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2016ブエルタ 2週目までの注目選手

ジャンニ・メールスマン

 30歳ベルギー人スプリンター。エティックス・クイックステップに所属。

 メールスマンと聞いて思い浮かべるのは、2014年のパリ~ニース。第1・第2ステージでスプリントポイントのボーナスタイムをしっかり獲得し、バーチャルでマイヨ・ジョーヌの着用権を得ながら、直後の落車で足止めを喰らったうえに、復帰のためにチームカーのドラフティングを利用したことを咎められ、ペナルティを受けた悲しい経験だ。

 そのあともカデルエヴァンスレースで優勝していたり、アルガルヴェ一周で区間優勝していたりそれなりの結果を出してはいたようだが、何分エティックスにはキッテルはもちろんガヴィリアなどの有望なスプリンターが多くいるためか、来期はフォルテュネオ・ヴィタルコンセプトへの移籍が決まっている。

 そんな中で叩き出したグランツール2勝。

 是非とも来期以降は、新たなチームでエーススプリンターとして大活躍してほしい。

(問題は、フォルテュネオがグランツールではツールくらいしか出られそうにないということで、そこで区間勝利するのはやはり難しそうだよなぁ、という不安)

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ジャンピエール・ドラッカー

 29歳ルクセンブルク人スプリンター。BMCレーシング所属。

 昨年のブエルタでもスプリントステージで4位、4位、6位、3位とよく名前が載っていた選手。こういう選手がようやく勝利を手に入れると非常に嬉しい。ツールで言えばブライアン・コカールみたいな選手だ。

 特に今年のブエルタはあまりにもスプリンターにやさしくないコース設定のため、トップスプリンターたちがこぞって欠場している。そんな中で、頑張って参戦したメールスマンやドラッカーなどがしっかりと報われるのは見ていて気持ちがよい。

 ブエルタ以外ではツアー・オブ・カリフォルニアなどでも上位に入ることが多いようだ。カリフォルニアは来期からワールドツアー入りするようだし、そこでの勝利を是非とも期待したいところだ。

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オマール・フライレ

 26歳スペイン人クライマー。昨年はカハルラルに所属しており、今年からディメンションデータ。実は「90年世代」の一人。

 昨年は序盤から積極的な姿勢を見せて、クイーンステージではさらにポイントを荒稼ぎ。(見ていてつまらなくなるほど)他を寄せ付けない圧倒的なポイント差で山岳賞ジャージを獲得した。

 今年も中盤以降積極的に動き、やはり今年もフライレとなるか、と感じさせた。

 だが今年のクイーンステージである第14ステージで、フライレ自身もしっかりと逃げに乗っていたのだが、「アングリル覇者」ケニー・エリッソンドという強敵が現れ、現状、その勝敗は予想がつかない状態となっている。いやあ、面白い。

 それでも2年連続で山岳賞に近い位置にいるということ、毎回の山岳逃げをしっかりと成功させるということは、彼の強さをしっかり感じさせてくれる。今後はジロなどでも山岳賞を狙ってほしいところである。

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ロベルト・ヘーシンク

 30歳オランダ人クライマー。チーム・ロットNL・ユンボ所属。

 昨年ツール総合6位。しかし今年は直前のツール・ド・スイスで落車し、ツールへの挑戦権すら奪われた。

 そんな中で参戦したブエルタ・ア・エスパーニャは、エースの座はクライスヴァイクに取られるも、彼は途中リタイア。総合上位を望めなくとも、自身初となるグランツール勝利に向けて全力を尽くした。

 1度目の挑戦は超級コバドンガ。しかしここではマイヨ・ロホを着るナイロ・キンタナの本気の走りの前に敗れ去った。

 しかし諦めずに仕掛けた2度目の挑戦。クイーンステージのラストの登り超級オービスク。最後はエリッソンドとのスプリント勝負。「後ろを振り返らず」にゴールを決めた。

 来年以降もエースを張れるかはわからない。だがそれでいいのかもしれない。クライスヴァイクの頼れるアシストとして活躍しつつ、誰にも負けないその山岳の足で、再び・三度と勝利を飾ってほしい。

 また、2度に渡るヘーシンクの挑戦の立役者となったのが、24歳ベルギー人のヴィクター・カンベナールツ。彼もまた、今後が期待できる選手である。

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 レオポルト・ケーニッヒ

 かつてプロコンチネンタルチームに属しながらツール総合7位を獲得し、スカイに引き抜かれた28歳チェコ人オールラウンダー。

 昨年のジロも途中リタイアしたポートに代わって総合6位を獲るなど活躍していたが、今年の前半は怪我によって?レースに出場できずにいた。

 満を持して迎えたブエルタ・ア・エスパーニャだが、その強さは衰えていなかった。フルームにも劣らない山岳での登りの強さは、かつてのリッチー・ポートを彷彿とさせる。もはやランダやトーマス以上に、ポートの代わりになりうる存在と言えるのではないだろうか。

 来年こそはツールで活躍する姿が見たい。あるいは、ジロでエースを担う、というのも悪くないのではないか。

 

 

サイモン・イェーツ

 双子のアダムには負けない!という強い思いがあったのだろうか。アダムがまだ成しえていないグランツールでの勝利を飾っただけでなく、第14ステージの前待ち作戦の成功により、アダムに匹敵する総合4位にまで上り詰めた。第15ステージでタイムを失うが、それでもまだまだ総合でいい位置につけている。

 イェーツ兄弟は随分前からポスト・フルームだのなんだの期待されていた。そういった選手はあまり結果を出せずに終わっていくことが多いと思っていたが、今年のブレイクは期待を上回るものがあったように思える。昨年はイマイチだっただけになおさら。

 ボブ・ユンゲルスやジュリアン・アラフィリップなどと共に、新時代を担う存在として今後の活躍に期待したい。

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アレハンドロ・バルベルデ

 一応エースナンバーを着けており、序盤でこそキンタナより走れる姿を見せていたが、そのあとキンタナが一気に調子を上げてきたことで、すんなりとアシスト役に回ってくれた。

 第14ステージで大ブレーキがかかるが、よく考えてみればジロもツールもオリンピックも出場したうえでのブエルタである。ここまで総合上位にいれたことの方がおかしいのである。

 第15ステージで突然、フルームたちのグループを牽引し始めたときは、2013ツールの第9ステージを思い出させてくれたりしたが、別に意味不明な行動ではなく、しっかりと攪乱を行えていたので、インテリジェントな作戦だったといえる。

 バ師匠の場合、それもどこまで計画的なのかはわからないけれど。。

 クライマーと呼んでも差支えのない脚質でありながらスプリントも強いバルベルデは、ブエルタのマイヨ・プントスに最も相応しい存在であると言える。

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アルベルト・コンタドール

 「未だかつてないほどに調子の良さを感じている」と話し、今年限りでの引退を撤回したコンタドールだったが、シーズン後半は不調と不運とに見舞われ、それはこのブエルタでも同様であった。

 しかし、その事実に対し、彼は決して悲痛な表情を見せない。

 ツールでの不調の際は最後に渾身のアタックを決めたうえで、車に乗り込む際にも我々に「また必ず戻ってくる」とサインを残してくれた。

 そして今ブエルタでも、総合表彰台すら諦めなければならなかったかもしれない状態から、大きな賭けに出たのである。

 それは今年のパリ~ニースを彷彿とさせるものだった。

 あのときは失敗したが、今回は成功した。結果、3位とは5秒しか離れていない4位にまで上り詰めた。

 最終的に彼が総合表彰台に上がれるかどうかはわからない。それでも、このアルベルト・コンタドールという男の飽くなき挑戦、不屈の精神に対して、我々は勝ち負けを超えた感動を覚えることができるのである。

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今後期待する選手たち

 

アイマル・スペルディア

 トレックセガフレードのエースナンバーをつける39歳スペイン人。39歳!

 グランツールの総合上位につくことは多いものの、いまだステージ優勝の経験はない。昨年もあと少しで・・・というステージが確か2回。ホアキンとロッシュだったかな。

 今年の残り少ない山岳ステージで、ぜひその雄姿を見せてもらいたい。年配選手の期待の星として!

 

ファビオ・フェリーネ

 同じくトレックから。26歳イタリア人スプリンター。

 あと少しで・・・という惜しい結果を出し続けており、地味にポイント賞ランキングでもバルベルデ、キンタナに次ぐ3位に入っている。

 残りのチャンスは第18ステージとマドリードグランツールでの勝利経験はまだないはず。がんばれ!

 

アクセル・ドモン

 アージェードゥーゼルの、90年世代のフランス人山岳逃げスペシャリスト。

 第8ステージではいいところまで行ったのだが・・・

 昔から逃げている姿をよく見かける。そろそろ若手、とは言えない年齢になってくる頃だし、このあたりで一度、ガツンと結果を出してもらいたいところである。

 

パトリック・ベヴィン

 25歳ニュージーランド人。ニュージーランドのタイムトライアルチャンピオン。

 今年のパリ~ニースで、ドゥムランとわずか1秒しか違わないタイムを叩き出した驚きの「元・どちら様系」である。第19ステージのTTでの活躍が期待される。

 とはいえ、パリ~ニースは超単距離決戦だったがゆえの結果、とも言えるかもしれない。また、今回のキャノンデールにおけるおそらくは唯一のスプリンター的脚質を持つ選手であるため、そっち方面での活躍ももしかしたら見れるかもしれない。最終日マドリードで逃げる、とかね。

 って思ってたら、実はもうリタイアしていたのか! まだまだ3週間のグランツールには適応しきれていない、ということなのかな。残念である。

 TTでは他にも、ジロでそれなりに良い記録を出したジャイアント・アルペシンのトビアス・ルドビグソンに注目しておきたい。こちらも単距離での結果であるが。

 ほかにもニキアス・アルントなど、とにかく今大会まったくといっていいほど目立っていない(41人逃げた第14ステージでも逃げに選手を乗せなかった)ジャイアントに、何かしらの結果をもたらしてほしいところである。