りんぐすらいど

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AG2R La Mondiale 2018年シーズンチームガイド

読み:アージェードゥーゼル・ラ・モンディアル

国籍:フランス

略号:ALM

創設年:1992年

使用機材:Factor(イギリス)

2017年UCIチームランキング:7位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

2018年ロースター

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2016年・2017年と連続でロマン・バルデをツール総合表彰台に押し上げた。とくに2017年ツールは、チームとしてエースを守る体制が出来上がっており、今後における可能性をより感じさせた。あとはエースのTT能力さえ改善されれば・・・。

一方、オリバー・ナーゼンやスティン・ヴァンデンベルフの加入によって強化されたはずの北のクラシックは、結局勝利を得られずに終了してしまう。今年はさらにシルヴァン・ディリエやクレモン・ヴァントゥリーニの加入によって強化を図る。グランツールだけでなく、クラシックでも結果を出せるチームに――ギャロパンの加入は、その意味でも大きな意味を持つだろう。

ポッツォヴィーヴォの移籍は、ツール以外のグランツールでの総合上位を狙える駒を失ったことを意味する。その意味で、ラトゥールの成長には大きな期待がかかっている。

 

 

注目選手

ロマン・バルデ(フランス、28歳)

脚質:クライマー

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AG2R絶対唯一の総合エース。2014年にツール新人賞を獲得し、2016年・2017年と連続で総合表彰台に登る。今年のツールではフルームを凌駕するダウンヒル能力を見せつけた。

唯一最大の弱点は独走力。今年のツールでは第9ステージ、上記ダウンヒル能力で抜け出すことができた最後の10kmで、この独走力の欠如によってチャンスを失った。

そして忘れもしない、第20ステージ。マルセイユ個人TT。バッドデイが重なったこともあり、総合2位を失うどころか、あわや総合表彰台すら失いかねない事態に陥った。

来年のツールでは石畳への対応力に不安を覚える。一応、過去のツール石畳ステージでは、総合勢にはしっかりくらいつく走りを見せてはいるが・・・

もちろん、そこはチーム力でカバーするべき部分。ナーゼンやディリエらがしっかりとサポートしてくれるだろう。 

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今年のツール第12ステージ。ペイラギュードの激坂フィニッシュで、フルームが崩れ、アルが失速する中、最後までペースを保って見事優勝を果たした。これでバルデは、3年連続ツールステージ勝利を飾っている。

 

 

シルヴァン・ディリエ(スイス、28歳)

脚質:ルーラー

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今年のジロで、ジャスパー・ストゥイヴェンを打ち破って勝利し、その名を轟かせた。

だが、その後も彼は活躍を続けている。6月のルート・デュ・スッドではトゥールマレーを越えるクイーンステージでも上位に残り、最終的に総合優勝・ポイント賞・山岳賞を総なめにした。

そしてスイス国内選手権ではロード部門優勝。来年はスイスチャンピオンジャージを着ての活躍が見られるだろう。

なお、スイス国内選手権ではITT部門でも2位に入っており、独走力も十分に期待ができる。ドワルスドール・ヴェストフラーンデレンでも2位に入るなど、北のクラシックへの適性もあるため、来年のツールでは、石畳でも平坦でも山岳でも頼れる牽引役として活躍してくれることだろう。

将来的には体重を絞っていけば、オールラウンダーとしても活躍ができるかもしれない。可能性の広がる選手だ。

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この1年を経て、表情に余裕も出てきた感のあるディリエ。一気にトップライダーの仲間入りを果たせるか。

 

 

ピエール・ラトゥール(フランス、25歳)

脚質:オールラウンダー

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昨年のブエルタの第20ステージで勝利し、一躍フランス期待の星となった若手。今年もその勢いは止まらず、国内選手権ITT部門で優勝した。独走力の欠如がバルデ最大の弱点だが、ラトゥールはそれを補う力があるため、もしかしたらバルデ以上に将来の総合優勝候補となりうるかもしれない。

だが、まだまだ底力が足りない。今年のツールでも序盤で新人賞ジャージを着ることができたものの、それ以降は存在感を失ってしまった。来年は新人賞ジャージが許される最後の年。ここでしっかりと、結果を残したいところ。

なお、フランスの総合エースは、期待され始めると崩れるというジンクスもある。ラトゥールももしかしたら来年は・・・

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来年は新人賞ジャージが許される最後の年。様々なレースで積極的に狙っていきたい。

 

 

オリバー・ナーゼン(ベルギー、28歳)

脚質:ルーラー

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AG2Rの北のクラシック対策の一環として、ヴァンデンベルフと共に移籍してきたフランドル人。確かに各種クラシックで良い走りはしたし、ベルギーチャンピオンにも輝いたものの、結局、勝利は得られず。

今年はさらにディリエやギャロパン、ヴァントゥリーニを加えたため、より強化された形で北のクラシックに挑めるかもしれない。なんとか、勝利がほしい。

もちろん、ツールにおける石畳対策としても重要な存在であることは間違いない。

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端正な顔立ちも注目点。気になる人はぜひ、Getty ImagesでOliver Naesenを検索してみてほしい。

 

 

 

 

その他注目選手

トニー・ギャロパン(フランス、30歳)

脚質:パンチャー

かつて、フランス期待の星と呼ばれていた男の1人。長い間ベルギーチームに籍を置き続け、ようやくフランスのチームに戻ってきた。もちろん、エースとしてではなく、有望な後輩の最も頼れるアシストとして。

実際、ギャロパンのアシストとしての走りには十分期待を持てる。

2015年ツール。オランダの「海の上」ゴールを目指す第2ステージは、激しい雨と風によって混沌とした状況を生んでいた。ニバリ、ピノ、ペローといった前年の表彰台トリオが遅れる中、先頭集団を牽引し、エースのグライペルのための舞台を用意したのがギャロパンだった。

石畳などバルデを苦しめる要素がたっぷりと含まれている来年のツールにおいて、ギャロパンの存在は、予想されている以上に重要なものになるのは間違いない。

 

もちろん、一流のパンチャーとして、彼自身の勝利を狙える走りにも期待したい。とくにアルデンヌ・クラシックでは、過去イル・ロンバルディアで7位、アムステルゴールドレースで6位など結果を出している。

AG2Rはクラシックに弱いチームなので、ギャロパンも十分にエース待遇での出場が可能となるだろう。今回の移籍は、彼にとっても、チームにとっても非常に大きな価値を持つものだと感じている。

 

 

アレクシー・ヴュイエルモ(フランス、30歳)

脚質:パンチャー

2015年ツールでミュール・ド・ブルターニュを制し、一躍「激坂ハンター」の仲間入りを果たしたヴュイエルモ。しかし2016年はアムステルで落車し、2017年はフレッシュ・ワロンヌでも期待外れの結果に終わった。

一方で、今年のツール・ド・フランスでは山岳アシストとしての才能を発揮した。彼だけでなく、AG2Rというチーム全体が、バルデという1人のエースのために走る体制をしっかりと形成しつつあるように感じた。ヴュイエルモはその中心に立ち、来年もチームを引っ張っていってくれるだろう。

なお、来年のツールはミュール・ド・ブルターニュが復活する。さすがにまた勝つ、とは思わないものの、それでも期待はしてしまう。

 

 

ルディ・バルビエ(フランス、26歳)

脚質:スプリンター

ダンケルク4日間やピンクバンクツアーで、1級スプリンターたちにも引けを取らない走りを見せている、今もっとも熱いフレンチスプリンター。先日のパリ~ブールジュではついに今期初の勝利を飾った。

来年はジロかブエルタに出場し、本当の意味でのトップスプリンターの仲間入りを果たしてほしいところ。

ちなみに、2012年には日本のブリジストン・アンカーにトレーニーとして加入していたりする。

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2018年ツール 出場メンバー案

1.ロマン・バルデ(エース)

2.シルヴァン・ディリエ(平地・山岳牽引役)

3.アクセル・ドモン(山岳牽引役)

4.マティアス・フランク(山岳牽引役)

5.トニー・ギャロパン(平地・山岳牽引役)

6.ピエール・ラトゥール(山岳牽引役)

7.オリバー・ナーゼン(平地牽引役・石畳対策)

8.アレクシー・ヴュイエルモ(山岳牽引役)

 

 登りもこなせて独走力も高いディリエやラトゥールの存在は、起伏の豊かな長めのチームTTがある来年のツールには最適な存在。全体的に、例年よりもバランスの取れたメンバー構成が可能になったように思う。

あとはゴチエやジェニエなどの実力派クライマーを入れるかどうか。ガスタウアーやバークランツなど、ステージ優勝も狙えるアタッカーを捨てて総合優勝に一本化する方針なのかどうかも気になるところだ。

 

 

総評

ツール・ド・フランスでのチーム力をより高めていく方針を感じられる2018年のAG2Rロースター。もう1つの目標であるクラシック対策がうまくいくかどうかに注目。

そして、ツール・ド・フランス以外のグランツールでの総合表彰台やステージ優勝のため、ラトゥールの成長やドモン、バークランツなどのアタッカーたちの活躍が期待される。

ガッツポーズ選手権2017 結果発表

11月12日の記事「ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2017年シーズン - りんぐすらいど」で投票フォームを使用したところ、実に79票もの投票をして頂いた。

予想を上回る投票数に感謝すると共に、結果発表を行いたいと思う。

 

果たして投票の結果は。最も支持を集めた今年のガッツポーズは・・?

 

 

 

 

結果発表(コメント付) 

第5位 ゲラント・トーマス (ティレーノ~アドリアティコ第2ステージ) 

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  • Gの人柄が現れていると思うから。(40代女性)
  • チームとして過酷な環境にあったのを払拭させる勝利!(40代男性)
  • 思うところがいっぱいある中で、しっかりと結果を残して、思いを爆発させる姿に胸を打たれました。(20代男性)

 

6票(7.6%)

苦難を乗り越えて勝利を獲得したトーマスのガッツポーズに複数票が集まった。やはりここに至るまでの前提を含めて評価されている人が多かった印象。

辛いことも多かった2017年シーズンではあるが、来年度はぜひ、復活とともに更なる爆発を見せてほしいところ。

 

 

第4位 ワレン・バルギル (ツール・ド・フランス 第18ステージ)

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  • 天を指した理由に心を打たれました。限界のその先まで出し切って、頭に酸素が行き渡っていないそんな状況でも、頭には思い浮かんだんでしょう。(20代男性)
  • とにかく画としてもシチュエーションとして美しかったから(40代男性)
  • あんなに山頂の空に似合うゴールがあるのか!と震えた。間違いゴールの後だけに、嬉しさも込み上げた。(50代女性)
  • レース状況や絵的にも完璧。(匿名希望)

 

7票(8.9%)

コメントを見ていると、やはり背景との組み合わせの妙に魅力を覚えた人が多かったようだ。あるいは、一度は勝利をギリギリで逃しながら、連日積極的な攻撃を繰り返した結果、2度の勝利と山岳賞を掴み取ったという経緯もまた、票の集まった要因と言えるだろう。

というか、本当にバルギルの走りは強かったし敢闘した。何度も言っているけれど彼がスーパー敢闘賞を獲ったことは何の不思議もないと思う。

2年前やっちゃったことや、このブエルタでやっちゃったことなどで、あまり素直に評価されない雰囲気もあるバルギルだけど、来年は新チームで、マイペースに頑張っていってほしい。

 

 

第4位 ピエール・ローラン (ジロ・ディタリア 第17ステージ)  

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  • 重圧から解き放たれたようなホッとした表情が印象的でした(40代男性)
  • 周囲のプレッシャーに押し負け、期待を裏切り続けて、安住の地・祖国フランスのチームを離れ、古巣をdisっても、なお結果は出ず。
    それでも諦めずに、ひたすら逃げに乗り、ひたすらアタックを続けた先に、まさかの平坦ステージで独走逃げ切り勝利をあげたローラン。
    プロサイクリストとしての執念が実り、万感の想いを込めたガッツポーズは本当に美しかった。(30代男性)
  • サガンファンですが、アタックして吸収されてを何度も何度も繰り返してきたローランのあの勝利には、今でも胸が熱くなるので。(30代女性)
  • 彼の長い不調を考えると胸を打たれるものがったから。(20代男性)
  • 同じcannondaleユーザーとして。また、長年不調に苦しんでいたローランが、ようやくの思いで勝った感極まったガッツポーズが心に響いたから。(20代男性)
  • 逃げがつかまった定型文かと思ったら、無謀にしかみえなかった再度のアタック、そこから逃げ切り。
    バイクを持ち上げ吠えてるロランちゃん見て、嗚咽。(30代男性)

 

7票(8.9%)

同じ票数を獲得したバルギルと比べても、このロランに対するメッセージは非常に熱いものが多かった。本当にみんな感動したんだな・・・というのが伝わってきた。

とくに、「最初から逃げていて、それが一度捕まえられて、でもまたアタックして・・・」という往生際の悪さ、不屈の精神を讃えるコメントが多かった。いわば、戦略的で論理的で緻密な走り方、ではなく、まるで今年のコンタドールが見せてくれたような、我武者羅で力強い走り方に惹かれた、というわけだ。昔と比べて間違いなくロードレースは変化しているが、それでもそういう、昔ながら?の走り方は、(それがゆえ、なのかもしれないが)多くの人を惹きつけてやまないようだ。

まあそういう意味で、ロランは旧ユーロップカーの精神を引き継いでおり、それにより功を奏した形になったのかもしれない。

 

 

第2位 フィリップ・ジルベール (ロンド・ファン・フラーンデレン) 

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  • フランドルでベルギーチャンピオンジャージを着た男が50キロ以上逃げての勝利。サガンやヴァンアーベルマートに不運があったとはいえ歴史に残るゴールシーンだと思う。(20代男性)
  • 自転車を降りてのポーズは別格(40代男性)
  • 『減俸覚悟での移籍によって掴み取った夢』を象徴する勝ち方だったため(20代男性)
  • ロンドに出たいがために大幅減俸も単年契約も呑んで移籍した元世界王者。1週前のE3では因縁の相手にして今季石畳絶好調だったGVAにスプリントで負けてやはり厳しいのか…と思わせてた中でのあの独走劇。これまで数の優位を生かせない場面の多かったQST石畳本隊がここ一番で見せた大連携とそれを呼んだジルベール本人のロンド前までの献身。そしてその後、己の箱庭でもあるアムステルゴールドもきっちり勝ってフロックではない復活を証明して見せた点。
    正直コンタドールのアングリルBQNと迷ったのだが、もうあちらは色々超越しちゃってて『BQNはBQNであってもうガッツポーズを超えた何か!』と自分でもよくわからない解釈をすることとしてこちらをチョイス。(30代男性)
  • ジルベールが勝てなかった不遇のBMC時代を思うと涙が出てくるガッツポーズ。狙って勝てる凄さを感じた。(20代男性)
  • ベルギーチャンピオンジャージ×自転車を持ってのゴールがとにかく美しかったから(10代男性)
  • ロンドでバイクを掲げてゴールなんてかっこよすぎます!(30代女性)

 

13票(16.5%)

個人的には実は1番熱かったガッツポーズ。コメントにもあるが、自転車を降りて両手で掲げながらのガッツポーズは非常に熱い。過去にもウェレンスなどがやっていたか。

何よりこのジルベールのガッツポーズの価値は、そのエピソードにある。長年在籍していたBMCでは果たせなかったロンド勝利。減俸覚悟での移籍により、これを実現。「狙って勝てる凄さ」とはまさにその通りで、ジルベールという男が本当に強い男なのだということをこれでもかという形で再認識させられた。もう「黄金のタレ」とか揶揄できないね!

来年はクイックステップの頼れる指導役として頑張ってほしい。

 

 

第1位 アルベルト・コンタドール (ブエルタ・ア・エスパーニャ 第20ステージ)

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  •  私がロードレースを見始めたころには、コンタドールはピストルポーズを自粛していました。そのうちレースで勝てなくなり。。。この噂のポーズを見たいみたい!と思いながらも、このまま引退していくと諦めていたブエルタでしたが、最後の最後にやってくれました。私にとっては数年越しでの念願が叶った瞬間だったので、文句なしでの一番です。(30代男性) 
  • 美しい伝説の終演、今年はやっぱりこのアングリルでしょ!って気持ちです。(30代女性)
  • フラーンデレンのときのジルベールとも迷いましたが、ゴールのときのコンタドールの精悍な表情が忘れられず、こちらを選びました。(20代男性)
  • 連日アタックをしやっと実ったステージ優勝!感動、興奮しました。かっこよかった。(40代女性)
  • ブエルタはあのフルームの楽しそうで嬉しそうなガッツポーズも良かったのですが、コンタドールの連日のアタックからの最後のバキュンには本当に胸撃ち抜かれました(30代女性)
  • 引退が決まっている最後のレースでの見せ場!勝とうと思って勝てないのがレースなのにやっぱり持ってたアルベルト!(40代男性)
  • コンタドールのファンとして
    あの熱い走りには涙しました(10代男性)
  • 最後のゴールバキューンだから、の一言に尽きます。これほど待ち望んだゴールはなかったので。(30代女性)
  • 一生忘れることのできない物語。(40代男性)
  • 何度見ても涙が出ます。(30代女性)

 

26票(32.9%)

1位はやっぱり・・・なこのガッツポーズ。ダントツだった。ジルベールの2倍の得票数。

コメントも熱いものが多く、あらゆる年代、男女分け隔てなく支持を集めたのもこのガッツポーズだった。

毎年数多くの選手たちが引退していくが、その中でも有終の美を飾り、特段ファンでなかった人たちすらも巻き込んで感動させる「ラスト」を演出できる選手というのは、決して多くはない。昨年のカンチェラーラ、そして今年のコンタドール。特に今年のコンタドールは、それだけ多くの人たちに感動を与えるだけの、「下地」をしっかりと作っていた。すなわち、連日にわたるアタック。それでいて総合順位を落とさない走りができるそのタフネスさ、強さ。単純に「伝説の男だから」ではなく、確かに強く、確かに格好良く、確かに魅せる走りをし続けたからこそ、最も幅広い支持を集めることのできた選手だった。

 

紹介しなかったコメントの中には、「今年を象徴するガッツポーズだった」と書いてくれた人もいた。

確かにその通り。そしてある意味で、2007年から続く、一つの「時代の終わり」を象徴するガッツポーズだったのかもしれない。

 

もちろん、これで終わってはならない。彼のマインドを継承する選手たちをもっともっと増やしていかなくてはならない。我々も、彼のような選手がいたことを記憶し、同じマインドをもった選手たちを応援し続けられるようにしていきたいものだ。

 

 

 

「その他」で投票されたガッツポーズたち 

ティージェイ・ヴァンガーデレン (ジロ・ディタリア 第18ステージ)

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  • ツールでも成績振るわず、ジロでも早々に総合争いから離脱という苦境から「まだ自分は戦える」という気持ちの入ったガッツポーズは、見ていた自分も感無量、その思いが伝わってきたので、選ばせていただきました。(30代男性)

 

ロランに続き、果たされた勝利。ロランほど派手ではないが、どこか安心した表情にも見える。後ろのランダの姿のもの悲しさも合わせて高評価。このあと、ランダもリベンジを果たすけれども!

 

 

トム・デュムラン (ジロ・ディタリア 第14ステージ) 

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  • 登坂力最強のキンタナをしても「想定外」と言わしめた勝利。私的にはこの勝利でフルームを倒せる可能性を持つ選手の筆頭に挙がりました。(30代男性)

 

まさに私もこの方と同意見で、今後のデュムランが非常に楽しみになる勝利だったように感じた。しかしデュムランのガッツポーズはいつも熱い。でかくてパワフルな男の、無邪気なまでの喜びの表現。  

 

 

フレッヒ・ファンアフェルマー(パリ~ルーベ)  

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  • 経緯を考慮すると紹介されたもの全てが感動的です。栗村さんも仰っていましたが、レース外も採点ポイントになりますので、そういう意味では私の考えは不十分かもしれませんが、先入観なしのガッツポーズだとこれが一番かっこいいと思ったからです。(10代男性)

 

「経緯を考慮せず、ガッツポーズ単体での評価をする」という視点は確かに一つ重要なポイントでもあると思う。そしてこのガッツポーズは確かに、実に、熱い。

・・・が、Twitterコメントで「女の子のような」という言葉を見て以来、そうとしか見えなくなってしまった。いや、熱い、熱いんだけれども・・・!

 

 

 セルジュ・パウエルス (ツール・ド・ヨークシャー 第3ステージ)  

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  • フライレの、完璧な仕事をこなし最後はエースを立てた上でのアシストガッツポーズ。シンクロ率高くて芸術点も素晴らしいですし、リードアウト役がアシストガッツポーズをするのはよくあることですがパンチャーのアシストガッツポーズはレアだと思います。普通に考えたらどうしてもコンタやフィルになっちゃうので、そこはまあ他の方に任せます。(40代男性) 

 

確かに・・・なぜこれをノミネートしなかったのか、自分に疑問を感じてしまうくらい、この写真は素晴らしい。「芸術点」も高い!

パウエルスはかつては総合上位争いもいけるんじゃないかと感じていたような選手だったが、ここ数年はめっきり目立たなくなってしまった。そんな中、今年のヨークシャー勝利は個人的にとても嬉しかった。フライレはいなくなるけれども、今度は出戻りしてくるメインチェスのアシストとして、グランツールでも活躍してくれることを期待している!

 

 

その他の投票されたガッツポーズとコメント

ルーカス・ペストルベルガー(ジロ・ディタリア 第1ステージ)

  • 衝撃すぎた。え、単独で行っても捕まるよって思ったら逃げ切って勝った。ゴール後の信じられない…ってペストルベルガーの表情も印象的!(10代男性)
  • 意外性の高さが一番だから。判官贔屓だとは思いますが。(40代男性)

 

クリス・フルーム(ブエルタ・ア・エスパーニャ 第9ステージ)

  • ツールもブエルタも勝っちゃうフルームがカッコいいし、憧れだから!!!!(10代男性)
  • 今年のブエルタでのフルームを象徴するガッツポーズだと思います。ホントは強烈な負けず嫌いなんだな、と改めて痛感しました。(40代男性)

 

ルイスレオン・サンチェス(グラン・プレミオ・ブルーノ・ベゲッリ)

  • スカルポーニへ捧ぐガッツポーズに感動。(40歳女性)
  • スカルポーニを失いどうにか勝ってやろうという姿勢が見てる側からもひしひしと伝わってきており特にLLサンチェスからは気迫が伝わってきた。ジロでは勝てなかったがこのガッツポーズを見たときにグッとくるものがあったため。(20代男性)
  • 特別推しているチームというわけではないのですが、今期前半不運に見舞われ続けたアスタナ、特にスカルポーニの一件があったのでLLサンチェスのこのポーズはぐっときました。
    本当はジロで勝利がほしかったはず。それは叶わなかったけれど、挑み続けた。
    いつもの、と言えばいつものポーズ。でも万感の想いのこもったポーズに見えました。(30代女性)

 

アレハンドロ・バルベルデ(フレッシュ・ワロンヌ)

  • 毎年のこのレースでのバルベルデのガッツポーズがどれも格好良くお気に入りだからです!(20代男性)

 

チーム・スカイ(ハンマーチェイス)

  • クライマーのタオくんが、あんなに興奮しながらガッツポーズしてフィニッシュする姿は今後も見られるかわからないから(笑)(40代女性)
  • ルールが普段のロードレースと異なるため、最後まで揉みくちゃになるあたりが初開催なのにとても面白かった!(30代女性)

 

ペテル・サガン(ツール・ド・スイス 第5ステージ)

  • ロードを始めたきっかけであり、尊敬する選手である。ガチンコのスポーツ世界においてなお、エンターテイメントを忘れないサガンのスタイルが好き。(30代男性)

 

 

本当に多くの情熱的なコメントありがとうございます。

全てのコメントを紹介できなくて申し訳ないくらいです。

 

今回の反省として、要望にもあがっていましたが、1位~3位を選ばせるスタイルの方が良かったな、ということ。個人的には順位をつけるなんてできない!という思いがあったので1つだけ選ばせる形にしたのですが、結果としてコンタドールに票が集中し、「本当はこのガッツポーズも良かったのに」と思った2番手・3番手候補が0票になる、という事態が起きてしまったのかな、と。

ディリエのガッツポーズとか個人的に好きだったのですが、0票ですしね・・・。

 

次回はこの辺り、改善していきたいと思います。

 

 

 

その他アンケート結果まとめ

1.男女比率

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2.年代別投票数 

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性別は綺麗なかたちで男性:女性=3:1という結果になった。女性はまた男性とは違う視点でのコメントも多かったので、ぜひこれからも増えていってほしいと思う。

年代別に関しては20代と30代が抜きつ抜かれつの勝負をしていた。意外だったのは10代の数。しかも、10代のコメントは熱いものが多かった! これから10年、20年とロードレースを好きでい続けてほしいと思う。

 

 

3.当ブログ「りんぐすらいど」で良く読んでいる記事の種類はどれですか。

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これについて失敗したのが、「レースレポート記事」って曖昧だったなぁ、と。

たとえば「総括」記事はあれは「レースレポート」と言うべきだったのだろうか、どうだろうか。

それでもレースレポート記事の得票が一番多かったのは意外。そして次にコラム。

プレビュー記事の得票数は最も少なかったものの、コメントでの言及はプレビュー記事が最も多く嬉しかった。

記事単体で言うと、直前の勝利数ランキングが意外と人気だったのに驚く。また、今年のベストレースなどと合わせて、「2017年シーズンを振り返る」シリーズの人気は高めだったので、苦労して書いた甲斐があった。

 

コラム・特集記事はアイディアを練るところから大変なのだが、これからも積極的に書いていこうと思った。

 

 

フリーコメントでも数多くの励ましのメッセージを頂き、かなりモチベーションが上がりました。

とくに、「どの選手に贔屓することなくリスペクトをもって書いている」的なコメントを複数頂いて、それが実現できているなら自分の理想に近づけている感があって良かった、という思いがある。

一方で「個人的に貴ブログのピノ愛が大好きです。……私の推しピノではないのですが、ピノのことをちょっと好きになりました」というコメントも頂いており、個人的にこれが一番嬉しかったかもしれない(笑)

行き過ぎた偏見や贔屓をなくし、均等にリスペクトと、ときどきイジりもいれつつ、かつ愛すべき選手をもって熱く語る・・・そんな記事が今後も書けたら、と思う。

 

アンケート企画に次があればまた参加したい、というコメントも頂いて、

ガッツポーズ選手権は来年もまたやりたいし、その間に1~2回程度、別のアンケート企画も考えていきたいなとも思っています。

 

 

何かアイディアがあればぜひ、コメントください。

(サイバナさんのところでやっているのとはまた違った観点でやっていけたら、とも思っています)

 

 

 

 

 

最後に。

今回は本当に多くの投票ありがとうございます。

また、リツイートなどで拡散していただき、ブログに訪問するのは初めてだけど・・・といった感じで投票してくれる人も多くいて嬉しかったです。

これを機に、また他の記事を読んでいただけると幸い。

そして、これまで読んでくれていた人も意外と多かったことがわかったので、何かしらコメントやメッセージなどで絡んでいただければと思います。

 

今後は2018年シーズンに向けて、色々と企画を用意しております。

こういう記事があったらいい、などの要望もありましたら、ぜひお寄せください。

 

この度は本当にありがとうございました。

ガッツポーズ選手権 写真で振り返る2017年シーズン

2015年の秋、Jsportsで「ガッツポーズ選手権」なるものが行われていた。

1年間のJsports放送レースのガッツポーズ写真を振り返り、会場投票でグランプリを決める、というものだった。

その年のレースの振り返りも同時に行える企画で、個人的に非常に好きなものだった。

だから、2016年も放送を楽しみにしていたのだが・・・残念ながら、行われなかった。

 

 

今年もおそらく、放送はないだろう。

そこで、個人的にこのガッツポーズ選手権を行うことにした。

 

当初はベスト10形式で発表していこうかと思ったが、思ったよりも気に入った写真が多すぎたため、本家ガッツポーズ選手権のようにシーズンの頭から順番に紹介していくことにする。

(投票フォームも設けました! こちらからどうぞ!)

 

 

1.ジョン・デゲンコルブ(ドバイ・ツアー第6ステージ) 

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2016年冒頭の大事故により、左手の人差し指が切断寸前にまで至る重傷を負ったデゲンコルブ。シーズン中の復帰を果たし、勝利も獲得したものの、明らかに本調子ではなかった。

そして新シーズン。5年間在籍していたチームから離れ、移籍を決めたデゲンコルブにとって、初勝利となったのがこのドバイ・ツアーであった。格式的にはHC。それでも、キッテルが得意とするこの中東のステージレースで、デゲンコルブは自らの復活を宣言するかのような勝利を決めた。

結果的にデゲンコルブの今シーズンの勝利は、これ1つだけに終わった。それでも、春のクラシックで上位に入ることを繰り返し、ツール・ド・フランスでも本気の勝負を繰り広げ最高で区間2位に入り込むなど、少しずつ調子を取り戻してきているようにも思う。トレック・セガフレードも3年契約を結んでいるため、気長にその復活を見届けていきたいと思う。

 

 

2.ゲラント・トーマス(ティレーノ~アドリアティコ第2ステージ) 

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ラント・トーマス、魂の叫び。

このときの彼の感情を理解するためには、このステージの前日に起きた「事件」について知っておく必要があるだろう。

 

ティレーノ~アドリアティコ第1ステージ。チームタイムトライアル。順調なペースで走っていたチーム・スカイの隊列が、突如として崩れる。ジャンニ・モズコンの乗っていたバイクのホイールが突然、破損したのだ。
さらに立て続けに、ディエゴ・ローザとミケル・ランダのホイールも崩壊していく。映像で見るとこの事態の異質さがよくわかる。同時期にスカイのGMデイブ・ブレイルスフィールドに関わる問題も報じられており、様々な可能性や憶測を呼び込む事態となっていた。

 

そんなことがあった翌日だからこそ、トーマスには強い思いがあった。本来であれば、自身初のエース待遇としての出場が控えていたジロに向けて、このティレーノ~アドリアティコでは総合優勝を目指していたはずだった。それなのに、初日のトラブルでいきなりその夢を絶たれ、さらにはチームに対しては不快な報道が展開されている・・・。

 

彼は、チームを包み込む暗雲を振り払うような勝利を求めた。

そのために、この第2ステージのラスト4kmで、勇気あるアタックを仕掛けた。そのまま誰に追い付かれることもなく、先頭でゴールラインに到達した彼は、貯め込んだ感情をすべて爆発させたかのような、気迫のこもったガッツポーズを繰り出した。

普段はクールな表情を見せることの多い彼にしては、珍しい姿のようにも思う。

 
今年のトーマスは結局、ジロもツールも不運に見舞われたことで、特別大きな成績を残すことなくシーズンを終えてしまった。それでも、彼がこの日、あるいはツアー・オブ・ジ・アルプスで、あるいはツールの第1ステージで、これまでの彼をさらに超えるような成績を残してくれたのは間違いない。
来年こそは、グランツールでの総合上位争いを演じてくれるはずだ。

 

 

3.ミハウ・クフャトコフスキ(ミラノ~サンレモ) 

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確にはガッツポーズではない。そんな余裕などなかった。

残り5.5kmのポッジョ・ディ・サンレモの山頂から、世界チャンピオンがアタックを仕掛けた。これを読んでいたかの如く反応したのが、クイックステップ・フロアーズのジュリアン・アラフィリップと、チーム・スカイのミハウ・クフャトコフスキだった。

サガンとアラフィリップという2人の下り巧者のコンビネーションによって、トレック・セガフレードなどを中心とした追走集団は為す術もなく引き離される。たった1人で戦わなければならないサガンと違い、アラフィリップとクフャトコフスキは後続集団にエースを抱えている。必然、サガンは前を牽く時間が長くなり、最後のスプリントも自ら先に仕掛けざるを得なかった。

結果として、レースを巧みに支配した器用な男クフャトコフスキが、最後のスプリントを制した。圧倒的不利な立場のサガンもよく頑張ったが、出し尽くしたがゆえに、ゴール後にはふらついて上記の写真のように少しクフャトコフスキによりかかるような格好になってしまった。それだけ激戦だったのだ。

 

2週間前のストラーデ・ビアンケに続く勝利。自身にとって初となるモニュメント制覇だ。こうして、圧倒的成功を遂げることになる、クフャトコフスキの2017年シーズンが幕を開ける。

 

 

4.フィリップ・ジルベール(ロンド・ファン・フラーンデレン) 

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ルギー人としてずっと夢見続けてきたロンド・ファン・フラーンデレン。BMC時代は果たそうとして果たせなかった、果たそうとすることすら許されなかったこのレースの勝利を、全てを捨てて決断したチーム移籍の後に、見事に実現した。

とはいえ、単に運が良かったとか、調子が良かったから、というわけではない。トム・ボーネンのアタックをきっかけにして生まれた小集団の中から、トム・ボーネンが背後を牽制してくれたおかげで生まれたタイミングで飛び出して、チームメートたちがいることで安心して55kmの独走に挑むことができたのだ。

そして、このチームワークを活かす下地を作ったのは、それ以前のレースでのジルベール自身の働きのお陰だった。ドワルスドール・フラーンデレンでは、彼が逆に牽制役となって、チームメートのイヴ・ランパールトの勝利を支えた。そうやって、チームの為に自らを捧げてきたジルベールの献身が、今度はこのロンドで彼を支えてくれたのだった。

 

このレースに関する詳細は以下の記事を参照。

suzutamaki.hatenablog.com

 

  

5.アレハンドロ・バルベルデ(フレッシュ・ワロンヌ) 

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ーズン前半のバルベルデは絶好調の極みであった。2月~4月の出場したステージレースすべてで総合優勝。そして春のクラシックでもこのフレッシュ・ワロンヌリエージュ~バストーニュ~リエージュを連覇。手を付けられない強さとはまさにこのことだ。

その中でも圧倒さが際立ったのがこのフレッシュ・ワロンヌダヴィド・ゴデュのアタックに反応してペースを上げたバルベルデは、残り200mを切ったあたりからひとり抜け出して、誰もその影を踏むことすら許されなかった。

残り20mを切った段階ですでに両手を離し、ゆっくりとこの「(弓)矢=Flèche」ポーズをつくる余裕ぶり。今年の春のバルベルデの好調さを示す、象徴的なガッツポーズだ。

そんなバルベルデの余裕の4連勝を支えたのが、チームメートのカルロス・ベタンクール。

最後のユイの壁を集団で過ごせばバルベルデに勝てるわけがないとわかっているライバルチームたちの、度重なるアタックをすべて潰し切ったのがこのベタンクールである。今年はツールでも活躍を見せた彼が、来年更なる成績を叩き出すことを密かに期待している。

 

 

6.ルーカス・ペストルベルガー(ジロ・ディタリア 第1ステージ) 

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さに衝撃的な展開。誰もがお口アングリル。チームのエーススプリンター、サム・ベネットのリードアウトをするつもりが、勢い余って集団から飛び出してしまったペストルベルガー。無線で「行け! ルーカス行け!」という声を聞いて、彼は再びペダルを強く踏み始めた。

常に最強の男が勝つわけではないのが自転車ロードレース。そして、チャンスはいつ訪れるかわからない。折角のチャンスをふいにしてしまう選手だっている中で、彼は自らの力でそれをモノにした。最後の2kmを彼が追い付かれることなく逃げ切ることができたのは、TTスペシャリストとしての彼の実力ゆえであることは間違いない。

まだ25歳のオーストリア人の若手。今年の世界選手権ロードレースでは先頭集団でゴールした。国内選手権でもロード、ITTそれぞれで2位、3位だ。来年は母国オーストリアでの世界選手権。何かしらの結果を残したいところ。

 

 

 

7.シルヴァン・ディリエ(ジロ・ディタリア 第6ステージ) 

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てを出し切ったかのような表情のディリエ。そして悔しそうにハンドルを殴りつけるストゥイヴェン。辛勝者と惜敗者との落差を象徴するシーンだ。

おそらく誰もが、ストゥイヴェンの勝利を信じて疑わなかったであろう。
ブエルタ、クールネ~ブリュッセル~クールネなど、著名なレースでの勝利を既に経験しているストゥイヴェンに対し、シルヴァン・ディリエという選手は、似た名前の(ローラン・)ディディエと間違えられることも多いくらい、まだまだその名を知られていない選手に過ぎなかった。
そもそも、ストゥイヴェンはスプリント力もある。この2人が最後に残ったとき、ディリエの勝利を想像できていたものはほとんどいなかったのではないかと思う。


だが、若者が才能を爆発させるとき、得てしてその勢いは止まらずに続くものだ。
この後のディリエは、過去にキンタナやコンタドールがその名を連ねる「ルート・デュ・スュド」で、見事に総合優勝を果たすのだ。
さらには、スイスの国内選手権ロードレース部門でも優勝。来年は、スイスチャンピオンジャージを着て、AG2Rでアルデンヌ・クラシックエースとしての活躍が見られるかもしれない。

 

 

8.ピエール・ローラン(ジロ・ディタリア 第17ステージ)  

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2011年にラルプ・デュエズを制し、衝撃のデビューを果たした「フランス期待の星」は、その後期待以上の走りを見せることができないまま、苦しい立場に置かれ続けてきた。
2016年のツール・ド・フランスでは総合優勝狙いを捨てた。我武者羅に、勝利だけを狙って走り続けていた。そんな彼の思いも、雨の下りで大きくコースアウトした第19ステージで打ち砕かれる。体以上に、心に大きな傷を負ったローラン。

そんな彼の思いが、夢が、全て爆発したのがこのジロ第17ステージだった。

「勇気をもったアタックだった」と彼自身も語っていた。実際、勝負は彼が得意とする厳しい登りではなく、カナツェイに向かう緩斜面の登りでの独走だった。
後続集団にチームメートのウッズがいたことも、彼にとっては大きなプラスになっただろう。ファーストアタックから逃げ続け、一度は大集団に飲み込まれたローランの、諦めない姿勢が導いた勝利だったと言える。

 

 

9.エヴァン・ハフマン(ツアー・オブ・カリフォルニア 第4ステージ)  

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ールドツアー入りを果たしたツアー・オブ・カリフォルニアは、本来であればプロコンチネンタルクラス以上のチームしか、出場の権利がないレースとなった。それでも、長きに渡りHCクラスとしてやってきたこのレースで、常に大きな存在感を示していた2つのコンチネンタルチーム、すなわちラリー・サイクリングとジェリー・ベリーに関してのみ、特例で出場が許されたのだった。

そして、そんなラリー・サイクリングが、今年のカリフォルニアでは例年以上の活躍を見せた。まずはこの第4ステージ。本来であれば集団スプリントが予想されていたステージで、2人を逃げに送り込んだラリーがコンビネーションを駆使して逃げ切りを果たした。しかも、昨年山岳賞のエヴァン・ハフマンと、そのアシストのロブ・ブリットンの、ワンツーフィニッシュ。ワールドツアーチームの選手たちを手玉に取って、ドメスティックなチームと選手たちが底力を見せつけた。

さらには最終第7ステージでも、ハフマンが再び逃げ切り勝利を決めた。今、最も勢いのあるアメリカを象徴する成績である。

そんなラリーが、アクセオンなどとともに来年はプロコンチネンタルチームへの昇格を決めた。来年は堂々とカリフォルニアに出場し、再び旋風を巻き起こしてくれることだろう。

 

 

10.チーム・スカイ(ハンマーチェイス)  

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頭で通過する選手たちが後ろを振り返り、そして後方にいる選手だけがガッツポーズをする――普通のロードレースでは考えられないような異質のゴールシーン。それが、このハンマーシリーズの特徴だ。

来年はノルウェーで第2回が開催される予定とのこと。まだまだ粗が目立つレースではあるが、意図や狙い、仕組みは非常に魅力的なので、少しずつ洗練されながら進化を果たしていってほしい。いつか、日本でも開催されるといいなぁ。

 

 

11.ペテル・サガン(ツール・ド・スイス 第5ステージ)

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ール・ド・スイスは7年連続で出場しており、毎年ステージ勝利を重ねつつ、このステージで14勝目となった。まさにキング・オブ・スイス。そして、2012年ツールで見せた「フォレスト・ガンプ」並みのインパクトあるガッツポーズとなったのが、今年のこの「フラダンス」フィニッシュだった。

ほかにもツール第3ステージの「足を踏み外しながら勝つ」など、話題に事欠かないサガン。でもそんなことばかりしていたら、翌日の第4ステージではあえなくリタイアに・・・。最後は世界選手権ロードでしっかりと決めて、なんとか良い形でシーズンを終えられたサガン。来年こそはミラノ~サンレモやパリ~ルーベを獲りたいところ。

 

 

12.ファビオ・アル(ツール・ド・フランス 第5ステージ)

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タリアチャンピオンジャージに身を包み、アスタナの先輩ニバリに負けない栄光を目指して、この日、アルは念願のツール初勝利を成し遂げた。しかも、かつてニバリがツール総合優勝を果たした年に勝利した、ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユにて。

元々大きな口をさらに大きく開けて、左手は苦しそうに胸に添えて、精いっぱいのガッツポーズを繰り出した。2015年にジロ総合優勝を決めたときのそれとはまたちょっと違う、懸命に絞り出した、必死のポーズだったようにも感じた。

このあと、アルはマイヨ・ジョーヌの着用すら果たす。その意味で、今年のツールは彼史上最も成功したツールと言えるだろう。だが、最終的にはずるずると順位を下げ、そして彼はアスタナからの離脱を決断する。

 

 

13.ロマン・バルデ(ツール・ド・フランス 第12ステージ)

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2017年ツール最大の激戦となったのが、このペイラギュード山頂フィニッシュであったと思っている。小型機専用滑走路を利用した、最大勾配16%の激坂フィニッシュ。おそらくはコース製作者たちの意図通りクリス・フルームは遅れ、そしてフランスの星ロマン・バルデが3年連続のステージ勝利を飾った。

 

個人的に、その国のチームが勝利する、という瞬間は非常に好きだったりする。とくに山頂フィニッシュ。ゴール脇に詰めかけているファンの中には、やはりその国の人が多いだろう。彼らが歓喜の中、興奮して自国のスターがゴールラインに飛び込んでくるのを待ち構える姿を想像すると、こちらまで嬉しくなってくるのだ。

この日はとくにそうだったろう。アルのアタックに、バルデがしっかりと喰らいつき、やがて誰もそのペースについていけなくなり、最後にバルデが粘り切って勝利を掴んだのだ。このとき彼は、小さな投げキッスをカメラに向かって送った。テレビの前のフランス人観戦者たちも皆、この瞬間は幸福に包まれたに違いない。

第9ステージで、独走するバルデを応援していたAG2Rファンの観客たちの姿を思うと、あのときの借りを返せてよかった、としみじみ感じる。

 

 

14.ワレン・バルギル(ツール・ド・フランス 第18ステージ)

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の男も、突如としてこのツールで爆発し、その勢いのままツールで最も活躍した選手の1人に登りつめた。第13ステージの勝利だけに飽き足らず、この第18ステージまで・・・しかも、逃げ集団にアタプマやルツェンコなどの逃げ巧者がいるにも関わらず、メイン集団から飛び出して追い付き、そして追い越しての劇的な勝利だったのだ。山岳賞のために連日逃げに乗っていた選手とは思えない強さ。今年のバルギルは、間違いなく大ブレイクしていた。

そしてこの日のゴール。山岳の遠景をバックにしたフォトジェニックなガッツポーズだ。両腕をぴんと天に伸びており、栗村さんとしてもお気に入りのガッツポーズなのだろうと想像する。

来年も総合ではなくステージもしくは山岳賞を狙うというバルギル。果たして2年連続の活躍は見せられるのか・・・?

 

 

15.ヴィンツェンツォ・ニバリ(ブエルタ・ア・エスパーニャ 第3ステージ

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人曰く「シャークポーズ」。日本人に言わせると「ごっつぁん」。なお、イル・ロンバルディアでは「50勝目ポーズ」も見せてくれたが、それもなんだか「張り手」のポーズに見えて、自分の中では「少しずつ日本かぶれになりつつあるニバリ」イメージが勝手に膨らんでいる。まあ、実際にはニバリと新城はほとんど接点がないみたいだけれど。

冗談はさておき、なんだかんだでニバリはこれで今年グランツール2勝。表彰台にもどちらも乗っている。今年のニバリはかなり強かったし、観ていて面白かった。来年もこれくらい安定してくれることを期待してはいるのだが、まあ、期待し過ぎない方がちょうどいいかもしれない。

あと来年はちゃんとこのポーズ継承してくれるんだろうか。多少ダサくても続けることによって、コンタドールみたいに最後は感動のポーズになる可能性も・・・

 

 

16.クリス・フルーム(ブエルタ・ア・エスパーニャ 第9ステージ)

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ーフィネ、ツールと、例年ほどの爆発的な強さを感じられないと思われていたクリス・フルームだったが、まるでここに全てを合わせてきたかと思わせられるほど、ブエルタでは調子が良かった。そしてこの第9ステージ、クンブレ・デル・ソルでは、今シーズン遅めの初勝利。本人もさすがに感極まったのか、勢いをつけて右腕を突き出した。

フルームという選手が、いかに自転車レースでの「勝利」を好んでおり、そしてとくにブエルタを好きな選手なのか、というのがよく伝わる写真だ。ただただじっとアシストに守られながら集団の中に潜み続けていることが、決して好きなわけではないということがひしひしと伝わる。

先日のサイクルモードピナレロブースでも、この写真がポスターになっていたり、大きなボードになっていたりとフューチャーされていた。実際、フルームに赤って、結構似合うよね。

 

 

17.アルベルト・コンタドール(ブエルタ・ア・エスパーニャ 第20ステージ)

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ル・ピストレロ、プロ生活最後の「バキュン」は、出し切った表情でほんの一瞬だけ、繰り出された。険しい表情は、この山頂に至るまでの道のりの苦しさ、困難さを物語っている。
それでも最後に、彼を応援し続けていたファンたちへのプレゼントとして、彼は小さく左胸を打ち、そして右手を差し出した。
メディアはそれをしっかりと捉え、多くのファンがこの一瞬を永遠に記憶に焼き付けることとなった。

もちろん、これでコンタドールの「自転車人生」が終わるわけではない。ピストレロとして人びとを沸かせた選手としての期間は終わり、今後は、今危機を迎えつつある母国の若手育成に向けて尽力してくれることだろう。
コンタドールに憧れ、コンタドールのような選手になろうとしている数多くの若手が、きっと数年後、数十年後のロードレースシーンを盛り上げてくれるはずだ。

ありがとうコンタドール。そしてこれからも、活躍を楽しみにしている。

 

 

18.ルイスレオン・サンチェス(グラン・プレミオ・ブルーノ・ベゲッリ)   

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スタナは、直前の事故で亡くなったスカルポーニを欠番とした8名で、ジロ・ディタリアへと挑んだ。エース不在の中、エトナ火山でもジャスパー・ハンセンなどが繰り返しアタックを仕掛けるなど、なんとかスカルポーニに捧げる勝利を望み続けていたものの、なかなかそれが実らないどころか、第15ステージでは準エースたる実力を持つカンゲルトすら失った。厳しい状態が続いていた。

それでも、クイーンステージの第16ステージで、「スカルポーニ山」として特別に定められたモルティローロの山頂を先頭で通過したのが、このルイスレオン・サンチェスだった。
そしてこのサンチェスが、シーズン終盤のこのブルーノ・ベゲッリで、ついに両手を天に掲げる機会を得た。ザッポリーノの登りを含む周回コースを10周する、パンチャー向けのレイアウトの同レース。最後のザッポリーノの下りで飛び出した小集団の中から、タイミングを見計らって抜け出したサンチェスは、見事な逃げ切り勝利を決めたのだった。

この日は、別のレースでフールサン、ルツェンコも勝利しており、アスタナにとっては一際嬉しい1日となった。度重なる不幸に恵まれ、来年はアルも失うことになるアスタナだが、歴史ある名門チームとしての意地は、まだまだ消えてはいない。

 

 

19.フェルナンド・ガヴィリア(ツアー・オブ・グアンジー 第6ステージ)

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年のガヴィリアは、覚醒の年を迎えていた。
初出場のジロ・ディタリアでステージ4勝とポイント賞ジャージ。シーズン通算14勝は、チームメートのマルセル・キッテルと並んで、全選手中最大の勝利数である。

そして、シーズン終盤のこのツアー・オブ・グアンジー(広西)でも、ジロと同じ4勝を記録する。
このときのガヴィリアの表情は、もはや感情を爆発させるような勢いのあるそれではない。
いかにも自然体で、まるでそれは当たり前であるかのような表情。
わずか23歳。プロデビュー2年目の若手とは思えない風格と余裕である。

この男が、新たな時代の中心になるのは間違いない。
その隣で、このグアンジーでも1度だけガヴィリアから勝利を奪った男、フルーネヴェーヘンも息を潜めている。スプリンター戦国時代はまだまだ続く。

 

 

 

本家ガッツポーズ選手権のように、読者の方にもぜひ、投票をしていただきたいと思っております。

以下、アンケートフォームに飛んでいただき、上記19のガッツポーズ写真のうちどれが一番良かったか、あるいは上記19以外でも、「このガッツポーズが良かった!」というのがあれば教えてくれればと思います。

docs.google.com

 

十分な数の投票が集まれば、発表したいと思っています。

ご協力お願いします!

2017年シーズンを振り返る⑤ チーム勝利数ランキング(後編)

前編に引き続き、今回は後編を扱う。

9位以降のチームたちをレビューする。

 

ここから先は、1位のクイックステップの半分以下の勝利数のチームたちであり、今年勝利数という点では振るわなかったチームたちである。

中にはUCIランキングでは上位で、活躍自体は間違いなくしているチームもある。だが、UCIランキングと勝利数と、双方の結果を見つつ、反省点、来シーズンに向けての課題なども浮かび上がってくることだろう。

 

来シーズンそれぞれのチームの方針を予想するうえでも、この勝利数ランキングの分析は意味あることだと思っている。最下位までレビューしたあと、1位からと合わせて総合的な分析も行っていきたい。 

 

 

 

 

第9位 ディメンションデータ(25勝)

UCIワールドツアーチームランキング:18位

エドヴァルド・ボアッソンハーゲン 10勝

スティーヴン・カミングス 3勝

セルジュ・パウエルス 2勝

メクセブ・ディベセイ 2勝

ライアン・ギボンズ 2勝

ユーセフ・レグイグイ 1勝

ベン・オコナー 1勝

アドリアン・ニヨンシチュ 1勝

オマール・フライレ 1勝(移籍) 

マーク・カヴェンディッシュ 1勝

レイナルト・ヤンセファンレンスブルグ 1勝

 

ボアッソンハーゲン、自身初の年間10勝という大台に乗る。しかも内8勝が地元ノルウェーでの勝利。6年ぶりのツール・ド・フランス勝利も果たした。しかも、あのキッテルと数ミリ差で2位に沈んだステージもあり、全体的に好調だったと思う。

逆に言えばボアッソンハーゲン以外はてんでダメダメ・・・7勝分は国内選手権の勝利だし、アフリカ勢が多いのでクラスも低い。結果、UCIランキングは当然の如く最下位である。

スポンサーがスポンサーなのでワールドツアーを降格、とはならないのかもしれない。だがさすがに変わらなければという意識はあるのか、来期は総合上位を狙えるルイ・メインチェス、勝利数を稼げるアタッカーのトムイェルト・スラフテル、そしてツールでクイックステップを支えたヴェルモトなどの加入が決まっている。現在急成長中のスプリンターのギボンズ、総合系ライダーとしての成長が楽しみなアントンやモートンなどの活躍を期待したいところ。

ところで、アフリカ系の選手たちの多くが、来年の更新確定が決まっていない様子・・・そういう意味での変化も考えているのか? さすがに確定メンバーだけでは人数が少なすぎるので、これから発表はされるとは思うのだが。

アフリカの選手たちの可能性を広げていくチームとして、これからも存在感を示してほしいところ。

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第9位 ロット・スーダル(25勝)

UCIワールドツアーチームランキング:13位

ティム・ウェレンス 7勝

アンドレ・グライペル 5勝

ジャスパー・デブイスト 4勝

トーマス・デヘント 2勝

トマシュ・マルチンスキー 2勝

イェンス・デブッシェール 2勝

モレノ・ホフラント 1勝

サンデル・アルメ 1勝

トニー・ギャロパン 1勝(移籍) 

 

今年はグライペルが不調だったため、勝利数は伸びなかった。絶好調だった2015年はチームとしても40勝を記録していた。その代わり、とくにブエルタで、これまでなかなか勝利を得られなかったメンバーが大活躍。チームとしては可もなく不可もなくといった1年に終わった。

ウェレンスやデブイストといった若手の有望株が着実に育っているのは嬉しい。今年は昨年までと比べるとイマイチだったベノートも、短めなステージレースならば総合上位に入れるポテンシャルを見せてもいたので、UCIランキングを上げるためにも頑張ってほしい。ほかにもケウケレールやカンペナールツなど、実力者が入ってくる来年は、クラシックでの勝利も稼いでいきたいところである。

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第11位 チーム・サンウェブ(19勝)

UCIワールドツアーチームランキング:4位

トム・デュムラン 6勝

マイケル・マシューズ 4勝

TTT 2勝

ワレン・バルギル 2勝(移籍) 

マックス・ワルシャイド 1勝

ラモン・シンケルダム 1勝(移籍)

オルグ・プライドラー 1勝(移籍)

フィル・バウハウス 1勝

セーレンクラーウ・アナスン 1勝

ニキアス・アルント 1勝

 

かつて、このチームはキッテルやデゲンコルブが集い、ザ・スプリンター・チームといった様相を呈していた。しかし今年はたった19勝でUCIランキング4位。一瞬のうちに総合系チームに早変わりしてしまった印象だ。

とはいえ、チーム全体がガチガチに総合系で固めているかと言えば決してそんなことはない。むしろ、マシューズを頂点としてバウハウスやアルントなど成長途上が集うスプリンター組は、来年改めて爆発してもおかしくない面子だ。来期はここにエドワード・トゥーンスも加わる。

そのマシューズはアルデンヌ・クラシックでの勝利も期待できるし、そのためのゲシュケ、アナスンなどアルデンヌ向きのライダーもそれなりにいる。

来期は総合だけでなく、ステージ勝利やクラシックなど、勝利数を稼ぐ方向への期待をしていきたいところ。総合というのは、うまくいくときはうまくいくのだが、それだけに依存していると、突然結果の出せないシーズンというのが生まれがちなので・・・。

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第12位 UAEチーム・エミレーツ(18勝)

UCIワールドツアーチームランキング:12位

ディエゴ・ウリッシ 4勝

サッシャ・モドロ  4勝(移籍)

ルイ・コスタ 3勝

マチェイ・モホリッチ 2勝(移籍)

ヤン・ポランツ 2勝

ユーセフモハメド・ミルツァ 2勝

クリスティアン・デュラセック 1勝

 

地味な実力者たちが地味に勝利しているといった印象。しかしその中の1人でもあるモドロやモホリッチがチームを去るのは不安も大きい。とはいえ来年は、中東マネーを駆使してクリストフやアル、ダン・マーティンなどの強力な布陣が揃うので、勝利数でもUCIランキングでも上位を狙うことは可能かもしれない。

また、今年のジロで活躍したポランツ、コンティあたりのさらなる成長が楽しみだ。個人的には、唯一のUAE籍選手ユーセフに頑張ってほしいと思ってる。今年の2勝も国内選手権のそれだけ。やっぱ、地元の選手が地元のチームで(できれば地元のレースで)勝てると感動するしね。

ちなみにPCSを見ると、今年はUAE Team Emiratesだった当チーム名が、来年はUAE-Team Emiratesになっている。え、これはマジで、そういう微妙な名前の変化があるの?

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第12位 アスタナ・プロチーム(18勝)

UCIワールドツアーチームランキング:15位

ミゲルアンヘル・ロペス 4勝

ヤコブ・フールサン 4勝

アレクセイ・ルツェンコ 3勝

ファビオ・アル 2勝(移籍)

ルイスレオン・サンチェス 1勝

オスカル・ガット 1勝

アルチョーム・ザハロフ 1勝

ザンドフ・ビズィギトフ 1勝

ミケーレ・スカルポーニ 1勝

 

シーズン当初は、キャノンデールと並んで勝利を挙げられないチームとしてずっと注目を浴びていた。待望のシーズン初勝利が、ツアー・オブ・ジ・アルプス第1ステージでの、ミケーレ・スカルポーニの勝利だった。ジロ・ディタリアで、アルの右腕として活躍することへの期待を感じさせる勝利だった。

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直後、アスタナは悲劇に見舞われる。スカルポーニの死、アルの負傷、そしてジロ期間中のカンゲルトの大落車。

 

だが、アスタナはその後、少しずつ復活を遂げていく。フールサンのクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ総合優勝、ブエルタにおけるミゲルアンヘル・ロペスの飛躍。来年、アルは去るが、強力なスプリンターであるマグヌスコルト・ニールセン、ジロで活躍したヤン・ヒルト、そしてブエルタここ3年の山岳賞受賞者であるオマール・フライレとダヴィデ・ヴィレッラも来期は加わることに。

決して成功したシーズンではなかったが、名門チームの未来は暗いものではなさそうだ。

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第12位 トレック・セガフレード(18勝)

UCIワールドツアーチームランキング:5位

マッヅ・ペダースン 5勝

エドワード・トゥーンス 2勝(移籍)

マティアス・ブランドル 2勝

バウケ・モレマ 2勝

アルベルト・コンタドール 1勝(引退)

ジャスパー・ストゥイヴェン 1勝

ルーベン・ゲレイロ 1勝

TTT 1勝

ファビオ・フェリーネ 1勝

ジョン・デゲンコルブ 1勝

ハルリンソン・パンタノ 1勝

 

最多勝利のマッヅ・ペダースンは、今年ワールドツアーチーム入りしたばかりの今年22歳デンマーク人。レナード・ケムナなどと共にドイツのプロコンチネンタルチームに在籍していた昨年、ツアー・オブ・ノルウェーでステージ勝利を果たした。そして今年はデンマークロード王者に輝いたうえで、ツール・ド・ポワトゥー・シャラント(2.1)及びポストノルド・デンマークルント(2.HC)で総合優勝を果たす。

デンマーク人の躍進が目立つ昨今、若手の最注目期待株である。

若手という意味では元アクセオンのルーベン・ゲレイロも期待していたのだが、今年はベルギー・ツアー総合9位くらいか・・・。一応ポルトガルロード王者にはなったので、来年は特別ジャージを着てもう少し目立ってほしいところ。

あとは来年、モレマがどこまで総合で活躍できるか。ブエルタで見せたようなチーム力の高さを活かし、コンタドールカンチェラーラ不在でも上位で活躍できるチームとして残ってほしい。

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第15位 チーム・カチューシャ・アルペシン(17勝)

UCIワールドツアーチームランキング:11位

アレクサンデル・クリストフ 9勝(移籍)

トニー・マルティン 2勝

ホセ・ゴンサルベス 2勝

シモン・シュピラク 2勝

イルヌール・ザッカリン 1勝

マウリッツ・ラメルティンク 1勝

 

勝利数の圧倒的な偏り。こうやって見てみるとかなりヤバいということが良くわかる。コンスタントに勝利していたタラマエや、期待されていた勝利にあと一歩届かないことの多かったマルティンの状態が主な要因か。他チームに比べ、「勝てる」選手が少ないようにも感じる。

その点、来年はキッテルが加入するため、少なくとも今年のクリストフ以上の活躍はしてくれるだろう。あとはそれを、どれだけのメンバーが支えることができるか、だ。

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第16位 AG2Rラ・モンディアル(16勝)

UCIワールドツアーチームランキング:9位

 アレクサンデル・ジェニエ 3勝

アレクシー・ヴュイエルモ 3勝

シリル・ゴチエ 1勝

ルディ・バルビエ 1勝

ブノワ・コヌフワ 1勝

アレクシー・グジャール 1勝

ロマン・バルデ 1勝

オリヴァー・ナーゼン 1勝

ピエール・ラトゥール 1勝

ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ 1勝

マッテオ・モンタグーティ 1勝

サミュエル・ドゥムラン 1勝

 

相変わらずツール・ド・フランスでの総合争いに振り切っている感のあるチーム。それでも昨年の8勝が随分こたえたのか変革は進んでおり、ナーゼンなどクラシックスペシャリストの獲得にも励んでおり、純フランスチームといった色は薄まってきた。それでもまだまだ、この程度の勝利数。

来年はディリエ、ギャロパンなどのアタッカーも新加入。なんとか結果に繋げていきたいところ。個人的に好きなチームなので頑張ってほしい。

あとドモン。アクセル・ドモン。来年こそツール山岳ステージでの勝利・・・がんばれ!

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第17位 キャノンデールドラパック・プロサイクリングチーム(14勝)

UCIワールドツアーチームランキング:10位

リゴベルト・ウラン 2勝

ワウト・ウィッパート 2勝(移籍)

アレックス・ハウズ 2勝

ライアン・ミューレン 2勝(移籍)

ピエール・ローラン 2勝

トムイェルト・スラフテル 1勝(移籍)

トムス・スクインシュ 1勝(移籍)

トーマス・スカリー 1勝

アンドリュー・タランスキー 1勝(引退)

 

シーズン序盤は、ダントツの最下位候補だったキャノンデール。チーム存続の危機すら騒がれたわけだが、そのブエルタでの頑張りもあり、蓋を開けてみればUCIランキング的にはそこまで悪くなく。3大グランツール全てでそれなりの存在感を発揮したという意味ではやはり名門チームである。

第2のホームとも言うべきカナダのツアー・オブ・アルベルタでの3連勝もあり、ギリギリで勝利数ランキング最下位を逃れた。

来年はダニエル・マクレーサッシャ・モドロの加入もある。実力あるスプリンターである2人に、ぜひとも勝利数を稼いでもらいたいところ。

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第17位 バーレーンメリダ・プロサイクリングチーム(11勝)

UCIワールドツアーチームランキング:14位

ヴィンツェンツォ・ニバリ 4勝

ソニー・コルブレッリ 3勝

ジョヴァンニ・ヴィスコンティ 1勝

ツカブ・グルメイ 1勝

ヨンアンデル・インサウスティ 1勝

ラムナス・ナヴァルダスカス 1勝

 

最有力候補のキャノンデールを押しのけて、見事勝利数ランキング最下位に輝いたのは今年創設されたばかりのバーレーン。まあ、その意味では仕方ないとも言える。しかしブレント・コープラントGMは初年度にしてはよくやったと自賛していたが、確かにニバリは頑張ってはいたが、それにしてもやっぱり寂しい結果と言わざるを得ない。ヨンイサギレ・インサウスティのツール初日まさかのリタイアがとても痛かったのは事実だが。

ただ個人的には結構応援している。ペリゾッティが想像以上の活躍をしてくれたり、アントニオやイヴァン・ガルシアコルティナ等の若手もいい動きをしている。地味に才能が発掘されつつあるスロベニアの選手たちを多く抱え、単純に中東マネーで強力な選手たちを集めました、というわけではない魅力がこのチームにはある。

来年はポッツォヴィーヴォやモホリッチの加入もある。今年活躍できなかったハウッスラーなどにも期待しているぞ。コルブレッリももっと勝ちたいね。2年前のように。

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まとめ

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1位から18位をあらためてまとめると上記表の通りとなる。

ランキング上位にいるチームは総合でもクラシックでもステージ勝利でもバランス良く取れているからか、UCIランキングでも上位にいる傾向がある。

一方、FDJ以下はそのバランスが崩れ、ステージレースでのステージ勝利は多いものの総合順位やクラシックでは中々勝利できず、UCIランキングが低めに出てしまっているチームや、逆に総合成績は良いがステージ勝利の数は稼げていないチームなどが現れている。

「チームに対する評価」というのはなかなか難しいところもあるが、上記表がその判定を考える上で参考になれば幸いである。

 

 

また、選手個人での勝利数ランキングも以下にまとめる。

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当然、スプリンターが多く上位に来るため、ある意味ではこれは「今年のスプリンターランキング」とも言えるのかもしれない。ここにグライペルカヴェンディッシュ、デゲンコルブが入っていないことが悲しいが、概ね今年活躍したスプリンターの名前がしっかりと挙がっていると言えるだろう。

あれ、スプリンターじゃない人が、1人いる?

 

 

 

勝利数というのは非常にわかりやすい客観的な指標であると共に、その中にはレースの格だったり出場するライバルの状況だったりと色んな色を持ってもいる。逆に恣意性もないとも言える。

本当はプロコンチネンタルチームの状況や過去シーズンの状況との比較もしたいところだがさすがにそこまでは手が回らない。せめて来年以降も続け、データの蓄積をしていきたいところだ。

 

分析の観点や注目すべき別の数字など、何かアドバイスがあれば、ぜひ。

 

次はどんな企画をしようかなぁ。

2017年シーズンを振り返る④ チーム勝利数ランキング(前編)

レース、個人ときて最後はチームランキング。ただし、UCIランキングではなく、勝利数ランキング。

なぜ勝利数にするかというと理由は2つある。

 

  • シーズン序盤から、勝利数というのはチームの力を測る指標としてよくファンの間で話題に上るから。
  • クラシックとステージレースの総合順位に評価が偏っているUCIランキングでは、ステージレースの区間勝利を積み重ねていくタイプの選手/チームが正当に評価されないから。

 

ただもちろん、UCIランキングもそれなりに意味はある。何しろ、UCIチームランキングで最下位になろうものなら、来期のワールドツアークラス存続の危機すら囁かれるのだから。

だから、今回のランキングでは、ベースを勝利数にしつつ、UCIワールドツアーランキングも併記することにした。

それで、勝利数とUCIランキングの差異というのも感じ取っていただければ幸い。

 

 

また、今回はあえて「1位」から順番に紹介していく。

1位があのチームだというのは誰もが想像できるだろう。

むしろ、「最下位」がどこのチームなのか、気になる人の方が多いのではないか。

 

 

 

 

第1位 クイックステップ・フロアーズ(56勝)

UCIワールドツアーチームランキング:2位

フェルナンド・ガヴィリア 14勝

マルセル・キッテル 14勝(移籍)

マッテオ・トレンティン 7勝(移籍)

フィリップ・ジルベール 5勝

イヴ・ランパールト 3勝

ダビ・デラクルス 2勝

ジュリアン・アラフィリップ 2勝

ボブ・ユンゲルス 2勝

マキシミリアーノ・リケーゼ 2勝

イーリョ・ケイセ 1勝

ゼネック・スティバール 1勝

ダニエル・マーティン 1勝(移籍)

トム・ボーネン 1勝(引退)

ジャック・バウアー 1勝(移籍)

 

56勝のうち半分を、ガヴィリアとキッテルで稼ぎだしている。とくにガヴィリアは昨年の7勝から2倍。プロ入り後の勝利数25のうちの半分以上を今年だけで稼いだことになる。まさに、急成長。

だから、移籍・引退する選手の合計勝利数が半分近い26勝分あるとしても、それが即、クイックステップ弱体化につながる、とは言い切れないだろう。今年9勝しているヴィヴィアーニの加入もあり、毎年コンスタントに勝利数を稼いでいるジルベールも残り、何より、今年は正直振るわなかったユンゲルスやアラフィリップが、来年大暴れしてさえくれれば、勝利数だけでなくUCIランキング首位の座も望めるだろう。

若手を中心に強さを見せつける、新生クイックステップが楽しみだ。

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第2位 BMCレーシングチーム(48勝)

UCIワールドツアーチームランキング:3位

ディラン・トゥーンス 8勝

フレッヒ・ファンアフェルマート 7勝

リッチー・ポート 6勝

ローハン・デニス 6勝

TTT 4勝

シュテファン・キューン 3勝

ジャンピエール・ドラッカー 3勝

シルヴァン・ディリエ 3勝(移籍)

ベン・ヘルマンス 3勝(移籍)

マヌエル・センニ 1勝(移籍)

ブレント・ブックウォルター 1勝

ジョセフ・ロスコフ 1勝

ティージェイ・ヴァンガーデレン 1勝

マイルス・スコットソン 1勝

 

最注目はやはりDトゥーンス。フレッシュ・ワロンヌで頭角を現したと思いきや、あれよあれよという間に勝利数を稼いでしまった! これが今年だけの爆発にならぬよう・・・BMCの育成力も重要だ。

実にこのチームらしいのがTTTの勝利数。しかも4勝中3勝がワールドツアークラスのレースなのだから、さすがというほかない。

そんなBMCのTTスペシャリスト陣の成長株が、今年24歳のシュテファン・キューン。今年のスイスITTチャンピオンになっただけでなく、ツール・ド・フランス初日ITTでまさかの2位。マイヨ・ブランも着用した。カンチェラーラの後継者になりうるか。

移籍組ではディリエとヘルマンスが、共に今年飛躍を果たした。いずれも、超強力な選手たちが集うBMCよりも、それぞれの新天地(AG2Rイスラエル)の方が活躍できそうな気がするので頑張ってほしい。とくにヘルマンスは、今年のジロでリタイア直前は総合11位と健闘していた。おそらく、イスラエルサイクリングアカデミーは来年のジロ出場を内定されているはずなので、ぜひともその総合エースとして、帰ってきてほしい。

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第3位 チーム・スカイ(36勝)

UCIワールドツアーチームランキング:1位

エリア・ヴィヴィアーニ 9勝(移籍)

クリス・フルーム 4勝

ミケル・ランダ 4勝(移籍)

ミハウ・クフャトコフスキ 4勝

ゲラント・トーマス 4勝

ダニー・ファンポッペル 2勝(移籍)

セルヒオルイス・エナオ 2勝

ワウト・プールス 1勝

ジャンニ・モズコン 1勝

ピーター・ケノー 1勝(移籍)

TTT 1勝

ホナタン・ディベン 1勝

イアン・スタナード 1勝

ルーク・ロウ 1勝

 

ヴィヴィアーニは序盤の不調からの、ジロ出場できない事件をバネにしたのか、移籍を決めたのちのシーズン後半で大爆発を決めた。結果、キャリア最大の勝利数を稼いだ年となり、UCI個人ランキングでもおそらく自身最上位を記録したのではないか。

ほかに飛躍という意味で目立つのはクフャトコフスキか。勝利数で言えばクイックステップ、BMCには一段劣るのだが、フルームやクフャトコフスキのように、勝利1つ1つの価値が高く、結果的にUCIランキングでは1位となった。また、ステージレースだけでなく、各種クラシックでの勝利が多くバランスの取れたチーム編成であることもポイントが高くなる要因だろう。クフャトコフスキはその意味でもチームに貢献している。

今期、最も飛躍した選手の1人で、かつ最も悔しい思いをした選手でもあるのが、ゲラント・トーマス。来年も同じ良いコンディションを保てるかは不安はあるが、応援し続けていきたい。

移籍組ではランダ4勝。彼がエースを務めるレースがもっと増えれば、もっと大きな結果を残せていたかもしれない。来年はその点、移籍先・・・もあまりエースを担わせてくれなさそうだ。ありゃ。

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第4位 ボーラ・ハンスグローエ(33勝)

UCIワールドツアーチームランキング:8位

ペテル・サガン 12勝

サム・ベネット 10勝

ラファウ・マイカ 4勝

グレゴール・ミュールベルガー 2勝

マチェイ・ボドナール 1勝

ユライ・サガン 1勝

ヤン・バルタ 1勝

アレクセイ・サラモティン 1勝

ルーカス・ポストルベルガー 1勝

 

ボーラがこの順位と知って、あれ?そんな勝ってたっけ? という思いを抱くのも無理もない。サガンとベネットだけで、3分の2の勝利数を稼ぎだしているのだ。まさにチーム・サガン。マイカとケーニッヒが振るわなかったせいで、想像していた以上にチーム・サガンだった。ボドナールからサラモティンまでの合計4勝は国内選手権の優勝だし。

それでも、サガンに頼りきるだけのチームではなく、レースのクラスはサガンと比べ一段劣りはするものの、勝利数だけならば喰らいついたのがベネット。とくに終盤のツアー・オブ・ターキー4勝はインパクトがでかい。アイルランドの期待の星なので、今後の活躍にも期待したい。サガンに負けないくらいイケメンだしね。

ちなみに最後に付け加えておくと、UCIワールドツアーチームランキングのポイントは6516ポイントで、そのうちの2544ポイントをサガンが稼いでいる。マイカは1117ポイントで、それ以外の選手は全員600ポイント未満である。あー、やっぱりチーム・サガン

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第5位 モビスター・チーム(31勝)

UCIワールドツアーチームランキング:6位

アレハンドロ・バルベルデ 11勝

ナイロ・キンタナ 6勝

カルロス・バルベロ 5勝

ホナタン・カストロビエホ 2勝(移籍)

ゴルカ・イサギーレ 2勝(移籍)

ヘスス・エラダ 1勝(移籍)

TTT 1勝

ヤッシャ・ズッターリン 1勝

アレックス・ドゥーセット 1勝(移籍)

ローリー・サザーランド 1勝(移籍)

 

バルベルデがあんたスプリンターですか?ってなくらい勝利した。だからなんとかこの順位ではあるが、正直、今年のモビスターはジロとバルベルデ以外はダメダメだった印象しかない。もともとクラシックは苦手なグランツール特化型チーム。スカイがクラシックへの強化を進める中で、このチームは取り残されている感がある。

そしてクイックステップにも匹敵するベテラン中堅勢の流出。代わりに、カハルラルから上がってきたバルベロが1クラスとHCクラスで勝利を稼いでくれたのは嬉しい。勝利こそ1つしかないが、今年25歳の若手ズッターリンが、TTを中心に頭角を現しつつあることも、今後のモビスターを考えるうえで期待が持てる。

あとはスペインの若手がどれくらい育ってくれるか・・・マルク・ソレルはいい動きは終始していたのだけれど、結局勝利に繋がってないのは痛いなぁ。 

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第6位 オリカ・スコット(29勝)

UCIワールドツアーチームランキング:7位

カレブ・ユワン 10勝

ルカ・メスゲッツ 3勝

サイモン・イェーツ 3勝

ミヒャエル・アルバジーニ 3勝

ダリル・インピー 2勝

マグヌスコルト・ニールセン 2勝(移籍)

ロマン・クロイツィゲル 1勝

ジャック・ヘイグ 1勝

スヴェン・タフト 1勝

ルーク・ダーブリッジ 1勝

アダム・イェーツ 1勝

ダミアン・ハウスン 1勝

 

完全にガヴィリアに置いていかれた感があるかなユワン・・・と思っていたらツアー・オブ・ブリテンでしっかり3勝(まあそのあとガヴィリアもグアンジーで4勝しているんだけど)。とりあえずユワンがダウンアンダーだけの人にならなくて良かった。

ちなみに今年のユワンは本当に強かったなって思っていて、その象徴がアブダビツアーでの勝利だと思っている。直前の第2ステージで、ガッツポーズをしようとしたせいでキッテルに差されてしまったユワン。それをきっちりリベンジするなんて、実力がなければできない芸当だ。

ちなみにこのときユワンを支えていたロジャー・クルーゲとのコンビが個人的には気に入っている。ジロでは連れていかれずメスゲッツとコンビを組んで(´・ω・`)としていたのだが、ブリテンで復活して歓喜。身長30㎝差の大人と子供コンビの楽しさよ。

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第7位 FDJ(27勝)

UCIワールドツアーチームランキング:17位

ルノー・デマール 10勝

ティボー・ピノ 4勝

ヨハン・ルボン 3勝(移籍)

イグナタス・コノヴァロヴァス 3勝

アルトゥール・ヴィショ 2勝

ダヴィド・ゴデュ 1勝

マルク・サロー 1勝

ビアス・ルドヴィクソン 1勝

オドクリスティアン・エイキング 1勝(移籍)

ダヴィデ・チモライ 1勝

 

27勝もしているのに、UCIのランキングでは下から2番目。それもそのはず。勝利はデマールがほぼ稼ぎきったのだし、そのデマールもクラシックでは結果を残せていないのだから。まあこのチームに関しては、先日のUCI個人ランキングのときにも書いたように、チモライ・グアルニエーリ・コノヴァロヴァスのトリオがデマールを支える最強スプリンターチームを形成しつつあり、来年も結果が期待できそうなので気長に待ちたいとは思う。

でもさすがにクラシック対策しないと・・・AG2Rは少しずつ変革しつつあるので、FDJもそれに乗り遅れないようにしないとね。可能性あったエイキングも移籍してしまうし。

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第8位 チーム・ロットNLユンボ(26勝)

UCIワールドツアーチームランキング:16位

ディラン・フルーネヴェーヘン 8勝

プリモシュ・ログリッチェ 6勝

ラルス・ボーム 3勝

ティモ・ルーゼン 2勝

ヴィクトール・カンペナールツ 2勝(移籍)

ヨス・ファンエムデン 2勝

フアンホセ・ロバト 1勝

クーン・ボウマン 1勝

ジョージ・ベネット 1勝

 

シャンゼリゼを制した男、フルーネヴェーヘン。グアンジーではガヴィリアのスプリントステージ全勝を止めたりと、派手さはないけれどもトップスプリンターたちに負けない力量を誇る選手だ。

ほかにもデュムランを破った男ファンエムデンなど、とにかく地味な実力者の多いチーム。そのせいで勝利数は決して多くなく、UCIランキングも後ろから3番目と、決して結果には残らないのだが、それでも確かな存在感を放っている選手である。個人的には大好き。ビアンキだからというのもあるけれど。

来年はダニー・ファンポッペルも仲間入りを果たし、もう少し勝利数を伸ばすことができるかも。若手の注目株ネイルソン・パウェルスの加入も決まり、ヘーシンク、クライスヴァイク、そしてベネットといった総合勢の活躍にも期待。彼らが頑張らないと、UCIランキングも上がらないので・・・。

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以上で「前編」は終了。次回は「後編」だ。

果たして勝利数ランキング最下位はどのチームか・・・シーズン序盤で苦戦していたあのチームは意外とあの順位に・・・?

UCIランキング最下位は割と簡単に予想がつくだろうが、その勝利数ランキングでの位置は意外なことに・・・? 

 

後編へ続く。

2017年シーズンを振り返る③ UCIワールドランキング個人10位~1位全レビュー

UCIワールドランキングのTOP10全選手をレビューする。

「ワールドランキング」は「ワールドツアーランキング」とは異なり、ワールドツアーレースのみならずコンチネンタルサーキットのレースや世界選手権の結果も反映しているため、より正確に今年の活躍を反映したランキングとなっている。

あまりメディアに取り上げられることの少ないランキングだが、とくに今回取り上げる10位~1位の選手たちはいずれも「確かに今年活躍した!」と言えるメンバーが揃っているので、選手の観点で1年を振り返るうえでは良い資料となる。

 

参考までに、過去のUCIワールドランキング覇者を振り返ってみる。

(2014年までは「ワールドランキング」は存在せず、「ワールドツアーランキング」のみだったため、そちらを掲載する)

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果たして今年の1位は・・・?

 

 

21位~11位まではこちら

※年齢はすべて数え年表記となります。

 

第10位(昨年68位)

フィリップ・ジルベール(ベルギー、35歳)

クイックステップ・フロアーズ所属 パンチャー

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なんといっても今年はロンド・ファン・フラーンデレンの優勝。しかも、ずっと夢見てきて、でもBMCでいる間は同じチーム内にライバルがいて・・・という状態の中から、減俸覚悟での移籍によって掴み取った夢であった。

そして、それだけには終わらない活躍。アムステルの優勝もそうだけれど、チームメートのために力を使う姿も目立ち、それがゆえにロンドでもボーネンらの力を借りることもできたのだ。ベルギーの最強アルデンヌハンターは、クイックステップというWT随一の結束力を見せるこのチームに、早くも馴染んできた感がある。

 

来年、このチームは実力者を多く放出することになる。来年もまた最強でい続けることは難しいかもしれない。しかし、若手の実力者たちは多く残っており、また新たに将来有望な若手も入ってくる。そんな中、ジルベールに求められているのは、彼らの導き手である。そしてそれは、この男であれば十分に可能なことだろう。

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第9位(昨年11位)

マイケル・マシューズ(オーストラリア、27歳)

チーム・サンウェブ所属 スプリンター

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今では数多くいる「登れるスプリンター」の代表格だが、まさかここまでとは。その水準はサガンに匹敵する。すなわち、1級~2級レベルの山岳は軽々越えて逃げに乗り、チームメートの山岳賞争いをサポートしつつ自らもしっかりと中間スプリントポイントを獲得していくその芸当。今回のツールはサガン、キッテルが次々とリタイアしてしまったが、彼らが残っていたとしてもポイント賞を獲得できたかもしれない、とさえ思う。

 

その意味で、キャリアの中でも最高の結果を出し続けているここ数年ではあるが、実はまだクラシックでの勝利がほぼない。上記表を見ても分かるように、3位とか4位とかばかりだ。アルデンヌ系クラシック、とくにアムステルやケベックモンレアルは何度も優勝候補に挙げられてはいるものの、未だそこに到達できていない。

来年はその点に注目。アルントやバウハウスといった、チーム内で育ちつつある有望株とのコンビネーションにも期待。

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第8位(昨年67位)

ミハウ・クフャトコフスキ(ポーランド、27歳)

チーム・スカイ所属 オールラウンダー

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病気で苦しんだ昨年から打って変わって、春先のワンデーレースから大ブレイク。モニュメントまで制覇した。さらにはツール・ド・フランスにおける、八面六臂の活躍っぷり。本人がシーズン開始前のインタビューで述べていた「あらゆる局面で活躍できる選手になりたい。そしてツールではフルームを支えたい」という言葉通りの結果となった。

ポートが去り、ランダも去った今、チーム・スカイにおける、トーマスと並ぶエース候補の1人ともなりうるだろう。パリ~ニースなどで、総合エースとして活躍する可能性もあるかもしれない。

 

今後はトーマスと並ぶスカイのエース候補の1人となるかもしれない。パリ~ニースなどでのエースとしての活躍も、見てみたいものだ。

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第7位(昨年5位)

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、37歳)

モビスター・チーム所属 オールラウンダーf:id:SuzuTamaki:20171029133931p:plain

上記表を見てもらえばわかるように、今シーズンの前半における彼の強さは前人未到の領域である。これで37歳なのだから本当に凄い。普通これだけ強いと反発する気持ちも出てきそうなものだが、バルベルデだし、という思いでなんとでもなっちゃうあたりがまたこの人らしい。愛され系ちょいワル親父。

それだけに、ツール初日でのリタイアが悔やまれる。少なくともブエルタでの大暴れは期待できていただけに。来年は万全の彼と、万全のキンタナとで、今度こそフルームを脅かしてほしい。

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第6位(昨年21位)

ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア、33歳)

バーレーンメリダ所属 オールラウンダー

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コンタドール引退に伴い、現役選手で唯一、全グランツールを制覇している男となるニバリ。実力は折り紙付きで、今年のグランツール2つで総合表彰台を獲得し、イル・ロンバルディアでは安定の走りでもって2勝目を飾った。

彼の武器の1つ目は、圧倒的な下りの力。ロンバルディアはもちろん、ジロでも下りながらバニーホップをする余裕さえ見せてくれた。ただしツール終盤では直前の下りの影響かやや陰りが見えてしまった。

もう1つの武器は、傍若無人でマイナスな話題にも事欠かないにも関わらず、なぜか人を惹きつけるその魅力。それによって彼を支えてくれる仲間たちが、献身的に彼をサポートしてくれる。2年前のロンバルディア勝利を支えたディエゴ・ローザ。昨年のジロ総合優勝を導いてくれたミケーレ・スカルポーニ。そして今年のジロとブエルタの表彰台の立役者フランコ・ペリゾッティ・・・一回りも年上の大先輩たちですら惹きつけるそのニバリの魅力に、私もイタリアのファンも熱狂してしまう。

 

今後の彼に、大きな勝利は期待していない。それでも、いくつになっても、相変わらずのキャラクターと実力を魅せ続けてほしい。

いわゆる「バルベルデ的なポジション」になりうる選手であると言える。

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ロンバルディアの勝利で、プロ通算50勝を記録した。

 

 

第5位(昨年24位)

トム・デュムラン(オランダ、27歳)

チーム・サンウェブ所属 オールラウンダー

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オランダの巨人、ついにグランツールを制す。それも、絶対的優勝候補ナイロ・キンタナを、TTだけでなく登りでも打ち倒して。さらには念願の世界チャンピオンの座も獲得し、いよいよツールに向けて本格発進か。
正直、現状のフルームを打ち倒せるとしたら、彼か、もしくは万全のリッチー・ポートしかいない、と感じている。来年? まだ早い? でも、フルームがそのコンディションを維持できているうちに、是非とも本気のぶつかり合いを見てみたいところ。


自分がロードレースに本格的にハマり出したのは、2015年ブエルタでの彼の雄姿を見たがゆえ。その彼が、「フルーム時代」を打ち崩すとしたら、これほど燃えることはない。来年はどんな驚きを我々に見せてくれるか。 

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第4位(昨年7位)

アレクサンデル・クリストフ(ノルウェー、30歳)

カチューシャ・アルペシン所属 スプリンター

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シーズン前半はなかなか勝ちきれなかった。かろうじて勝利したワールドツアークラスのレースも、今年ワールドツアー入りしたばかりのレースくらい。それでも、8月のヨーロッパ選手権で勝利し、世界選手権でも2位に入り込んだ。結果としてのこの順位は正直、意外だったが、非ワールドツアークラスのレースも含め、バランスよく上位に入り続けた結果と言えるだろう。やはり実力はトップクラスである。

シーズン前半の調子が悪かったのは事実で、実際に彼の顔も見た目からわかるくらいに膨れ上がり、体重が増えていることが問題となっていたらしい。そういうこともあってなのかは分からないがチームとの関係も良くなかったのか、早々に来期のチーム変更が決まった。行先は・・・アル、マーティンと同じくUAE。ベン・スウィフトやサッシャ・モドロだけでは勝利数を稼げずにいたこの中東チームの、救世主となれるか。

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来期はヨーロッパチャンピオンジャージを着て走る。

 

 

第3位(昨年1位)

ペテル・サガン(スロバキア、27歳)

ボーラ・ハンスグローエ所属 スプリンター

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昨年の覇者は今年もケベックや世界選手権など大きな勝利を重ねるものの、やはりフランドルの勝利がないことやツール・ド・フランスでの早期リタイアが響き、この結果に。それでも、ワールドツアークラスのレースでの勝利数は桁違いだ。以下に参考までに、サガンのワールドツアークラスでの成績を記してみる。

 

 

ポイント賞も合わせると「1位」の数はワールドツアーだけで15回。ステージレースでの1勝および特別賞ジャージの価値が低めな現UCIポイント制度ではあまり貢献していないが、たとえランキング1位でなくとも、現プロトンの中で圧倒的な存在感を示していることがわかる。

 

そんなサガンだが、それでも今年は万全ではなかった。とくに春のクラシックから落車、パンク、またパンク・・・そんな感じで不運が続き、実力を十分に発揮しきれなかった。

だから来年は、とにかくロンドに続くモニュメント勝利を狙いたい。まずはミラノ~サンレモとパリ~ルーベ。そしてLBLとロンバルディアを狙えるような体を、今後つくってこれるか。

・・・その前にロードレースに飽きてマウンテンバイクなどに行かなければいいのだが。 

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第2位(昨年2位)

クリストファー・フルーム(イギリス、32歳)

チーム・スカイ所属 オールラウンダー

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史上3人目、そしてブエルタが秋開催になってからは初となる、ツール-ブエルタのダブルツールを達成。そして来年は「5勝クラブ」入りが期待される、間違いなく現役最強のグランツールライダーである。

もちろん、ジロの制覇も狙ってはいるはずで、彼なりに焦りもあるだろう。彼の性格からすれば、本当はリエージュ~バストーニュ~リエージュ辺りも狙いたいという思いはあるかもしれない。だが、チームの為にも、徹底したレーススケジュールコントロールを行い、狙ったレースで確実に獲りにくるその姿は、勝者の驕りや余裕というようなものは感じられず、むしろストイックな印象すら受ける。

その言葉も謙虚で、紳士的であり、そういった全てが、多くのファンの心をつかんでいるのだろう。コンタドールとはまた違った、英雄的な選手である。

 

そんな彼が、精いっぱい楽しんでいるように見えるブエルタでついに勝利を掴んだことは見ていて嬉しい。いつか、大きなプレッシャーから解放され、もっと自由に楽しんでレースを走るフルーミーを見てみたくもある。

だけどまずは、可能な限りその記録を伸ばしてほしい。そして、いつか、彼を乗り越えるだけの新たな実力者が現れたとき・・・きっと彼は、それもまた笑顔と拍手でそれを迎え入れるだろう。

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第1位(昨年4位)

フレッヒ・ファンアフェルマート(ベルギー、32歳)

BMCレーシングチーム所属 パンチャー

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昨年ツールでマイヨ・ジョーヌを着て、リオ・オリンピックで金メダルを獲得し躍進したファンアフェルマート。今年もその躍進は止まず、春のクラシックで絶好調。ついには自身初のモニュメントであるパリ~ルーベを制した。まさにキャリアのピークである。

今後はロンド・ファン・フラーンデレン制覇を目指すのが第一か。あるいは、インスブルックでの世界選手権も、狙うべきレースのはずである。クライマー向きなので普通に考えれば厳しいが、リオ・オリンピックを制した彼ならば、十分狙っていけるだろう。

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ジルベールに次ぐ、パンチャーとしてのランキング首位。彼やジルベールの活躍により、国別ランキングでもベルギーが首位となった。スロバキアやイギリスといった新興国には負けない、伝統国としての意地を見せた。

 

 

 

 

以上、UCIワールドランキングの21位~1位までも簡単に振り返ってみた。このランキングを表にまとめると以下の通りだ。

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こうして見てみると、国籍が非常に多様化していることがわかる。また、ワンデーレースの新規ワールドツアーレースが増えたことで、クライマーやオールラウンダーのようにステージレースの総合上位を獲る選手たちばかりが上位に来る、ということも減ってきているようにも感じる。これでもっと、ステージレースの勝利のポイントが増えれば、ガヴィリアやキッテルのような選手ももっと上位に来ることができるようになるだろう。

また、年齢に関しては極端に若い選手は少なく、上位21名の平均年齢は29.7であった。それなりの経験のある選手でないと、年間を通してしっかりと点数を稼ぐことは難しいということがわかる。

ガヴィリアがその中で、23歳という若さでは驚異的な27位である。

 

 

もしかしたら国別ランキングもレビューするかもしれない。

ランキングはこちらのサイトに掲載されているため、気になる人は細かくチェックをしてみてほしい。

2017年シーズンを振り返る② UCIワールドランキング個人21位~11位全レビュー

これまた昨年に続き、UCIワールドランキングの上位をレビューしていく。

UCIワールドランキングは、普段あまり意識されることのないランキングである。しかし、その選手が年間を通して総合的に「どう結果を出したのか」をこれほど正確に反映するランキングもほかにない。

このランキングを振り返ることで、「今年活躍した選手たち」を確認していこう。と共に、来年に向けて、「今最も勢いのある選手」を確認することもできるかもしれない。

 

今回振り返っていくのは21位~11位。昨年同様21位と中途半端なのは、もう変動はないだろうと高をくくって見切り発車で20位ログリッチェで書き始めたら、直前ウェレンスがグアンジー総合優勝を果たし一気に順位を上げてしまったから。

ここに属する選手たちは、いずれも間違いのない実力者だが、「今年はあと一歩足りなかった」という印象の選手たち。総じて、来シーズンでのリベンジが求められる。若手であれば、来シーズンでの更なる飛躍が期待できるだろう。

※年齢はすべて数え年表記です。

※なお、「ワールドランキング」と「ワールドツアーランキング」は別物です。シクロワイアードこの記事などで言及されているのは「ワールドツアーランキング」で、これはその名の通りワールドツアーレースの結果のみを反映したランキングです。「ワールドランキング」はワールドツアーレースだけでなく、各コンチネンタルサーキットのレースや世界選手権などの結果も反映しております。

 

 

第21位(昨年131位)

プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、28歳)

チーム・ロットNLユンボ所属 オールラウンダー

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昨年の順位と比べてもわかるように、今年ある意味最も飛躍した選手。元スキージャンプ選手であることはもう有名だろう。昨年はその異色の経歴と、ジロにおける意外な勝利からのみ注目されていたが、今年は各種ステージレースでも好成績を叩き出し、今後のグランツールでも期待しうる選手の1人へとのし上がった。実質プロ入り2年目でこれは凄い。遅咲きとはいえ、まだまだ今後が期待できる選手だ。

TTでの安定感は大きな武器であり、世界選手権はもちろん、ロマンディとティレーノもTTでの結果が好成績の鍵を握った。そのうえで彼の走りが魅力的なのは、3度にわたるアタックの末に勝利を掴んだパイスバスコ第4ステージのように、勝利への野性的な姿勢だ。ツール・ド・フランス第17ステージでも、40km近く残した地点から、コンタドールらを振り切っての独走勝利を果たした。

結果だけでなく、その走りそのもので我々を魅了してくれそうな選手だ。

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本人もお気に入り?のスキージャンパーポーズ(ツール第17ステージ表彰台)

 

 

第20位(昨年59位)

ティム・ウェレンス(ベルギー、26歳)

ロット・スーダル所属 パンチャー

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シーズン冒頭のチャレンジ・マヨルカでいきなり2勝を挙げたウェレンス。そのあともルタ・デル・ソルで1勝、そして初出場のストラーデ・ビアンケでも3位を獲るなど、好調ぶりを見せつけた。

だが、期待されていたアルデンヌ・クラシックでは振るわなかった。得意の逃げも、ボブ・ユンゲルスにお株を奪われた。ツール・ド・フランスでも存在感を示せないまま、このままシーズンを終えてしまうのか――そう思われていた矢先、8月のビンクバンクツアー総合2位、9月のグランプリ・ド・ワロニー優勝、そして10月の今年初開催となるツアー・オブ・グアンジー(広西)総合優勝・・・振り返ってみれば、年間を通してそれなりの結果を出したシーズンだった。

 

とはいえ、やはり来年はアルデンヌ・クラシックでの優勝と、グランツールでのステージ優勝の量産などの活躍を見せてほしい。大先輩デヘントに次ぐベルギーの逃げスペシャリストとして、これからも存在感を放ち続けてほしい。

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見事、ツアー・オブ・広西の初代王者となったデヘント。彼に限らず、シーズン中盤で不調に陥った選手はシーズン終盤で軒並み成功している。

 

 

第19位(昨年15位)

リッチー・ポート(オーストラリア、32歳)

BMCレーシングチーム所属 オールラウンダー

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ツールまではうまく行っていた。悲願のダウンアンダー総合優勝に加え、ツール狙いの選手たちが集まるロマンディでも総合優勝。更にはドーフィネではTTでフルームを打ち破ったうえで総合2位。そして、ツール本戦でも、ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユでフルームと同タイムゴールを果たす。今年も昨年に続き、十分に総合上位を狙える走りを見せられていた。

が、そこで彼を襲った悲劇。第9ステージの下りで、激しいクラッシュ。選手生命の危機すら想像させる、激しい落車だった。

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何が起こるかわからないのがツールであり、この結末も仕方ないものと割り切るほかない。幸いにも命の危機には至らず、遅ればせながらジャパンカップでの復帰も果たし、来年に向けては問題なくスタートを切ることができそうではある。

あとは、この経験が、今後の彼のダウンヒルへの苦手意識に、拍車をかけなければいいのだが・・・。

 

それでも、彼には期待し続けていきたい。フルームを倒すための条件が、登りだけでなく、TTにもあるのだとしたら、デュムランと並ぶ対抗馬として考えられるのは、既にTTで2度フルームを破っている彼しかいないのだ。

頑張れリッチー。来年こそは、不運の悪魔に憑りつかれぬよう願う。

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ジャパンカップで元気な姿を見せてくれたリッチー。来年は期待してるよ!

 

 

第18位(昨年26位)

ルノー・デマール(フランス、26歳)

FDJ所属 スプリンター

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今年のデマールの活躍は、パリ~ニース第1ステージ終盤の登りで、アラフィリップのアタックに喰らいついて勝ち取った勝利と、ツール・ド・フランス第4ステージで、コノヴァロヴァス、チモライといったアシストたちの力を借りつつ手に入れた勝利、といったところだろう。いずれも、着実にこれまで以上に進化したデマールの走りである。

が、その割にはぱっとしない印象のあるデマール。ミラノ~サンレモ優勝という巨大な成績を残した昨年と比較してしまうと・・・というのがあるのかもしれない。あるいはそのときに魔法の絨毯疑惑をかけられたりして、素直に賞賛されない立ち位置になっているのか? ツール第4ステージの勝利も、同じタイミングで巻き起こったカヴ&サガンの騒動に飲み込まれてしまったばかりか、その犯人役としてとばっちりを喰らいそうにもなっていた。

 

あるいは、スプリンターというのは、派手に勝ってナンボな役回りなのかもしれない。ここでいう派手さとは、「何度も勝つ」の一点に絞られる。今年で言えばガヴィリアやトレンティン。キッテルは常に4勝・5勝しており、派手さの塊である。今年は振るわない時期が長く続いたヴィヴィアーニでさえ、シーズン後半戦でのクラシックの連勝で一気に注目を集めた。そういう派手さが、デマールにはないように感じる。

それはすなわち、スプリンターとしての安定感であり、彼を支えるチームとしての安定感である。今年のツールは途中で病気にかかりリタイアを余儀なくされたが、第4ステージでもそうだしその前のドーフィネ第2ステージでも、先のコノヴァロヴァス、チモライだけでなくグアルニエーリも含めた、新生デマール組がうまく機能していたようにも思えたため、調子さえ万全であれば、キッテルに負けない勝利数を稼げる可能性はあったように思う。

その意味で、今年のデマールは絶好調な年の1つだったように思うのだ。それがツールの不調でちょっと崩れてしまった。来年、そのあたりをうまく持ち直し、チームごと良い状態をもう一度つくることができれば、来年こそ大爆発を狙っていけるような気はしている。

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意外にもツール初勝利。それを、フランスチャンピオンジャージを着て成し遂げられたのは感無量だろう(ツール第4ステージ)

 

 

第17位(昨年45位)

リゴベルト・ウラン(コロンビア、30歳)

キャノンデール・ドラパック所属 オールラウンダー

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ツール第9ステージではメカトラで変速できない状態でのスプリント勝利。ミラノトリノでも何かトラブルがあったように記憶している。とにかくも、困難に見舞われながら、それを乗り越えながら勝利を掴む生粋の苦労人。

だが総合優勝ではなく総合2位。イル・ロンバルディアではなくミラノトリノ。なんだかあと一歩が足りない、そんな感じの結果にいつもなってしまうのも、実に彼らしいというか何というか・・・。

とにかく、今年のツール総合2位は僥倖ではある。だが、今後同じような結果を、総合争いで叩き出せるようにはあまり思えない。むしろ、ロンバルディアリエージュ~バストーニュ~リエージュのようなワンデーレースでの成果を集中して追い求めてほしいようにも思う。ロンバルディアは過去、3度の3位。そろそろ栄冠が欲しいね。 

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バルギルとの僅差の競り合いで勝利を掴んだ(ツール第9ステージ) 

 

 

第16位(昨年341位)

エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、28歳)

チーム・スカイ所属 スプリンター

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昨年はリオ・オリンピックに集中するためにシーズン後半はロードに参加せずこの順位。今年はその余波を受けてジロに参加できないなど悔しい思いを味わったが、シーズン後半のクラシックで怒涛の連勝記録を叩き出す。

8月20日のサイクラシック・ハンブルク勝利、8月22日と24日にツール・ド・ポワトゥー・シャラントでそれぞれステージ勝利、8月27日にブルターニュクラシック勝利、そして9月4日のツアー・オブ・ブリテンでも1勝だ。このワールドランキングにおいて、ピュアスプリンターとしては最高位に位置する16位に入り込んだ。

ヴィヴィアーニはまだ死んじゃいない。来年はキッテルの抜けたクイックステップに加入。ガヴィリアと並ぶチームの稼ぎ頭としての活躍が期待される。

 

ちなみに、ポイント賞も含めると今年、14回の2位を叩き出している生粋のシルバーコレクターだ。ニッツォーロといい、どうしてイタリア人スプリンターってそういうの多いんだろう。

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デマールやクリストフ、フルーネヴェーヘンといった強力なライバルたちを打ち破り、自身初のワールドツアー・ワンデーレース勝利となった(サイクラシック・ハンブルク)

 

 

第15位(昨年9位)

ディエゴ・ウリッシ(イタリア、28歳)

UAEチーム・エミレーツ所属 パンチャー

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平坦スプリントではスプリンターに負け、山岳ステージではクライマーに負ける。だが登りスプリントではスプリンターを圧倒し、山を越えた先のスプリントではクライマーを圧倒する。そんな、実にパンチャーらしいパンチャー。パンチャーの中のパンチャー。それがディエゴ・ウリッシだ。

そして今年は、パンチャーの頂点たるグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルをついに制した。次はアムステル、あるいはダウンアンダーを狙いたい。彼なら十分可能だ。

 

今年唯一の心残りが、大好きなジロを諦めてまで出場したツールでの未勝利。第15ステージは惜しいところまでいったのだが・・・とはいえこれも来年、まだまだ期待している。

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昨年は3位と悔しい思いをしたモンレアルで見事優勝。サガン、ゲランス、ウェレンス、ファンアフェルマートと、並み居る強豪パンチャーたちが歴代優勝者に名を連ねるモンレアルにその名を刻んだ。

 

 

第14位(昨年25位)

ティボー・ピノ(フランス、27歳)

FDJ所属 オールラウンダー

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個人的に、ピノは大好きだが、グランツールの総合優勝争いに関しては無理して狙わなくてもいい、という思いをもっている。それでも、ティレーノ~アドリアティコで、ジロでこうも良い走りを見せてくれると、やっぱり期待したくなる。ツールは厳しいだろうが、ジロやブエルタではまた総合表彰台を狙ってほしい。

一方で、ワンデーレースへの適性も持っている選手だと思っている。上記表にはないが、初出場のストラーデ・ビアンケで9位となかなか驚きの走りも見せてくれている。そして、トレ・ヴァッリ・ヴェッレジーネでは絶好調のニバリに喰らいついて、最後には彼を降しての2位。このままロンバルディアも・・・!と期待していたが、やっぱり下りは厳しかったのか5位に終わった。

今後、アルデンヌクラシックを中心としたワンデーレースでの活躍が期待される。ツールはその・・・諦めても、いいんじゃないかなぁ?

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トレ・ヴァッリ・ヴェッレジーネでニバリに喰らいついて2位を得たピノイル・ロンバルディアでも積極的なアタックを見せる。総合順位のための守備的な走りよりもこういう攻撃的な走りこそが彼には似合う。2012年ツールの勝利のように。

 

 

第13位(昨年4位)

ナイロ・キンタナ(コロンビア、27歳)

モビスター・チーム所属 クライマー

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今年は3年ぶりにジロに出場。誰もがその総合優勝を予想した。確かに彼は強かった。しかしそれ以上にデュムランが強かった。それだけだった。

一方、ツールでは2年連続の不調。いや、昨年以上の不調だった。とはいえ、ずっと良い成績を残し続けるというのは難しい。まさかの父親登場もあり色々と混乱したが、来シーズンは落ち着いて、実力を全て出し切れるようなシーズンにしてもらいたい。

 

そしてジロの好調、ツールの不調は、そのままモビスターというチームの状況の好調・不調ともリンクしていた。来年結果を出すことを望むのであれば、チームの状況もまた最高の状態にもっていく必要がある。バルベルデ、アナコナ、JJロハス、ベタンクールらが良い状態を来年も維持し、またジロでは活躍しつつツールでは全く力を発揮できなかったアマドールが、来年はしっかりとキンタナを支えていけるか。

チームと本人の調子が共に万全であれば、コース的にも来年のツールの総合優勝は十分に狙えるはずだ。

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ティレーノ~アドリアティコのテルミニッロ、そしてジロのブロックハウスでは強さを見せつけたキンタナ。シーズン中盤以降は散々だったが、まだ彼の状況が下降線に入ったわけではない。

 

 

第12位(昨年8位)

アルベルト・コンタドール(スペイン、35歳)

トレック・セガフレード所属 オールラウンダー

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昨年のカンチェラーラのように、有終の美を飾ることのできたコンタドール。それだけでなく、年間を通して絶えずアタック、アタックの繰り返し。その姿勢全てで、最強グランツールライダーとしての姿を見せつけた。

個人的には、実はあまりコンタドールは好きではなかった。ロードレースを本格的に見始めたのは2015年のツールからで、その年のジロすら見ていなかったので、コンタドールというのはかつては強かったかもしれないがもう既にピークは過ぎた、という印象しかなかった。また、ドーピング問題や、アンディとの確執など・・・ネガティブなイメージが常につきまとっていた。

 

それでも、2016年のパリ~ニース辺りから、彼を見る目が変わった。その年のツールでも、リタイアすることになるステージで見せた決死のアタック。だから、彼が最後のグランツールの最後の登りで見せた姿に、「コンタドールコンタドール!」と叫び感動してしまうほどには、彼に対する思い入れを持つようになってしまった。

彼は最強ではないかもしれない。彼は完璧な人物ではないかもしれない。それでも彼は、プロトンの中で突出した存在であったことは確かだろう。そんな彼の魂が、今後のプロトンにもしっかりと継承されていくことを願う。

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今後、トレックの育成チームを運営するという話もあるコンタドール。エンリク・マスのように、彼のマインドを受け継いだ選手がこれからも増えていってほしい。

 

 

第11位(昨年29位)

ダニエル・マーティン(アイルランド、31歳)

クイックステップ・フロアーズ所属 クライマー 

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マーティンといえばかつてはアルデンヌ系クラシックの名手というイメージ。だがここ最近はそのアルデンヌでもなかなか勝てず、グランツールのステージにおいても何度も何度も「2位」を量産。今年もワロンヌで2度目の2位、そしてLBLでも・・・。

 

だが、そんな彼がここ最近はツール総合上位の常連にもなってきており、総合的に実力が増してきているという印象がある。彼にとって不幸だったのが、クイックステップ・フロアーズというチームが、あまりにもタレントを多く抱え過ぎており、マーティンの総合争いを献身的に支えてくれる選手が少なかった、ということだろう。それでこの結果なのだから、本当に凄いのだ。

その意味で、来年に向けたチーム移籍は、彼にプラスの結果をもたらす可能性は十分にある。UAEチーム・エミレーツはランプレ・メリダの流れを組み、まだまだ総合争いにおける実績はすくないが、ファビオ・アルの獲得などもあり、来年は総合系にシフトするチーム編成を考えていくはずだ。

もしかしたら来年こそは、ツールの表彰台に立つマーティンの姿が見られるかもしれない。

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今年のツールの第15ステージで、彼はメイン集団の中から飛び出してタイムを奪うことに成功した。突然の爆発力に優れ、ときに他のクライマーを圧倒する走りを見せる彼だが、タイミングを間違えることが多いのが彼の弱点であった。その意味でこの日は、彼のアタックが成功した例の1つでもある。こういう動きを、来年も数多く見せることができれば、表彰台の可能性はぐっと高くなるだろう。そのためにもチームメートの存在は欠かせない。

 

 

次回は第10位~第1位。