りんぐすらいど

ロードレース関連の記事が中心。https://twitter.com/SuzuTamaki

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2017

最終日まで総合争いがもつれ込む、激戦となったクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ。

ジロに引き続き、各チームに対する勝手な評価をつけていく。

 

★の数は、そのチームに対する戦前の期待度と比べ高い結果だったかどうかを基本にしている。紹介するチームはそのメンバーの総合順位が高い順である。

 

 

 

アスタナ・プロチーム ★★★★★

ヤコブ・フールサン総合優勝

ヤコブ・フールサン2勝(第6・第8ステージ)

文句なしの★5つ。だって、まさか、あのフールサンが、ねぇ。

もちろん、フールサン自身はツールで総合7位を獲ったこともある総合系の選手であり、今回のツールでもエースで走ることがチームとして決まっていた。それでも、総合ベスト10に入れるかどうか、に留まるものだと思っていたので・・・。

とはいえ、やはり3週間のグランツールで、今大会最後の3日間のような絶好調ぶりを発揮できるだろうか、というと不安は拭えない。アルがツールに出るとして、うまくコンビネーションを取りながら、どちらかで総合表彰台を目指す走りをしてほしいところ。アスタナはダブルエースで挑むと・・・という話もあるが、2015年のジロにせよブエルタにせよ、結果的に良い形で終えられたと思うんだがどうだろう。むしろ、ダブルエース体制で喧嘩するくらいの状況の方が、強い時代のアスタナを思い出せていい気がする。

まあ手放しでは喜べない。アルも総合5位で終えられたとはいえ、肝心なところで失速する姿が目立った。アシストも、ほとんど存在感無し。

とはいえ、スカルポーニに捧げる最高の2勝を、ありがとう、フールサン。

 

 

BMCレーシングチーム ★★★☆☆

リッチー・ポート総合2位

たしかに、ポートの走りは素晴らしかった。今年のツールでも期待できるほどに。

それでも、彼の走りにやはり不安定さを感じてしまう部分と、そしてチームのアシストのあまりの不甲斐なさに・・・。

もちろん、BMCのアシストがいないときは、スカイも含めた他チームのアシストも既にいなくなっているときだったりはするので、一方的に評価を下すわけにはいかない。それでも、スカイが間違いなく、今大会以上の最強の布陣で現れるであろうことを考えると、やはりポートだけが独りになってしまう可能性、というのを考えざるを得ない。

ってか、ロッシュ、何やってんの・・・ブックウォルターの方が頼りになる走りをしていた気がする。

ヘルマンスも、ジロほどの走りは見られなかった・・・これは疲れだろうか。ちなみに彼はやっぱりツールは不参加っぽい?

まあでも、やっぱり、最終日のポートの、鬼気迫る走りには感動もした。ずっと、最強のアシスト、って感じのイメージだった彼が、本当の意味で最強のレーサーとして大舞台に挑むにあたって、最高の状態を作れていることがよくわかった。期待しているよ、リッチー。

 

 

クイックステップ・フロアーズ ★★★★☆

ダニエル・マーティン総合3位

マーティンが想像以上に頑張りを見せて2年連続の総合3位。相変わらずの積極性も見せてくれて、本当に1週間のステージレースなら十分強い。今年もツールでは総合トップ10には入れそうな様子だが、やはりそれ以上は望みがたい。

他のメンバーも正直、目立つことのなかったチーム。ただまあ、それは予想通りではある。だからマーティンの頑張りをふまえ、★4つ。

 

 

チーム・スカイ ★★★☆☆

クリス・フルーム総合4位

フルームの下りは圧倒的であった。昨年の第8ステージの走りが偶然ではなかったことを証明してくれた。

しかし一方で、登りに関しては大きな課題が残った。まだ本番ではない、にしても過去のフルームの実績を考えると、現段階でのこの調子を、前向きに捉えることは難しい。

好材料もあった。ミハウ・クフャトコフスキの調子の良さだ。

昨年は病気もありイマイチ実力を発揮しきれない状況が続き、ツールへの出場も果たせなかった彼だったが、今回は絶好調。フルームが遅れるときには常にその傍にいて彼を支え続けていた。「ツールでは最強の男の傍にいたい」という彼が繰り返し語っていた目標を、叶えることができそうだ。

一方で、それ以外のアシストについては、正直「最強のチーム」としての雰囲気を見せられずに終わったように思う。逆に言えば、ツール本戦では、もっと「最強」を揃えることができれば、たとえフルームが今大会のように万全でなかったとしても、十分に戦っていける気がする。

フルームの圧倒的な登りは、アシストたちによる強烈な牽きの後に発射されることで、他を寄せ付けない走りへと変わる。

また、今大会最終ステージでの彼の失速も、結局はそれまでの道中でひたすら彼が前を牽き続けなければならなかったがゆえ、と見ることができる。

結局はチーム力が、フルームという最強を支えていたのだ、ということがよくわかる大会だったかもしれない。クフャトコフスキに加え、スイスに出場しているニエベや、あるいはセルヒオルイス・エナオなどが加わることによって、ツールにおける最強のチーム・スカイが作れるのであれば、まだまだフルームの3連覇はその可能性を高く維持できるだろう。

 

 

AG2Rラモンディアル ★★★☆☆

ロマン・バルデ総合6位

ある意味でほぼ唯一、戦前の予想と完全に合致したのがこのバルデの結果。可もなく不可もなく。まあそうだよねっていう結果。

走りに関して言うと、意気込みは感じるのだがやはりパワー不足。唯一の躍進が第7ステージだったが、突然のアタックを周りが見逃し、前待ちするヴュイエルモに合流してそのままゴールという、彼がよくするタイムの稼ぎ方。その、彼自身のパワーがゆえに、というよりも、時機をうまく見るタイミングでの勝利というか・・・。

そう考えてみると、エース以外の選手が良く頑張っていたように思う。初日から逃げていいところまでいったドモン。まだまだ総合エース級とは張り合えないながらも力強い走りを見せ続けてくれていたピエール・ラトゥール。春の好調をいい形で山でも残しているオリバー・ナーセン。そして、春は不調だったが山での頼れるアシスト役としての可能性が出てきたアレクシー・ヴュイエルモ。長らくAG2Rは、アシストが役に立たないというイメージをもっていたが、昨年ツールのシェレルと合わせ、この点が強化できれば結構イケる気がする。バルデもポッツォヴィーヴォも、アタック力はないんだけどひたすら安定感あるので、アシスト次第では本当に化ける気がするよ。

サミュエル・デュムランはさすがにもうワールドツアーのスプリントで一線を張るのは難しいよねぇ・・・かといってスウィフトのような走りをできるわけでもなく、ううむ。

 

 

ボーラ・ハンスグローエ ★★★★☆

エマヌエル・ブッフマン新人賞

エマヌエル・ブッフマン総合7位

ついに来た!ブッフマンの時代が! 2年前のアスパン~トゥールマレーのステージでの走りを見て以来、ずっと期待していたこの男。ついに才能を開花させつつある! だったら最初から表彰台予想で新人賞候補にしてあげればいいものを、そこでひよってメインチェスにしてしまって本当スミマセン。 

今回のツールにもぜひ出場してほしい。とはいえツールで新人賞を狙おう、とまで言うつもりはあまりない。それよりは、マイカにとっての最高のアシスト役として働いてくれることを望む。そして、数年以内には、ドイツ人としてツール総合表彰台を狙う選手へとぜひ成長してほしい。

ところで、ケーニッヒどうしたの?と思ったら第3ステージでリタイアしてたのね。

まあ、仕方ない。ブエルタまでに調子を取り戻し、大暴れしてほしいところ。

 

 

UAEチーム・エミレーツ ★★★★☆

ルイ・メインチェス総合8位

正直、想像していたよりはメインチェスの走りが良かったので一安心。今年もツール総合ベスト10に入れるか? 新人賞は惜しくも逃してしまったが、3週間の走りに関しては、ブッフマンよりもアドバンテージがあるはず。サイモン・イェーツも調子が悪そうだし、ツール本戦での新人賞候補としては健在、のはず。

あとはベン・スウィフト。負けはしたが、凄い走り。スプリンターなのにひたすら山で頼りになる男だが、こうして山での勝利すら狙えるようになると、チームとしては嬉しい限りだ。こういう走りは、スカイではできなかったと言えるかもしれないね。

ウリッシも悪くはなかったので、ツールでの活躍に期待したい。

 

 

モビスター・チーム ★★★☆☆

アレハンドロ・バルベルデ総合9位

過度な期待を持っていたので失望もあるが、普通に考えればこれくらいでも全然不思議ではない。予想外の結果を出すが、期待されると萎むトリックスター。このまま期待せずにいればきっとまたツールでは大暴れしてくれるはず。

スカイ同様に、アシストも「最強」ではないため、それを揃えたツール本戦では、キンタナとのダブルエース体制を踏まえ、やはり総合表彰台争いに食い込んでくる可能性は十分。それにしても、ヘスス・エラダやダニエル・モレーノが脱落するタイミングが早過ぎた気が・・・彼らはツール組の気がするんだけど、大丈夫か? そちらの方が心配。

 

 

ロット・スーダル ★★★★☆

ラファエル・バルス総合10位

バルスは確かに山で走れる男で、ダウンアンダーでもいつも総合成績はそれなりによく、今年はついに7位にまで上がっていた。だけど、本格的な山岳が登場するステージレースで総合ベスト10に入れるようになるとは・・・マキシム・モンフォールとセットでロット・スーダル山岳部としてブエルタあたりで頑張ってほしいなぁ。2人も契約今年までだけど。

そして山岳部と言えば、ということでトーマス・デヘントは誰よりも目立っていたね。山岳賞を狙ってほしい思いもあったけれど、途中リタイアしちゃったし、最終的には調子があまりよくなかったのかな。ベノートも総合12位と健闘し、デヘント・ウェレンス・ベノートの3人が揃う今年のツールは、もちろんグライペルの頑張りも合わせ、ロット・スーダル祭りになる可能性も十分にあるのでは。

 

 

トレック・セガフレード ★★☆☆☆

コンタドール。自慢の積極的な走りを見せることもなく、総合ベスト10からも陥落。ここ数年の中でも特に厳しい結果に終わってしまった。

パンタノ、モレマといった強力なアシストを加えた状態で挑むツール本戦に期待したい。

昨年ツールでは良いスプリントを見せていたトゥーンスも、トラブルからの第2ステージタイムアウト失格。

チーム全体として散々な結果だったと言わざるをえない。

 

 

オリカ・スコット ★☆☆☆☆

チャベスは調子を全く取り戻すことができず、まあ、それはいい。久々ということもある。問題はサイモン。ジロでのアダムの活躍とつい比較してしまう・・・。

そしてサイモン・ゲランスとダリル・インピーのスプリントコンビも一切存在感を示せずに終わる。

クロイツィゲルがそれなりに良い走りをしていたことが、若干ツールに向けて期待が持てる程度か。とにかく復活してもらわねば・・・。

 

 

チーム・サンウェブ ★★★★☆

フィル・バウハウス1勝(第5ステージ)

22歳のバウハウスが、ジロの好調ぶりを引き継いでついに勝利。さらに、21歳のサム・オーメンが、TTでも力を発揮して、一時期新人賞ジャージを身に纏うなど、若手が大爆発してくれた。

ただ肝心のエース、バルギルが、やっぱり肝心なところで失速してしまうのがなぁ。

マシューズと合わせ、主にスプリントでの、ツールでの活躍に期待する。

 

 

チーム・ロットNLユンボ ★★★★★

クーン・ボウマン山岳賞

クーン・ボウマン1勝(第3ステージ)

24歳の若手ボウマンがまさかの山岳賞&ステージ1勝。正直、まったく期待していなかったチームだったので、この成績には文句なしの★5つ。しかし、なんだ、ここはカリフォルニアか、ってう感じの出来ですな。

ボウマンの童顔レベルは恐ろしく、チャベスとかとはまた方向性が違う。なんというか、失礼だけどここはジュニアか?という思いすらしてしまう。

だが休む時はきっちり休み、第7ステージなどの本格山岳ステージでもきっちり逃げる。実力は間違いなくあり、かつクレバーな走りもできるため、今後も期待できる逸材だ。

 

 

コフィディス・ソリュシオンクレディ ★☆☆☆☆

うーん・・・言うべきことは見つからず。

 

とりあえずブアニ、ツールまでは大人しくしていてね。

 

 

ワンティ・グループゴベール ★★★☆☆

今年ツール初出場のプロコンチネンタルチームとしては、最低限の走りはできたと思う。逃げにも積極的に乗り、エースのギョーム・マルタンは、とりあえずラトゥールレベルの走りはしっかりとできた。総合18位。ツール本戦も同じくらいの順位がキープできれば上出来だ。24歳。若き、将来有望なフレンチオールラウンダーだ。

 

 

キャノンデール・ドラパック ★☆☆☆☆

タランスキー、総合22位。フォルモロも、ジロの疲れが取れていなかったのか、途中リタイア。最終日のサイモン・クラークの走りが少し目立ったくらいか。

とりあえずタランスキーのツールまでの復活を期待する。

 

 

バーレーンメリダ ★★☆☆☆

コルブレッリが勝てないのはまあいい。そんなに甘くはない。総合やステージ優勝も期待はしていなかったのでいいのだが、せめて逃げではもうちょっと目立ってほしかったなぁ、というところ。

 

 

カチューシャ・アルペシン ★★☆☆☆

カリフォルニアに続きクリストフ絶不調。対するチームの状態は引き続き良好。今大会最もトレインが有効に機能していたチームなのは間違いない。リック・ツァペルのリードアウトだけでも強いのに、そこにトニー・マルティンによる牽引が加わると本当無敵なんじゃないかと思う。あとはクリストフさえ復活してくれれば、ツールでの1勝は期待できる。

 

 

ディメンション・データ ★☆☆☆☆

ボアッソンハーゲンはスプリントで絡めず、パウエルスも総合20位以内にすら入れず、ベルハネもジロの疲れが残っているのか途中リタイア。

今年もWTからの降格の可能性がひしひしと高まる・・・。

 

 

デルコマルセイユプロヴァンス ★★★★☆

とにかく毎日欠かさず逃げ続けた。ツール出場権を持つわけでもない彼らにとって、このうえない存在感のアピールに繋がったであろう。

プロコンチネンタルチームに昇格した昨年は3勝にとどまり、失望に見舞われた。今年もまだ2勝。状況は決して良いとは言えない。

それでも、ワールドツアーレースでこれだけ山岳も含めて喰らいつく走りを見せ続けていれば、いつかはきっと、という思いがある。

最も惜しい結果だったのがシシュケヴィチュス。パリ~ニースでもいい走りを見せている彼が、今後数年以来にWT以上での勝利を掴むことを期待している。ってか、絶対勝てる状況だと思っていたのに、ボウマン強いわー。

 

 

ディレクト・エネルジー ★☆☆☆☆

コカールは最高で3位。悪くはないが、「お前ツール出さんぞ」というGMのプレッシャーが噂される中では、満足のいく結果ではない。一体どうなっちゃうの??

そしてヴォクレール、最後のドーフィネ。期待されていた逃げは見られず。調子は万全とは言えない? ツールではどうなるか・・・。

そして存在感がなくなっていくシカール・・・。

 

 

FDJ ★★★★☆

ルノー・デマール ポイント賞受賞

ルノー・デマール1勝(第2ステージ)

チーム内最高順位は91位か。すごいな(笑)

デマールの勝利は決して不思議ではないのだけれども、やっぱり、よく頑張った!という思いが強い。実はドーフィネは初勝利。そして、グランツールでも確か未勝利なので、今回のツールは期待したいところ。

今回のデマールの勝利をもたらした立役者は、チモライではなく、同じイタリア人のヤコボ・グアルニエーリ。ゴール前の集団の中で埋もれてしまったデマールを、きっちりと中盤くらいにまで引っ張り上げたグアルニエーリ。しかもこのとき、ボアッソンハーゲンによるプレッシャーをかけられたのに対し、グアルニエーリはきっちりとこれを押し返した。

グアルニエーリの牽引は中盤で終わってしまったが、そこから先はデマールが一気に加速。誰も寄せ付けないそのパワースプリントで、今大会数少ないスプリント勝利を奪い取った。

ピノもライヒェンバッハも出なさそうな今大会のツールで、期待がかかるのはとにかくデマール。その前哨戦として、十分に良い結果を出せたように思う。

 

 

 

表彰台予想答え合わせ

総合優勝:クリス・フルーム  → 総合4位

総合2位:リッチー・ポート → 総合2位

総合3位:アレハンドロ・バルベルデ → 総合9位

総合4位:アルベルト・コンタドール → 総合11位

総合5位:エステバン・チャベス → 総合26位

総合6位:ロマン・バルデ → 総合6位

総合7位:アンドリュー・タランスキー → 総合22位

総合8位:ダニエル・マーティン → 総合3位

総合9位:レオポルド・ケーニッヒ → リタイア

総合10位:ルイ・メインチェス → 総合8位

新人賞:ルイ・メインチェス → 新人賞2位

ポイント賞:サイモン・ゲランス → 選外

山岳賞:トーマス・デヘント → リタイア

ひどい(笑) ゲランスとかかすりもしなかったな・・・。

 

 

総括

フルームの不調、ポートの好調、アスタナのダブルエースへの期待など、一言で言ってツールが楽しみになるドーフィネだった、と言えるだろう。

もちろんこの1週間のレースで読み取れることは決して多くはない。総合以外も含めて、メンバーも変わるし、ツール本番ではまた全く違う結果をもたらしてくれるだろう。

今回のツールは頂上ゴールも少ないが、昨今のロードレースが、登りだけでは決まりづらいということも改めて実感できたドーフィネでもある。

近々、ツールのコースも概観していこうと思うが、今回の結果も踏まえ、当たらない表彰台予想も懲りずにやっていこうと思う。