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Bahrain Merida Pro Cycling Team 2018年シーズンチームガイド

読み:バーレーンメリダ・プロサイクリングチーム

国籍:バーレーン

略号:TBM

創設年:2017年

使用機材:Merida(台湾)

2017年UCIチームランキング:14位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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創設初年度にしてはよく頑張った、とのGMの言ではあるが、結局のところニバリの成績におんぶにだっこ感はある。来年は今年機能しなかったヨン・イサギレが完全復活をしたうえで、新加入の兄ゴルカ、そしてポッツォヴィーヴォの力も借りたうえで総合上位を目指していきたい。ポッツォヴィーヴォ自体もエースを担える人材だ。

ニバリ頼りだったよね、という感想が出てしまうのは、今年まったく機能しなかったスプリンター陣の所為でもある。コルブレッリとボニファツィオ、来年は復活なるか。スプリンター強化を図らなかった来年のロースターではあるが、やっぱり新設チームというのは、まずはスプリンターで頑張らないとなかなか結果は出せないように思うので頑張ってほしい。

ニバリに代わる新エースの輩出も課題。ヨンももう決して若くはないので・・・。モホリッチ、ガルシアコルティナなどがその候補となるか。

 

 

 

注目選手

ヴィンツェンツォ・ニバリ(イタリア、34歳)

脚質:オールラウンダー

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今年は改めて、ニバリの強さを思い知った。とくに下りの強さは圧倒的。ジロでの、バニーホップしながらの芸術的な下りは忘れられない。

コンタドールの引退により、現役ライダーで唯一の、グランツール完全制覇者となった。それでも来年で34歳。これ以上のグランツール総合優勝は難しいのではないか、と個人的には考えている。今年、2つのグランツールで総合表彰台に登れたことが驚きなくらいである。

むしろ、リエージュ~バストーニュ~リエージュや、インスブルックで行われる2018年世界選手権ロードなど、これまでにない結果を求める走りに期待したい。そして、チーム内の後輩たちを育てる走りを。エースとしての責任も重いが、その責任が少しずつ分散されるようなチーム作りが進むようになってほしいとも思う。

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イル・ロンバルディア2度目の優勝。イタリアの英雄として相応しい勝ち方を見せた。しかし彼に代わる「イタリアの英雄」は、今のところまだ、完全には育ちきっていない印象を覚える。

 

 

マチェイ・モホリッチ(スロベニア、24歳)

脚質:ルーラー

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2013年U23世界選手権ロード優勝者、モホリッチ。期待はされながら、そこまでの結果を出せずにいた彼が、今年はついにブエルタで優勝。しかも得意の「モホリッチ乗り」による独走で。

バーレーンメリダというチームは不思議と、スロベニア人選手の数が多いチームで、その意味で彼がこのチームに移籍してきたことは何らおかしな話ではない。むしろ、ニバリの次にくるエースが不足しているこのチームにおいて、モホリッチは飛躍するのに十分な環境を与えられる可能性がある。

そしてもちろん、彼の突破力は、チームにとって大きなプラスになるに違いない。目指すはツールでの区間勝利だ。

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初のグランツール勝利を果たしたモホリッチ。まだ若く、無限の可能性が広がる。2018年シーズンはどんな年にできるか。 

 

  

ソニー・コルブレッリ(イタリア、28歳)

脚質:スプリンター

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2016年シーズン、UCIワールドランキングで、プロコンチネンタルチーム選手としては最高位となる14位に入賞。ジロでも区間上位に入る活躍で、バーレーンメリダ入りを果たした。

2017年シーズンも、春先のパリ~ニース第2ステージ。雨と寒さの悪コンディションの中、デゲンコルブやデマールを下して、見事な勝利を掴み取った。飛躍を感じさせる1勝だった。

だが、それ以降、ブラバンツ・ペイユでの勝利はあったものの、イマイチ目立たず。ヨンと並んで勝利が期待されたツールでは、最高位で6位と期待に応えられず。精神的な弱さも目立った。

とはいえ、まだまだワールドツアー1年目。また、彼の持ち味は、純粋なスプリント力以上に、上記の悪コンディションへの対応能力や、ロンドで10位・アムステルゴールドレースで9位に入れるような、アルデンヌ風コースへの適性の高さである。

さらに言えば、アルの優勝したイタリア国内選手権ロードで8位というのも驚きだ。同じタイムでゴールしている「スプリンター」が、ファビオ・フェリーネとマッテオ・トレンティンという事実も、コルブレッリの脚質がどういうものかを如実に示している。

うまくかみ合えば大爆発も可能なポテンシャルをもっている彼の、2018年シーズンの活躍が楽しみである。 

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キッテルもグライペルもまったく上位に入れなかったこのパリ~ニース第2ステージ。彼にとって初となるワールドツアー勝利で、画面のこちら側まで雄叫びが届いてくるほどの気迫だった。

 

 

 

 

その他注目選手

ヨン・イサギレ(スペイン、29歳)

脚質:オールラウンダー

新チームの総合エースとして意気揚々と移籍したヨン様。肝心のツールでは、おそらく一度も映像に映らないまま退場した。悲劇。

とはいえパイスバスコ総合3位、ロマンディ総合5位、さらにはリエージュ~バストーニュ~リエージュ4位など、決して悪いシーズンだったとは言えない。ツールの悲劇さえなければ、ニバリと並んで十分にエースとしての活躍ができていただろう。

来年は力を増しつつある弟ゴルカとの合流も果たし、さらに結果を出し得る環境が整うはず。ニバリはまたジロとブエルタを狙ってくる可能性はあるし、ツールでのリベンジも、十分に果たせそうである。

 

ゴルカ・イサギレ(スペイン、31歳)

脚質:クライマー

弟に先を越された感のあった2017年シーズンだったが、自身も躍進。パリ~ニースでは登りを含んだTTでアルベルト・コンタドールに1秒差に迫る走りを見せて総合4位。ジロでも区間1勝を成し遂げるなど、強さを見せつけた。

よりチームとしての地力が弱いバーレーンに移籍することで、更なる活躍が期待できる。まずはヨンの戦略的・精神的アシストとして、共にツールでの活躍を楽しみにしたい。

 

ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、36歳)

脚質:クライマー

長らくフランスチームのイタリア人エースとして活躍していた蟹股おじさん。ちっちゃい。今回、特に驚きの移籍ではあったが、イタリア籍の多いバーレーンで、ニバリと共に後輩の育成を担当する役回りとしては十分な存在と言えるだろう。

まずはジロで、ヴィスコンティやペリゾッティと共にニバリを支える役目を果たすのが第一か。これだけ役者が揃えば、ニバリの3度目のジロ総合優勝を狙えるかもしれない。ただし、ポッツォヴィーヴォはエースとしての走りは強いが、アシストとしての走りにはあまり印象に残るものがない。AG2Rではイタリアのレースではほぼエースを負かされていたが、バーレーンではその可能性はぐっと下がるだろう。

やはり、不思議な移籍という印象はぬぐえない。果たして本当に、活躍できるのか?

 

イヴァン・ガルシアコルティナ(スペイン、23歳)

脚質:ルーラー

今年はツアー・オブ・ジャパンでエースナンバーを背負い、平坦系のステージでは何度も上位に入る走りを見せた。そして何より、ブエルタ・ア・エスパーニャ終盤戦での力強い走り。グランツール初出場で、ネオプロで、終盤でこれだけの走りを見せられるのは驚き以外の何ものでもない。

今はまだルーラーとしか言えない実績ではあるが、将来的にはオールラウンダーとして、総合上位に入れるだけのポテンシャルを持っているだろう。

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2018年ツール 出場メンバー案

1.ヨン・イサギレ(エース)

2.新城幸也(発射台)

3.グレガ・ボーレ(発射台)

4.ボルト・ボジッチ(発射台)

5.ソニー・コルブレッリ(エーススプリンター)

6.ゴルカ・イサギレ(山岳アシスト)

7.マチェイ・モホリッチ(平坦アシスト&アタッカー)

8.ラムナス・ナヴァルダスカス(TTT要員&スプリントアシスト)

 

バーレーンはニバリ班とヨン班で結構くっきり分かれており、場合によっては強いメンバーは(イタリア人を中心に)ニバリ班に振り分けられる可能性も多い。

上記は今年同様に、総合エースを狙うヨンチームと、スプリント勝利を狙うコルブレッリチームとに分けた場合のチーム構成。個人的にはコルブレッリはブエルタのようなレースの方が向いている気はするので無理にツールに出なくとも、と思わなくもないが、かといってニバリが本気で狙うレースに出場できるとも思えないので、こんな感じで。

ナヴァルダスカスはどちらかというとニバリ班な気はするが、来年のツールはTTTがあるため、独走力の高いメンバーがこちらに入ってくる可能性はある。他の候補としてはボアーロ、シウツォウ辺り。

そして新加入のゴルカとモホリッチもこちらに入る可能性があるだろう。とくにモホリッチは、総合・スプリントに続く第3の選択肢としての逃げ切り勝利要員として重要だ。個人的にも彼のツール区間優勝を見てみたい。

 

 

総評

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ニバリのジロ・ブエルタ総合上位、ヨンのツール総合上位を狙いつつ、コルブレッリやモホリッチによるステージ勝利をどれくらい稼げるかが注目ポイント。

スロベニアやイタリアの(そして意外にも多いスペインの)若手が成長するシーズンになるかどうかも、楽しみだ。

 

 

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