りんぐすらいど

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ツアー・ダウンアンダー2017 第3ステージ

強い、強すぎる。

素直にそんな感想が漏れ出てくるような勝利だった。

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カレブ・ユアン。クリテリウム含めて3勝目。これはすでに、大ブレイクと言われた昨年の実績に並ぶ。

そしてまだまだ第3ステージなのだ。スプリントステージはまだ明日、そして最終日と残っている。

どこまで記録を伸ばすのか。恐ろしい男だ。

 

 

ツアー・ダウンアンダー2017、第3ステージは、フルリオ半島を南下しておなじみのヴィクターハーバーへと向かう144kmのステージだ。

www.cyclowired.jp

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半島内の自然豊かなコースをプロトンは走る。空は生憎の小雨模様だったようだが。jsportsより。

 

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ゴール地点となる、美しきヴィクターハーバー。jsportsより。

 

 

今日は今大会始まって初めてとなる本格的な集団逃げとなった。

メンバーは以下の通り。

 

  • トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル、30歳)
  • クレモン・シュヴリエ(フランス、AG2R、24歳)
  • ジェレミー・メゾン(フランス、FDJ、23歳)
  • ヴェガール・ラエンゲン(ノルウェーUAEアブダビ、27歳)

シュヴリエとラエンゲンは元チームメート(IAMサイクリング)でもある。

 

このうち、ツールでもモン・ヴァントゥー勝利など山岳逃げで大活躍をしているデヘントが2級山岳セリックス・ヒルを制し、10ポイントの山岳ポイントを獲得してリッチー・ポートと並んだ(合計16ポイント)。

4人はスプリントポイントは争うことなく淡々と消化していき、BMCがコントロールする集団も彼らとのタイム差を4分近くに保ったままほどよいペースで走り続けていた。

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比較的年齢層の低い逃げ集団を、ベテランのデヘントが統率する。jsportsより。

 

 

だが、ステージ勝利を確実に獲っておきたいボーラ・ハンスグローエが中心となってプロトンを牽き始めると、少しずつ4人とのタイム差が縮んでいく。

そして、残り距離が25kmを切ったあたりで、4人の中からラエンゲンが飛び出した!

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彼は昨年の国内選手権ITTでボアッソンハーゲンに惜しくも届かず2位となった選手。

ジロ・ディタリアのキアンティTTステージでも、カンチェラーラを下して3位に入った、独走力の高い選手。

いいところまで単独で走り続けるのだが、さすがに逃げ続けた末での独走勝利を許してくれるほど、集団も甘くはなかった。

残り6kmの地点で、予定通り吸収されてしまう。

 

 

ここからは集団スプリントに向け、プロトンの中がにわかに活気づいてくる。

レックが、スカイが、それぞれのエーススプリンターを最高の位置に運ぶべく、それぞれのトレインを作って集団の先頭を獲ろうとペースを上げていく。

そんな中、巻き起こった落車に巻き込まれたのが、総合2位につけているゴルカ・イサギーレ。

幸いにもゴール3km以内だったために総合タイムに影響はなかったが、明日以降の走りに支障がないことを祈るばかりである。

なお、落車の原因となったのは、前を走っていたカチューシャのレストレポの減速?

まだ若い選手だけに、集団内での動き方に不慣れなところがあった??

もちろん、誰が悪いという問題ではないのだが。

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落車直後のゴルカとバークランツ。バークランツも前日にいい走りをしたばかりだけに残念。結構血が出ていたようだ。jsportsより。

 

 

そして最後の直線。

最初に飛び出しのは、ダニー・ファンポッペルとその牽引役ルーク・ロウ。

その右側からボーラ・ハンスグローエのリュディゲル・ゼーリッヒが飛び出すのだが、そこにつくべきチームのエース、ペーター・サガンが彼から離れてしまっていた。

集団後方に埋もれていたカレブ・ユアンは、これをチャンスと捉え、ゼーリッヒの背中に向けて加速!

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左右に展開するユアン(右)とサガン(左)。このポジションが勝敗を分けたのかもしれない。jsportsより。

 

サガンもなんとか左側から、トレックやスカイの脇をすり抜ける形でユアンと並ぶ位置にまで這い上がってくるのだが、このときすでに、足をかなり使ってしまっていたのかもしれない。

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ゼーリッヒの背後についたユアンとサガン。しかしサガンの動きは本当に怪物じみている。jsportsより。

 

この後、ユアンが一気に加速。結局、サガンはこれについていくことができず、敗北してしまう。

 

直前のポジションに差があったかもしれないが、それでも力と力のぶつかり合い、真正面からの直接対決でサガンを下したことになる。

カレブ・ユアン。今大会すでに3勝目だが、その中でも最も印象的な勝利となった。

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ツアー・ダウンアンダー 第2ステージ ゴール順位

1.カレブ・ユアン(オリカ・スコット)

2.ペーター・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)

3.ニッコロ・ボニファツィオ(バーレーンメリダ)

4.ダニー・ファンポッペル(チーム・スカイ)

5.エドワード・トゥーンス(トレックセガフレード)

6.ニキアス・アルント(サンウェブ)

7.ショーン・ドゥビー(ロット・ソウダル)

8.ロレンゾ・マンザン(FDJ)

9.ルーベン・ゲレイロ(トレックセガフレード)

10.バプティスト・プランカートル(カチューシャ)

 

ボニファツィオ、プランカートル、トゥーンス、ドゥビー、このあたりはクラシック、第1ステージとここまでのスプリントステージでついにベスト10に入っているスプリンター。

明日も期待ができる選手たちであるのは間違いない。

 

 

スプリント賞ランキング

1.カレブ・ユアン(30)

2.ダニー・ファンポッペル(28)

3.ニッコロ・ボニファツィオ(24)

4.ニキアス・アルント(20)

5.エドワード・トゥーンス(19)

6.ショーン・ドゥビー(17)

7.ルーベン・ゲレイロ(16)

8.リッチー・ポート(15)

9.バプティスト・プランカートル(15)

10.ネイサン・ハース(14)

 

ユアンが一つ飛び抜けた。このあとのスプリントステージでもしっかりと取ってくれそうなので、スプリント賞に最も近い男となったか?

 

 

山岳賞ランキング

1.リッチー・ポート(16)

2.トーマス・デヘント(16)

3.ヨハン・エステバン・チャベス(12)

4.ローレンス・デヴリーズ(10)

5.ゴルカ・イサギーレ(8)

6.ウィルコ・ケルデルマン(6)

7.ジェレミー・メゾン(6)

8.ヤン・バークランツ(4)

9.クレモン・シュヴリエ(4)

10.ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(4)

 

この後デヘントがどれだけ山岳ポイントを稼げるか。

次のステージのチェッカー・ヒルはもちろん、ウィランガ・ヒルでも1周目などを確実に獲る必要がある。

もちろんポートはこのウィランガ・ヒルゴールで優勝を目指すのみ。

総合&山岳賞のダブル受賞なるか!?

 

 

激熱のスプリントを映像でもぜひ。


Final stages | Hansgrohe Stage 3 | 2017 Santos Tour Down Under

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