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ジロ・ディタリア2016 第6ステージ

 今年すでにパリ~ニースで1勝。そしてアムステルゴールドレースでも積極的な走りを見せ上位でフィニッシュ。そしてこの日、ついにグランツールにおける初勝利を遂げた。ベルギーチームのエースを任された24歳の新星ティム・ウェレンスが、圧倒的な独走でもってゴールラインを通過。リドレーの自転車を高々と掲げた。

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jsportsより。

 

 今大会最初の「総合争いが勃発する」と予想された難ステージであった。序盤、今大会初登場の2級山岳は、集団から飛び出したプロコンチネンタルチームの3人が先頭を通過した。だが冷たい雨が降りしきる中、3人が慎重に安全優先で下ったことにより、タイム差が一気に1分以内に縮まっていった。

 メイン集団としては、こんなに早い段階で逃げを捕まえるつもりはなかった。だから、下りきって平坦の道に出たタイミングで、一気にペースを落とした。タイム差はみるみるうちに(まるでまたイタリアの時計がイタリアらしさを発揮してしまったのかと疑うほどに)減っていき、あっという間に8分以上のタイム差が開き、逃げ切り勝利すら容認する雰囲気が現れ始める。

 この雰囲気を嫌ったのは誰だったのだろう。ゴール後のインタビューによると、ウェレンスは既に勝利を諦めていたらしい。だが、友人であるというマリア・ローザのトム・デュムラン、そしてチームメートのピム・リヒハルトに促され、彼はペースを落としつつある集団から勇気ある飛び出しを行った。そしてそれは、絶好のタイミングであった。

 

 ウェレンスとリヒハルトの2人はすぐに先頭2人に追い付いた。2人に追随したのはトレック・セガフレードのローラン・ディディエただ1人である。5人になった逃げ集団は、主にリヒハルトの牽引によってペースを上げ、メイン集団の想定以上にそのタイム差を広げていった。

 残り17kmから始まる最後の登り区間。ここでリヒハルトが仕事を終えて脱落する。さらに勾配がきつくなるところでディディエがアタック。一度は離れる集団であったが、やがてそこから、ウィリエール・トリエスティーナ・サウスイーストのエウゲルト・ズパが飛び出してディディエに追い付いた。千切れたかに思えたアレッサンドロ・ビゾルティも、自分のペースで走り続けることによってやがてディディエに追い付いた。

 そしてウェレンスはというと――なぜか1人だけコースを外し、様子を窺っていた。そして、ズパとビゾルティがディディエに追い付いたタイミングを見計らって、ついに彼は発射した。

 最初のアタックは友人たちに促されて、であった。そして勝負を決定付ける今回のアタックは、自らの計算のうえで敢行した。そして今回も、ベストのタイミングであった。誰も彼についていくことができず、15kmの一人旅が始まった。集団もペースを上げ、そのタイム差も徐々に縮まっていく。最終的にウェレンス以外の逃げも吸収されるが、ウェレンスだけは後続に1分以上のタイム差を残したまま、余裕のゴールを迎えることができた。

 

 メイン集団の方でも動きがあった。まず残り13kmでアスタナのフグルサングがアタック。ディメンションデータのシウトソウだけがこれについていく。2人ともデュムランから30~50秒程度の遅れしか喫していないため、一時バーチャルでの総合1位、2位に彼らがつくほどであった。アスタナとしてはニバリに次ぐ2番手の位置にあるフグルサングを出すことによって、他チームへの牽制を期待したのである。

 さらには残り2.5kmでニバリがアタック。だがこれは、スカイが得意のチーム力を活かして吸収。今度はそのカウンターで、デュムランがアタックを仕掛けた!

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jsportsより。

 このアタックに、ついていけたのはポッツォヴィーヴォとザッカリンだけだった。ニバリも、バルベルデも、ランダも、これにはついていくことができなかった。のちに後続集団でもマイカやチャベスがペースを上げるが、ニバリたちはこれにも反応することができずにいた。結果としてデュムランは、ボーナスタイムこそ得られなかったものの、ウランに11秒、バルベルデに14秒、ランダとニバリには21秒ものタイム差をつけることに成功した。

 

「誰が勝てないか」がわかると言われた今ステージにおいて、さすがに大きくタイムを落とすほどの結果になった総合系選手はいなかった。しかし、最有力候補と言われたバルベルデ、ランダ、ニバリの3人が、総合系選手の中では最もタイムを落とした3人であった、というのは意外だった。

 このステージの結果だけで何かを言うことはできないが、しかしとりあえず1つだけ言えるのは、「このジロも、誰が勝つのか予想できない。面白くなりそうだ」ということだろう。

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jsportsより。

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