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ワレン・バルギル、その実力と戦略

ツール・ド・フランス2週目も終わり、いよいよ勝負の3週目へと突入する。

しかし、ここまで全15ステージを終えて、総合上位4名が30秒以内に、総合9位までが5分台に収まっているという、稀に見る接戦となっている。その要因は、既に何度か言われているように、頂上ゴールや超級山岳自体の少なさなどを原因とした、低難易度化にあると言えるだろう。3週目もまた、山岳コース自体は2回しかなく、TTもそこまで長いわけでもないため、最後までこの接戦は続くかもしれない。

一方で、多くの有力ライダーたちが早々にツールを去ったことも、今大会の特徴と言えるかもしれない。この原因の限定は容易ではないが、今回の経験がより、今後の選手の安全確保、ルール運用の適切さを向上させ、自転車ロードレースという競技自体をより高いレベルに仕上げていく礎になればと思う。

アメリカを中心に、アシスト選手を評価する新たなテクノロジーの情報も出ているようで、サッカー等にも負けない、自転車ロードレースの競技としての価値の向上を期待している。

 

 

そんな、良いことも悪いことも溢れている今大会だが、2週目を終えた段階で、個人的に注目したい選手が1人いる。

 

それは、ワレン・バルギルという選手だ。2012年ツール・ド・ラヴニールで総合優勝し、キンタナ、チャベスに続く新たな才能として大きな期待をかけられながら、イマイチ結果を出し切れずにここまで来ていたこの選手。

 

今年はステージ優勝にシフトすると宣言しつつも、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネではやはり山岳で失速する姿を見せ、いつも通り大した存在感も示せぬまま終わってしまうのではないかと、そんな風に思っていた。

 

だが、第8ステージ以降、山岳ステージで積極的な走りを見せ始め、第9ステージ終了後には山岳賞ジャージを着用。さらには第13ステージ、フランス革命記念日にて、13年ぶりのフランス人勝利を成し遂げる大快挙。

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なぜ、彼がこれだけの成果を突然に出すことができたのか。

その理由を、第8ステージ以降の彼の走りを振り返りながら、自分なりの結論を出してみたいと思う。

 

 

 

バルギルの経歴

ワレン・バルギルは、1991年10月28日に、フランスでも特に自転車が盛んな地域であるブルターニュの、エンヌボンという町で生まれた。

現在は25歳だが、今年で26歳なので新人賞の候補ではない。キンタナやチャベスサガンなど、多くの才能を生み出した「90年世代」からわずかに外れ、ボズウェルやウェレンス、ケルデルマンといった選手と同世代にあたる。

 

バルギルのプロ自転車選手としてのキャリアは、2011年に始まる。地元ブルターニュのチーム、「ブルターニュ・シュラー(現フォルテュネオ・オスカロ)」にトレーニーとして加入した彼は、その年のツール・ド・ラヴニールにて区間1勝・総合5位という結果を叩き出す。

更に翌年には現チームの前身となるアルゴスシマノにトレーニーとして加入。そしてラヴニール総合優勝という、彼の名を轟かすことになる成果を出したのである。

 

ツール・ド・ラヴニールは「若手の登竜門」と呼ばれる。とくにバルギル勝利の2年前、2010年にはナイロ・キンタナが、そしてその翌年にはエステバン・チャベスが総合優勝を果たしている。2人は現在なお各グランツールにおいて総合優勝を狙える実力をもった選手たちである。当然バルギルに対しても、同じような期待を抱かせる結果となった。

 

実際に、その可能性は十分にあった。たとえばチーム・ジャイアント・シマノの正式なメンバーとして迎え入れられた2013年シーズンは、ブエルタ区間2勝。さらに翌年の2014年シーズンではブエルタで総合8位となるなど、23歳という若さを考えれば十分すぎる結果を叩き出していた。

同じころ、同じラヴニール覇者であるキンタナが、ツールで総合2位、そしてジロで総合優勝を果たすなど大活躍。当然、バルギルに対する期待も高まる。キッテルとデゲンコルブという2大トップスプリンターを抱えるドイツチームであったこのチームでは、ツールはあくまでもステージ優勝を優先する、という方針ではあったものの、将来的に総合狙いへとシフトしていく際に、その一番槍として活躍するであろう選手として、大切に育てられていったようである。

 

そして2015年シーズン。いよいよ、ツール・ド・フランスへと乗り込むことが決まる。目指すは総合TOP10。その実力は十分にあるように思われた。ピノ、バルデと並ぶ「フランス人期待の星」として、彼は意気揚々とツールに乗り込んだのである。その年、24歳になる彼。すでにバルデが新人賞を獲得し、ピノが総合3位となった年齢である。

 

 

 

結果は、30分遅れの総合14位。

決して、悪くはない。ラ・ピエール・サン・マルタンでも3分遅れの15位。ラルプ・デュエズでも5分遅れの34位に抑えた。第18ステージまでは、総合10位前後をかろうじてキープすることもできていた。

 

しかし、この年のツールで彼は、総合順位とは別に、ネガティヴな評価を下されかねない失態を犯してしまう。すなわち、第16ステージ、ギャップへと向かうステージにおける、悪名高き下り「マンス峠」で起きた、ゲラント・トーマスに対する接触・落車誘発事故。

先輩であるナイロ・キンタナにも「戦う理由が何もないのに、総合争いをしている選手の中に入ってかき乱し、クラッシュを起こす選手がいる*1」と厳しめに批判されている。

翌2016年シーズンはツール・ド・スイスでこそ総合3位と健闘したものの、肝心のツール・ド・フランスでは総合23位。ブエルタに至っては第3ステージでいきなりリタイアとなってしまうなど、その勢いが徐々に失われていくことに。年初の交通事故も、その大きな要因であったのは間違いないだろう。

さらには、2015年のブエルタでトム・デュムランが総合系ライダーとしての才能を開花させたことも、バルギルのチーム内での立ち位置を危うくさせる状況にも繋がっていった。

 

果たして、バルギルは復活できるのか。それともこのまま、埋もれていってしまうのか。

ほぼ同じタイミングで総合系ライダーとしての実力が萎み始めていたティージェイ・ヴァンガーデレンと並んで、応援はしたいものの、期待を抱くことの難しい選手というイメージが強まっていった。

 

 

 

2017年、バルギルの再躍進

2017年シーズンに入って、バルギルは変わったのか。そんなことはないように思えた。パリ~ニースでは総合8位に入るが、これはポートやバルデなどの有力選手が序盤で遅れたり失格になったりしたことも要因として挙げられるだろう。バスク1周でも振るわず、ドーフィネでは山岳での大失速も経験した。やはり今年も、バルギルは期待できないのではないか。そんな風に思っていた。

 

だが、今年の彼は、例年とは違った目標も持っていた。それはすなわち、総合を狙うのではなく、ステージ勝利に焦点を当てる、というものである。

実際、それが許される環境に彼はいたように思う。すでにチームはジロで総合優勝を果たし、デュムランのおかげでバルギルに対するプレッシャーが小さくなっていたのは確かだ。

さらにステージ優勝に関しても、何がなんでも、というわけではなかった。キッテルやデゲンコルブが去ったものの、新たな実力者マシューズを迎え入れ、彼にエースナンバーを着せたことで、バルギルの立場は比較的軽いものとなった。

何よりも彼はまだ若い。

そして、サンウェブというチームは、彼に自由に走らせるだけの雰囲気を、チームの中で作ることができる、そんなチームであったことも間違いないだろう。

 

 

 

そしてバルギルは、動き出す。

最初の舞台は第8ステージ。アップダウンの激しい、ジュラ山脈のステージだ。

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今大会、最初の逃げ切り勝利を狙えるステージとして、序盤から積極的なアタック合戦が繰り広げられた。

そんな中、一度はヴァンアーヴェルマートやシャヴァネルら3名の逃げが形成されたものの、38歳ベテランルーラーのロイ・クルフェルスや、ジロでも活躍したシモン・ゲシュケなどのサンウェブの面々が中心となって、なんとかこの逃げを捕まえようと積極的な動きを見せていた。

 

彼らの第一の目標は、もちろんマシューズのポイント賞に向けたアシストである。逃げ3名を捕まえた状態で、45km地点の中間スプリントポイントに到達すること。その思惑通り、最初の逃げはスプリントポイント直前に捕まえられることとなった。

 

このあとも、マティアス・フランクなど4名が逃げを形成するが、これも最大で20秒ちょっとしかタイム差は開かず、やがて70km地点で再度吸収。

この直後に形成された50名近い大規模逃げ集団の中に、マシューズ、テンダム、そしてバルギルが入り込んだ。

 

50名の中からさらに16名に分裂した逃げ集団。テンダムと共にそこに入り込んでいたバルギルは、3級山岳ラ・ジュ峠の登りにて、パウェルスと共に飛び出した。

そしてパウェルスとの山岳スプリントを制し、先頭通過を果たしたバルギルは、下りの後に捕まえられた後も、続く2級山岳でも先頭で山頂を越えた。

 

 

合計で7ポイントを獲得したバルギル。しかし、この日はあまりに絶好調「すぎた」。それゆえに、「ちょっと攻撃的に走り回りすぎて、最後までもたなかった*2」。実際に彼は、最後の1級山岳の登りの途中で力尽きてしまう。

逆に後続集団から飛び出してきたリリアン・カルメジャーヌに追い抜かれ、彼に1級山頂の先頭通過を許してしまった。

 

そのままカルメジャーヌは逃げ切り優勝を果たし、さらには山岳賞ジャージも手に入れた。

 

 

つまり、バルギルは「タレ」てしまったのだ。

だがそれは、決して悪い結果ではなかった。

彼自身も、自分の足がここまで絶好調であることに、驚いていたに違いない。だからこそ、調子に乗って「バカみたいに」走ってしまったのである。

 

しかし、この好調が、なおも続きうることも同時に理解した彼は、翌日の第9ステージで、今度は少しばかりの「賢明さ」を加えて走ることに決めたのである。

 

 

 

第9ステージは今大会最難関(クイーン)ステージと言われた日。今大会、決して多くない超級山岳が3つも詰め込まれ、さらに2つの超級グラン・コロンビエは「最も厳しい登り」と言われたルート。最後の超級モン・デュ・シャも、全長9km、平均勾配10%超えという恐ろしいステージである。

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この日も序盤から激しい動きが巻き起こり、40名近い逃げ集団が形成される。サンウェブも、アルント、ゲシュケ、テンダム、マシューズ、そしてバルギルと、昨日よりもさらに多くのメンバーを逃げに入り込ませていた。とくにピュアスプリンターのはずのアルントさえも入れることで、マシューズの中間スプリントポイントを本気で狙う姿勢を見せたようだ。

とくにテンダムは、最初の超級山岳の麓からラスト1kmまで、集団の先頭を黙々と牽引する働きを見せる。

最初の超級山岳ラ・ビシェ峠は、ラスト1kmから飛び出したプリモシュ・ログリッチェが先着するが、バルギルはここで、「決して本気で踏むことなく」、3位通過で12ポイントを獲得した。

そもそも、最初の2級山岳も、やはり山岳スプリントには参加せず、ギリギリでポイントがもらえる4位に甘んじていた。「今日は賢く走った。昨日みたいに馬鹿な動きは繰り返さなかった。それに3級、4級の小さな峠では動かなかった。ただ大きな峠だけに、ひたすら集中したんだ*3」とゴール後に語っていたバルギル。その言葉通り、彼はじっくりと逃げ集団の中で機会を窺い、そして2つ目の超級山岳グラン・コロンビエでいよいよ、パンタノやログリッチェを引き千切っての先頭通過を果たした。

 

さらに最後の超級モン・デュ・シャ。先行していたギャロパン、バークランツの2人を、モレマと共に追走し、最後には抜き去ったバルギルはそのまま独走。ダウンヒルで独り抜け出したロマン・バルデに追い抜かれるも、それを追走するフルームら総合上位勢と合流したバルギルは、なんとか彼らに喰らいつくことに成功した。

 

そして彼は、ここでもまた「賢明さ」を発揮した。

すなわち、フルーム、アル、ウラン、フールサンといったメンバーと共にバルデを追走する中で、一切ローテーションに加わらない、すなわち「ツキイチ」を敢行したのである。

先頭を牽いていた選手が降りてきたとき、まるで疲れて遅れているかのような素振りを見せて、自分の前に選手を入れる、という手法。

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とはいえ、これは仕方ない。

何しろここまで、バルギルは独走態勢だったわけである。

さらに言えば、今彼がバルデを本気で追いかける必要性はそこまで高くない。

総合争いはしているわけではないし、山岳賞も確定した今、ステージにこだわる必要は少ないのである。そこで自ら進んで総合勢を助ける必要性は薄い。

 

そんな中、しっかりと足を貯めることができたバルギルは、最後のスプリント争いで、見事ほかの選手を差し切って優勝を決めた。

・・・と思ったが、ギリギリでウランに差されてしまったようだ。

それでも、ツキイチの結果とはいえ、勝利まであと一歩、というところまでいける走りを見せてくれた。あの山岳での独走の末に。

 

バルギルは明らかに、これまでの彼にはないレベルのコンディションに達していた。

 

 

 

このコンディションは、休息日が明けた第2週になっても続いた。

第13ステージ。今大会の目玉の1つでもあった、「101km超短距離山岳ステージ」である。超級山岳こそないものの1級山岳が3つ。しかも最後の1級山岳は後半、13%を超える激坂区間が連続する「ミュール」である。

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この日、バルギルはヴォクレールと共にファーストアタックを決めた。これはあえなく吸収されるものの、続いて逃げにのったメンバーの中からアレッサンドロ・デマルキが最初の1級山岳を先頭通過したとき、後続のプロトンから飛び出したバルギルが、そのまま2位通過を果たすこととなる。

 

この動きに呼応して飛び出したコンタドール、ランダ、そしてキンタナがバルギルと合流する。2つ目の1級山岳はそこから更に飛び出したコンタドールとランダが先着するも、追走を仕掛ける集団の中でバルギルが先頭を獲り3位通過を果たす。

 

そして最後の1級山岳「ミュール・ド・ペゲール」。その登りの大半をキンタナに牽かせつつ、最後の2kmでバルギルが前に出て、先頭のコンタドールたちを追い抜き、そして最後の1級山頂も獲得することとなった。

 

ラスト2kmは、13%の勾配が延々と続く激坂区間。本来であれば、キンタナやコンタドール、そしてペイラギュードの登りで力を見せつけたランダが、得意とするはずの勾配であった。しかし、この日、この激坂で最も強かったのがバルギルだった。彼は、トップクライマーたちと張り合うだけの走りを、この日見せたことになる。

 

 

そして、プロトンに追い付かれる可能性もなくなった4名による、ステージ優勝を巡る戦い。

ここで見事、勝利を掴んだのがバルギルだった。

13年ぶりの、フランス革命記念日におけるフランス人勝利

彼にとっても、当然初となる、ツール勝利であった。

 

もちろん、この日もややツキイチ気味だったのは否めない。3番目の位置にいながら、先頭交代して降りてきたランダの後ろに入り込むなど、やや露骨な場面も目立った。

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独走の末、総合勢に混じっての逃げであった第9ステージと比べると、この日のツキイチはやや、擁護しづらいものではある。

もちろん、暗黙の了解が全て正しいとも思わない。勝つためにクレバーに動くことが正しいときもある。

しかしまあ、とりあえず1勝はしたので、次の勝利はもう少しスマートにやってほしいものだ、と思わなくもない。

(この点、反論・異論あればぜひコメント等で!)

 

 

逆にこの日のランダは、登りでひたすらコンタドールの前を牽いたり、最後のスプリントでも残り500m、コンタドールが飛び出すまで黙々と先頭を牽いたりと、献身的な態度が目立った。最後にスプリントする足など、残っているはずがない。

逆にエースとして走る性格じゃなさそうだなぁ、という痛感する次第である。

 

 

 

まとめると、バルギルという選手が、今大会において山岳賞とステージ1勝を手に入れることのできた秘訣は何か、というと、アタックすべきところでアタックする、という選択の賢明さがまず第一に挙げられる。第15ステージでも、最後から2番目の1級山岳の先頭通過を終えたあとは、それ以上欲張ることをせず、後続が追い付いてくるのを待つ姿勢を見せた。山岳賞のキープのために必要な努力だけをして、それ以上をしない姿勢。1勝したことで、その徹底ぶりが際立ったようだ。

そして勝つために身を潜め、チャンスを窺う「賢明さ」も持ち合わせている。いずれにせよ、自らの力の限界を知り、それを最大限に活かせる方法を模索する姿勢は、もはや若いとは言えないだけのモノがある。

 

もちろん、第13ステージで見せたように、厳しい山岳地帯を誰よりも巧みに登るだけの足、体力、そしてそれだけの走りのあとにスプリントで他を圧倒する力、すべてがトップレベルであったことも間違いない。

 

 

 

バルギルの今後

さて、バルギルは今大会、山岳賞ジャージをパリに持ち帰ることができるのだろうか。

現状の山岳賞ポイントを確認すると以下の通りである。

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バルギルが圧倒していることがわかる。

 

ちなみに今後の山岳賞ポイントは以下のようになっている。

 

第16ステージ・・・3級&4級:合計3ポイント

第17ステージ・・・2級&超級&1級&超級:合計55ポイント

第18ステージ・・・3級&1級&超級(2倍):合計52ポイント

第19ステージ・・・3級×3:合計6ポイント

 

となっている。

グリッチェとデヘントが、バルギルとは80ポイント差なので、バルギルがまったく逃げに乗れなかったと仮定しても、第17・第18でともにポイント収集に必死にならなくてはならないことがわかる。

しかも、総合系が獲る可能性の高い第18ステージの超級山頂も、少なくとも上位で取る必要があるため——正直、バルギルが山岳賞を失う可能性は、彼が体調不良などでシャンゼリゼに辿り着けない、というパターンしか考えられなさそうだ。

 

 

どうやら、バルギルはしっかりと、結果を残して今年のツールを終えられそうだ。

 

 

 

では、ツールの後の彼は何を目指すべきだろうか。

彼は今年、ステージを狙う、という言葉と共に、「アルデンヌを狙いたい」という言葉を残していた。

実際、今年のフレッシュ・ワロンヌでは6位。昨年のリエージュ~バストーニュ~リエージュでは6位と悪くない結果を出している。来年もアルデンヌを狙う、という方針は変わらないだろう。

しかし、アルデンヌに関して言うと、チームメートにマシューズがいるため、バルギルだけが単独エースというのは難しいだろう。狙えるとしたらフレッシュ・ワロンヌくらいか。

一方、この秋の目標という意味でも、イル・ロンバルディアは十分に可能性がある。昨年も8位。イル・ロンバルディアのような、そこそこに難易度の高い山が複数回出現するレイアウトは、山岳賞を取れる選手が得意とするものである。最後が小集団スプリントになる可能性が高いのも、今大会で勝利相当の走りを2回見せたバルギルには向いていると言えるだろう。

今大会の調子を維持することができれば、今年のロンバルディアには大きな期待を抱くことができるだろう(たださすがにツキイチはダメだよ!)。ケベックモントリオールもアルデンヌ風のレースなので期待できそう。

 

なお、2014年にはストラーデ・ビアンケでも8位を獲っている。デュムランもいるので難しいが、こちらで勝利を狙う可能性も、来年はあるかもしれない。

 

 

 

総合、そして山岳賞についてはどうだろう。

今大会の走りを見て、連日の山岳ステージを逃げ続けるスタミナがあることはよくわかったので、今後も山岳賞狙いで走るというのは十分可能そうだ。

スタミナがあるならば総合も、と考えたいところだが——出し抜くよりも落とさないことを重視する総合的な走りは、プレッシャーに弱くあり続けてきたバルギルには向いていないような気はする。むしろデュムラン等のアシストとしての活躍に期待したいところ。

ただ、デュムランが出場しないジロかブエルタあたりで総合を狙う走りは見てみたい気がする。ジロは未経験のようだが、割と相性が良い気はする。

 

 

ワレン・バルギル。

かつて期待され、失望された、やや古くなってしまった「フランス期待の星」。

だが、このツールで、再び輝く走りを見せてくれたことは、1人のファンとしては嬉しい限りだった。

そして彼を支えてくれた、テンダムやマシューズを始めとしたチーム・サンウェブの強さにもまた驚かせてもらった。

 

チームとしても今後が実に楽しみである。