りんぐすらいど

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2017年シーズンを振り返る④ チーム勝利数ランキング(前編)

レース、個人ときて最後はチームランキング。ただし、UCIランキングではなく、勝利数ランキング。

なぜ勝利数にするかというと理由は2つある。

 

  • シーズン序盤から、勝利数というのはチームの力を測る指標としてよくファンの間で話題に上るから。
  • クラシックとステージレースの総合順位に評価が偏っているUCIランキングでは、ステージレースの区間勝利を積み重ねていくタイプの選手/チームが正当に評価されないから。

 

ただもちろん、UCIランキングもそれなりに意味はある。何しろ、UCIチームランキングで最下位になろうものなら、来期のワールドツアークラス存続の危機すら囁かれるのだから。

だから、今回のランキングでは、ベースを勝利数にしつつ、UCIワールドツアーランキングも併記することにした。

それで、勝利数とUCIランキングの差異というのも感じ取っていただければ幸い。

 

 

また、今回はあえて「1位」から順番に紹介していく。

1位があのチームだというのは誰もが想像できるだろう。

むしろ、「最下位」がどこのチームなのか、気になる人の方が多いのではないか。

 

 

 

 

第1位 クイックステップ・フロアーズ(56勝)

UCIワールドツアーチームランキング:2位

フェルナンド・ガヴィリア 14勝

マルセル・キッテル 14勝(移籍)

マッテオ・トレンティン 7勝(移籍)

フィリップ・ジルベール 5勝

イヴ・ランパールト 3勝

ダビ・デラクルス 2勝

ジュリアン・アラフィリップ 2勝

ボブ・ユンゲルス 2勝

マキシミリアーノ・リケーゼ 2勝

イーリョ・ケイセ 1勝

ゼネック・スティバール 1勝

ダニエル・マーティン 1勝(移籍)

トム・ボーネン 1勝(引退)

ジャック・バウアー 1勝(移籍)

 

56勝のうち半分を、ガヴィリアとキッテルで稼ぎだしている。とくにガヴィリアは昨年の7勝から2倍。プロ入り後の勝利数25のうちの半分以上を今年だけで稼いだことになる。まさに、急成長。

だから、移籍・引退する選手の合計勝利数が半分近い26勝分あるとしても、それが即、クイックステップ弱体化につながる、とは言い切れないだろう。今年9勝しているヴィヴィアーニの加入もあり、毎年コンスタントに勝利数を稼いでいるジルベールも残り、何より、今年は正直振るわなかったユンゲルスやアラフィリップが、来年大暴れしてさえくれれば、勝利数だけでなくUCIランキング首位の座も望めるだろう。

若手を中心に強さを見せつける、新生クイックステップが楽しみだ。

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第2位 BMCレーシングチーム(48勝)

UCIワールドツアーチームランキング:3位

ディラン・トゥーンス 8勝

フレッヒ・ファンアフェルマート 7勝

リッチー・ポート 6勝

ローハン・デニス 6勝

TTT 4勝

シュテファン・キューン 3勝

ジャンピエール・ドラッカー 3勝

シルヴァン・ディリエ 3勝(移籍)

ベン・ヘルマンス 3勝(移籍)

マヌエル・センニ 1勝(移籍)

ブレント・ブックウォルター 1勝

ジョセフ・ロスコフ 1勝

ティージェイ・ヴァンガーデレン 1勝

マイルス・スコットソン 1勝

 

最注目はやはりDトゥーンス。フレッシュ・ワロンヌで頭角を現したと思いきや、あれよあれよという間に勝利数を稼いでしまった! これが今年だけの爆発にならぬよう・・・BMCの育成力も重要だ。

実にこのチームらしいのがTTTの勝利数。しかも4勝中3勝がワールドツアークラスのレースなのだから、さすがというほかない。

そんなBMCのTTスペシャリスト陣の成長株が、今年24歳のシュテファン・キューン。今年のスイスITTチャンピオンになっただけでなく、ツール・ド・フランス初日ITTでまさかの2位。マイヨ・ブランも着用した。カンチェラーラの後継者になりうるか。

移籍組ではディリエとヘルマンスが、共に今年飛躍を果たした。いずれも、超強力な選手たちが集うBMCよりも、それぞれの新天地(AG2Rイスラエル)の方が活躍できそうな気がするので頑張ってほしい。とくにヘルマンスは、今年のジロでリタイア直前は総合11位と健闘していた。おそらく、イスラエルサイクリングアカデミーは来年のジロ出場を内定されているはずなので、ぜひともその総合エースとして、帰ってきてほしい。

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第3位 チーム・スカイ(36勝)

UCIワールドツアーチームランキング:1位

エリア・ヴィヴィアーニ 9勝(移籍)

クリス・フルーム 4勝

ミケル・ランダ 4勝(移籍)

ミハウ・クフャトコフスキ 4勝

ゲラント・トーマス 4勝

ダニー・ファンポッペル 2勝(移籍)

セルヒオルイス・エナオ 2勝

ワウト・プールス 1勝

ジャンニ・モズコン 1勝

ピーター・ケノー 1勝(移籍)

TTT 1勝

ホナタン・ディベン 1勝

イアン・スタナード 1勝

ルーク・ロウ 1勝

 

ヴィヴィアーニは序盤の不調からの、ジロ出場できない事件をバネにしたのか、移籍を決めたのちのシーズン後半で大爆発を決めた。結果、キャリア最大の勝利数を稼いだ年となり、UCI個人ランキングでもおそらく自身最上位を記録したのではないか。

ほかに飛躍という意味で目立つのはクフャトコフスキか。勝利数で言えばクイックステップ、BMCには一段劣るのだが、フルームやクフャトコフスキのように、勝利1つ1つの価値が高く、結果的にUCIランキングでは1位となった。また、ステージレースだけでなく、各種クラシックでの勝利が多くバランスの取れたチーム編成であることもポイントが高くなる要因だろう。クフャトコフスキはその意味でもチームに貢献している。

今期、最も飛躍した選手の1人で、かつ最も悔しい思いをした選手でもあるのが、ゲラント・トーマス。来年も同じ良いコンディションを保てるかは不安はあるが、応援し続けていきたい。

移籍組ではランダ4勝。彼がエースを務めるレースがもっと増えれば、もっと大きな結果を残せていたかもしれない。来年はその点、移籍先・・・もあまりエースを担わせてくれなさそうだ。ありゃ。

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第4位 ボーラ・ハンスグローエ(33勝)

UCIワールドツアーチームランキング:8位

ペテル・サガン 12勝

サム・ベネット 10勝

ラファウ・マイカ 4勝

グレゴール・ミュールベルガー 2勝

マチェイ・ボドナール 1勝

ユライ・サガン 1勝

ヤン・バルタ 1勝

アレクセイ・サラモティン 1勝

ルーカス・ポストルベルガー 1勝

 

ボーラがこの順位と知って、あれ?そんな勝ってたっけ? という思いを抱くのも無理もない。サガンとベネットだけで、3分の2の勝利数を稼ぎだしているのだ。まさにチーム・サガン。マイカとケーニッヒが振るわなかったせいで、想像していた以上にチーム・サガンだった。ボドナールからサラモティンまでの合計4勝は国内選手権の優勝だし。

それでも、サガンに頼りきるだけのチームではなく、レースのクラスはサガンと比べ一段劣りはするものの、勝利数だけならば喰らいついたのがベネット。とくに終盤のツアー・オブ・ターキー4勝はインパクトがでかい。アイルランドの期待の星なので、今後の活躍にも期待したい。サガンに負けないくらいイケメンだしね。

ちなみに最後に付け加えておくと、UCIワールドツアーチームランキングのポイントは6516ポイントで、そのうちの2544ポイントをサガンが稼いでいる。マイカは1117ポイントで、それ以外の選手は全員600ポイント未満である。あー、やっぱりチーム・サガン

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第5位 モビスター・チーム(31勝)

UCIワールドツアーチームランキング:6位

アレハンドロ・バルベルデ 11勝

ナイロ・キンタナ 6勝

カルロス・バルベロ 5勝

ホナタン・カストロビエホ 2勝(移籍)

ゴルカ・イサギーレ 2勝(移籍)

ヘスス・エラダ 1勝(移籍)

TTT 1勝

ヤッシャ・ズッターリン 1勝

アレックス・ドゥーセット 1勝(移籍)

ローリー・サザーランド 1勝(移籍)

 

バルベルデがあんたスプリンターですか?ってなくらい勝利した。だからなんとかこの順位ではあるが、正直、今年のモビスターはジロとバルベルデ以外はダメダメだった印象しかない。もともとクラシックは苦手なグランツール特化型チーム。スカイがクラシックへの強化を進める中で、このチームは取り残されている感がある。

そしてクイックステップにも匹敵するベテラン中堅勢の流出。代わりに、カハルラルから上がってきたバルベロが1クラスとHCクラスで勝利を稼いでくれたのは嬉しい。勝利こそ1つしかないが、今年25歳の若手ズッターリンが、TTを中心に頭角を現しつつあることも、今後のモビスターを考えるうえで期待が持てる。

あとはスペインの若手がどれくらい育ってくれるか・・・マルク・ソレルはいい動きは終始していたのだけれど、結局勝利に繋がってないのは痛いなぁ。 

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第6位 オリカ・スコット(29勝)

UCIワールドツアーチームランキング:7位

カレブ・ユワン 10勝

ルカ・メスゲッツ 3勝

サイモン・イェーツ 3勝

ミヒャエル・アルバジーニ 3勝

ダリル・インピー 2勝

マグヌスコルト・ニールセン 2勝(移籍)

ロマン・クロイツィゲル 1勝

ジャック・ヘイグ 1勝

スヴェン・タフト 1勝

ルーク・ダーブリッジ 1勝

アダム・イェーツ 1勝

ダミアン・ハウスン 1勝

 

完全にガヴィリアに置いていかれた感があるかなユワン・・・と思っていたらツアー・オブ・ブリテンでしっかり3勝(まあそのあとガヴィリアもグアンジーで4勝しているんだけど)。とりあえずユワンがダウンアンダーだけの人にならなくて良かった。

ちなみに今年のユワンは本当に強かったなって思っていて、その象徴がアブダビツアーでの勝利だと思っている。直前の第2ステージで、ガッツポーズをしようとしたせいでキッテルに差されてしまったユワン。それをきっちりリベンジするなんて、実力がなければできない芸当だ。

ちなみにこのときユワンを支えていたロジャー・クルーゲとのコンビが個人的には気に入っている。ジロでは連れていかれずメスゲッツとコンビを組んで(´・ω・`)としていたのだが、ブリテンで復活して歓喜。身長30㎝差の大人と子供コンビの楽しさよ。

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第7位 FDJ(27勝)

UCIワールドツアーチームランキング:17位

ルノー・デマール 10勝

ティボー・ピノ 4勝

ヨハン・ルボン 3勝(移籍)

イグナタス・コノヴァロヴァス 3勝

アルトゥール・ヴィショ 2勝

ダヴィド・ゴデュ 1勝

マルク・サロー 1勝

ビアス・ルドヴィクソン 1勝

オドクリスティアン・エイキング 1勝(移籍)

ダヴィデ・チモライ 1勝

 

27勝もしているのに、UCIのランキングでは下から2番目。それもそのはず。勝利はデマールがほぼ稼ぎきったのだし、そのデマールもクラシックでは結果を残せていないのだから。まあこのチームに関しては、先日のUCI個人ランキングのときにも書いたように、チモライ・グアルニエーリ・コノヴァロヴァスのトリオがデマールを支える最強スプリンターチームを形成しつつあり、来年も結果が期待できそうなので気長に待ちたいとは思う。

でもさすがにクラシック対策しないと・・・AG2Rは少しずつ変革しつつあるので、FDJもそれに乗り遅れないようにしないとね。可能性あったエイキングも移籍してしまうし。

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第8位 チーム・ロットNLユンボ(26勝)

UCIワールドツアーチームランキング:16位

ディラン・フルーネヴェーヘン 8勝

プリモシュ・ログリッチェ 6勝

ラルス・ボーム 3勝

ティモ・ルーゼン 2勝

ヴィクトール・カンペナールツ 2勝(移籍)

ヨス・ファンエムデン 2勝

フアンホセ・ロバト 1勝

クーン・ボウマン 1勝

ジョージ・ベネット 1勝

 

シャンゼリゼを制した男、フルーネヴェーヘン。グアンジーではガヴィリアのスプリントステージ全勝を止めたりと、派手さはないけれどもトップスプリンターたちに負けない力量を誇る選手だ。

ほかにもデュムランを破った男ファンエムデンなど、とにかく地味な実力者の多いチーム。そのせいで勝利数は決して多くなく、UCIランキングも後ろから3番目と、決して結果には残らないのだが、それでも確かな存在感を放っている選手である。個人的には大好き。ビアンキだからというのもあるけれど。

来年はダニー・ファンポッペルも仲間入りを果たし、もう少し勝利数を伸ばすことができるかも。若手の注目株ネイルソン・パウェルスの加入も決まり、ヘーシンク、クライスヴァイク、そしてベネットといった総合勢の活躍にも期待。彼らが頑張らないと、UCIランキングも上がらないので・・・。

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以上で「前編」は終了。次回は「後編」だ。

果たして勝利数ランキング最下位はどのチームか・・・シーズン序盤で苦戦していたあのチームは意外とあの順位に・・・?

UCIランキング最下位は割と簡単に予想がつくだろうが、その勝利数ランキングでの位置は意外なことに・・・? 

 

後編へ続く。