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UCIロード世界選手権2018 男子エリートロードレース プレビュー

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いよいよ本日から開幕した、2018年UCIロード世界選手権。オーストリア西部の都市インスブルック(チロル州)を舞台に、8日間の日程で開催される。

そして、その最終日となる9月30日(日)に行われるのが、男子エリートロードレース。

4連覇のかかるペテル・サガンを始め、注目選手たちが集う今年の世界選手権男子ロードを徹底プレビュウしていく。

 

  

 

コース詳細

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コースはインスブルック市の北東90kmの街クーフシュタインを出発し、インスブルック中心地とその南北の山岳地帯を利用した周回コースで決着を迎える。

  1. ラインレース
  2. 周回コースを7周回
  3. 最後の周回のみ北の登りを使用

という流れとなる。

 

全長265km。総獲得標高は4670mの非常に厳しい山岳コースレイアウトである。

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ポイントとなる登りは3つ。

 

1.グナーデンヴァルト(Gnadenwald)

60~70km地点、ラインレース中に登場する登りで、登坂距離2.6km、平均勾配10.5%

厳しい登りではあるが、まだまだレースも序盤であり、大勢に影響を与える登りとはならないはずだ。

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2.イグルス(Igls)

インスブルック市内に入ってからの周回コースに登場し、全部で7回登る。

登坂距離7.9km、平均勾配5.7%

決して厳しい登りではないが、短くもなく、着実にスプリンターや並のパンチャーたちの足を削っていく。

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3.グラマルトボーデン(Gramartboden)

最後の周回にのみ登場する、最も厳しい登り。

登坂距離2.8km、平均勾配11.5%、最大勾配25%

最大の勝負所となるのは間違いない。各国の有力クライマーたちが全力で駆け上る中、サガンがこれについていくのはさすがに至難の業であるように思える。

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そして、最後のグラマルトボーデンの山頂からゴールまでは8km。

 

上記のようなコースレイアウトのため、勝負は「7回のイグルスの登りで足を削られていく中、最後のグナーデンヴァルトで抜け出した1人、ないしは数名が逃げ切りか小集団スプリントで決着をつける」パターンか、「グナーデンヴァルトで生き残った十数名の小集団が抜け出した選手を捕まえたうえでスプリントで決着をつける」パターンのどちらかが考えられるだろう。

よって、勝利する選手のパターンとしては、激坂を含む登りでアタックして抜け出せる力と下り・平坦独走を得意とする脚質や、クライマーたちについていけるだけの足をもつパンチャータイプもしくはスプリントを得意とするクライマーのどちらかとなるだろう。

果たしてサガンはその中に含まれるのか否か。

 

また、コースレイアウト的には、同じく獲得標高が多く最後に登りからの下り、その後の平坦が用意されたようなレイアウトをもつ「イル・ロンバルディア」「クラシカ・サンセバスティアン」もしくは2年前の「リオ・オリンピック」などが近いものとして挙げられるだろう。

 

それらを踏まえ、以下では注目すべき選手をピックアップしてプレビュウしていく。

 

 

注目選手たち

ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア)

おそらく今大会のコースレイアウトに最も近いであろうワンデーレース、「イル・ロンバルディア」を2度制している男。しかもいずれも、得意とする「下り」での決着である。

そして、同じく山岳レイアウトの国際的な大会となった2年前の「リオ・オリンピック」でも、最後の登りでマイカエナオと抜け出して先頭に躍り出たものの、最後の下りで落車しあえなく勝機を逃した。

このときの下りは他にも有力選手の落車が相次いだ問題コースであり、同じような轍を踏むことはないだろう。なお、エナオも共に落車し、唯一生き残ったマイカは平坦での独走力に難があり追走をしてきたフールサンやファンアフェルマートに追い付かれてしまった。一方のニバリは独走力も十分であり、最後の登りの山頂からゴールまで12kmあったリオと比べれば、今大会は8km。単独でも十分に逃げ切れる距離である。

さらに今年は、同じく「登ってから下って平坦」のレイアウトであるミラノ~サンレモでも逃げ切り勝利。

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直前のブエルタ・ア・エスパーニャでも、総合争いには挑まない走りで体力を温存しつつ、得意の下りでライバルチームたちにダメージを与える場面もあるなど、彼らしさを十分に発揮した好調ぶりを見せていた。

 

今大会、最大の優勝候補と言ってよい。

 

チームメートは今のところ、ペリゾッティ、ヴィスコンティ、ポッツォヴィーヴォといったチームメートたちもリスト入りしている。彼らが共に走ってくれればニバリにとっては心強いことこの上ないであろう。

また、ブランビッラ、モズコン、ヴィレッラといったアタッカーたちがかき回し役としては非常に優秀のはず。先日のジロ・デッラ・トスカーナで優勝した調子の良いモズコンは、手綱を握るのが難しいタイプの選手ではあるものの、その強さでもって自分勝手に動いた結果が、ニバリにとってプラスになる可能性も十分にある。

 

なお、もしも今回、ニバリが優勝することができれば、フェリーチェ・ジモンディ、エディ・メルクスベルナール・イノーに続く、史上4人目の「3大グランツール制覇・モニュメント勝利・世界選手権勝利」の選手となる。

 

 

ジュリアン・アラフィリップ(フランス)

元々はサガンと同じく、登れるスプリンターからパンチャーといった辺りでクライマーとは言えないタイプの選手、という印象だった。

しかし今年はツール・ド・フランスで山岳賞を獲得して大変身。今回のインスブルックのコースレイアウトにも十分対応できる力を感じさせた。

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元より、激坂には強い脚質。今年はついにバルベルデを実力で打ち破ってのフレッシュ・ワロンヌ制覇と、今大会にも似たレイアウトをもつクラシカ・サンセバスティアンで勝利。9月に入ってからもツアー・オブ・ブリテンとオコロ・スロベンスカでともに総合優勝を果たすなど、調子をしっかりと上げてきている。

 

実績だけでなく、その勢いから言えば最も優勝に近い選手であると言える。

 

チームメートには下りが得意で同じく優勝候補(だけど平坦が苦手なので飛び出しても途中で捕まえられそうという意味ではアラフィリップの引き立て役には最適な)ロマン・バルデや、平坦牽引やアタックを得意とするトニー・ギャロパンなどがリスト入り。ワレン・バルギルも、よく分からないところでアタックするなど、うまくハマればいい感じに場をかき乱してくれる魅力があるため、味方にすると心強い。

 

 

ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)

基本的にはアラフィリップと似た脚質をもち、アラフィリップ同様、今年(も)とても調子の良い姿を見せている。ただ、ツール山岳賞を獲得している今年のアラフィリップと比べ、最後のグラマルトボーデンの登りをこなせるかは微妙なところ。クフィアトコフスキって確か、激坂耐性あまり強くなかった印象もあり・・・。

勝利の可能性を考えるうえで参考になるのは2017年のミラノ~サンレモ。最後の登りで飛び出したサガンにアラフィリップと共についていき、最後のスプリントを制した。

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もちろん、ミラノ~サンレモと今大会とでは、獲得標高も最後の登りの難易度も全然違う。クフィアトコフスキの勝利に期待するのは、いわば2年前のリオのファンアフェルマートの勝利に期待するようなものだ。

また、チームとして順当に勝利を狙える選手としてはそのリオで最後の登りで抜け出す力をもっていたラファウ・マイカブエルタでも勝てはしなかったが調子は悪くはなかったので、うまくいかないことが続いたシーズンの最後に栄光を掴みたいところ。

それ以外のチームメートはフランスやイタリア、スペインなどと比べるとやや力不足。

 

 

マイケル・マシューズ(オーストラリア)

世界選手権前哨戦としても位置付けられているカナダの2連戦で連勝。勢いで言えば最もある選手だ。元々オーストラリアの優勝候補はリッチー・ポートだったが、その彼が体調不良からの練習不足のため出場を断念。一気にマシューズがエースとなりうる可能性が浮上した。

とはいえ、彼はあくまでもサガン同様のパンチャータイプ。最後の登りをこなせるか否か、こなせたとして、そのときはサガンと競うことになりそうだというのが懸念点である。

とはいえ、やはりその勢いに期待したくもなる。

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プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)

イタリアのニバリ、フランスのアラフィリップ、そしてスペインのバルベルデといったところが優勝候補国・選手の大本命だとすれば、このスロベニアのログリッチェは、「優勝候補最右翼」からは一歩外れた、しかし十分に優勝を狙える可能性があると多くの人が認める「裏優勝候補」と言えるだろう。

登りの強さは昨年ツール・ド・フランスの山頂フィニッシュ勝利、そして今年のツール総合4位で証明済み。そのツールでも昨年のバスクでも見せた下りの強さと積極性、そして当然、平坦での独走力と、ニバリと並んで今年の優勝候補とも言うべき要素を兼ね揃えた選手である。

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今年のコースレイアウトが彼にとって最大のチャンスであることは彼自身もよくわかっているようで、昨年2位で今年もチャンスであるはずの個人タイムトライアルへの出場を蹴ってまで、ロードに集中しようとしている。

だからこそ今年、我々は見るかもしれない。元スキージュニア世界チャンピオンが、自転車ロードレースの世界チャンピオンとして表彰台の頂点に立つ姿を。

 

また、スロベニアにはもう1人、重大な優勝候補が存在する。今年の国内選手権ロードを制し、ビンクバンクツアーとドイツ・ツアーも総合優勝を果たした男マチェイ・モホリッチ。

登坂力も独走力もずば抜けているわけではないが、サガンにも匹敵するダウンヒルテクニックに加え、持ち前の「体力」によって、執念で終盤まで先頭集団で生き残り、意外なアタックを見せてくれるかもしれない。彼もまた、その勢いから、優勝する姿を思い浮かべられる選手の1人である。

 

 

 

 以上、5名(+2名)の注目選手をピックアップしてみた。

もちろん、それ以外にも、もっと本命と言うべき選手たちも存在する。スペインのアレハンドロ・バルベルデやヨン・イサギレ、ベルギーのファンアフェルマート、コロンビアのウランやエナオ、キンタナにミゲルアンヘル・ロペスブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝を果たしたサイモン・イェーツと最強のアシストであったアダムももちろん注目を集めている選手たちだ。地元オーストリアにも、グロースシャルトナ―やミュールベルガー、ペストルベルガーなどの実力者が揃っている。

 

そもそも、世界王者サガンの勝機も十分に残されてはいる。

 

ただ、少なくとも言えるのは、昨年までとは全く違った展開を今年のロードレースでは見ることができるだろうという期待。

そして、同じ山岳レイアウトということで、2年後の「東京オリンピックロードレース」に向けて、その優勝候補を占うレースにもなりうるという点でも、優勝者以外も含めて注目していきたいレースである。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第2週を終えて 各優勝候補チームレビュー

アストゥリアスの山岳3連戦を終え、いよいよ総合優勝候補たちが絞り込まれてきた。

近年のブエルタの傾向を見ても、第2週を終えた時点での総合上位と、最終的な総合順位とで、その顔触れは大きくは変わらないことが多い。
おそらくは今年も、この総合上位陣によって優勝争いが巻き起こることだろう。

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ということで今回は、第3週に向けて、この上位チームの簡単なレビューを行っていきたい。

選手個人はもちろん、チームとしての状況も確認し、第3週で活躍する選手・チームたちを占っていこう。 

 

 

ミッチェルトン・スコット

エースの実力 ★

アシスト力 ★☆☆

エースのTT力 ★★☆

ジロで3勝、最終盤までマリア・ローザを守り続けていた男。あのときは最後の最後でガス欠に陥ってしまったが、今回は実にマイペースに、抑え気味のクレバーな走りをしているとの評判。

現時点で間違いなく、今大会最強の男だ。

気になるのはアシストの動向。ここまでのステージで最も終盤まで残ってくれているアシストはジャック・ヘイグだが、そんな彼も最後まではなかなか残れない。本来であればダブルエースとなってもおかしくない双子のアダムが全く目立てていないのが残念だ。見分けつかなくて困っちゃう!って事態に全然なってないんですが

これもすべて、3週目に向けて温存している結果であることを祈るばかり。

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モビスター・チーム

エースの実力 ★

アシスト力 ★★★

エースのTT力 ★★☆

ナイロ・キンタナはここ最近の中では最も調子が良い状態なのは間違いない。が、それでもまだ、アタックの他を圧倒するキレは取り戻しておらず、また最後には崩れてしまうことが結局多い。

好材料としてはバルベルデの調子が非常に良く、また彼とのダブルエース体制がうまく機能していること。キンタナの調子の不安定さが少しマシになれば、最も恐ろしいチームとなるのは間違いないだろう。アシストとしてのリチャル・カラパスの実力も非常に高い。全チームの中で唯一、アシストでありながら終盤まで残れる存在だ。

TT力に関してはバルベルデが★3つ級、キンタナが★1つ級なので合わせて★2つで。ただ、バルベルデグランツールではTT微妙なんだよなぁ。。。

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アスタナ・プロチーム

エースの実力 ★★★

アシスト力 ★★☆

エースのTT力 ★☆☆

ミゲルアンヘル・ロペスの足は十分なものがある。不必要に牽制して勝負所を間違えるところが玉に瑕ではあるが、機を見つけたときの爆発力と持続力は今大会随一である。サイモン・イェーツに唯一匹敵できる存在と言えるかもしれない。

チームの状態も悪くはない。ビルバオ、カタルド、ヴィレッラ、ヒルト・・・今大会、平坦要員を犠牲にして集めたクライマーたちがステージ毎に入れ替わりでエースを支える。第15ステージも、道中ひたすら牽引しっ放しだった様子(というか、ミッチェルトンとモビスターが仕事しなさすぎ?)。

その第15ステージでは仲間たちの献身に応えるが如きアグレッシブな走りを見せてくれたが、最後には結局大したタイム差をつけられず。やはりサイモンが頭一つ二つ飛びぬけているのか?

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チーム・ロットNLユンボ

エースの実力 ★☆

アシスト力 ★☆☆

エースのTT力 ★★★

第14ステージでは実に積極的な走りを見せてくれたクラウスヴァイク。ツールでログリッチェをアシストしながら自らも総合5位に入り込んだ実力の高さを遺憾なく発揮してくれた。だが、上位4名にはまだ、足りない。

ツールに続きダブルエース体制の一角を占めてくれると期待されていたベネットが不発に。第9ステージでは恐ろしく強い牽引力を見せてくれたセップ・クスも、第2週ではすっかりなりを潜めてしまった。まあ、初グランツールだし、仕方がない。意外にもフローリス・デティールが頑張ってくれてはいるが、アシストを見込める度合いはミッチェルトンとどっこいどっこいと言ったところだろう。

そんなクラウスヴァイクの最大の武器がTT力。2年前躍進したジロ・ディタリアでは、山岳TTでバルベルデを23秒突き放しての区間2位(1位とはコンマ差)。今回のブエルタのTTは山岳とはとても言えないものの、まるっきりの平坦というわけではない。少なくとも上位5名の中では最も個人TTへの期待度が高い選手だ。

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クイックステップ・フロアーズ

エースの実力 ★☆

アシスト力 ☆☆☆

エースのTT力 ★☆☆

エンリク・マスは今大会間違いなく、最も意外な急成長を遂げている選手だ。

もちろん、昨年のブエルタでも強さを見せていたし、今年のバスク1週総合6位、スイス総合4位と結果を出してきて、今大会でも総合エースとしての期待は背負わされていた。

それでも、ウランやヨン、ケルデルマンといった強豪たちが次々と崩れ落ちていく中で、まさかこの23歳のプロ2年目の選手が、こんなにも錚々たるメンバーの中で終盤まで喰らいつく走りを見せてくれるなんて!

もちろん、ヴィヴィアーニのための超スプリンター体制を敷いているチームからの援助はまったくない。TTに関しても基本的には典型的なクライマーとしての実績しかない。

それでも、今大会のマスはどこまで力を出せるか、まだまだ未知数だ。まずは現在の順位を失わずに3週間を終えられるか、それを見守っていこう。

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グルパマFDJ

エースの実力 ★☆

アシスト力 ★☆☆

エースのTT力 ★★☆?

やった! ステージ優勝おめでとう! 帰っていいぞ!

というのは冗談で。ピノの強みは、どんなに苦しい状況、どんなに総合優勝から遠ざかった状況に置かれても、最後まで諦めず、実直に、チャンスを狙ってモノにしていくその執念にこそあるように思う。

それはロマン・バルデにあるような堅実さ、スマートさとは対極に位置するように思う。それは、彼が22歳のときに成し遂げた、ツールデビュー&初勝利のときのあの獣のな走りがまだ残っていることを表しているのかもしれない。だからこそ彼はツールで総合優勝ができないとも言えるのかもしれないが、それでもその走りは常に観る者を感動させ、結果が振るわなくとも多くのファンを獲得している。

 

そもそも、不運・不調に襲い掛かられることは、2015年のときに既に慣れている。あのときですら、最後の最後、ラルプデュエズで勝っているのだ。もう、彼に怖いところなどない。

常にチャンスをモノにすべく目の前の勝利を渇望する男、それがピノだ。おめでとう。

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総合11位から7位への躍進。第16ステージでは元フランスTTチャンピオンとしての実力を見せつけることができるか? 

 

 

ということで、7チーム8名の選手をピックアップしてレビュウしてみた。

まあ、現実的には上位4チーム5名の中で、総合表彰台争いが繰り広げられることだろう。マスは期待枠で、ピノピノ枠で紹介しただけの部分はある。

 

それでも、最後の最後まで、ドラマを期待している。

何しろ、4位まで1分以内に収まっているのだ。こんなに接戦なブエルタは近年でも珍しい。あのアストゥリアス3連戦を超えてなおこれなのだから、ワクワクが止まらない。

しかもこのTOP10に、調子の悪いキンタナ以外、グランツール覇者が存在しないのだバルベルデも2009年にブエルタ総合優勝しておりました。すみません。2015年以来の大波乱の展開である。

 

第3週はまだまだ厳しいコースが待っている。

suzutamaki.hatenablog.com

 

さあ、楽しみだ。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 コースプレビュー3週目

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切り立った山岳に囲まれた小国アンドラ。写真は3年前、今年と同様に「アンドラ山巡り」コースを採用したときのもの。

 

いよいよ今年のグランツールもあと1週間である。

シーズン最後のグランツール、最も白熱するグランツールは、ベテランの優勝候補の多くが早々に優勝争いから脱落する一方、サイモン・イェーツやミゲルアンヘル・ロペスなど若手が総合優勝を狙える位置で争う、実にブエルタらしい展開で推移している。

ブエルタ・ア・エスパーニャというのは、近年の成績を振り返ってみても、最終週で総合上位が大きく入れ替わるという例は少ない。今年も、現時点での総合上位5名の顔ぶれはほぼ変わらない形で終わるのだろうか。

 

いや、今年はそんなこともなさそうだ。

確かに今大会最も厳しいと思われるアストゥリアス3連戦は終わったものの、この第3週にもまだ何が起こるかわからない難関ステージが控えている。

最大勾配23.83%*1の第17ステージ。

1000m以上を登る1級山岳を最後に擁する「平坦」ステージの第19ステージ。

そして100km未満の超短距離ながら1級山岳3つと超級山岳を含んだ山岳塗れの第20ステージ。

 

今年のジロに匹敵する大逆転劇もまだまだ期待ができそうなこのブエルタ第3週のコースを、しっかりと確認していこう。

 

 

 

第16ステージ サンティリャーナ・デル・マル〜トレラベーガ 32km(個人TT)

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スタート地点のサンティリャーナ・デル・マルはカンタブリア県北方、壁画で知られるアルタミラ洞窟を有する自治体である。

ここから反時計回りにぐるっと一周し、スタート地点の南東に位置するトレラベーガに到達する。ここは、オスカル・フレイレの出身地でもある。

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ブエルタのTTらしく、その道程がフラットであるわけがない。とくに9km地点から21.5km地点にかけて登りが連続し、後半は平坦が続く。獲得標高は360mほどか。

比較的クライマーにとってもひたすら不利というわけではなさそうだが、それでもTTが得意なケルデルマンやバルベルデ、ウランなどにとっては挽回のチャンスとなりそうだ。

また、中間計測の段階でのタイムはクライマー系の選手がより良く見えるだろうが、後半でTTスペシャリスト系の選手が逆転するような構成となっているため注意。というか、中間計測どこ?

 

 

第17ステージ ゲチョ〜バルコン・デ・ビズカイア 157km(丘陵)

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バスクである。すなわち山岳である。

スタート地点のゲチョはホナタン・カストロビエホの出身地でもある。バスク州の事実上の首都ビルバオを通り過ぎ、終盤にはいよいよ1級バルコン・デ・ビズカイアの登りが待ち受ける。

 

全長7.1km、平均勾配9.1%、最大勾配は・・・23.83%

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破壊力だけで言えば第3週で最も厳しい登りであり、もしかしたら今大会の総合争いにおけるクライマックスは、早くもこのステージで演じられるのかもしれない。

 

登り始めから3.2kmは平均勾配6~7%ほど。そこから段々と道が狭くなり、曲がりくねっていく。

そして残り3.9kmの平均勾配は実に11%。残り2.5kmを切ったあたりで最大勾配の23.83%を迎え、今大会最強のクライマーたちによる頂上決戦の火蓋が切って落とされることだろう。 

 

 

第18ステージ エヘア・デ・ロス・カバジェロス〜リェイダ 186.1km(平坦)

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180kmに及ぶ、山岳ポイントなしのオールフラットステージ・・・ここは本当にブエルタなのか?

3年前もリェイダの街をゴールに迎えた。そのときはアンドラの厳しい山岳ステージを終えたあとの平坦ステージだったが、今年は逆に、アンドラを前にした最後の平坦ステージである。

3年前のこの街のフィニッシュでは、残り12kmでパンクして一度遅れたダニー・ファンポッペルが、ダリル・インピーやトッシュ・ファンデルサンドを退けて勝利を掴んだ。

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当時は22歳の若手ライダーとして、あまりにも大きな勝利を掴んだファンポッペル。しかし翌年にチーム・スカイに移籍した後は、グランツール出場も叶わず、雌伏の時を過ごしていた。

そして、母国チームへの復帰を叶えた今年、エースとして出場したジロでは勝てはしなかったものの、ヴィヴィアーニ、サム・ベネットに対して決して遅れを取らない走りを見せて、TOP5に5回も入る成績を残した。

そして、3年ぶりのブエルタ。ここまでは2位と3位が一回ずつ。厳しい登りスプリントのステージでも上位に入り、この日もわずかではあるが緩やかな登りがゴール前に控えている。可能性は十分あるぞ! 

 

 

第19ステージ リェイダ〜アンドラ.ナトゥルランディア 154.4km(平坦)

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平坦(笑)。標高2000m超えの1級山岳の山頂フィニッシュを擁する平坦ステージである。平坦、とは。

 

終着地点となるコル・ドゥ・ラ・ラバッサは3年前の第11ステージ、昨年の第3ステージなど、アンドラを舞台にしたコースでは必ずと言っていいほど登場する。

しかし、いずれもフィニッシュ地点にはされていない。今回はこの登りで、総合優勝を巡る本格的な闘いが繰り広げられることになる。

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全長17.5km。平均勾配6.3%。

その前半は平均勾配が2桁に達するものの、後半はゆるやか。

あらゆる意味で第17ステージとは対極に位置するこの山で、総合首位のチームはその位置をキープするための走りに徹し、逆転を狙う選手たちは登りの前半から全力の攻撃を仕掛けることになるだろう。

出入りの激しい劇的な展開が巻き起こるか、それとも意外なまでに落ち着いた展開となるか。予想はつかない。

 

 

第20ステージ アンドラエスカルデス・エルゴルダニ〜コル・デ・ラ・ガリナ.サンチュアリオ・デ・カノリチ 97.3km(山岳)

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3年ぶりのアンダルシアスタートとなった今年、これもまた3年ぶりとなる「アンドラ山塗れステージ」。

ただし、3年前と違うところがいくつかある。まずは、第2週の冒頭で登場した3年前と違い、今年は総合優勝争いの最後の舞台となること。そして、総獲得標高3000m超えの厳しさでありながら、ステージの全長が97.3kmしかないということ。

 

最後の超級山岳に至るまでの間にプロトンが通過する1級山岳は3つ。

まずは1つ目、ベイクサリス峠。残り77.6kmに頂上。

登坂距離9.7km、平均勾配6.8%、そして最大勾配は13%。

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2つ目の1級山岳はオルディーノ峠。残り55kmに頂上。

登坂距離11.2km、平均勾配6.5%、最大勾配8.5%。

 

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そして3つ目の1級山岳はもう一度ベイクサリス峠

ただし、1回目の登りとは別のルートを使用。残り32.6kmに頂上。

登坂距離6.5km、平均勾配8.3%、最大勾配13%。

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これらの厳しい登りを経て足を削られたプロトンの中から、総合優勝争いの最後の戦いが繰り広げられる。

また、おそらくこの日も大規模な逃げ集団が形成されており、その中でのステージ優勝争いもより激しさを増すことだろう。

 

そして、そんなプロトン、逃げ集団が到達する最終決戦の舞台、超級山岳ラ・ガリナ峠

公式サイトに載ってる下記の断面図では4kmほどだが、実際には7.7kmの登坂。

その全体の平均勾配は7.8%ほどだが、下記4kmは非常に厳しい。

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さらに厳しい勾配というだけでなく、無数のスイッチバックが選手たちを待ち受ける。ブエルタらしい、ノーガードでの打ち合いが最後まで見られることとなるだろう。

 

どこで誰が仕掛けるかわからない。最初から最後まで目が離せない展開になるであろう、それが今年のブエルタの最終決戦舞台である。

 

 

第21ステージ アルコルコンマドリード 100.9km(平坦)

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伝統的な首都マドリードの周回コース。1周5.9kmを15周回する。

最終日がスプリンター向けのステージとなった2005年以降、全て集団スプリントでの決着となっている。今年もほぼ間違いなく集団スプリントで決まるだろうが、ピュアスプリントという意味で最右翼は第2週終了時点で既に2勝しているエリア・ヴィヴィアーニ。

こんな山だらけのブエルタに勇気をもって乗り込んできたピュアスプリンターのヴィヴィアーニが、しっかりと有終の美を飾れるか。

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*1:なお、ブエルタのことなので実際にはこれよりもさらに厳しくなるだろうことが予想される。

サイモン・イェーツはどこで力を使ったのか?――ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第14ステージ

アストゥリアス3連戦の2日目、獲得標高3500m超の難関山岳ステージ。

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その最後に控えるのはブエルタ初登場の山、1級山岳レス・プラエレス。

登坂距離は4kmと短いが、平均勾配は12.5%。最大勾配は前日よりも小さいものの、厳しい勾配が連続する区間はより長く、前日以上の厳しいステージになることが予想された。

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結末から見ていくと、最後の最後でペースアップしたサイモン・イェーツが他のライバルを突き放し、ジロに続く勝利と共にマイヨ・ロホを奪還した。

彼の実力があのときだけのまぐれではなく、確かな実力によるものであったことを証明したわけだ。

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では、今回の山岳で、サイモン・イェーツが圧倒的に強かったのか?

いや、そういうわけではない。むしろ、途中まではステーフェン・クラウスヴァイクやナイロ・キンタナ、ミゲルアンヘル・ロペスといった選手たちの方が調子が良かったように思えた。

サイモン・イェーツはその力の差で圧倒したというよりは、「無駄な力を使うことなく、適切なタイミングで仕掛けた」というのが、SNS上での大方の評価だったようだ。

 

では、実際にサイモン・イェーツはどこで力を使い、どんな仕掛け方をしたのか。

今回はこの第14ステージの最後の4kmの流れを追う中で、確認していきたい。

 

 

残り4km~3km

残り4km。レス・プラエレスの登りに入った瞬間、まず動き出したのはグルパマFDJだった。リュディ・モラールの牽引により、ピノがペースアップ。

だがこれはそこまで大きな成果を残すことなく、続いてアタックしたクラウスヴァイクが、一気に集団とのタイム差を開いていく。

そのクラウスヴァイクに追随するのは、アレハンドロ・バルベルデを牽引するリチャル・カラパス。

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先頭クラウスヴァイク、2秒遅れてカラパス・バルベルデ、さらに3秒遅れてメイン集団。メイン集団の先頭はエマヌエル・ブッフマンが牽引するも、差は開く一方。

また、オマール・フライレやジャック・ヘイグ、ヨン・イサギレなどが千切れていき、いよいよ今大会「本当に強い選手たち」だけが残っていく。

 

 

残り3km~2km

クラウスヴァイクが更なるペースアップ。追走のカラパスたちとのタイム差を6秒近くにまで広げる。

ここでサイモン・イェーツがメイン集団の先頭に躍り出る。

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「ここは逃がしてはいけない」と確信したのか。まずはカラパスたちとの差を一気に縮めていく。

残り2.5km。カラパスがここで脱落。バルベルデが単独でクラウスヴァイクに迫る。これを追ってメイン集団からエンリク・マスが飛び出し、クラウスヴァイクとバルベルデに合流する。

 

そしてここでも、サイモン・イェーツが残りの集団を牽引。

バルベルデやマスの動きに無理に反応することなく、マイペースに登っていく。

しかし、そのペースは着実に速く、クラウスヴァイクたちとの距離を徐々に縮める一方で、ブッフマンやアルといったその他の優勝候補たちは千切られていく。

 

結果、このステージの最終盤で残ることができたのは以下の8名だけだった。

  • ステーフェン・クラウスヴァイク(チーム・ロットNLユンボ)
  • アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)
  • ナイロ・キンタナ(モビスター・チーム)
  • エンリク・マス(クイックステップ・フロアーズ)
  • サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
  • ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナ・プロチーム)
  • ティボー・ピノ(グルパマFDJ)
  • リゴベルト・ウラン(チームEFエデュケーション)

 

集団が1つになったタイミングで、いよいよこの山の最大勾配の区間に突入する。

 

 

残り2km~1km

最大勾配区間(放送上の表示では17%を超えて19~20%区間)に突入した瞬間に、ナイロ・キンタナが集団からアタックを仕掛ける。

1度目のアタックは間もなく吸収されるが、残り1.5kmで再度アタック。

これにより、集団とのタイム差は一気に8秒近くにまで広がった。

この一連の動きに反応できたのは、同じコロンビア人のミゲルアンヘル・ロペスただ1人。

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このとき、もしもロペスがキンタナの前に出て全力で牽く姿勢を見せれば、この2人が先頭に残ったままゴールを迎えることもできたかもしれない。

しかし何度も振り返るキンタナに対し、ロペスは前に出ることを拒否。キンタナもまた、自分だけが力を使って残り1.5kmを走り抜けることをよしとしなかった。

 

結果、タイム差が5秒近くにまで縮まった残り1.2kmのタイミングで、サイモン・イェーツがブリッジを仕掛けた。バルベルデピノらもこれに喰らいつき、前の2人も諦めて足を緩めた。

再び集団は8名に。振り出しに戻ったまま、未舗装路区間に突入する。

 

 

残り1km

未舗装路区間に突入したラスト1km。最初にピノが飛び出したが、これはすぐ捕まえられる。

そして、頂上まで残り750m。

サイモン・イェーツがゆるやかなペースアップを仕掛け、集団から抜け出した。

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5秒近いタイム差が一気に開き、後ろでこれを追走するのはミゲルアンヘル・ロペス、キンタナ、バルベルデの3名のみ。

ロペスが先頭でこれを追っていたが、後ろを振り返りながら、ペースを落とす。

やはりここでも、彼は牽制を仕掛けるようだ。

 

サイモンとの距離が少しずつ開いていく。キンタナがロペスの前に出るが、いまいちペースは上がらない。

ロペスがもう一度先頭に。バルベルデがこれに喰らいつく。しかしもう、間に合わなかった。

サイモン・イェーツ勝利。2年前に続き、ブエルタでは2勝目となった。

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まとめ

今回、サイモン・イェーツは常に、マイペースを維持していた。途中、クラウスヴァイクやマス、バルベルデの動きに対し、即座に反応することはせず、自分のペースを保っていた。

しかし、重要なポイントで力を使うことは躊躇わなかった。残り3kmでクラウスヴァイクを追ったとき、残り1.2kmでキンタナ・ロペスらを追ったとき。自分が動かなければ逃げが決定的になってしまうであろうその瞬間で、自ら力を使ってこれを吸収しようとする戦略は巧みであった。

 

そして、残り750mからの、緩やかなペースアップ。そこからは、誰も追い付かせなかった。最も力を残していた。そこからのアタックで、誰よりも速く登り切ることが可能だと分かっていたのだ。

 

実にクレバーな戦い方だった。自らの力量をよく知り、また力を使うべきポイントを明確にしていた。

アシストが早めにいなくなってしまった中、たった一人で戦ううえで、適切な戦術を取っていたことがよく分かる。

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一方、自分のペースを保てないまま、周りの動きに振り回され最後まで力を残せなかったのがキンタナ。バルベルデとのコンビネーションは悪くなかっただけに、残念だ。

彼が結果を残せなかった要因の1つは、ロペスの力の出し惜しみだった。

 

彼が残り1.5kmでキンタナとの2人旅を拒絶したのはなぜか。

また、残り500mでイェーツの追走に全力を使わなかったのはなぜか。

それらの行動によって確かに彼は、バルベルデすらも出し抜き、区間2位のボーナスタイムを手に入れることができた。

彼にとって、目の前のライバルはイェーツではなく、キンタナとバルベルデであるようだ。

 

それは、総合優勝を最初から諦める姿勢なのか。

それとも、ジロのときと同じようにイェーツが最後には崩れ落ちると予想しているのか。

 

ロペスのこの判断が吉とでるか凶と出るか。

この先のブエルタの総合争いの行方を見守っていきたい。

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2018年シーズン 9月主要レース振り返り(9/8時点)

ブエルタ・ア・エスパーニャ絶賛開催中ではあるものの、今月も注目のレースが非常に多数。

ということで、現時点(9/8)で終了している3つのワンデーレース(HCクラス以上)のレビューを先行して公開。

とにかく、アッカーマンの絶好調ぶりが凄まじい! 昨年はディラン・トゥーンスの躍進が目覚ましかったが、アッカーマンは彼以上の躍進ぶりである。何しろプロ初勝利から続く今年の8勝のうち、5勝がワールドツアークラスなのだから・・・。

 

ケベックでのマシューズの勝利も見てて嬉しくなる勝利。現時点ではまだ終わっていないモンレアルでも、彼の勝利を期待したいところだ。 

 

 

 

ブリュッセル・サイクリング・クラシック(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ベルギー

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100年以上の歴史をもつベルギーの伝統的ワンデーレース。セミ・クラシックとも呼ばれる。昔はパリ~ブリュッセルと呼ばれていた。

13に及ぶ登りが用意されてはいるものの、いずれも短く、また最後の登りがゴールまで25km残した地点にあるため、スプリンターたちによる集団スプリントでの決着が多い。過去にもボーネングライペル、フルーネヴェーヘン、デマールなど、ブエルタへの出場を断念したピュアスプリンターたちがその名を連ねている。

元ベルギーチャンピオンのオリバー・ナーゼン(AG2R)を含む6名の逃げが生まれ、のちにレミ・カヴァニャ(クイックステップ・フロアーズ)らも合流し、先頭は最終的に8名に。ラスト25kmの最後の登りでカヴァニャが抜け出そうとする姿も見せたものの、ゴールまで10kmを残した時点ですべての逃げは吸収されてしまった。

 

ディフェンディングチャンピオンのアルノー・デマールを擁するグルパマFDJと、今期絶好調のアッカーマンを擁するボーラ・ハンスグローエとが互いに競り合う形で最終スプリントに。

ラスト250mで早駆けを仕掛けたロレンツォ・マンザン(ヴィタルコンセプト)の後ろにアッカーマンがつくと、その背後でクラッシュが発生。デマールはこれによって足止めを受け、逆にアッカーマンは万全の態勢で抜け出した。

スタイフェンが喰らいつこうともがくが、影も踏ませぬままアッカーマンが突き抜けた。圧倒的な勝利だった。彼にとっては初となる、ベルギーでの勝利だった。

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グランプリ・ド・フルミー(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:フランス

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前日のブリュッセル・サイクリング・クラシックに続き、ベルギー国境沿いにある北フランスを舞台にしたワンデーレース。こちらは今年で90周年を迎える、やはり伝統的なセミ・クラシックレースである。

過去にはナセル・ブアニやマルセル・キッテルなどが勝者に名を連ねている。

グルパマFDJのダヴィ・ゴデュやニッポ・ヴィーニファンティーニのマルコ・カノーラなど、集団スプリントに持ち込みたくないアタッカーたちが次々と攻撃を仕掛けるも、クイックステップ・フロアーズやボーラ・ハンスグローエが支配する集団がその全てを飲み込んでいく。

最後のストレートを先頭で入ってきたのはグルパマFDJ。その番手を巡ってラポートとアッカーマンが争うが、ポジションの死守に成功したアッカーマンが定石どおりにデマールの背後から抜き去って勝利。前日はデマールがアクシデントで足止めをされた中での勝利だったが、今回はこのフランス最強のスプリンターに真っ向から挑んだ結果の勝利ということで、アッカーマンの底知れなさを改めて思い知らされた。

 

これにて、ベルギー・北フランスでの連戦を共にこの24歳のドイツ人が制することに。この両日を制した選手は過去に1名だけ。スプリンターの代名詞たるロビー・マキュアン会長である。その名に並ぶ、偉大なる成績だ。

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アッカーマンはプロ2年目だが、プロ勝利は今年から。その今年でいきなりの8勝。しかも、その中にワールドツアークラスでの勝利が5つ。他の追随を許さない急成長ぶりである。

 

【参考】アッカーマンの今年の勝利レース一覧

  • ツール・ド・ロマンディ(2.WT) 第5ステージ
  • クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(2.WT) 第2ステージ
  • ドイツ国内選手権ロードレース
  • ライドロンドン・サリークラシック(1.WT)
  • ツール・ド・ポローニュ(2.WT) 第1ステージ
  • ツール・ド・ポローニュ(2.WT) 第2ステージ
  • ブリュッセル・サイクリング・クラシック(1.HC)
  • グランプリ・ド・フルミー(1.HC) 

 

 

グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:カナダ

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2010年より開催されている、カナダのフランス語圏ケベック州にて開催される周回型ワンデーレース。獲得標高は3000m弱。2日後に開催されるグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルよりはアップダウンが抑え目ではあるが、過去の優勝者を見るとフィリップ・ジルベールやサイモン・ジェラン、ペテル・サガンなどのパンチャー系の選手が名を連ねている。昨年はサガンが2年連続の勝利となり、ファンアフェルマートが2年連続の2位を喫していた。

今年はサガンブエルタ・ア・エスパーニャに出場中のため、ファンアフェルマートにとっては絶好のチャンスとなった。

 

カナダ人3名を含む5名の逃げが決まるが、残り2周で集団から抜け出したピーター・ケノー(ボーラ・ハンスグローエ)が独走を開始。ラスト1kmのゲートを5秒以上の差をつけて超えたが、残り400mで捕まえられてしまった。

混沌とした集団スプリントで、ラスト200mから先頭に出たマシューズが、これに追いすがろうとするファンアフェルマートを突き放して勝利を掴んだ。2015年には2位、昨年は3位と、優勝候補でありながら勝ちきれずにいた彼にとっては歓喜の勝利。一方、ファンアフェルマートは3年連続4回目の2位に沈んだ。

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マシューズは今年、あまりにも辛いシーズンを過ごしていた。8月に入るまでの勝利はツール・ド・ロマンディでの個人TT(プロローグ)のみ。

8月半ばのビンクバンクツアー「ミニ・ロンド」ステージでの勝利から少しずつ調子を取り戻し、今回の勝利。このまま10歳年上の先輩サイモン・ジェランに続く、ケベックモンレアル制覇を期待したいところだが、果たして。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第1週を振り返る 今大会最強「山岳アシスト」はだれだ?

今大会最初の「山岳」ステージとなった第9ステージ。

総獲得標高4000m超の難関ステージ。とはいえ、前半の山岳と最後の超級山岳との間の距離は開いており、予想通り、総合勢での争いはほぼこの最後の山岳を舞台に行われた。

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結果だけを先に見ておこう。

このステージの勝者は今大会2度目の逃げ切り勝利となったベンジャミン・キングではあったが、4位以下の「総合優勝候補」たちのみを取り上げたステージ順位表は以下の通りだ。

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今年のジロ・ディタリア総合3位のロペス、2年前のブエルタ覇者キンタナ、そして昨年総合4位で急成長中のケルデルマンなどがこの日の「最強」であった。また、この日は遅れてしまったものの第4ステージでライバルたちにタイム差をつけたサイモン・イェーツが、マイヨ・ロホを着用して第1週目を終えることとなった。

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しかし、ここで分かるのはあくまでもこの日最も調子の良かった選手たち、というだけである。ラ・コバティーリャは確かに超級山岳ではあるものの、第2週の後半戦に控えるアストゥリアス3連戦と比べれば、まだまだ序の口といった印象である。

 

大切なのは、個人の力だけではない。エースを支える、アシストの力が、グランツールの後半戦では重要な役割を果たす。いかにサイモン・イェーツが一人強くとも、彼を支えるアシストたちの調子が良くなければ、またも終盤に王座を失ってしまう可能性も十分あるのだ。

 

 

と、いうわけで、今回はこの第9ステージの展開を振り返りつつ、そこで活躍した「アシスト」に焦点を当てていきたいと思う。

この第9ステージで調子が上がり切っていない選手も、そのチームメートたちの働きが良ければ復活の可能性は十分にある。第2週後半戦の本格的な山岳ステージを前に、その展開を占ううえでも重要となるアシストの力量を探っていこう。

 

 

最強の山岳牽引役マイカ

この日の最後に待ち構えるは超級山岳「ラ・コバティーリャ」 。

標高1965mに至る、登坂距離9.8km、平均勾配7.1%、最大勾配12%の登りだ。

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この登り口からまずペースを上げたのはバーレーンメリダヘルマン・ペルンシュタイナーオーストリア/28歳)。先頭ベンジャミン・キングとのタイム差を一気に30秒縮めることに成功した。

しかし彼の牽引は長くは続かず、次に先頭を代わったのはボーラ・ハンスグローエのラファウ・マイカポーランド/28歳)。

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実に3kmにわたるロング牽引によって、先頭とのタイム差を2分半縮め、メイン集団の人数も20名ちょっとにまで絞り込んだ。

マイヨ・ロホを着用するルディ・モラールやイルヌール・ザッカリンも脱落し、すでにメイン集団に残っているのはクフィアトコフスキ、ブッフマン、サイモン・イェーツ、バルベルデ、ヨン・イサギレ、トニー・ギャロパン、キンタナ、クラウスヴァイク、ジョージ・ベネット、ミゲルアンヘル・ロペス、アル、ウラン、ピノ、ゴルカ、メインチェスといった各チームのエース級の選手たちばかり。アシストを残せているチームはほとんどいなくなった。

 

3kmの牽引の後、マイカは力を使い果たした様子で落ちていった。

かつて、ペテル・サガンと共に、チームの総合エースとしてボーラ・ハンスグローエに招かれた一流クライマー。2015年のブエルタでは総合表彰台に登りもした男。

しかし、その後はイマイチ、結果を出し切れずにいた。今年もアブダビ・ツアーで総合5位、ツアー・オブ・カリフォルニアで総合6位と、決して良い成績とは言えない。

そんな中、直前のツール・ド・ポローニュで調子の良さを見せたダヴィデ・フォルモロとエマヌエル・ブッフマンと共に参戦となったブエルタ。マイカが絶対のエースとは、言い切れない状況であった。

そして、第4ステージでサイモン・イェーツと共に抜け出して総合2位となったブッフマン。この瞬間から、マイカが彼のアシストとして走ることが確定したのだろう。

 

ブッフマンとマイカは、3年前のツール・ド・フランスの第11ステージで、ピレネーの山岳地帯を共に逃げた2人であった。当時ティンコフ・サクソに所属していたマイカが優勝。そして、ドイツチャンピオンジャージを着用しボーラ・アルゴン18に所属していたブッフマンは3位と、敗北はしたものの彼にとってはそれまでで最も良い成績を出した瞬間だった。

だからなのか。ゴールに到着した彼の右腕には、小さなガッツポーズが形作られていた。

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このときはあくまでも、マイカは世界トップクラスのクライマーであり、ブッフマンは成長途上の才能ある若者に過ぎなかった。

そんな彼らがその後同じチームに所属し、そして、まさかこのグランツールにて、マイカがブッフマンを全力でアシストする立場になろうとは。

 

この日、ブッフマンは少しタイムを落としてしまい、総合順位はやや落としてしまったものの、まだまだ上位を狙える位置にいる。

この後のステージもマイカと、そして同じく総合順位を落としているフォルモロの2人による強力なアシストを受けながら、ブッフマンが総合表彰台を目指していく姿を期待していきたい。

 

 

若き山岳アシスト、クス

そんな彼が山頂まで残り5kmを切ったあたりで脱落し、続いて先頭牽引の役目を担ったのは、チーム・ロットNLユンボセップ・クスアメリカ/23歳)であった。

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8月前半のツアー・オブ・ユタにてまさかのステージ3勝で文句なしの総合優勝を果たした。

その活躍をもってブエルタへの出場が決まったのか。しかも、ただ出るだけでなく、こうして総合エースを守る役目を十分に担うことができた。この終盤に残っているだけでも凄い!

 

とはいえ、彼もまた兼ねてより才能のあった選手だ。

昨年まではアメリカのコンチネンタルチーム*1のラリー・サイクリングに所属。昨年のツアー・オブ・カリフォルニアでは、タランスキーの勝利したマウント・バルディ山頂フィニッシュで、ワールドツアークラスの選手たちに負けない走りを見せて最後まで喰らいつき、56秒遅れの区間10位となった。

 

チーム・ロットNLユンボ自体も非常に良い状態。

第9ステージを終えた段階でステーフェン・クラウスヴァイクが総合9位、ジョージ・ベネットが総合10位。ツールで絶好調だったクラウスヴァイク&ログリッチェコンビを彷彿とさせる状況だ。

クス自体もこの日の山岳をクラウスヴァイクたちからわずか30秒遅れでゴールしており、まだまだ余力を残している様子がうかがえる。

今大会最終盤でイェーツやキンタナ、ロハスらを脅かすのは、意外にもこの黄色のチームなのかもしれない。

 

 

そしてモビスター・チームにおいても、今年のジロ・ディタリアでロペスと新人賞を争ったリチャル・カラパスエクアドル/25歳)が終盤まで残り2人のエースをアシスト。自らもキンタナたちに50秒遅れの区間17位で終えている。

 

この3チーム以外は、まともなアシストが終盤まで残っていなかった状況。

アスタナ・プロチームのヤン・ヒルトが、かろうじてカラパスやクスと同じくらいの位置でゴールできているくらいか。彼も今後のアストゥリアスで終盤に残れればいいのだが・・・。ヨンにとってのゴルカも同様。

 

 

と、いうわけで、明日から始まるアストゥリアス3連戦については、上記3チームを中心に、アシストの動きに注目しながら見ていきたい。

山岳ステージの激戦の中で、ニューヒーローの誕生を楽しみに見守っていきたい。

 

 

 

番外編 新生スペイン最強スプリンター?

山岳ステージとはほぼ関係ないが、今大会、もう1人注目している選手が、バーレーンメリダ所属のイヴァン・ガルシアコルティナ(スペイン/22歳)である。

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左からガルシアコルティナ、ペリツォッティ、ペルンシュタイナー。第9ステージ後、チーム総合首位の表彰台にて。

 

ガルシアコルティナといえばどちらかといえばルーラー、といった印象があったものの、今大会、スプリントにおいて最も成績を残しているスペイン人は(バルベルデ除くと)このガルシアコルティナなのである。

 

  • 第6ステージ:6位(ブアニが勝利したステージ)
  • 第8ステージ:9位(バルベルデが勝った厳しい登りスプリント)
  • 第10ステージ:7位(ヴィヴィアーニが2勝目を飾ったステージ)

 

7月末のライドロンドン・サリークラシック(アッカーマン勝利)でも4位と、トップスプリンターたちとも十分に渡り合う力量を持っている。

スプリントを狙えるステージは残り少ないものの、ここは期待していきたい。かつて、同じように上位に数回入る走りを見せていたジャンピエール・ドラッカーも、のちにブエルタでしっかりと勝利を掴み、今も一流スプリンターの仲間入りを果たしている。ガルシアコルティナも、同じような立場になれるはずだ。

 

また、彼はやはりルーラーとしての力量にも期待していきたい。今年のパリ~ニースの第1ステージでは、厳しい登りと石畳が待ち構える最終盤で強力な牽引を見せて、エースのゴルカ・イサギーレをサポートした。

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そして昨年のブエルタの終盤の山岳ステージ(第19ステージ)でも逃げに乗り、区間3位という驚異的な成績を叩き出した。ネオプロでありながら、である。数か月前にツアー・オブ・ジャパンで活躍していた姿からは想像できない走りだった。

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この後のステージでのスプリントに注目すると共に、明日から始まるアストゥリアス3連戦を含めた山岳ステージでの「逃げ」での活躍にも、注目をしていきたい。

あるいは、ヨン・イサギレの総合を守るアシストとしての成長も、もしかしたら見られるかもしれない。

第9ステージで活躍したペルンシュタイナーと共に、見逃すことのできない選手たちだ。

*1:現在はプロコンチネンタルチーム

2018年シーズン 8月主要レース振り返り

8月はサイクルロードレースシーズンとしても大きく盛り上がる季節。ツール・ド・フランスが終わり、ブエルタ・ア・エスパーニャが始まる前ではあるものの、数多く大小のレースが展開され、若手も含めた多くの注目選手が活躍している。

また、現在開催中のブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦に位置付けられているレースもいくつかある。ここで活躍した選手がブエルタでも活躍する可能性は十分高く、本格化するブエルタ第2週に向けての予習としよう。

あとは先月に引き続きシクロクロス勢の好調・・・

未来に向けたレースと合わせ、必見の8月となった。

 

 

 

 

 

デンマーク・ルント(ツアー・オブ・デンマーク)(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:デンマーク

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1985年から開催されている、デンマーク最大のステージレース。デンマーク郵政公社が主催しており、同社の名を冠した「ポストノルド・デンマークルント」の名でも知られる。

近年のデンマーク選手の活躍を反映して同レースを注目度を高めており、例年ハイレベルな戦いが繰り広げられる。ここ4年ほど、デンマーク人の総合優勝者を輩出してきたが、今年はデンマーク人の頑張りを尻目に、なんと「シクロクロス勢」が意外なまでの強さを見せつけた。先月のツール・ド・ワロニーのクインテン・ヘルマンスに引き続き。

勝ち方もまた強い。そもそもファンアールトは今年、ストラーデ・ビアンケやロンド・ファン・フラーンデレンで強さを見せつけており、先月のツアー・オブ・オーストリアでもトップ選手に混じってのスプリントで存在感を示していた。そして今回。第2ステージで、逃げていたロビン・カーペンターとユリウス・ヨハンセンを追走から追い上げて一気に捉え、追い抜いて、共に追走していたアレクサンデル・カンプに影も踏ませない勢いでそのままゴールに飛び込んだ。

圧倒的と言わざるを得ない勝利。一人だけ、格の違うレースを見せられた感じだった。

 

その後のメルリエ2勝も圧巻。ミナーリとグアルニエーリとかコカールとか、ワールドツアーレースでも十分活躍できる強豪ライバルたちがしっかりいた中で、その強さを見せつけてくれた。

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メルリエ自体は来期、コンチネンタルチームに移籍することが決まっている。あくまでもシクロクロスに集中する形か。

一方のファンアールトは、チーム自体も含め様々な噂や憶測が飛び交ってはいるが、現状では契約が残っていることもあり、フェランダース・ウィレムスクレラン残留が濃厚? シクロクロスにおけるライバルのマチュー・ファンデルプールも、所属チームのプロコン昇格を目指しており、来年はロンド・ファン・フラーンデレンやE3・ハレルベーケへの参加に意欲的だとか。

来年はより一層、シクロクロス勢の激しいバトルが期待できるかも。先駆けてこの冬、例年以上にシクロクロスに注目するべきかもしれない!

 

 

 

クラシカ・サンセバスティアン(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:スペイン

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スペイン・バスク地方を舞台に、獲得標高4000m弱の激しいアップダウンコースでのバトルが繰り広げられた。ワンデーレースの中ではイル・ロンバルディアに匹敵する難易度を誇る「クライマーズクラシック」だ。

繰り返しのアップダウンの中で集団は確実に絞り込まれてはいくものの、勝負を左右するのはゴール前8kmの地点に位置するムルギル・トントーラ。2.8kmと短いが、最大勾配は18%超え。特に山頂までの1.8kmの平均勾配は11%を超えるという難易度の非常に高い激坂だ。例年、この地点でアルデンヌ・クラシックに強い名うてのパンチャー/クライマーたちが抜け出して、小集団スプリントや独走勝利を決める。

 

今年もまた、途中途中での飛び出しはあったものの、全て吸収されたうえでこのムルギル・トントーラにて決定的な動きが生まれた。最初に飛び出したのはチーム・ロットNLユンボのアントワン・トルホーク。昨年のジャパンカップ4位の若きパンチャーが、軽快な走りで集団とのタイム差を開いていく。ここに喰らいついたのがグルパマFDJのリュディ・モラール。今年のパリ~ニースのパンチャー向けステージで勝利を飾っている男だ。

この2人を追いかけて集団から抜け出したのが、モレマ、ファンアフェルマート、ヨン・イサギレ、そして集団でずっと息をひそめていた優勝候補のアラフィリップである。

2016年大会の覇者モレマがいつもの勢いの良いアタックで先頭2人を追い抜くと、これに唯一ついていけたのがアラフィリップだった。逆に、ここでアラフィリップを突き放すことができなかったことで、モレマの勝利の芽は消えてしまったと言っても過言ではない。

最後の直線では背後に貼り付き、フェイントをかましてアラフィリップに先に仕掛けさせることには成功したものの、やはり地力が違った。モレマも決して、スプリントの弱い選手ではないものの、純正スプリンターに近い脚質をもつアラフィリップに対し、一度もその前に出ることも叶わず、最後は踏み止めて敗北を悟った。

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今年は絶好調だ。

かつては、ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝などはあったものの、フレッシュ・ワロンヌなどでは2位続き。ツール・ド・フランスでも、惜しいところまで行くものの、不運もあり、なかなか勝利に届いていなかったシーズンが続いた。

しかし今年は、バスク1周での2勝を皮切りに、念願のフレッシュ・ワロンヌ勝利。しかも、王者バルベルデに対して真っ向勝負を挑んでの勝利だった。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでも1勝。その勢いで乗り込んだツール・ド・フランスでは難関山岳ステージで2勝。しかも、まさかの山岳賞ジャージをチームに持って帰った。

その男が、今回、更なる実績を積み上げた。彼史上、最高に成功したシーズンを過ごしている。

意外な勝利ではなかった。しかし、そのあまりにも高い期待に応える、見事な勝利であった。

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非常に面白いレースではあったものの、残念ながら大きな落車が発生してしまい、ブエルタを控えたミケル・ランダや、若手最高の走りを見せていたエガン・ベルナルが巻き込まれ、それぞれ即時病院送りのリタイアとなった。

ランダはブエルタを断念せざるを得ない怪我となった。そして、ベルナルは?

 

 

 

ツール・ド・ポローニュ(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ポーランド

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歴史は古く、初開催は1928年。グランツールの1つ、ブエルタ・ア・エスパーニャよりも長い歴史をもつ(ブエルタは1935年初開催)。

かつては古都クラクフでフィナーレを迎えるのが通例だったが、昨年からクラクフをスタート地点に据える。同時に各ステージの距離を短くし、ツール・ド・フランスを走った選手やブエルタ・ア・エスパーニャを睨む選手たちが走りやすい環境を用意した。

 

最初の3日間のスプリントステージで、最強の力を見せつけたのはパスカル・アッカーマン。7月頭のドイツ国内選手権ロードを制し、先日のライドロンドン・サリークラシックも勝利した今最も勢いのある若手ジャーマンスプリンターだ。

第1ステージは、モルコフとサバティーニに牽引され最高の発射を実現したホッジを、その背中から飛び出して力でねじ伏せ、第2ステージは先行して逃げる選手たちを集団の中ほどから一気に抜け出てくる勢いのあるロングスプリントで薙ぎ払った。このときホッジもアッカーマンの背中に貼り付いていたものの、勢いの違いに圧倒され、手も足も出なかった。

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一方、クイックステップ・フロアーズはチーム力でボーラを上回る走りを見せつけていた。第1ステージでも、最後の実力でホッジがアッカーマンに敵わなかっただけで、リードアウトは完璧だった。

だから、第3ステージでは秘策を繰り出した。第1ステージと比べ、終盤でバラバラになるクイックステップのアシストたち。しかし、デンマークチャンピオンジャージのミケル・モルコフだけはただ一人、ホッジの前をキープ。そして、アッカーマンが右手から上がっていったのを見届けて、左手から一気にペースアップを仕掛けた!

ライバルたち不在の空間で、他チームのエーススプリンターすら圧倒するリードアウトを見せたモルコフ。その背中から、実力者ホッジが最高のスプリントを発揮する。

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昨年のツール・ド・ラヴニールでも勝利し、今年クイックステップ入りを果たした注目のネオプロの1人として、3月のノケーレ・コールスとカタルーニャ1周で立て続けに勝利した「ガビリア2世」。久々の大勝利は、2日に渡る悔しい敗北からの大逆転勝利となった。ボーナスタイムの蓄積で、総合リーダージャージも手に入れた。

しかし、ホッジの勝利は彼自身の力だけでなく、チームの力でもあった。とくにモルコフの、巧み過ぎるアシスト力。この辺りは、ツール・ド・フランスにおけるアリエルマクシミリアーノ・リチェセの技巧に通じるものがあった。

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モルコフは元々はカチューシャに所属していたクリストフ発射台の1人だった。しかし以前より彼がここまで巧みなアシスト力で注目されていたかというと、そこまででもなかったはずだ。

ここはやはり、クイックステップというチーム自体が、トレインやスプリントアシストに対して並々ならぬ情熱を注いでいることを証明しているのかもしれない。

 

本格的な山岳ステージに突入した第4ステージ以降、頭角を現してきたのは地元ポーランドのクフィアトコフスキ。最大17%の激坂フィニッシュとなる第4ステージ、小刻みなアップダウンが繰り返された後に緩やかな登りスプリントとなる第5ステージ、いずれもパンチャー向けのレイアウトとなったが、昨年総合優勝者にして急成長中のパンチャーであるディラン・トゥーンスを力で捻じ伏せて、クフィアトコフスキが連勝を飾った。 

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第6ステージはゴール前の登りで総合優勝候補だけに絞り込まれた小集団が形成されたが、最後の下りで抜け出したゲオルグ・プライドラーが勝利。 

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ジロの山岳ステージなどで実力の高さを示し続けてきたオールラウンダーのプライドラー。しかし、国内選手権個人TT以外でのプロ勝利では実はこれが初。今回の彼の勝利は、集団で蓋の役割を果たしたエース、ティボー・ピノのお陰とも言えるかもしれない。

そのピノのアシストに報いるがごとく、翌日の最終日フィニッシュの直前で、プライドラーはエースを引き上げる全力の走りを繰り出した。結果、最後に抜け出してステージ2位を獲得できたピノは、総合6位から3位にジャンプアップ。表彰台を獲得した。

ピノとプライドラーのコンビはジロでも力を発揮した。現時点でまだプライドラーの出場は決まってはいないが、是非とも出場を果たしてほしいところ。

 

そして、最終日第7ステージを制したのが、今年のジロで大活躍だったサイモン・イェーツ。ステージ開始時点で総合9位だった彼は、ラスト10kmで集団から抜け出し、最後の2kmに到達するまでバーチャルでの総合リーダーを保ち続けた。

最後は集団に差を詰められてしまったものの、見事逃げ切り勝利を果たし、総合順位も2位にまで登りつめた。ブエルタでのリベンジに向けて、その調子の良さを証明してみせた形だ。

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クフィアトコフスキの強さはもちろん、ピノ&プライドラーのFDJコンビ、イェーツ、そして総合4位ジョージ・ベネットや総合7位ブッフマン&8位フォルモロのボーラコンビなど、来るブエルタ・ア・エスパーニャに向けて、それぞれの選手の活躍への期待が高まる良い前哨戦となった。

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ツアー・オブ・ユタ(2.HC)

アメリカツアー HCクラス 開催国:アメリ

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才能は突如として生まれる。2015年ブエルタのデュムランのように、あるいは今年のジロのサイモン・イェーツのように。いや、しかしこの2人は前兆は十分にあった。対して、このクスの存在は実に意外であった。

24歳のコロラド出身のこのアメリカ人青年は、昨年まではコンチネンタルチームのラリー・サイクリングに所属していた。ツアー・オブ・カリフォルニアでもワールドツアークラス顔負けの実績を叩き出すことも多いラリー・サイクリングだが、このクスも、タランスキーの勝利したマウント・バルディの山頂フィニッシュで、ワールドツアーの選手たちと肩を並べる走りを見せていた。

そして今回のこの圧倒的な勝利。この結果をもって、ブエルタにも選出されたと言えるだろう。

 

もう1人、個人的に期待しているハーゲンスバーマン・アクセオンのヤスペル・フィリップセン。ツアー・オブ・カリフォルニアでも、ガビリアに対して一歩も引かない攻撃的な走りを見せていたが、今回も、怒涛の連勝を見せようとするトラヴィス・マッケイブに対して、体ごとぶつかっていきながらの執念の勝利を掴んだ。

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カリフォルニアではその危険を顧みない無謀な走り方にガビリアから怒られる場面もあったが、この執念・飢えを残したまま、来期も活躍していってほしい選手だ。

ハーゲンスバーマン・アクセオンは数多くの有力選手を輩出している育成チームだが、このフィリップセンも間違いなくその1人となるはずだ。 

 

 

 

ブエルタ・ア・ブルゴス(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:スペイン

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バスクカンタブリアにも程近い、山岳豊かなスペイン北部ブルゴス県を舞台にして開催されるステージレース。ブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦としても名高く、過去にもキンタナ、コンタドール、ランダなどグランツール総合表彰台に登れる実力者たちが名を連ねている。

 

そんなレベルの高いレースで、まず注目したいのが、第2ステージのマッテオ・モスケッティの勝利。 

今年新設のコンチネンタルチーム「ポーラテック・コメタ」所属の22歳。ジュニア時代はトラック競技で活躍しており、2014年にはチームパーシュート種目でイタリアチャンピオンに輝いている。

昨年はU23ロード国内選手権でも優勝。実力をしっかり示したうえで、今年、このコメタにて2クラス・Nカップも含めて9勝。来年からはトレック入りが確定している。

チームにとっても、創設初年度でのこの成果は大きい。元々、コンタドールによる運営、イヴァン・バッソやヘスス・エルナンデスがマネージャーを務めるということで、鳴り物入りで誕生したトレックの育成チームである。来年以降も、モスケッティに続く才能の輩出に期待したい。

 

そしてもう1人、アンドローニ・ジョカットリの21歳新鋭、イヴァンラミーロ・ソーサの存在である。

第3ステージでは先行していたロペスを追い抜き、先頭を奪う。ロペスがその後、執念を見せて追い付いてきたことで勝利を逃したものの、その牽制もない横並びでの力の見せあいは、実に「ブエルタらしい」手に汗握るものであった。

 

とはいえやはりロペスが強かったか、と思っていたところ、最終日にて、再びソーサが終盤でアタック。ロペスも勿論ついていこうとするが、最後には力尽きてソーサの独走を許してしまった。

アンドローニ・ジョカットリは、今年大活躍中のエガン・ベルナルも所属していたプロコンチネンタルチーム。GMのジャンニ・サヴィオはベルナルに続きこのソーサという才能を発掘した、人材発掘のスペシャリストであると言える。

 

ソーサは今年すでに3つのステージレースを総合優勝しており、今回で4つ目となる。引き続きツール・ド・ラヴニールへの出場も決めており、そこでの活躍にも期待したいところ。

 

 

 

ビンクバンク・ツアー(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:オランダ、ベルギー

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旧エネコ・ツアー。ツアー・オブ・ベネルスクの名前もあり、年によってはルクセンブルクを使用することもある。

春のクラシックの本拠地であるオランダ、ベルギーを通るだけあって、第6ステージはアムステルゴールドレースと同じ地域を走る丘陵ステージ、第7ステージは伝説のカペルミュールを使用した「ミニ・ロンド」ステージと、実に豪華なステージ群。

そんな中、「ミニ・アムステル」では、アルデンヌマイスターのティム・ウェレンスが積極的な動きを見せ、近年めきめきと力を伸ばしつつあるオーストリア人若手パンチャーのミュールベルガーが勝利を掴んだ中で、マチェイ・モホリッチは絞り込まれたメイン集団にしっかりと残っていた。

また、続く「ミニ・ロンド」では、モホリッチを30秒差で追うマシューズが最後のミュールを駆け上る。将来的には本当にロンドを制してもおかしくはないマシューズの勝利の後方で、モホリッチはなんとか喰らいつき、5秒差にまで迫られながらも総合首位の座を守った。

モホリッチは確かに強い選手だ。しかし、春のクラシックで良い成績を出すタイプの選手では決してない。そんな彼が、ハードなクラシック風コースにおいて、我慢の走りで順位を守り切れたことは、彼の新たな強さの可能性を見せてくれたと言ってよい。

あきさねゆう氏の言葉を借りれば「体力のスペシャリスト」である。

直後のドイツ・ツアーでも総合優勝。昨年から続き、今最も勢いのある選手の1人だ。

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最終ステージ終了後にさすがに倒れ込んだモホリッチ。 

 

 

 

アークティックレース・オブ・ノルウェー(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ノルウェー

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先月のツール・ド・ワロニー、今月頭のデンマーク・ルントに引き続き、シクロクロス勢の大活躍。というより、コレンダン・サーカスの大活躍である。

ファンデルポールはファンアールトのライバル的存在。世界選手権以外の主要な大レースに軒並み勝利している無冠の帝王である。この北極圏レースでは、厳しい登りでは遅れるものの、パンチャー向けのスプリントではワールドツアーすら凌駕する圧倒的な走りを見せつけた。

また、チームメートのトゥパリックは、2年前のシクロクロスU23世界選手権で「勘違いガッツポーズ」をしてしまった苦い経験を持っている選手。今回はそのリベンジとなる勝利を果たせたわけだが、ギリギリの逃亡劇からの渾身の勝利は見応えバッチリ。登り下りのメリハリの効いた効果的なコースレイアウトも良い味を出しており、風景と合わせ、このレース、実はレベルが高い。

そんな、コンチネンタル&プロコンチネンタルチームの勢いを躱して、ワールドツアーチームとしての意地を見せて勝利したのがチェルネトスキー。

実は過去に総合優勝しているレースはツール・デ・フィヨルドだったりで、北欧のレースとの相性が良いのか。さすがロシア人。

 

 

 

ツール・ポワトゥ=シャラント(2.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:スペイン

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その名の通り、フランス西部、ポワトゥー=シャラント地域圏*1で行われる5日間のステージレース。過去にはシルヴァン・シャヴァネルトマ・ヴォクレールほか、トニー・マルティンやルーク・ダーブリッジなど、TTに強い選手が名前を連ねている。平坦中心のコースが連続する中にあってそれなりの距離の個人TTが設定されているため、いくら平坦のスプリントで勝利しても総合優勝には届かなかったりするのだ。同レースで7勝しているナセル・ブアニも総合優勝経験はない。

しかし、今年はそんな30年の歴史を誇る当レースでも特異な年となった。上記表を見てもらえればわかる。以下のツイートが全てを物語っていると言っても過言ではない。

 

確かに、事前のスタートリストを眺めていても、デマールの勝利は当然だった。勝ったとしても「はいはいデマール」で終わって納得はすれど面白みは感じられないと思っていた。

だが、全勝するとは。しかも個人TTで、6度の国内TT王者に輝いたシルヴァン・シャヴァネルを破って、それも、23kmという、決してスプリンター優位とは言えない距離で。

ここまでやられてしまったら脱帽である。

すごいわデマール先輩。

 

デマール以外にも、第1ステージでそのデマールに喰らいつき2位になったマッテオ・モスケッティ(22歳イタリア人、トレック・セガフレード研修生)にも注目。トレック公式からの最初のニュースでは第2ステージでも2位という情報が来て「おお!」となったが、これは誤報だったようだ。

第3ステージでも6位と十分に健闘しているモスケッティ。今後に期待だ。

 

 

 

ツール・ド・ラヴニール(2.Ncup)

ネイションズカップ 開催国:フランス

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※実際には各国代表での参加となったが、上記表は現在所属しているチーム名を記載した。

過去、ナイロ・キンタナやエステバン・チャベス、そしてエガンアルリー・ベルナルなどの有力選手を輩出してきた「若手の登竜門」ラヴニール。

今年は直前のブルゴスで総合優勝したイヴァンラミーロ・ソーサが最大の優勝候補であったはず。チームメートにはベイビー・ジロでも活躍したオソリオもおり、盤石のはずだった。

しかし、最終結果は総合6位。チームTTで大きくタイムを落としたのが痛かった。

だがそれ以上に、総合優勝のポガカールが強かったのは事実だ。ソーサが優勝した第7ステージの山頂フィニッシュでも、ポガカールはきっちりとついてきていた。さらには第9ステージではメイン集団から単独で抜け出し、ライバルたちに1分以上を突き放してのゴールとなった。

総合リーダージャージを着てのこの走りは、ツールにおけるゲラント・トーマスを彷彿とさせる強さだった。

 

なお、今回活躍した選手たちの来期の所属チームは以下の通り。

マックス・カンター ⇒ チーム・サンウェブ

アラン・リウ ⇒ チーム・フォルテュネオ=サムシック

ダミアン・トゥーズ ⇒ コフィディス・ソリュシオンクレディ

マテュー・ギブソン ⇒ JLTコンドールに残留

アレッサンドロ・コヴィ ⇒ UAEチーム・エミレーツ(正式加入)

イヴァンラミーロ・ソーサ ⇒ トレック・セガフレード

ジーノ・マーダー ⇒ トラックに集中?所属チーム不明

フェルナンド・バルセロ ⇒ エウスカディ・ムリアスに残留

 

昨年はラヴニールで勝利した選手のほとんどがチーム・スカイかクイックステップ・フロアーズに移籍した。その意味で今年のメンバーはプロコンチネンタルチームへの移籍も多く昨年ほど派手ではなさそう・・・だが、昨年もこの後のシーズンに移籍が決まることも多かったので、まだまだ続報待ちだ。

とくに2勝したマーダーが、ロードのチームにはどこにも所属していないのが気になる。来年はどうするつもりか・・・

残留を予定しているギブソンやバルセロ、またラリー・サイクリング所属で今年のドバイ・ツアーに引き続き、第7ステージでソーサに対してギリギリの2位(というか勘違いガッツポーズの所為で勝利を逃した)マクナルティも、来年は契約を残したまま移籍する可能性はあるだろう。

 

今年は昨年のラヴニール組が大活躍した。来年もこのメンバーに期待していきたいところ。

 

*1:2016年以降はアキテーヌ地域圏・リムーザン地域圏と統合され、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏へと再編された。それを受けて当レースの正式名称も今年から、ツール・ポワトゥ=シャラント・エン・ヌーヴェル=アキテーヌとなった。