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ジロ・ディタリア2017 第14ステージ

今日のような、最後に山岳が一発ドカンと来るようなステージは、デュムランにとっては決して苦手ではない、ということはわかっていた。

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だが、それで考え付くのは「遅れても30秒程度かもしれない」くらいなものだった。それこそ、第9ステージのブロックハウスのように。

 

それがまさか・・・こんなことになるなんて!

執拗なアタックを繰り返したキンタナに対し、10秒以上タイムを開くことを許さずに追走集団の先頭を牽き続けたデュムラン。やがて彼に追い付き、そして追い抜いた!

そのあとも先頭集団はマリア・ローザを先頭に登坂を続け、残り250mでキンタナが脱落。

最後はザッカリンとの一騎打ちを制し、デュムランが勝利を掴んだ。

 

今日のキンタナの調子が悪かったわけでは、決してないだろう。

チームとしても相変わらずの最強ぶりで、残り4km程度までアナコナが全力の牽引を見せ、集団も少しずつ小さくなっていった。バウケ・モレマもここで脱落。

そして残り4kmでポッツォヴィーヴォがアタックし、これにキンタナとザッカリンがついていったところから事態は大きく動き出す。

 

 

レース後のインタビューで、デュムランは、「もちろん総合が最優先だったので、キンタナが飛び出したのでついていかざるをえなかった」的なことを言っていた(おそらく、そんな感じだったと思う・・・)。

その言葉通り、デュムランは残り3.5kmから、キンタナを追う集団の先頭に立ち、たった独りで追走を仕掛け続けた。ニバリもポッツォヴィーヴォもイェーツもランダもクライスヴァイクも、デュムランの背後につく他なかった。

 

 

ほぼ同じタイミングでキンタナはさらなる加速を見せ、ザッカリンを突き放した。ニバリが言っていたという、「飛ぶようなクライム」で一気に距離を開いていくキンタナ。その姿を見る限り、キンタナに不調の影などまったくなかったように思う。

 

しかし、キンタナのその加速でも、デュムランに対してつけられたタイム差は10秒が限界だった。むしろ、そのタイム差がどんどん縮まっていく。後ろではデュムランしか牽いていないのに!

 

それもそのはず。デュムランが集団の先頭に立ち、キンタナを追走し、そのタイム差を少しずつ縮めていった残り3.5km~2.5km区間というのは、今回の登坂ポイントの特に勾配が緩い区間であったのだ。

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デュムランの走り方が常に落ち着いていて、クレバーであることがよくわかる。

彼は、本当に彼が勝てる区間以外では勝負を仕掛けず、勝てる区間では全力で、牽制など考えもせずフルスロットルで戦うのである。

純粋な登坂力では勝てない相手が多いことを自分自身で理解しているからこそ、その謙虚さゆえの、戦い方なのではないかと思う。

 

ちなみに最後にキンタナに追い付き、それを追い越す区間(発煙筒の区間)は、残り2km~1.5kmの区間。やはりここも、彼の得意とする緩斜面区間であった。

 

 

だから、ラストのスプリント勝負でザッカリンを打ち倒したことも不思議ではない。

最後の500mもやはり彼の得意とする勾配だったのだから。

それでもあれだけ前を牽いていて勝つんだから、やっぱり偉大過ぎる勝利だったわけだけど・・・。

 

 

 

 

ちなみに、デュムランの今日の勝利を見て思い出したのが、2015年ブエルタの第9ステージ。

その年のブエルタは、第2ステージの山頂ゴール時から2位を獲るなど活躍を見せていたが、そんな彼が本当の意味で衆目を驚かせ、その可能性に驚嘆を覚えさせたのがこのステージだった。

何しろ、フルームとホアキンを打ち破っての勝利だったのだ。

差しては差されての激戦。Jsportsで実況解説を行っていた栗村・辻コンビも絶句し、「思わずスペインに向かって正座していました」という言葉が出てくるほどだった。


La Vuelta 2015 - stage 9 - Dumoulin wins in beautiful fashion

 

 

今日の勝利は実に見事だったが、当然これでジロが終わったわけではないし、むしろ本当の勝負はこれからであることは間違いない。

とくに2015年ブエルタ第20ステージで彼を表彰台から突き落としたのは、当時のアスタナが見せた完璧なまでのチームワークだった。

 

あのときのような「前待ち」作戦が展開されれば、デュムランにとっての悪夢が再び蘇ることは間違いないだろうし、モビスターも当然それは狙ってくるだろう。似たような展開になったのが第11ステージだった。ホセホアキンロハスベンナーティが前に逃げたときこそ、デュムランにとって危険な瞬間となるだろう。

まずは火曜日。クイーンステージ。キンタナがここで勝負を懸けるとすれば、チマ・コッピでアタックを仕掛けるはずだ。そして前待ちしていたアシストがその下りで合流しキンタナを牽引。これをデュムランがいかに食い止められるか。

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今年は2年前よりもアシストに期待できそうな部分はあるだろうが、それでもモビスターのそれにはまったく敵わない。

 

モビスターの本気が勝つか、デュムランの執念が勝つか。

 

最高潮に面白い展開で、我々はジロ第3週を迎えることとなる。

 

 

ちなみに明日も面白そうなステージだ。

イル・ロンバルディア」ステージ。昨年ロンバルディア2位のローザの活躍に期待したい。今日も残り6km地点でアタックしていたし、やる気はあるだろう。

(たださすがに逃げ切りが決まりそうなステージなので、逃げ集団に乗れなければ厳しいだろう)