読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

りんぐすらいど

ロードレース関連の記事が中心。https://twitter.com/SuzuTamaki

ツール・ド・フランス2016 第15ステージ

 雨のアンドラ・アルカリスで「傘をさしながら」ゴールしたことで話題になったIAMサイクリングのハリンソン・パンタノ。そんな彼が今日のステージでは、圧倒的な「下り力」を発揮してゴールを奪った。

 ツール・ド・フランスでは初勝利の27歳。同じコロンビア人のエステバン・チャベスにも似た晴れ渡った笑顔で喜びをストレートに表現した。そして彼は、今年解散が決まっているチームの一員。来年以降の契約に向けた大きなアピールとなったに違いない。

f:id:SuzuTamaki:20160718011902p:plain

ラストはマイカとの牽制を制して差し切った。決して簡単な勝利ではなかった。jsportsより。

 

 ブール・カン・ブレスからキュロズにかけての160km。獲得標高4000mを超える、今大会「2度目のクイーンステージ」とも言えるコースだ。

 序盤から激しいアタック合戦が繰り広げられ、一番最初に前に飛び出したのは山岳賞ジャージのトーマス・デヘント。しかしその後、最初の1級山岳への登りで大きく遅れ始め、代わって集団の前に乗ったのがティンコフのラファル・マイカ。この日だけで50ポイントを稼ぐことに成功し、山岳賞獲得に向けての大きな一手となった。

 残り70kmを過ぎた辺りから、トム・デュムランが単独で飛び出す場面も。そこにニバリ、ポッツォヴィーヴォ、パンタノが追い付き、このまま4人でゴールまで向かうか? とも思われた。

 しかし残り56kmでこの4人が追走集団に吸収。さらには残り51km地点から、マイカとチーム・カチューシャのイルヌール・ザッカリンの2人だけが抜け出す形で先頭に立った。そのまま超級グラン・コロンビエ山頂も2人で通過。

 そしてこれで決まりではなかったのだ。

 グラン・コロンビエの登りをハイ・ペースで突き進んだのがジュリアン・アラフィリップ、そしてパンタノであった。2人はコロンビエの下りで先頭2人に追い付く。

 だがザッカリンはジロでの落車の後遺症か、なかなか下りでペースを上げられず。

 さらにはアラフィリップも、一時は2人を突き放して単独先頭になったものの、メカトラブルによって大きくタイムロス。勝利を逃す悔しい結果となってしまった。

 そして最後に残された1級「グラン・コロンビエのつづら折り」。ここでマイカが一度、パンタノを突き放す。だが、この下り、非常に細く、トリッキーな下りで、パンタノの「驚異のダウンヒル」が繰り出された。

f:id:SuzuTamaki:20160718014500p:plain

最後の山岳ポイントである1級「グラン・コロンビエのつづら折り」。この下りこそが、今日のレース最大の勝負所となった。jsportsより。

 

 あまりにも早すぎてカメラバイクも追い付けなかったという。そして実際に、先頭を走っていたマイカを映していたカメラバイクの後ろから突然飛び出してくるパンタノの姿、そしてそのままマイカに一気に追い付くその姿は、迫力満点。残り10km地点から展開されたこの勝負の映像は、必見である。

 後方からもライヘンバッハ、ヴュイエルモーズが追走をかけていたものの、最終的にゴールはマイカとパンタノのスプリント勝負に。直前まで前を牽き続けていたパンタノだったが、最後飛び出したマイカをなんとかさし返し、ステージ優勝を成し遂げた。

 序盤から複数回逃げに乗りながら、最後のゴールまで力を残すことができたことも大きな勝因ではあったが、やはりあのダウンヒルの力こそが、この日の勝利を決定付けたに違いない。

 ハリンソン・パンタノ。これからも注目すべき選手の一人だ。

 

 そして総合争いは結局、動くことなく終わった。

 グラン・コロンビエの登りでアスタナの攻撃に始まり、バルデ、バルベルデなどがアタックを仕掛けた瞬間もあったものの、例年通りのスカイ・アシスト陣の走りによって封じ込められた。

 ステージ優勝の行方を左右した「つづら折り」の下りでも、バルベルデなどが積極的に動いてはいたものの差をつけることは叶わなかった。

 例年にないくらいの僅差で迎えた2週目ではあったものの、そのタイム差も先日の個人TTで「例年並み」に開き始め、既にプロトンの中は「表彰台争い」の様相を呈し始めているかもしれない。

 だが、もちろん「3週目」に焦点を当てている選手はまだまだいる。その代表格がナイロ・キンタナ。すでに2回も獲得している「総合表彰台」など、彼の眼中にはないはずだ。

 第17ステージの「超級山岳山頂ゴール」、第18ステージの「山岳TT」、第19ステージの「1級山岳山頂ゴール」。3分のタイム差を縮めることは、決して簡単ではないが、彼と彼のチームメートは間違いなく、それを狙っているはずだ。

 そしてモレマ、イェーツ、バルデは念願の表彰台を獲得できるか。

 いよいよツールは「3週目」に突入していく。

 (その前に、第16ステージもかなり注目できる! なんでもラストは、石畳を含む小さな登りも見られるとか・・・ピュアスプリンター向けではなく、むしろ、生まれ故郷にゴールすることになるファビアン・カンチェラーラにこそ向いたステージであると言えるはずだ!)

 

www.jsports.co.jp