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りんぐすらいど

ロードレース関連の記事が中心。https://twitter.com/SuzuTamaki

ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第5ステージ プレビュー ティージェイ・ヴァンガーデレンは総合首位の座を守れるか

いよいよカタルーニャ1周のクイーンステージに到達する。

トルトサ郊外に位置する「ロポルト」山頂ゴール。

標高は1000mと大したほどではないが、標高25m地点から一気に登るため、獲得標高は大きい。

登坂距離20km超えのため、平均勾配は5%程度だが、ラスト6km地点1km地点に10%を超えるゾーンが存在するため、この辺りで勝負が仕掛けられる可能性が高いだろう。

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現状の総合成績は以下の通りである。

現状ではヴァンガーデレンの圧倒的優位。

しかし、彼個人の力というよりは、チームタイムトライアルの結果、それも、モヴィスタ―がルール違反を指摘されて失ったタイム差によるもの、という点で、このまま勝利してもヴァンガーデレンとしてはあまりすっきりしないだろう。

(なお、ヴァンガーデレンも第4ステージでヘルメットを取るというルール違反を指摘されており、どうなるかわからない混沌とした状況ではある・・・)

 

そして、ここ近年、難関山岳ステージでは常に遅れる傾向にあるヴァンガーデレンが、今回のロポルトの登りで大きく遅れないとも限らない。

ティレーノ~アドリアティコのテルミニッロの登り(登坂距離16.1km、獲得標高1175m)では2分19秒の遅れを喫している。

 

 

よって、いくら優位な状況とはいえ、指を咥えて見ていられるほどヴァンガーデレンにとって安泰な状況とは言えない。

 

ここは、彼にとって、試練の1日である。

 

 

なにも、暗い話ばかりではない。

過去のカタルーニャにおいて、ヴァンガーデレンとクイーンステージとの相性は決して悪くないのである。

 

2014年の第4ステージ、標高2200mの超級山岳バルテル2000の山頂フィニッシュでは、ヴァンガーデレンが優勝を果たしている。

2015年の第4ステージ、ラ・モリーナ山頂フィニッシュでも彼が優勝。

不調の始まった2016年ですら、第5ステージ、標高1975mの超級山岳ポルトアイネで、総合優勝のキンタナから28秒遅れ、総合2位のコンタドールからは13秒遅れでゴールしている。

2015年のカタルーニャ第4ステージで勝利するヴァンガーデレン。この年のツールでは、ヴァンガーデレン旋風を巻き起こした。 

 

そして今年も、得意としているラ・モリーナ山頂ゴール(第3ステージ)で、優勝者バルベルデからは3秒遅れの集団内でゴール。

得意のラ・モリーナステージでは、勝利こそなかったもののしっかりとタイムを守り切った。ティレーノやアブダビのときとは違った姿を見せることができている。

 

積極的な攻撃を仕掛け、区間優勝を狙いに行く、というのは難しいかもしれないが、それでも40秒を守り切り、総合リーダージャージを手放さないように耐え抜く、というのは十分に可能であろう。

 

 

 

 

そしてだからこそ、この40秒の壁の突破を狙って、多くの強豪ライダーたちが積極的に攻撃を仕掛けてくるはずだ。

 

まずは大本命アレハンドロ・バルベルデ

ラ・モリーナ山頂ゴールでも最後、ダン・マーティンを差して今期3勝目を挙げている。絶好調である。

とはいえ、彼は山で大差をつけて勝利する、というイメージはあまりない。明日の第6ステージと合わせて、という可能性も十分にはあるが、今日だけで40秒の壁を突破するのは難しいのではないか。

 

まず間違いなく攻撃を仕掛けてくるのがアルベルト・コンタドール

チームメートで頼れる山岳アシストであるモレマ、パンタノもトップ10に入っており、彼らも使った攻撃を終始展開してくるのではないか。

そして残り6km地点の急勾配区間などからアタック。すべてのライダーがこれについていけなくなる、というのは考えづらいが、このペースアップに、果たしてヴァンガーデレンが耐え抜けるかどうか。

 

そして、そういったコンタドールの攻撃に乗じる形で最も得をしそうなのがクリス・フルームおよびゲラント・トーマスといったスカイの面々である。

もしコンタドールの攻撃でヴァンガーデレンが遅れてしまった場合、コンタドールよりも総合上位につけているこの2人にとって最大のチャンスが訪れる。

あとはラストでちょい差しを狙うであろうバルベルデをどう倒すかの戦略となる。

フルームがおとりとなってアタックを繰り出し、カウンターでトーマスが発射する、というパターンが一番ありそうだ。

 

その他、ステージ優勝が欲しいダン・マーティンロマン・バルデアダム・イェーツなどが積極的な動きを見せてくるだろう。

 

ヴァンガーデレンはこれらの攻撃にしっかりと耐え抜かなければならない。

40秒、それは果てしなく高い壁のようにも見えるし、すぐに崩れ去る砂上の楼閣のようにも思える。

 

 

 

 

個人的には、ヴァンガーデレンに勝利してもらいたい。

いまだに、2年前、ツール・ド・フランスで総合2位につけながら、バイクを降りざるをえなかった彼の姿が目に焼き付いている。

 

かつての過ちにより、多くの失望を生んだ母国の自転車界に、再び新たな旋風を巻き起こさんとする彼の挑戦を、これからも応援し続けてきたいのだ。

 

 

そのための第一歩はここにある。たとえ守勢にまわっての勝利であったとしても、まずは勝利によって自信を取り戻してほしい。

第4ステージを終え、総合リーダージャージに袖を通すヴァンガーデレン。これを最終日まで守り切ることはできるのか。