度覇者ニバリなどは出場していない。

この2人の山での登りでついていけるかどうかが、トーマスの総合優勝に大きく関わってくるだけに、今回の総合優勝だけで過度な期待を抱くべきではない。

 

それでも、トーマスとランダというコンビネーションが存分に発揮されたことを知れて満足である。

ジロ本戦では今のところディエゴ・ローザバスティアン・エナオなどの強力なクライマーたちのサポートを得られる予定でもある。

 

ゲラント・トーマスは(あるいはミケル・ランダは)このジロで総合優勝を十分狙うことのできるポテンシャルがある。

第1回「ジ・アルプス」はその可能性を見ることのできた良い大会であった。

 

 

ティボー・ピノ総合2位 その走りの可能性

ピノが総合2位となった。

第3ステージでアタックを受けてトーマス、そしてポッツォヴィーヴォに追い抜かれたものの、その日以外ではすべてのステージで3着以内に入りボーナスポイントを蓄積し、最終日は念願のステージ勝利。ポッツォヴィーヴォを逆転し返し、トーマスとは7秒差での2位となった。

www.cyclingnews.com

これで今シーズンは4つのステージレースに出場し、そのうちの3つでポディウムに立ったことになる。

総合優勝こそなく、また、今年はジロ初出場ということで例年と比べ出場するレースの種類に違いはあるものの、一応はここ数年の間で最も良い状態を迎えている。

 

その秘訣となったのが、彼のスプリント力である。

勿論、スプリンターや比較的スプリント力があると言われているライダー(バルベルデやアラフィリップ、あるいは今回第4ステージのモンタグーティなど)には敵わないものの、いわゆるクライマーとされている選手たちの中ではなかなかに良い成績を上げている。

それは今大会だけでない。たとえばティレーノ~アドリアティコでも、第5ステージでトーマスやプリモシュ・ログリッチェを降して先着している。

このときは(厳しい登りを含んだレイアウトだったにも関わらず)ペーター・サガンが集団内に紛れ込んでいたためにステージ優勝とはならなかったものの、ピノの「スプリント」が彼の武器になりつつあることを示している。

ティレーノ~アドリアティコ第5ステージで、サガンに次ぐステージ2位でゴールしたピノ。

 

ただもちろん、この走り方で勝利を得られるのは1週間のステージレースならまだしもグランツールでは厳しいだろう。

あとはピノが近年力を発揮しているタイムトライアルと合わせ、登りでのタイムロスを最低限に抑えることで、今回のジロ・ディタリアでも総合表彰台に登ることは十分に可能だろう。

 

しかし総合優勝のイメージはなかなか持ててはいない。

それでも、ステージ優勝は狙ってほしい。

何度でも言うが、私は2015年ラルプ・デュエズでの彼の勝利に魅せられた男だ。

期待の裏返しのバッシングにも負けず、繰り返し彼を襲う不運にもめげず、最後まで走り切ったうえで得られたあの歓喜のゴール。

それだけに昨年のツールでの途中リタイアは悲しかった。

今回のジロは、たとえ途中どれだけ苦しくても、最後まで走り続けてほしい。

そのとき彼は再び、栄光を掴むことができるだろう。

 

 

さて、一方で残念な結果に終わったのがローハン・デニス。

彼もまた、意外なスプリント力でもって区間1勝と区間3位をもぎ取りはしたが、クイーンステージとなった第3ステージで大失速。最終的には1位とは4分以上のタイム差をつけられて総合19位に沈んだ。

しかし元々彼は、まだ本気で総合上位を狙う状態ではないのも事実である。

過度な期待をし過ぎるものではない。

また、ジロ本戦では得意のタイムトライアルの距離が長く、そこで稼ぐことも十分に可能だ。

目指すはジロトップ10入り。もしくはティージェイ・ヴァンガーデレンに頑張ってもらおう。

 

ちなみに、BMCでデニス以上の結果を出したのがブレント・ブックウォルター

最終日は区間2位に入り、最終結果は総合11位で終えている。

彼はジロ・ディタリアには出場しない予定だが、おそらくは昨年総合3位のツアー・オブ・カリフォルニアでエースを担うことになると思われる。

こちらも期待しておきたい。なお、彼の次の出場レースはツール・ド・ヨークシャーで、Jsportsでも放送されるため必ずチェックしておこう。

www.jsports.co.jp

 

その他、ポッツォヴィーヴォやスカルポーニ、ピエール・ローランといった、(大変失礼ではあるが)正直あまり期待していなかった選手たちの活躍が見られたのも収穫であった。

もちろん、それこそ1週間のレースと3週間のレースでは勝手が違うので同じような結果が出るとは限らないが、彼らが総合上位争いをかき乱してくれることを期待している。

(ただしローランはやはり総合争いに欲目を出さず、ステージ優勝か山岳賞をしっかりと狙っていってほしいものである)

 

 

イーガンアルリー・ベルナル 20歳の最強ライダー

ティレーノ~アドリアティコにおいてボブ・ユンゲルスに次ぐ新人賞2位に輝いた弱冠20歳のコロンビア人が、この「アルプス」でついに新人賞の座を射止めた。

第1ステージでこそわずかに遅れ、キャノンデールヒュー・カーシーにリードされていたものの、最終日の登りで力を発揮し、見事逆転を果たした。

そんな彼に食指を動かしているのがチーム・スカイヴィスタ、そしてバーレーンメリダである。

www.cyclingnews.com

ベルナルは現所属チーム「アンドローニ・ジョカットリ」と2019年までの契約を既に結んでいるが、上記チームはジョカットリに対する高額の移籍金を支払うつもりはあるらしい。さらにジョカットリのチームマネージャーであるジャンニ・サヴィオ氏も、交渉に前向きだとか*4

実際、彼の今後のさらなる成長のためにも、ワールドツアーのトップチームへの移籍は望ましいことであると考える。

とくにポートに続きゲラント・トーマスの動向も不透明なチーム・スカイや、キンタナに次ぐ次代を担う総合エースを育てたいモヴィスターにとっては喉から手が出るほどに欲しい人材であろう。

アスナタなんかもいいとは思うが・・・すでにミゲルアンヘル・ロペスがいるしね。

 

今後の追加情報が待たれるところである。

 

 

その他、今年2年目のジロ出場が決まったガスプロム・ルスヴェロのアレクサンデル・フォリフォロフの山岳賞獲得も熱かった。終始、積極的な走りを見せてくれていた。

まだ25歳で昨年は初出場のジロでいきなりの区間優勝を決めている。今年も大きな期待が寄せられているだろう。今のところは順調だ。

 

 

ステージ数の増加、TTTの消去など、名前だけでなくその内容も結構変化を加えて生まれ変わった「ジ・アルプス」。

トレンティーノ時代からの特徴であった山岳ステージ・山頂フィニッシュの多さはしっかりと継承し、短いながらも十分に「ジロ前哨戦」としての役割を果たした本レースの、来年以降の成功にも期待したい。

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https://tourofthealps.eu/enより。

*1:"It’s a good to go home with the win, it’s a boost for moral." Thomas takes morale boost into Giro d'Italia after winning Tour of the Alps | Cyclingnews.comより。

*2:上記引用より。

*3:上記引用より。

*4:Are Team Sky about to sign the next Quintana? | Cyclingnews.com

ツアー・オブ・ジ・アルプス2017 第2ステージ

大雪に見舞われたツアー・オブ・ジ・アルプス第2ステージは、ブレンナー峠をコースから除外するという方法を取った。

すなわち、スタート地点をインスブルックではなく、その南40kmのイタリアの都市ビピテーノになった、というわけである。下記断面図でいうと、最初の山岳がキャンセルされた、というわけだ。

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よって、ゴールが想定よりもずっと早く、また、悪天候ゆえにヘリが飛ばせないためにレース中の映像がほとんど入ってこなかった(のちにモトバイクから回収した映像がアップされているようだが)ため、リアルなレースはほとんど見られていない。

以下はTour of the Alps 2017: Stage 2 Results | Cyclingnews.comからの情報である。

 

これによると、今日のレースも、昨日スプリント賞のパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)と昨日山岳賞のアレクサンデル・フォリフォロフ(ガスプロム・ルスヴェロ)が頑張ったようである。

それぞれ、アッカーマンは12ポイントでスプリント賞の首位(2位とは8ポイント差)に、フォリフォロフは15ポイントで山岳賞の首位(2位とは11ポイント差)に立った。

パスカル・アッカーマンは今年23歳のドイツ人。昨年まではコンチネンタルチームに所属していて今年からボーラに。先日のシュヘルデプライスで5位に入るなど、スプリンターの強いボーラの中でもしっかりと存在感を示している。

 

 

さて、いよいよ最後のインナーヴィルグラーテンの登りである。


Tour of the Alps 2017, 2a tappa

※3分~ にモトカメラから回収した最終局面の映像。

 

最後の登りで先行していたフォリフォロフを捕まえたのは、昨年優勝者のミケル・ランダ(スカイ)と、ダミアーノ・カルーゾ(BMC)およびステファノ・ピラッツィ(バルディアーニ)。

とくにピラッツィが積極的な攻撃を展開していったが、ゴールまであとわずかのところで3人は捕まえられてしまった(捕まえられる直前のカルーゾの「あーあ、残念。俺たちよく頑張ったな」というような拍手はなかなか面白かった)。

 

そして集団ダンゴになってラストの登りスプリント。

まず先陣を切ったのがカハルラルのニコラス・シュルツ。昨年はオリカのトレーニーだった22歳のオーストラリア人だ。

しかしこれを追い抜いて最終的にゴールに先頭で突入したのが・・・ローハン・デニス

昨日のステージでは11秒遅れでゴールした彼が、この日はボーナスタイムの10秒を返還する勝利。

ジロ・ディタリアをエースで走る予定の彼が、意地を見せつけた勝利となった。

「今日の勝利は5月に向けての自信になったよ。残りのステージはもっと大きな登りで、より僕にあっているような気がするよ」と、残るステージでの勝利、そして総合上位に向けて戦う意志を見せた。

 

2着でゴールしたのがピノ。

こういった、緩やかな登りでのスプリント勝負は得意としているはずだったので期待していたが、ちょっと緩やか過ぎたかもしれない。

だが、昨日の3位と合わせ、ボーナスタイムは10秒獲得。同タイムで、ミケーレ・スカルポーニから総合リーダージャージを奪うことに成功した。

ピノもまた、ジロでの活躍が期待される選手である。

この後もステージでもしっかりとジャージをキープし続けてくれることを願う。

ツアー・オブ・ジ・アルプス2017 第1ステージ

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アルのまさかのジロ出場断念により、ジロ、およびこの「ジ・アルプス」のエースに突如抜擢された、スカルポーニ

今年で38歳になる大ベテランは、その責務をしっかりと果たした。

そして、チームに実に5か月半ぶりとなる、今シーズン初の勝利をもたらした。

彼自身にとっても、2013年のGPコスタ・デッリ・エトルスキ以来の勝利。

彼が2014年にアスタナに移籍してからは初の勝利であった。

 

 

ニコラ・バジョーリ(ニッポ・ヴィーニファンティーニ)やダヴィデ・バッレリーニ(アンドローニ・ジョカットリ)を含む5人の逃げが最初形成されるが、最初の山岳ポイントを前にして、チーム・スカイが中心となって牽引するプロトンに吸収されてしまう。

次の飛び出したのが、ガスプロム・ルスヴェロのアレクサンデル・フォリフォロフ。2つある山岳ポイントの両方を先頭通過し、この日の山岳賞を決めた。昨年ジロの山岳TTを制した男だ。

 

 

だがこのフォリフォロフの逃げも間もなく吸収。

最終的に飛び出したのが、アンドローニ・ジョカットリのフランチェスコ・ガヴァッツィ、チロル・サイクリングチームのマティアス・クリツェク、そしてニッポ・ヴィーニファンティーニのイウーリ・フィロージである。

残り17km段階でガヴァッツィ、クリツェクは脱落してしまうが、フィロージだけはギリギリまで逃げ続けた。

 

昨年ジロで、「ローテーションをサボる」「(作戦を理解しているのかわからない)アタックをする」などと山本元喜選手にブログでイジられまくって日本でも注目を集めた選手である。

今日のレースは、このフィロージが執念を見せた日でもあった。

 

 

だがやはりラストの登りは、総合勢による激しい争いが展開された。

AG2Rのエース、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォが積極的な攻撃を見せた。

チーム・スカイの2人いるエースのうちの1人、ゲラント・トーマスが、これに喰らいついた。

BMCの将来の総合エースを期待されているローハン・デニスは、少しばかり遅れてしまった。

 

勝ったのはスカルポーニ

だが、まだまだ決定的な差はついていない。

 

スカルポーニ、ゲラント・トーマス、ティボー・ピノ、ダヴィデ・フォルモロ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ、ダリオ・カタルド。少なくともこのメンバーが同タイムゴールを果たし、10秒以内にマッティア・カッタネオ、ヒュー・カーシーが控えている。

 

標高1386mにフィニッシュする第2ステージは、雪を含む悪天候が予報されている。

また大きなシャッフルがかかる可能性もあり、見逃せない展開となるだろう。

フレッシュ・ワロンヌ2017 プレビュー

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今年で81回目を迎える「フレッシュ・ワロンヌ」。

「フレッシュ」とは「矢」という意味でのフランス語で*1、意味は「ワロンの矢」というものである。

その名の通り、ベルギーのフランス語圏ワロン地方で行われる、アルデンヌ・クラシック第2戦である。

 

名物はもちろん「ユイの壁」。

登坂距離1.3kmで120.9mを登る。すなわち、平均勾配9.3%である。さらに最大勾配は26%にも達するとさえ言われている。自転車界屈指の激坂である。

 

これを越えるには軽いパンチャーや「登れるスプリンター」程度では歯が立たず、グランツールでも活躍するような一流のクライマーが優勝者に名を連ねている。

 

 

バルベルデが今年もまた勝利すれば、前代未聞の4連勝となる。

だが、今年の彼の調子の良さを見ていると、それが十分にありうる話だと思えてしまう。

またも勝利し、王者の貫禄を見せられるか。

 

いや、そうはさせじと、まだ勝利のない実力者たちも息巻いている。

3年前2位、昨年も3位のダニエル・マーティン

あるいは昨年、期待されながら直前の落車で不参加を余儀なくされたアレクシー・ヴュイエルモなど。

 

見所十分な「水曜日のクラシック」を、徹底プレビューしていく。

 

 

 

今年のコースと見所

今年のスタート地点は2013年大会にも使用されたバンシュの街。

そこから200.5kmの旅路が始まる。

 

コース全体を通しアップダウンが豊富だが、レース後半には名前のついた8つの「峠」が出現する。

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その中で3回通過する、最も難易度が高い峠が「ユイの壁」だ。

登坂距離1.3km、平均勾配9.3%、最大勾配は26%にも達すると言われる。

 

勝敗のすべてはこの最後の1kmちょっとにかかっていると言っても過言ではない。

その中でも特に、残り500mの急勾配区間が見所だ。

 

誰が最初に飛び出すのか。そして誰がそこに喰らいついていくのか。 

 

昨年は2012年覇者のホアキン・ロドリゲスが早駆けを行った。バルベルデはこれを落ち着いた様子でチェック。直前のアムステルを制したエンリコ・ガスパロットも好走を見せる中、次に飛び出したのが2014年2位のダニエル・マーティン

 

だがこれらをすべて潰し、先頭に立ったバルベルデ。圧巻の勝利であった。

アラフィリップも喰らいついたが、追い抜くことはできず、悔しい2年連続の2位となった。

 

手に汗握る、出入りの激しい攻防戦。

登りが好きな視聴者にとっては堪らない戦いを見せてくれるのがこの「ユイの壁」だ。

 

 

一方で、2015年大会から追加された、ラスト5.5km地点の「コート・ド・シュラーヴ」も、全長1.3km、平均勾配8.1%と侮れないプロフィールだ。

純粋な登りでの勝負が望めないアタッカーたちの攻撃が繰り広げられることは間違いないだろう。

 

昨年・一昨年はともに、「いつかアルデンヌで勝利するであろう」ティム・ウェレンスが攻撃を仕掛けたポイントでもある。

いずれも最終的にはモビスターを中心としたプロトンによって飲み込まれてしまったが、「今年こそ」という思いがもしかしたらあるかもしれない。

ただ、一昨年でその飛び出しのまま「ユイの壁」に突入した瞬間、その勢いが殺されてしまったので、やはりアタッカーなだけで攻略できるほど、この「壁」は甘くはないのかもしれない。

今年もまた、高い確率で「壁」勝負となることだろう。

 

 

では、今年の注目選手を見ていきたい。

 

 

 

注目選手たち

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、36歳)

今回勝利すれば通算5勝目。4年連続優勝となる。

さすがにそう上手くはいかないだろう、という至極真っ当な意見は、今期、出場したすべてのステージレースで総合優勝している、という信じられないその調子の良さを前にすると説得力を失うことだろう。

この男に不可能はないのかもしれない。とくに今年は、カタルーニャでも、コンタドールたちにも引けを取らない登坂力を見せてくれた。

 

今大会、紛うことなき優勝候補最右翼。

他の有力選手たちがいかに、彼を打ち破れるか、の勝負である。

 

 

 

ダニエル・マーティン(アイルランド、30歳)

2014年2位、昨年は3位。2015年ツールの「ユイの壁」でも4位、「ブルターニュの壁」では2位だった。

爆発的な登坂力が売りの典型的なクライマー。長年在籍したガーミンチームから移籍した昨年度は、ツールを始めとしてクライマーとしての才能をより開花させたような調子の良さが目立った。

今年もパリ~ニースで総合3位に入るなど、コンディションは十分。

それでも、フレッシュ・ワロンヌでは、アラフィリップにエースの座を譲るのではないか、と思っていた。

 

そのアラフィリップが、まさかの出場断念。

また「アルデンヌの王」ジルベールも欠場が決まった。

 

クイックステップの連携力にこそ、バルベルデ打倒の鍵があると思っていただけに、非常に残念な状況である。

現時点ではクイックステップの出場メンバーは固まっていないようだが、とにかくマーティンと並んで第一線で勝負できる選手を用意したいところである。

 

 

 

アレクシー・ヴュイエルモ(フランス、28歳)

2年前のツールでの光景が、今も忘れられない。

「ユイの壁」3位、そして「ブルターニュの壁」ではマーティンの追走を振り切ってのんステージ優勝。なお、その年の本物の「ユイ」では6位だった。

だからこそ、昨年は期待していた。それなのに、直前のアムステルゴールドレースで落車し、出場ができなくなってしまった。

 

それを意識してか、今年はアムステルに出場せず。

一応、チームにはロマン・バルデもいるが、実績から考えるとヴュイエルモがエースになる、はず・・・?

 

ちなみに「ヴュイエルモーズじゃなくてヴュイエルモが正しい発音なんだよ」と本人が自らメディアに注文をつけた。だが少なくとも日本においては十分広まってはいないようである。

 

 

 

ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、36歳)

パイス・バスコで1勝。登りスプリントのラ・リオハでは、サザーランドの逃げ切りは許してしまったものの、集団ではトップでゴールした。

そしてつい先日のアムステルゴールドレースでも、ここでもやはりクフャトコフスキとジルベールの逃げ切りになってしまったものの、追走集団の頭をとって3位。

「ロマンディではめっちゃ活躍するけどそれ以外では基本発射台」というイメージしかなかったオージーチームのスイス人が、ここにきてにわかに目立ち始めている。

 

勢いってのは重要だし、もしかしたら今回ひょっこり勝つかもしれない。

2012年は2位だったし、2015年も3位だ。

2014年と2016年も7位と決して悪くなく、昨年のリエージュでも2位だった。

いまだ獲得していない、でも伸ばした手のすぐ先に見えているアルデンヌの勝利を、そろそろ獲得しておきたいところである。

 

 

ルイ・コスタ(ポルトガル、30歳)

昨年10位。どちらかというとリエージュ向きで、フレッシュ・ワロンヌではそこまで目立った成績は出していない。

ただ今年はアブダビ・ツアーで見せた登坂力に期待したいところ。若干、シーズン序盤の好調ぶりがここ最近薄れてきているような気がするけれど、2013年~2014年以来の絶好調シーズンを迎えらえる可能性も・・・あるかどうかを、このアルデンヌで見せてほしい。

 

 

セルヒオルイス・エナオ(コロンビア、29歳)

先日のアムステルでの積極的な走りは素晴らしかった。

今年はパリ~ニースといい、ここまで積み上げてきたものをしっかりと発揮しつつあるシーズンを過ごしている気がする。

となれば、そろそろ期待したい。アルデンヌの中でもこのフレッシュ・ワロンヌこそ、彼に向いたレースである気がする。なにしろ2013年は2位。昨年は残念ながら未出走となってしまったが、パリ~ニースでも見せた強力なクライミングで、栄光をその手に掴んでほしいものだ。

すごい優しいおっちゃんの顔をしているので、勝ってほしい、とついつい思ってしまうんだよね。

 

 

 

ハリンソン・パンタノ(コロンビア、28歳)

アルデンヌでの実績は、まったくといっていいほど、ない。

フレッシュ・ワロンヌは昨年75位。その前の年は完走すらしていない。

 

だが、昨年のツール以降(スイス以降?)の彼の走りは、そんな実績など吹き飛ばして勝利を掴み取ってしまいそうな力強さを感じる。今年に入ってからも、コンタドールを献身的に支えるその登坂力に、誰もが唸ったはずだ。

今回勝ってほしい、とまでは言わない。

それでも、上位に入るだけの走りを見せてほしいものだ。

 

 

 

アラフィリップ、ジルベールを始めとして、ワウト・プールスなど有力選手が次々と不出場を発表しており残念極まりない。ホアキンも昨年引退してしまった。

エンリコ・ガスパロットもアムステルの落車で、厳しそうな気がする。

 

そうなってくると一層、「最強」バルベルデが揺るぎないようにも思えるが、それでも上記のメンバーの走りには期待したい。ぜひ、「下剋上」を成し遂げてほしい。

 

なお、上記以外に注目できそうな選手としては、

  • ロベルト・ヘーシンク(ロットNLユンボ)
  • サミュエル・サンチェス(BMC)
  • ヤコブ・フールサン(アスタナ)
  • ヨン・イサギーレ(バーレーン)
  • ホナタン・レストレポ(カチューシャ・アルペシン)
  • ワレン・バルギル(サンウェブ)
  • トムイェルト・スラフテル(キャノンデールドラパック)
  • ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)

あたりだろうか。

 

「コート・ド・シュラーヴ」辺りからのアタックも含めて、注目していきたいところだ。

*1:これがオランダ語だと「パイル piji」となる。すなわち「ブラバンツ・パイル」とは、「ブラバント地方の矢」という、似た意味の言葉になるのだ。

アムステルゴールドレース2017

誰もが、クフャトコフスキの勝利を疑わなかった。

ミラノ~サンレモでも見せた、クフャトコフスキの必勝パターン。

ジルベールとの差は、一車身以上あったのではないか。

 

それを、彼は執念で喰らいついた。

だけでなく、これを抜き返しさえしたのである!

 

あれだけ、集団を牽引し続けていたにも関わらず!

「四度目の勝利」を示すハンドサインと共にゴールするジルベールアムステルゴールドレース最多勝利数記録タイまで、あと1勝だ。

 

 

ジルベールの勝利は、もちろん彼が「強かった」というのもあるだろう。

だが、強いだけならクフャトコフスキも、追い付けはしなかったが後続のヴァンアーヴェルマート、バルベルデも同様である。

 

それでもジルベールが勝てたのは、彼の16年間のプロ生活の中で培われた判断力と、そして「ただ勝つ」以上を求める、「勝ち方」への執念の強さゆえであったのかもしれない。

 

彼はその意味で、真のベルギー人であることを、再び証明した。

 

 

 

第1の展開「クルイスベルグ」

今年で52回目を迎えるアムステルゴールドレースは、2013年以来の大改革を行った。

すなわち、レースの「顔」であった激坂「カウベルグ」を、ゴール前から排除する、という方策である。

 

結果、ゴール前19km地点のカウベルグを最後に、以降は強烈な坂が存在しない形となった。

この日、勝利を期待されていたのはスプリンターたち、とくに「登れるスプリンター」の代表格であり、過去のアムステルでも上位に入っているマイケル・マシューズであり、あるいは、先日のブラバンツ・パイルで優勝したソニー・コルブレッリなどであった。

 

だが、この「スプリンター有利」という予想が、プロトンの動きを思いがけぬ方向へと動かすことになる。

 

 

すなわち、残り39km地点。

29番目の坂「クルイスベルグ」で、ロット・ソウダルのティース・ベノートがアタックを仕掛ける。

これに反応したのが、チーム・スカイのセルヒオルイス・エナオ

ここまでは良かった。

ここまでは、それぞれ大本命のエースではなく、セカンドエースに準ずる選手が飛び出しただけなのだから。

 

だが、問題が、この動きに対し、フィリップ・ジルベールが反応したことである。

ジルベールはもちろん、今大会の優勝候補の1人であった。何しろアムステルは過去に3度優勝を果たしているのだから。

 

だが一方で彼は、過去のアムステル勝利を全て、「カウベルグ」で決めていた。

彼は「アルデンヌの王」であり、アルデンヌにつきものの激坂が存在しない今年のアムステルにおいて、最終盤で自ら勝利を掴むのは、至難の業のように思えた。

それゆえに私自身も、そこまで彼の勝率は高くないのでは、と考えていた。

 

 

だからこそ、彼はここで飛び出す必要があった。

ゴールまで残り40kmも残っている。

だが彼は2週間前に果たしている。ありえないと思われた、ロンド55km独走勝利を。

 

 

だから、彼を逃がすわけにはいかなかった。

しかしこの不意打ちに反応できたのは、ヨン・イサギレ、ホセホアキンロハスミヒャエル・アルバジーニ、ネイサン・ハース、ベルトヤン・リンデマンの5人だけ。

優勝候補のグレッグ・ヴァンアーヴェルマートも、アレハンドロ・バルベルデも、後続に取り残されてしまったのだ。

 

 

とはいえ、このジルベールたちの逃げも、どこまで通用するかは甚だ不安であった。

残り30kmを切った段階でタイム差は10秒ちょっと。

ここでもう1つの決定的な動きが生じる。すなわち、クフャトコフスキのブリッジである。

彼の加速に、ヴァンアーヴェルマートはついていけなかった。

ベノートとリンデマンを失い、新たにクフャトコフスキを加えた先頭7人を、ヴァンアーヴェルマート、バルベルデ、ティム・ウェレンス、ファビオ・フェリーネ、ワレン・バルギル、ルイ・コスタ、そしてボブ・ユンゲルスの7人が追走する。

 

優勝候補と思われていたマシューズとコルブレッリは、遥か後方に置き去りにされてしまった。

 

 

 

第2の展開「ローテーション」

一時は視界に入る位置にまで追い込まれた先頭集団。

実際に、クフャトコフスキという強敵を、招き入れることにもなってしまった。

 

だが、これ以上、後続の強力なライバルに追い付かれないために。

ジルベールはここで、自ら全力でローテーションを回すことにした。

 

 

ベルギーチャンピオンの積極的な走りを見せつけられて、 後続に優勝候補バルベルデを抱えるロハス以外の6人は、協力せざるをえなかった。

 

このとき、最後の勝敗を分けるうえで重要だったのは、チーム・スカイが、アシストのエナオだけでなく、クフャトコフスキもローテーションに加わったことである。

 

それも仕方なかった。何しろ、ジルベールは追走集団にチームメートのボブ・ユンゲルスがいる。

追走集団でローテーションに加わらず足を貯めているユンゲルスが、追い付いてきたと同時にカウンターアタックで前に飛び出せば、一気にクイックステップのペースに持ち込まれてしまう。実際に、ドワルスドール・フラーンデレンではそういった勝ち方を、クイックステップはやっていたのだから。

 

だから、クフャトコフスキも全力でペースを上げざるをえなかった。結果、7人中6人が完璧なローテーションを組むことができた先頭集団は、ユンゲルスやバルベルデといった積極的には回す必要のないメンバーを含む追走とのタイム差を、どんどん開いていくことができたのである。

ある意味で定石と外れたこの積極的な動きによって、ジルベールは最終的な勝利を掴むことになる。

このあたりは、ベテランのベテランたる経験に培われた判断力の賜物だったと言えるだろう。

 

ゴール後に彼は語っている。

 

「逃げグループ全員が力を合わせたおかげで、今日の勝利を手に入れることができた*1

 

全員に力を合わせさせたこと、これが今日のジルベールの勝因であった。

 

 

 

一方で、判断力だけでなく、「とにかく自ら前を行く」というジルベールのベルギー人らしいアグレッシブさが、勝利を掴んだ例だったといえるだろう。

ジルベールのその姿勢は昔からで、だからこそときに「タレ」てしまうような展開もあった。

今年も、パリ~ニースの頃くらいまでは、同じような雰囲気だった。

だが、そのあとのクラシックでの活躍を見るにつれ、その積極性がうまくかみ合うシーンが増えてきたように思う。

 

それはもしかしたら、チームメートの信頼がゆえだったのかもしれない。

もし自分が「タレ」ても、自分の代わりに勝利を掴んでくれるであろうチームメートが、常にそこにいる。

そういった、チームへの信頼感ゆえに、彼に全盛期の走りを蘇らせているのかもしれない。

チームが現在、最多勝利数をぶっちぎっていることも、彼に大胆な走りを許す環境を与えているのだろう。

 

だから最後のクフャトコフスキとの一騎打ちでも、彼は冷静だった。

まず最初に自ら先頭を牽き、あえてクフャトコフスキの得意パターンに持ち込ませ、その背後を捉えた。向かい風だった。「だから僕は混乱しなかった。少しずつ僕は近づいて近づいて・・・最後は僕にとって完璧だったよ*2」。 

 

 

「アルデンヌの王」が、実にベルギー人らしい走りと勝ち方を見せてくれた。

この後のアルデンヌ・クラシックの走りにも、ぜひとも注目したいところである。

 

2011年以来のアルデンヌ制覇、なるか?

*1:"All of us deserved the win today because we really worked together." Amstel Gold Race 2017: Results | Cyclingnews.com より。

*2:"it was a headwind so I didn’t panic, and I saw I was getting closer and closer, and it was perfect for me in the end." 引用元同。

ツアー・オブ・ジ・アルプス2017 プレビュー

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昨年まで「ジロ・デル・トレンティーノ」と呼ばれていたレースが、ステージ数・開催地域ともに拡大し、生まれ変わった。

www.cyclingnews.com

全4ステージで構成されていた昨年までと違い、今年は全5ステージ。

恒例の初日チームタイムトライアルもなくなり、頂上フィニッシュが3つ、下りフィニッシュが2つと、よりバランスのよいステージ構成となった。

「ジロ・ディタリア前哨戦」としてより相応しいレースになった、というべきだろうか。

 

また、舞台となるのも北イタリアの地だけでなく、4年ぶりにオーストリアでのスタートとなり、全5ステージ中3ステージがオーストリアだ。

「アルプス1周」の名に違わない、国際的なレースへと進化したことを窺わせる。

 

開催日程は4月17日(月)~21日(金)の5日間。

ジロで活躍が見込まれる有力選手たちも多数出場しており、見逃せない戦いだ。

 

 

各ステージ詳細


Tour of the Alps - The route

第1ステージ クーフシュタイン~インスブルック 142.3km

西オーストリアのチロル州を東から西へ突き進むステージ。フィニッシュは州都インスブルック郊外の「フンガーブルク」の町。

距離も短く全体的に厳しい山岳があるわけではないが、ラスト2.3kmで300m弱を登る急勾配フィニッシュとなるため、確実にタイム差がつく結果となろう。

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ちなみにこのインスブルックの街の中心部からフンガーブルクまでは「フンガーブルクバーン」という名のケーブルカーがあり、一般人でも楽々登れるようである。

フンガーブルクからの眺めは美しく、一度は行ってみたい場所である。

第1ステージのレースレポートは以下を参照。

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

第2ステージ インスブルック~インナーヴィルグラーテン 181.3km

インスブルックから今度は南東に進路を変え、インナーヴィルグラーテンの街へ向かう。ここもフィニッシュは一応頂上ゴールだが、第1ステージと比べると随分緩やか。

むしろポイントとなるのはゴール前22.3km地点に位置する「聖ユスティナ」の名がついた山岳ポイント。6kmで400m弱を登るこの山岳で、セレクションをかけられてしまう選手もいるかもしれない。

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第3ステージ ニーデルドルフ~ヴィルヌース 143.1km

いよいよ舞台は北イタリア、トレンティーノ・南チロル州へ。

ニーデルドルフもヴィルヌースもそれぞれドイツ語読みで、イタリア語読みに直すとそれぞれヴィッラバッサ、フューネスと読む。国としてはイタリアではあるものの、この地域に住む人々の9割以上がドイツ語話者なので、ここでもドイツ語読みをメインで扱う。

この事実だけでも、この地域が非常に複雑な歴史を歩んできたことがよくわかる。だからこそ、国境を越えた今回のようなステージ―レースへの進化は、単なるスポーツとしての盛り上がり以上に重要なのかもしれない。

 

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 コースの特徴としては、第1・第2に続く頂上ゴールとなり、ラスト10kmで600mちょっとを登る。

だがそれ以上に、2つの大きな山岳、とくに後半の「アルペ・ロデンゴ・ズミス」は10kmで800m以上登るレイアウトの(しかも途中の下り部分を含んでそれ、である)ため、もしかしたらここで、激しいアタックが仕掛けられるかもしれない。そのあとの長い下りも勝負ポイントとなるだろう。

近年、下りで勝負が動くことの多いロードレースにおいて、このステージは実にゴール前50kmから見逃せないステージとなるはずだ。

 

 

第4ステージ ボルツァーノ~クレス 165.3km

南チロルを南下し、いよいよイタリア語話者が4分の3以上を占める地域にやってきた。なのでここではイタリア語読みのボルツァーノで表記しよう。

ここも厳しい山岳が2つ、プロトンを待ち構えている。逆に登りに自信があるライダーたちはスタート直後から激しいアタック合戦を繰り広げ、場合によっては大規模な逃げが生まれるかもしれない。

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そして最後の山岳「フォルチェッラ・ディ・ブレズ」からゴールのクレスまでのルートは、昨年の最終ステージとまったく同じレイアウトだ。

昨年の同ステージでは、この最終山岳でランダ、フールサン、ポッツォヴィーヴォ、バルデ、そしてカンゲルトなどを含む13名が残り、最後はスプリント争いでカンゲルトが勝利。3位につけたランダもギリギリで総合優勝を果たしたステージだった。

よって、このステージを制するには、単純な登りの力だけでなく、最終的にはクライマーたちの中で突き抜けられるだけのスプリント力が必要になる、ということだ。

この点で、私はこのステージでティボー・ピノを推したい。

ルタ・デル・ソルでコンタドールを突き放した頂上ゴールでのスプリント力に期待だ。

・・・もちろん、そこまでの山をしっかりと登り切れれば、の話だが。

 

 

第5ステージ ズマラーノ~トレント 192.5km

「ジ・アルプス」第1回のフィナーレを飾るステージは、20kmで1200mを登らせる山岳「ヴァソン・モンテ・ボンドーネ」で締めくくられる?

いや、カテゴリはついていないが、ゴール前2.5km地点にある短い急坂にも注意が必要だ。何しろ2kmで200m近くを登らせる、すなわち平均勾配10%の登りなのだから!

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このラストの急坂で、わずかなタイム差を逆転されて総合優勝者が大きく変動する可能性もある。最後の山岳で飛び出した逃げ切り狙いの選手がここで失速する可能性もある。

最後の最後までどうなるかわからない、手に汗握る展開を招きそうなコースレイアウトである。

 

 

以上5つのコース全体像を踏まえ、今大会の有力選手・注目選手をピックアップしてみよう。今回は、チーム毎のピックアップだ。

 

 

注目チーム・選手たち

チーム・スカイ(SKY)

前年覇者ミケル・ランダがエースナンバーをつける。もちろん、彼もジロ本戦含め総合優勝を狙ってくるだろう。

だが、もちろんこのチームのもう1人の総合優勝候補はゲラント・トーマスである。ティレーノ~アドリアティコ総合5位のその実力が、今大会でも発揮されるか否か。ジロ本戦におけるエース争いという意味でも注目に値する。

その他、注目はディエゴ・ローザの存在。2015年にはランダの総合2位を支える重要な役割を担った。今年のジロでも重要なアシストとしての活躍が期待できるだけに、今大会での動きには注目をしておきたい。

ティレーノ~アドリアティコでは第2ステージの逃げ切り勝利も決めたゲラント・トーマス。突然の飛び出しからの勝利も十分にありうるだろう。カタルーニャが大人しかったのが唯一気になる点だ。

 

 

AG2R・ラモンディアル(ALM)

「ジロ・デル・トレンティーノ」にこれまで12回出場し、ステージ3勝と総合優勝&山岳賞を1度掴んだドメニコ・ポッツォヴィーヴォ。今回ももちろん、ステージあるいは総合を狙っていくだろうが、かつてのような実力は出し切れないシーズンを過ごし続けている。

一時はバルデが出るかも?と噂されていたジロも、結局は不出場となり、ポッツォヴィーヴォのエースの座はなんとか守れそうではある。しかし、そろそろ結果を出さないと・・・何しろ昨年は、バルデとラトゥール以外、HCクラス以上のレースでの勝利がなかったのだ(2015年は11勝)。それでチームは方針転換を余儀なくされた。ポッツォヴィーヴォも責任は感じているかもしれない。

それはポッツォヴィーヴォ以外のメンバーにも言える。とにかく逃げて、逃げて、逃げまくれ! そして逃げ切り勝利を狙うのだ。。カンタン・ジョレギシリル・ゴチエあたりに注目だ。

ともかく、やらねばならない。ポッツォヴィーヴォ、34歳。まだまだ隠居するには早すぎる。

 

 

アスタナ・プロチーム(AST)

ファビオ・アル、まさかのジロ出場断念!

この緊急事態に、それに代わるエースとして抜擢されたのが、ミケーレ・スカルポーニ。確かに、昨年ジロにおけるアシストぶりは完璧だった。彼がいなければニバリの総合優勝はなかったと言っても過言ではないと思う。しかし、彼はもう37歳である。グランツールの総合リーダーを演じるには、さすがに厳しいのではないか・・・(バルベルデは除く。あの人は規格外なので・・・)。

そもそもチームとしても危機的な状況である。何しろ、シーズン開幕から4か月。いまだに1クラスですら勝利がないのだ。昨年2勝しているタネル・カンゲルトに対する期待は果てしなく大きいことだろう。

昨年ジロでニバリを献身的にアシストしたスカルポーニ。彼がジロを総合優勝したのは今から6年前。ちなみにその年は、トレンティーノも総合優勝している・・・。

 

 

BMCレーシングチーム(BMC)

最も期待したい選手はローハン・デニスである。ティレーノ~アドリアティコでは総合2位。ティージェイ・ヴァンガーデレンと並び、BMCにおけるジロのエースを担うが、ヴァンガーデレンが今年もあまり期待できそうにないので、必然、デニスへの注目が高まる。

もちろん、彼の大きな武器はITTであり、ティレーノでもその武器が存分に発揮された。今年のジロもITTの距離は長いのでその点では例年以上に有利ではあるのだが、やはりITTだけに頼ってはグランツールでは勝利できない。本当に山岳をいくつも越えられるのか? その意味で、今回の「ジ・アルプス」は彼の実力を図ることのできる重要なレースとなるだろう。ITTのない本レースで、どこまでの結果を出せるか。

グランツールでも総合上位に入ることの多いダミアーノ・カルーゾ、また期待の新人マイルス・スコットソンの活躍にも注目。

オールラウンダーとしての実力を確実につけつつあるローハン・デニス。本人は「3年以内に」とまだまだ焦る様子は見せないが、今回のアルプスでの走りには期待しておきたい。

 

 

ボーラ・ハンスグローエ(BOH)

実はパトリック・コンラッドが昨年総合5位、エマヌエル・ブッフマンが昨年総合8位となかなかに活躍している。しかし今年はコンラッドが出ない! なぜ!? パイスバスコも総合7位と結構活躍してたのに! 今年は彼の地元オーストリアでの開催なのに!

ということで、エマヌエル・ブッフマンと、2015年総合6位のホセ・メンデスに期待、か? 総合優勝は、難しいだろうなぁ。。。

 

 

キャノンデールドラパック・プロサイクリングチーム(CDT)

ジョー・ドンブロウスキーピエール・ローラン。実力はあるのに、なかなか結果を出せずにいる2人にとっても、今年のジロは「勝負」である。いや、総合は狙わなくてもいい。だがせめて、勝利だけでも。とくに今年のキャノデは、アスタナと並んで勝利が得られない危機的状況にあるのだ。

ローランは山岳賞を狙っていく、というのも手だ。カタルーニャでは積極的な逃げを見せて、中間スプリントポイントの取得数で得られる「スプリント賞」を獲得している。

いずれにしてもこの2人がどれだけジロで暴れられるか、その可能性をチェックできるレースとなるだろう。

 

 

FDJ(FDJ)

ピノ! ピノ! ピノ!

期待すればするほど反動が怖くはあるのだけれど、それでもやっぱり期待せずにはいられない。今年はルタ・デル・ソルとティレーノ~アドリアティコでそれぞれ総合3位と悪くない。ITTがなければティレーノでは総合2位だったのだ。

それにこの「ジ・アルプス」ではライバルが少ない。総合優勝も十分狙えるでしょう? ジロはまあ、難しい、とは思うけれど・・・。

 ジェレミー・メゾンヴァンサン・レオなどの若手の成長にも期待。

ティレーノ第5ステージでは、飛び出したサガンに続いて、集団内トップでゴールした。その勝負強さはルタ・デル・ソルでも活かされており、今回の「ジ・アルプス」でも、総合だけでなくステージ勝利にも期待したいところだ。

 

 

アンドローニ・ジョカットリ(AND)

とにかく、昨年デビューしたばかりの新鋭コロンビア人、イーガンアルリー・ベルナルの動きに大注目である。昨年はコッピ・エ・バルタリとトレンティーノで新人賞、今年もサン・フアンとコッピ・エ・バルタリで新人賞獲得のほか、ティレーノ~アドリアティコでもボブ・ユンゲルスから27秒差で新人賞2位である。ジロ・デッラ・アペンニーノでも2位と調子は十分。今年も新人賞はもちろん、総合ベスト10も狙っていきたい! あるいはステージ優勝を!

今、大注目の20歳である。来年にはどこかのワールドツアーチームに在籍しているかも?

 

 

ニッポ・ヴィーニファンティーニ(NIP)

昨年のジロのダミアーノ・クネゴの走りは盛り上がった。最後には山岳賞ジャージを奪われてしまったが、まだまだ走れるんだ、という姿を見せてくれた。今回もジロ本戦は出られないものの、この「ジ・アルプス」でその雄姿を見せてほしい。ところでツアー・オブ・ジャパンには来るのだろうか?

しかしクネゴ以外に勝てそうな選手があまりいないように見える・・・。こういうときこそジュリアン・アレドンドの出番だと思うのだが、彼は調子が悪いのか? ここ最近まともにレース出場ができていない。

王子クネゴの復活なるか⁉ 全日本人が期待・・・してるはず。もちろん伊藤雅和選手の活躍にもね!

アムステルゴールドレース2017 プレビュー

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いよいよ始まる「アルデンヌ・クラシック」3連戦。

その緒戦となるのがこの「アムステルゴールドレース」である。

舞台となるのはオランダ南部のリンブルフ州

オランダとはいえ、リエージュからは鉄道で30分程度の距離。

ベルギー同様の熱いクラシックレーサーたちによる激戦が繰り広げられている。

 

今回はこの、「アルデンヌ緒戦」アムステルを徹底プレビューしていこう。

 

目次

 

 

アムステルゴールドレースについて

激しい起伏が特長で、クラシックスペシャリストというよりはグランツールでも活躍するようなクライマーに近い選手たちが活躍しがちなアルデンヌ。

その中でも、第1戦となるこのアムステルは、「トラジション」のレース、と言われることもあるようだ*1。だから、1週間前までの「北のクラシック」で活躍していたメンバーたちにもまだまだ勝機が残る。フランドルで勝利を獲りこぼしてきた選手たちもなんとか勝ちを狙っていきたいところだ。

 

過去の優勝者は以下の通り。

 

 

問題は、今年のコースに変更がかけられていることだ。

 

かつては名物「カウベルク(登坂距離1.2km、平均勾配5.8%、最大勾配12%)」の頂上にゴールが据えられており、まさにアルデンヌといったレイアウトであったが、2013年からはカウベルク登坂完了後に1.8kmの平坦が続くというレイアウトになっている。

 

この変更には当時、賛否両論があったようだが、個人的には好ましく感じてもいた。

このレイアウトになって以来、カウベルクで飛び出した選手がそのまま逃げ切ったパターンが2回、誰も飛び出さずスプリント勝負に持ち込まれたのが1回である(2013年はラスト7kmからの独走勝利)。

どんな終わり方になるか、選手も視聴者も想像がつかず、駆け引きと飛び出すタイミングがモノをいう、見ごたえのある展開を生み出すレイアウトであったように思えるのだ。

 

しかし今年はそのレイアウトにさらなる変更がかかった。

www.cyclowired.jp

 

例年であれば4度通過するカウベルクを、今年は3度だけしか通過しないという。

となれば、例年カウベルクで攻撃を仕掛けていたパンチャー/クライマーたちは必然的に大人しくなり、場合によってはスプリンターたちが大挙して押し寄せるフィニッシュとなるかもしれない。

 

あるいは、ロングエスケープを得意とする選手たちによる逃げ切りが、より決まりやすくなった、とも言えるかもしれない。

 

 

そこで私が今回、個人的に最も期待している選手が以下の人物である。

 

ティム・ウェレンス。25歳のベルギー人。

リンブルフ州(といってもアムステルの開催地である「オランダの」ではなく、そのお隣の「ベルギーの」であるが)出身の選手だ。

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注目選手① ティム・ウェレンス 

元マウンテンバイク出身の選手であるティム・ウェレンスは、2012年に現チームでプロデビューを果たした。

彼が頭角を現したのはその2年後の2014年。エネコ・ツアーで区間1勝と総合優勝を成し遂げ、翌2015年にも同じくエネコ・ツアーを総合優勝した。

同年にはグランプリ・シクリスト・ドゥ・モンレアルでも優勝し、ロット・ソウダルの期待の若手としてその名を轟かせた。

 

そんな彼が「期待の新人」から「トップライダーの一員」となったのは、昨年、すなわち2016年シーズンである。

 

まずは3月のパリ~ニース最終ステージ。

ゲラント・トーマスとの秒差の勝負を仕掛けるアルベルト・コンタドールとリッチー・ポートと共に逃げ、ラストのスプリントでこれを制した。

さらにジロ・ディタリアでも(トム・デュムランに唆されて?)勇気ある飛び出しを仕掛けて逃げ集団にジャンプアップ。そこからもアタックを決めてそのまま逃げ切り勝利を果たした。

総合優勝したツール・ド・ポローニュでも、決めてとなったのは第5ステージでの単独大逃げである。

そもそもベルギー国内選手権でもジルベールと共に逃げ、最後には敗れはしたもののヴァンアーヴェルマートなどを降しての2位である。ベルギー人ライダーとしても最高峰に位置する選手であることを証明した。

 

上記経歴を見てもわかるように、彼の勝利の際に常にそこにあるキーワードは「逃げ」。

そう、彼は、他の選手ではそう簡単には出ようと思わない絶妙なタイミングで飛び出し、そのまま逃げ切り勝利を決めてしまうパターンが多いのだ。

もちろん、うまくいかないことも多くある。

だが彼の強みは、それでも諦めずにまた挑戦する、その勇気と執念にあるのだ。

彼は逃げのスペシャリストである。

 

今年のティム・ウェレンスも非常に調子が良い。

年初のマヨルカ・チャレンジでいきなり2勝。そのあともルタ・デル・ソルで1勝だ。

もちろんいずれも得意の「逃げ」である。

 

そして特筆すべきは、初出場であったはずのストラーデ・ビアンケでの3位。

このレースもまた、アムステル同様、フランドルとアルデンヌの両方の特徴を兼ね揃えているかのようなレースだ。

そこでの好調ぶりは、彼のこのアムステルでの勝利の可能性を期待させてくれるものだ。

ストラーデ・ビアンケにおいて繰り返しアタックを試みたウェレンス。残念ながらこのときはその攻撃が実を結ぶことなく勝利は得られなかったが、それでもこのアルデンヌでの活躍を期待させてくれるだけの走りは見せてくれた。

 

 

ではそんなウェレンスの、昨年までのアルデンヌでの走りはどうだったのか。

結論だけ言えばこれもまた、積極的な「逃げ」を展開してくれていた。

だが、彼はいずれも失敗してしまった。

原因は「坂」である。

 

まず2015年のフレーシュ・ワロンヌを見てみよう。

同年から加えられた、ゴール前5.5km地点の新たな勝負所「コート・ド・シュラーヴ」。

ここで飛び出したウェレンスは、そのまま「ユイの壁」に単独で突入した。

 

しかし、本格的なクライマーたちが覇を競い合う激坂中の激坂を前にして、さしものウェレンスも歯が立たなかったようだ。一気に失速し、集団に飲み込まれてしまった。

 

そして昨年のアムステルゴールドレース

ラスト10km地点を過ぎた辺りで、ウェレンスがアタックを仕掛けた!

そして15秒近いリードをもって最後のカウベルグに突入したのだが・・・やはりここでも失速。アクセル全開で坂を上り始めたガスパロットに追い抜かれ、そのまま彼が勝利を決めてしまったのだ。結果は10位。

 

ウェレンスはアルデンヌでも彼らしい走りを見せてくれていた。しかしアルデンヌのアルデンヌたる所以である厳しい起伏を前にして、ステージレースでは圧倒的な力を誇るウェレンスのエスケープ力はまだまだ及ばない様子だったようだ。

 

しかし今年のアルデンヌはそのレイアウトが変わる。

カウベルクはゴール前19km地点に移動し、そこでは優勝候補たちの大きな動きが起こらない可能性があるのだ。

あるとしたらそれは、少数によるエスケープの動きである。

 

となれば、ウェレンスにとっては得意の領域である。

カウベルクの登りをこなした直後にアタックをするか、あるいは昨年同様ベメレルベルク(今年は残り5.6km地点にあるらしい)でアタックするか。

いずれにしても終盤の彼の動きには注目しておきたい。

 

 

だが、今回のコース変更でもう一人、勝率を高めそうな人物がいる。

 

それは、2015年覇者であり、同じく今年絶好調の男、ミハウ・クフャトコフスキである。

 

 

注目選手② ミハウ・クフャトコフスキ

先述した通り、ティム・ウェレンスは「フランドルとアルデンヌの合いの子」ストラーデ・ビアンケで3位だった。

では優勝した選手はだれか?

それがこの、クフャトコフスキである。

しかも彼はこのとき、「独走勝利」を成し遂げたのである。

残り15km地点からの独走勝利を成し遂げたクフャトコフスキ。昨年のE3以来、およそ1年ぶりとなる勝利だった。

 

 

さらにクフャトコフスキは今年、ミラノ~サンレモも制している。

このときもまた、ポッジョの山頂で飛び出したサガンについていき、そのうえでスプリントを制するという得意パターンであった。

なお、クフャトコフスキは2015年のアムステル勝利の際も、カウベルクでのアタック合戦ではなく、スプリント勝負に持ち込まれたうえでの勝利であった。マイケル・マシューズやアレハンドロ・バルベルデを降しての勝利である。

今年の新レイアウトが、スプリント争いになる可能性があることを考えると、あらゆるパターンでの勝利が考えられるクフャトコフスキは最大の優勝候補となりそうだ。

2015年のアムステルを制したクフャトコフスキ。昨年は3周目カウベルクで足を使い果たしリタイアしてしまったが、今年はリベンジを果たすことができるか。

 

 

その他注目選手

それ以外の注目選手としては、クフャトコフスキ同様に逃げもスプリントも狙えそうで今年絶好調なアレハンドロ・バルベルデ、あるいはパリ~ルーベを制したばかりのグレッグ・ヴァンアーヴェルマートも、フレーシュやLBLよりも彼に向いてそうなこのアムステルで勝利を狙ってくるだろう(ストラーデでは2位だった)。

 

そして、例年以上にスプリンター向きとなる今年のコースで勝利が期待されるのがマイケル・マシューズ。いつかアムステルを制するだろうと期待されているが、今年は最大のチャンスである。

また、スプリンターと言えばディレクトエネルジーのブライアン・コカールも油断できない。あるいはこのチームの場合、今年大ブレイク中のリリアン・カルメジャーヌもおり、展開次第では彼が勝負を狙ってくる可能性も十分にありうるかもしれない。

 

そしてチームとして期待したいのがバーレーンメリダ

エースナンバーはもちろん昨年覇者エンリコ・ガスパロットが着ているが、どちらかというと激坂向きの彼にとって、今回のコースレイアウトは決して有利とは言えないだろう。

むしろソンニ・コルブレッリがエースとなりそうだ。昨日のブラバンツ・ペイユでの勝利で、その可能性が一気に高まった。2014年アムステル10位の新城幸也も、最終発射台として活躍してくれそうだ。

アルデンヌ前哨戦とも言うべきこのレースで見事勝利したコルブレッリ。パリ~ニースでの勝利が記憶に新しいが、今年の「北のクラシック」でも上場の成果を挙げている。なお、ウェレンスはこのレースでは4位。勝てはしなかったがよい仕上がりを見せている。

 

 

他にも、ここ最近は勝てていないが意外とスプリント力もあるリゴベルト・ウランや、ここまで好調に過ごしてきているルイ・コスタ(UAEはスウィフトやウリッシも優勝候補だ)。

もちろん、ロンドを制した「アルデンヌの王」フィリップ・ジルベールも、自身4回目となるアムステル制覇を目指してくるに違いない(今年は喧嘩しないように・・・)。

大穴?としてカチューシャのバプティスト・プランカートルにも注目しておきたい。

 

 

 

なんだかんだで、今回のコース変更も、アムステルの新たな魅力を生み出しそうで期待は高まる。

何しろロンドも、あんなところにあるカペルミュールから勝負が動いたのだ!

残り19kmの勝負所というのも、いいスパイスになるのかもしれない。

むしろ他のアルデンヌ2戦との差別化がより進むといったところである。

 

昨年もアルデンヌ3連戦の中で実は一番楽しめたこのアムステル。

大きな期待をもって観戦したく思う。

 

当日は自分もこちら↓↓に参加しながら観戦します。よろしければ是非。

【サイバナラジオ】4/16(日) 22:00から放送開始します!【アムステルゴールドレース】 - サイバナ

同サイトではアムステル2017の詳細なコースプレビューも行っているため、ぜひ参考にしてください。