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りんぐすらいど

ロードレース関連の記事が中心。https://twitter.com/SuzuTamaki

パリ〜ニース

  コンタドール、ゲラント・トーマス、リッチー・ポート、ロメン・バルデなどの実力者が続々参戦を決めた2016のパリ〜ニース。ニバリやTJヴァンガーデレンなどはティレーノ〜アドリアティコに取られてしまったものの、クイーンステージが雪でキャンセルとなってしまったティレーノに対し、(同じく雪でキャンセルのステージがありつつも)総合系ライダーによる秒差の勝負が展開された今年のパリ〜ニースは非常に見応えのあるものだった。

  何よりも最終第7ステージが熱かった!  前日の山頂ゴールを終え、総合首位のゲラント・トーマスと2位のコンタドールとの差は15秒。最終ステージは登りこそ多いもののラストは下りきったあとの平坦ゴール。さすがにこのまま優勝はトーマスで決まりなのかな。。という思いで最終ステージを迎えた。

  しかし、放送開始とともに中継席・実況スレ・ツイッターがともに興奮に包まれた。なんと、最後から2番目の1級山岳でコンタドールがアタックを決め、先行していた2人のチームメートに合流。いわゆる「先待ち」作戦を成功させたのだ。

  もちろんスカイも黙ってはいない。チーム総出で集団を牽き、コンタドールたちに追いつこうとする。今年で引退を宣言しているコンタドール。とくにパリ〜ニースは、過去のツール・ド・フランス優勝年にも勝利しているレースだ。どうしたって贔屓に応援してしまう。コンタドール、逃げ切ってくれ!

  しかしそう甘くはない。1級山岳の下りで、ついにコンタドールたちはスカイが牽く集団に飲み込まれてしまう。最後の最後までトロフィモフたちは懸命に牽いたが、それでも逃げ切れはしなかった。それでも、盤石のスカイ勢から2名のアシストを奪い取った。

  いずれにせよ、これで結局は集団のままゴールに向かうことになるのだろう、と少し残念な気持ちのまま見守っていると…今度はラストの1級山岳エズ峠で、ラファル・マイカの牽引でペースアップ!  そしてコンタドールの断続的に繰り返されるアタック!  スカイのエナオモントーヤはこれに反応を続けるが、ついにトーマスが失速。そしてコンタドールは一気に加速する!

  最後の最後まで、勝利を信じて攻撃の手を緩めない。コンタドールの勝利への執念は、まさに伝説的な走りと言える。

  総合4位のリッチー・ポートもコンタドールに合流。2人は単独で逃げ出すティム・ウェレンスに追いつき、3人で先頭交代を繰り返しながらトーマスたちとの距離を広げた。そのタイム差は30秒を超える!

  しかしここで崩れ落ちるほど、王者スカイは脆くはなかった。エズ峠からゴールまでの15㎞のダウンヒルを、トラックレースでならしたトーマスの足が猛烈な勢いで追いかける。エナオモントーヤも引き続き献身的にアシスト。トニー・ギャロパンも交えた3人の追走が、先頭の3人との差をじわじわと縮めていく。

  一瞬たりとも見逃せない展開だった。つい画面に向かって「アレー!  コンタドール!」と叫んでしまうほど自分も興奮していた。あと少し、あと少しなのに…といったところでついにトーマスは先頭3人を追う集団に追いつき、しかもその集団の前に出てさらなる追走をかける。

  ラストのゴールスプリント。コンタドールも懸命にねばり、ポートを置いて2位でゴール。ボーナスタイム6秒を得るも、その5秒後にトーマスを含む集団がゴールしてしまったため、わずか4秒という差で総合リーダーの座を射止めることはできなかった。

  まさに激戦。早くも今年のベストレース候補となった。これほどの戦いを成し遂げたあとであったため、ティンコフ氏もコンタドールの健闘を讃えるほど。コンタドール自身も手応えを感じたと、前向きな感想を述べていた。

  しかし、フルーム不在でも鉄壁のチーム力を見せるチーム・スカイ。こう言ってしまうのもなんだが、トーマスに苦戦している状態で果たしてツールでの勝利は可能なのか…そのヒントは、すでに始まっているカタルーニャ一周レースでのフルームvsコンタドール直接対決で見られるのかもしれない。

 

  今年のパリ〜ニースの見所は最終ステージだけではない。第2ステージ、進路妨害の判定により降格処分を受けたコフィディスのナセル・ブアニ。第4ステージではその雪辱を晴らすがごとく力強いガッツポーズでゴールに飛び込んだ。今年もガッツポーズ選手権をやるのであれば、ノミネート対象になりそうなゴールシーンだ(こういうストーリー性のあるものは栗村さんが好みそうなので)。

  第1ステージのタイムトライアルでは期待通りの好走を発揮したトム・デュムランだが、最終ステージのマイカのペースアップを前にして陥落。まだまだ超一級選手たちと渡り合うには早すぎるのか?  とは言ってもクイーンステージもなんとか凌ぎ、最終日時点で総合5位に入っていたのは十分健闘していたと言えるだろう。また、登りではまったくアシストのいなかったブエルタと比べ、今大会はシモン・ゲシェケが常にそばにいたようにも見える。同じくゲシェケとタッグを組むはずのジロ・デ・イタリアが今から楽しみである。

 

  一方で、開幕前は期待されていたキッテルが、まったく存在感を表せなかったことも気になる。第1ステージで遅れてしまったのは仕方ない。むしろあのコースは、キッテルがゴールに絡めないほどトリッキーなステージだったのだということもわかり面白かったくらいだ。だが次ステージ以降も、まったくゴールに現れないキッテル。調子が悪かったのか?  しかし骨折していたはずのグライペルでも5位とか6位とかに確か入っていた中だった。不安である。ドバイツアーでは大活躍していたので、全体的な調子は悪くないはずなのだが。

 

  パリ〜ニース開幕をもって、jsports実況も本格稼働。3月末から4月にかけては、退屈することもできないくらいに色んなレースを見られるのだろう。各種情報を集めながら、今年のベストレース、ベストライダーを見つけていきたい。