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ミラノ~サンレモ2017

「ラ・プリマヴェーラ」の名に相応しい、春の陽光に照らされたミラノ~サンレモ。

5kmほどのアタック合戦の末に、10人の逃げがすんなりと決まった。

 

ミラノ~サンレモ2017逃げメンバー一覧

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集団とのタイム差は4~5分で維持され、集団の牽引は、昨年度優勝者を擁するFDJと、最大の優勝候補を抱えるボーラ・ハンスグローエおよびクイックステップ・フロアーズが引き受けていた。一時、クイックステップがペースを上げ逃げとのタイム差を急激に縮めようとした場面もあったが、まもなくこれは元通りとなった。

 

長い旅路も終盤に近付き、残り60kmほどになったときにはすでにタイム差は2分を切っていた。そして残り45km、AG2R・ラモンディアルのアレクシー・グジャールが逃げ集団との合流を試みて飛び出した。

 

しかしこれはうまくいかず、まもなく彼は集団に戻ることに。

 

2年前ブエルタで衝撃の逃げ切り勝利を果たした24歳も、この日は結局見せ場なしで退場することに。見せ場なしといえば、AG2Rの名前が表に出てくるのはこれがこの日最後となった。(一切名前の出なかったアスタナよりはマシだが)

 

 

40kmを切って、逃げ集団から少しずつ脱落する選手が。

まず、20歳のウンベルト・ポーリが、次いでフラッポルティとズルロが脱落した。

最初の勝負所トレ・カーピ(3つの岬)の3番目、「ベルト岬」に辿り着く頃には、逃げと集団とのタイム差は1分を切る。集団の先頭はカチューシャ・アルペシンが担う。

 

 

そしていよいよ「チプレッサ」の登りに入ると、バーレーンメリダが中心となって集団を強力に牽引。あっという間に逃げのメンバーが吸収された。ロヴニーとクラークとアメスケタの3人は粘りを見せたものの、やがて飲み込まれてしまった。

 

この登りでアタックを仕掛けた選手の1人がティム・ウェレンス

今年すでに3勝しているアルデンヌ向きのアタッカーは、集団スプリントでは勝負できないがゆえに、得意の長距離エスケープを試みたのである。

しかしこれは、トム・デュムランのために集団を牽くチーム・サンウェブのシモン・ゲシェケによって吸収される。

さらにその後のデュムランの牽引により集団のペースは一気に上がり、2009年優勝者のマーク・カヴェンディッシュはここで脱落する。

 

チプレッサを越え、平坦区間に入ったプロトンから、今度はトニー・ギャロパンがアタックを仕掛ける。勢いのついた彼のアタックに、クイックステップフィリップ・ジルベールが飛びついた。

これらの逃げに対し、サガン率いるボーラの隊列が集団を牽いて追走を仕掛けた。

 

そして最後の、「ポッジョ・ディ・サンレモ」の登りに突入。

エーススプリンターのエリア・ヴィヴィアーニ擁するチーム・スカイがアシストを3枚残した状態で集団の前方を占領。

その前をデュムランがハイ・ペースでひき倒す。

 

ポッジョ山頂まであとわずか、最大勾配(8%)を持つ区間で、ついにペーター・サガンがアタック!

フェルナンド・ガヴィリアが恐れ、予想していた世界チャンピオンの攻撃に、しかしガヴィリアのチームメートであるジュリアン・アラフィリップ、およびチーム・スカイのハウ・クフャトコフスキがすかさず反応した。

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いずれも下りが得意なメンバーであり、ポッジョからの下りの終端地点、残り2.5kmのポイントでタイム差は16秒まで開いていた。

デゲンコルブの2勝目を狙うトレック・セガフレードも全力で集団を牽引するが、敵わなかった。

 

逃げの3人は、主にサガンが先頭を牽くことに。しかしこれは仕方がない。アラフィリップにはガヴィリアが、クフャトコフスキにはヴィヴィアーニがおり、彼らが先頭を牽く理由はまったくないのだ。

しかし、やがて残り1kmで20秒以上のタイム差が開いたとき、もはや後続の集団が追いついてくる可能性が消滅したため、アラフィリップもクフャトコフスキも「勝利を狙うアリバイ作り」のために少しだけ先頭交代を行った。

 

そして3人による最後のスプリントが始まった。

まだ若く経験も少ないアラフィリップは、この戦いに絡むことはできなかった。

サガンがまずは先頭に出て、その加速によってごくわずかに残る2人との距離が開いた。

だがそこからのクフャトコフスキの伸びは強かった。

そして、

 

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最後の最後で投げ出した自転車がラインを貫いたのは、サガンではなく、クフャトコフスキであった。

ゴール直後、クフャトコフスキに倒れ込むような動きを見せたサガン

ポッジョの山頂から全力で牽引し続けていたサガンは、もはや完全に出し切っていたようだ。

(こんなに「使い果たす」サガンを見たのは久々のような気がする)

 

 

サガンにとって、あのタイミングでのアタックは必然だったのだろう。集団スプリントよりは、勝率が高かったはずだ。

しかしそのタイミングで、ジュリアンとミハウという2人の強豪アタッカーに捉えられてしまったことが、最大の誤算であったはずだ。エースを抱える2人と違って自分が最も足を使ってしまうのは仕方なかったし、だからゴール後の彼の表情も、意外と笑顔が多く勝利への悔しい思いはそこまで強くないようにも感じた(いつも笑顔を絶やさないのがいつものサガンなのでわからないが)。

 

いずれにせよ、今回のミラノ~サンレモはすべての選手がそれぞれのやれることを出し切った、文句のない激戦であり、名勝負であったように思う。

強い選手が勝った。ただそれだけだ。

 

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なお、5秒遅れでゴールに飛び込んできた集団の先頭を取ったのはアレクサンダー・クリストフ

集団スプリントになったとしたら、彼が2度目のミラノ~サンレモ勝利を得ていたということだろうか?

しかし昨年から、こういった、「逃げ切りを許してしまったときの集団先頭」をよくとる男だな、と思ったり。

集団2位はフェルナンド・ガヴィリア。だから彼も、十分に力があったのだ。それだけに残念。以下、デマール、デゲンコルブ、ブアニと続いた。

驚いたのは、ミラノ~サンレモでは上位に入ることが難しいかと思っていたヴィヴィアーニとユワンがそれぞれ9位・10位についたこと。

そういった意味で、実力が十分なトップスプリンターが上位を占め、意外な結果を出したスプリンター、というのがそういなかったのが今回のミラノ~サンレモの特徴であった(11位のコルトニールセンが意外と言えば意外か)。

 

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3月頭のストラーデ・ビアンケに次いで、ワールドツアーランクのクラシックで2勝目を飾ったクフャトコフスキ。

失意に終わった昨年から一転、好調に進みつつある彼は、このあと、昨年優勝しているE3、そして彼が最も力を入れたいと語っていたアルデンヌ・クラシックに挑むつもりだ。

今年どれだけの勝利を稼げるか。どこまでその可能性を広げられるか。

 

楽しみな選手だ。

 


Milano Sanremo 2017 Final Kilometers