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りんぐすらいど

ロードレース関連の記事が中心。https://twitter.com/SuzuTamaki

ジロ・ディタリア2016 第4ステージ

 チームのエースでありながら果敢に逃げに乗り、そしてアシストの尽力によって最高のタイミングで飛び出し、ラスト2.5kmの長い直線区間でも10秒近いタイム差をほとんど失うことなく逃げ切った。

 昨年ジロで、苦難を乗り越えた末の感動的な復活勝利を遂げたディエゴ・ウリッシが、今年最初の勝利をジロで飾った。

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両手を挙げてゴールするウリッシ。後ろからはデュムランとクルイシュウィクが迫ってきている。jsportsより。

 

 3級山岳が2つと、ゴール前10kmに、山岳カテゴリを持たないものの最大勾配18%の区間を持つ短い激坂が控える中級山岳コースであり、マリア・ローザを着るマルセル・キッテルが、遅れることなく最後の集団スプリントに絡めるかどうか、という点が議論を呼んでいた。

 実際に最初の3級山岳からいきなり遅れ始めるキッテル。しかしこれは後に、下り坂を自らも先頭牽引する姿すら見せながら、一度は集団に合流することができた。その後の3級山岳でも再び1分半くらいのタイム差を作ってしまったが、これものちの下り坂でリカバリーすることができた。

 しかし、ラスト16km地点あたりから始まる、カテゴリの存在しない登りで、三度キッテルが遅れ始め、そしていよいよ、追撃を諦める様子を見せた。だが、キッテルはスプリンターの中ではマシな方で、他にもヴィヴィアーニ、カレイブ・ユワンなど、強豪スプリンターたちも早々に最初の3級山岳で遅れていったのである。

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カテゴリのない登りで遅れるキッテル。jsportsより。

 勝負所と思われていた最後の18%の登りも確かに厳しいものではあったが、それ以上に、数字に表れていないポイントにおける破壊力がすさまじく、改めてジロの厭らしさ、厳しさというものを思い知るステージとなった。

 

 そんな中、2つ目の3級山岳を超えたあたりで一度1つになったプロトンから、アージェードゥーゼルの選手2名のアタックをきっかけにして、12名近くの逃げ集団が出来上がる。その中に2名、選手を送り込んでいたのがランプレ・メリダ。1人はエースナンバーを背負うディエゴ・ウリッシ。そしてもう1人が、昨年はツアー・オブ・ジャパンに出場していた23歳の新鋭ヴァレリオ・コンティだ。

 残り10kmの激坂区間直前まで、逃げ集団を強力に牽いてウリッシをアシストするコンティ。最後は力尽きて後方に落ちていくが、その遺志を継いだウリッシが、2つ目の18%区間で一気にアタックを仕掛けた!

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18%の激坂で後ろを振り切るウリッシ。jsportsより。

 あとは独走状態である。それでも、残り2.5kmでタイム差10秒というのは、やや厳しいか、とも思われた。しかしその後、なかなかタイムが縮まらない。後続もかなりの勢いで追走をかけている。しかしあとはウリッシの意地である。

 最終的に後続集団と生まれたタイム差は5秒。逃げ切りも可能とは言われていたものの必ずしも簡単ではなかったこのステージで、見事な勝利を遂げた。

 昨年もステージ4勝を遂げたランプレ・メリダ。今年もこの勢いで勝利を重ねていくのだろうか。

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ゴール後、コンティの到着を待って抱き合うウリッシ。jsportsより。

 

 今ステージでもう1人、活躍したのが、ニッポ・ヴィーニファンティーニのエース、ダミアーノ・クネゴである。12年前、22歳の若さでジロを制し、一躍注目を集めたイタリアの英雄であったが、その後は振るわない期間が続き、昨年度にはプロコンチネンタルチームへと降格するような形での移籍を経験した。今大会でも初日のタイムトライアルで下位に並ぶ結果となり、その活躍を不安視されていた。

 しかし今日のこの、イタリア上陸後初のステージで、終始積極的な走りを見せた結果、2つ目の山岳ポイントを先頭通過し、ステージ終了後の山岳賞ジャージ獲得を成し遂げた。日本の企業もスポンサーを務めているチームのエースであり、今回出場する唯一の日本人である山本元喜が勝たせなくてはいけない選手でもあるため、山岳賞狙いであっても、それを全力で応援していきたい。

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表彰台で山岳賞ジャージを着るクネゴ。胸元には日本語も。jsportsより。

 

 もう1人、結果を出したのがトム・デュムラン。ゴール前のスプリントで、ウリッシに続く2着につけた。もちろんマリア・ローザもキッテルから奪い返した。そもそもレース中盤ではチームメートが全力で集団を牽引し、登りで遅れたキッテルとのタイム差を開くよう戦略的にも動いていたらしい。総合は狙わない、と公言しているデュムランではあるが、とりあえず、可能な限りその着用日数は伸ばしたい、とは思っているようだ。

 ・・・「できる限り着られるようにしたい」と言いながら、最終日前日までマイヨ・ロホを維持したのが去年のブエルタではあるのだが。

 

 明日はまた、平坦ステージへと戻る。とはいえ、コースプロフィールを見ればわかるように、決して単調なステージではない。またも、カテゴリがないながら厳しそうな登りもいくつかある。それらをこなしたうえで、スプリンター同士の直接対決になるか、それとも今日と同じように逃げ切りでの勝利になるのか。予想のつかない勝負は続いていく。

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コースプロフィールによると3級山岳は1つだけ…しかし後半のアップダウンも厳しい。そもそも第2スプリントポイントはこれは「山」というのではないか。jsportsより。

www.jsports.co.jp