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ストラーデ・ビアンケ2017 着順20位内全選手レビュー(前編)

イタリア・トスカーナ地方で行われたワールドツアーランクのワンデーレース、ストラーデ・ビアンケ。

全長62kmにわたる「未舗装路」の存在が特徴的なこのレースについて、今回は「着順20位までの選手を全レビューする」という、いつもとちょっと違った方法で振り返ってみる。

 

優勝者以外にも実に見応えのある走りをしたレーサーが多かったこのレースだからこそ、の企画である。

今後、活躍しうる選手の発掘にもつながるかもしれない。

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本レースの勝負所の1つである、第8セクター「モンテ・サン・マリー」。11.5kmの未舗装路区間のほぼすべてが登りとなっており、ここで千切られた選手はすなわち優勝争いの権利を剥奪される。別名「ファビアン・カンチェラーラ・セクター」。

 

10位~1位は後編で。

※年齢は2017年3月4日現在のものです。

 

第20位(+8分15秒) トゥルルスエンゲン・コルサエフ(アスタナ)

 23歳ノルウェー人。ぽっちゃり系男子。だがその体型から繰り出されるパワーは本物で、2年前にはU23版フランドルで3位の成績を上げている。昨年は世界選手権ノルウェー代表としても活躍。それが認められ、コンチネンタルチームからの昇格を果たした。

 今回のストラーデ・ビアンケでは、序盤からの逃げ集団に参加。ジョレギ、アンドレッタ、ゴンサルヴェス、ピノと共に逃げる。やがて脱落したアンドレッタの次に脱落しかけたが、執念で再合流。最終的に20位に入る十分な活躍。このところ目立つことのできていなかったアスタナの存在感をしっかりアピールできた。

 今年最大の目標は自国で行われる世界選手権だろう。昨年16位。エースはさすがに無理だろうけれど、それでも大先輩たちの走りを間近に見ながら、更なる成長を遂げていきたい。将来有望な若手の1人だ。

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ドバイ・ツアーを走るコルサエフ。半開きの口がちょっとかわいい。

 

第19位(+8分15秒) エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ディメンションデータ) 

 29歳ノルウェー人。最近復活しつつある登れるスプリンター。よって難所モンテ・サン・マリーもしっかりとこなし、主力集団に入り込むが、残り20kmを切ったところで訪れるコッレ・ピンツィトの15%の激坂で完全に置いていかれる。やはり多少登れてもスプリンターには厳しいのがストラーデ・ビアンケということか。ファビオ・フェリーネ? 彼はスプリンターじゃないから。

 

第18位(+6分22秒) オンドレイ・ツィンク(バーレーン・メリダ)

 26歳チェコ人。マウンテンバイクとの兼用選手で、ロードレースの本格参戦は今年から。ほぼ経歴無しでありながら、初戦となったツアー・ダウンアンダーでいきなり逃げで目立ち、続くブエルタ・アンダルシアでもなんだかんだで総合9位と結構いい成績を出している。個人的に注目している選手。今回のストラーデ・ビアンケでも、逃げを追うメインの追走集団にしっかりと入り込みこの成績に。マウンテンバイク選手だけあって、悪路には強いということか。

 というかチェコ人って数は少ないけれどいい選手をたくさん輩出しているよね。

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第17位(+5分55秒) ジャンニ・モズコン(チーム・スカイ)

 22歳イタリア人。ってか、(こんな前に)いたの!?

 中盤から終盤にかけての追走集団の中にいなかったのは確実。それらのメンバーがペースを落として下がっていく中、終盤にかけてペースを上げて追い抜いてきたということか。先週のオンループでもルーク・ロウのための牽引に全力を尽くしていたし、昨年のビアンケでも18位だし、そもそもU23版フランドルで2位を獲っているしで、クラシック適性は十分に高い選手なんだね。

 今回のクフャトコフスキの優勝にも大きな役割を果たした、のか?

 

第16位(+5分41秒) ヴェガールステイク・ラエンゲン(UAEエミレーツ)

 28歳ノルウェー人。モンテ・サン・マリー突入直前の大規模追走集団には間違いなくいた。結果としてUAEチームの中の最高順位に。というかUAEチームの大半がリタイアしとる・・・イタリアンチームを継ぐ者たちとしてそれでいいんか。

 

第15位(+5分31秒) ステファン・クーン(BMCレーシング)

 23歳スイス人。チームの絶対エース、ヴァンアーヴェルマートをサポートする重要な役割を2週連続で承った。先週のクールネ~ブリュッセル~クールネでは追い付かせることができなかった主君を、今回はしっかりと先頭集団に送り届けた。そんな彼の、彼自身の栄光のための今後の野望はおそらく――ヨーロッパ選手権および世界選手権における、個人TTの表彰台に立つこと、であろう。既にU23部門のヨーロッパ選手権では、ITTでもロードでもその頂点に立っている。

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クールネ~ブリュッセル~クールネでプロトンを牽引するクーン。チームの頼れる機関車役である。

 

第14位(+4分41秒) ルイスレオン・サンチェス(アスタナ)

 33歳スペイン人。途中までは追走集団にも入っていなかったのだが、残り40km辺りから突然追い付いてきた。ベテランの意地を見せた形だ。あれ? アルは?

 

第13位(+4分5秒) ファビオ・フェリーネ(トレック・セガフレード)

 26歳イタリア人。この人、明らかに追走集団にいなかったよね? なのになぜか最終的にこの位置に。一応スプリンターである。一応。終盤のあの激坂区間をひょいひょい乗り越えてくるあたりはスプリンターとは言えないが。

 とはいえ過去にビアンケ8位、先日のオンループも4位ということで、地元メディアにも随分、期待されていただけにこの結果は本人としても悔しいだろう。しかしまあ、今後もことあるごとに活躍するのは間違いないだろう。とりあえずは、フル出場を決めているアルデンヌクラシックでの活躍を・・・いや、スプリンターのはずなんだけどね?

 笑顔が素敵な好中年(って年でもないけれど)。

 

第12位(+4分5秒) カンタン・ジョレギ(AG2R・ラモンディアル)

 22歳フランス人。同じフランス人の大先輩であるピノ、そしてゴンサルヴェスと共に逃げ集団に最後まで残り意地を見せた。シクロクロスでも好成績を残しており、悪路は得意。よって、今後もAG2Rの北のクラシックにおける中心選手となりうるだろう。さらなる飛躍を期待しているぞ!

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ラストの坂道を必死の形相で駆け上がるジョレギ。素晴らしいファイトだった! なお、その後ろから悠々と坂を上り最終的にジョレギに追い付くのがフェリーネ。さすがである。

 

第11位(+3分10秒) ホセ・ゴンサルベス(カチューシャ・アルペシン)

 28歳ポルトガル人。個人的に今大会、「最もよく頑張ったで賞」を与えてあげたい選手。ピノらと共に最初の逃げに乗り、スティバールらの優勝候補集団が追いついてきたあとも果敢にアタック。最後まで勝利を諦めなかった漢である。

 元カハルラル。昨年のツアー・オブ・ターキーでは、大小の起伏ある各ステージでしっかりと上位をキープし、総合優勝を獲得した。今年はワールドツアーレースでしっかりと結果を残していきたい。

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次回は、第10位~第1位。

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