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FDJ 2018年シーズンチームガイド

読み:エフデジ

国籍:フランス

略号:FDJ

創設年:1997年

使用機材:Lapierre (フランス)

2017年UCIチームランキング:17位

(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります) 

 

 

 

 

2018年ロースター

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ワールドツアーチームの中でも国籍の偏りが随一のチーム。同じフランス籍のAG2Rが近年国際化を進めているのと比較すると非常にわかりやすい。新加入も半分以上がフランス人で、またフランス籍コンチネンタルチームからの登用が多い。平均年齢も低い。

そんな中、決して関わりが深いわけでもないサンウェブから2名、それも非フランス人を招き入れたのはちょっと意外。両名ともグランツールにおける総合エースのアシストができるタイプの選手で、ティボー・ピノによる総合争いをより狙っていく姿勢の表れか。しかし個人的に、ツールでの総合争いはもう諦めてもいいのではないかと感じており、やるならジロかブエルタで・・・。

ピノ以外の総合エースに乏しいのも難点。ライヒェンバッハは昨年ツールで総合14位と可能性を感じさせたが今年は特に目立たず。ジロではアシストとして力を発揮していたため、今年もピノの側近として活躍してほしい。

若手の有望株はダヴィド・ゴデュ。とくにフレッシュ・ワロンヌでは印象的な走りを見せてくれた。マルク・ソレルなどのライバルたちに負けないよう、来年も短めなステージレース中心に才能を伸ばしていってほしい。

 

 

 

注目選手

ティボー・ピノ(フランス、28歳)

脚質:オールラウンダー

2014年ツール・ド・フランス総合3位

2016年フランス国内選手権個人タイムトライアル部門優勝

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2012年、ツール・ド・フランス初出場にしていきなりの逃げ切りステージ優勝。さらには2014年に総合3位と、全フランス人の期待を一身に背負うこととなった。だがその翌年、度重なるメカトラブルや下りでの落車などが重なり、「キャプテン・ネガティヴ」など国内メディアの煽りも受け、ボロボロになった。これ以降、ツール・ド・フランスでの総合争いから遠ざかってしまった。

だが、それで良かったのだと思う。あまりにも若い時期から期待を背負い過ぎた。とくにフランスは裾野が広い分、そのプレッシャーも他の国以上のものがあったはずだ。彼にはもっと伸び伸び走ってほしい。それこそ、初出場となったジロで、区間1勝+総合4位という成績は、ツールではなかったからこその結果だと思っている。

この結果に気をよくして既に来年もジロ出場を予定しているという噂も? それでいい。むしろツールも出ずにブエルタでもいいんじゃないかと思ってしまっているくらいだ。伸び伸びと、自由に。フランス人としてではなく、1人のロードレーサーとして、満足できる走りを見せてほしい。

昨年は国内選手権ITT部門で優勝して驚かせた彼だが、今年はスプリントの強さも見せつけた。今後はアルデンヌ・クラシックなどでの活躍も期待したいところ。トレ・ヴァッレ・ヴァッレジーネは惜しかった。

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個人的にはイケメンのピノ。年初にサッカー選手と共に撮ってツイッターに挙げていた写真なんかは本当に・・・いつも口半開きなのがまた。

 

 

ルノー・デマール(フランス、27歳)

脚質:スプリンター

2016年ミラノ~サンレモ優勝

2017年フランス国内選手権ロードレース部門優勝

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かつてライバルのブアニと比較され、色んな意味で目立つブアニよりもやや影が薄い印象のあったデマール。昨年はミラノ~サンレモで優勝しその名を轟かせたが、魔法の絨毯疑惑もあり、ストレートに評価されづらい雰囲気が漂っていた。

今年はフランス国内選手権ロードレース部門で優勝。そして、ツール・ド・フランスでの初の勝利。だがこのときも、サガンの失格に完全に話題を奪われ、イマイチ目立たないまま、その後の不調であえなくリタイアとなってしまった。

 

だが、今年のデマールは、チームメートの働きにも恵まれ、非常に強かったと感じている。チモライ、グアルニエーリ、コノヴァロヴァスといったデマール親衛隊は来年も健在。来年こそはツール4勝。いける、いけるぞ!

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ナショナルジャージも着用し、名実ともにフランス随一のスプリンターとなったデマール。来年はさらなる実績を積み重ねていってほしい。

 

 

ダヴィド・ゴデュ(フランス、22歳)

脚質:クライマー

2016年ツール・ド・ラヴニール優勝

2017年フレッシュ・ワロンヌ9位

2017年ミラノトリノ5位

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昨年のラブニール覇者。それだけならまだ騒ぐほどではない。しかし今年のフレッシュ・ワロンヌで攻撃的な走りを見せ、最終的にも9位と、驚異の成績。それだけならたまたまかもしれない。しかしさらにミラノトリノでも5位。ここまで来たら、本物としか言いようがない。

何しろこの成績でまだ21歳なのだ。来年もまだ22歳。もちろん、若いときから期待し過ぎると崩れ落ちるのがフランス人の常であり、あえてあまり期待し過ぎない方がいいのかもしれないが、それでも「90年世代」の早熟具合にやっと対抗できそうな人材が出てきたという感も受ける。

大事に、大切に、しかし着実に・・・来年のFDJはこの才能をいかに磨き上げるか、という責任が重くある。

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キンタナに3秒遅れ、プールスと同タイムでミラノトリノ山頂フィニッシュにゴールしたゴデュ。来年の目標はグランツール完走である。

 

 

 

その他注目選手

ダヴィデ・チモライ(イタリア、29歳)

脚質:スプリンター

イタリアンチームから招来したデマール親衛隊その1。グアルニエーリ、コノヴァロヴァスと共に、ドーフィネ~ツールで強力にデマールをサポートした。

そして彼自身もまた、1人の強力なスプリンターであることは間違いない。カタルーニャ1周で1勝、そしてツール・ド・フランスの後半で、チームがほぼ全滅した中でも、第11ステージで6位、シャンゼリゼでも7位と健闘した。せめてコノヴァロヴァスくらいは、残してあげてやれば良かったに、と思わなくもない。

来年もデマールのアシストとしての活躍を期待しつつ、彼自身の勝利も応援したい。

 

ラモン・シンケルダム(オランダ、29歳)

脚質:ルーラー

非常に多才な選手。今年のオランダ国内選手権ロード部門ではフルーネヴェーヘンをスプリントで破って優勝している。グランツールでは独走力を活かして平坦の牽引とTTT常連として活躍。さらに2016年にはパリ~ルーベで15位に入るなど、北のクラシックを苦手とするFDJにおいては、エースを任される可能性すらある才能の持ち主だ。

新天地FDJでの役割は上記グランツール平坦アシスト役と北のクラシックが中心となるだろう。今年のツールは石畳もあるし、レギュラー入りは間違いないだろう。

 

オルグ・プライドラー(オーストリア、28歳)

脚質:オールラウンダー

密かに好きな選手。昨年のジロではチャベスが勝利したクイーンステージで区間3位と良いところまでいった。絶対いつか輝く瞬間が来る、と信じて応援し続けていたのだが、来年はなんとFDJへ。意外。でも、総合エースの少ないこのチームでなら、輝くチャンスはあるかもしれない。ツールにピノを出場させないで、デマールのステージ優勝を狙う傍ら、自由ポジションでこのプライドラーを泳がせてみるとかどうですか、マディオさん。

もちろんピノのアシストとしての活躍も期待できるだろう。今年のオーストリアITTチャンピオンでもあり、独走力の高さも魅力。 

 

ビアス・ルドヴィクソン(スウェーデン、27歳)

脚質:TTスペシャリスト

密かに好きな選手その2。2年前のジロでITT9位、昨年のブエルタではITT3位と、地味に活躍してるんですよ! 今年のブエルタでも思いのほか映像でも注目されて大興奮。結局は6位だったけれど、スウェーデンITT王者にも輝いたし、来年はさらなる活躍が期待できる、はず。 

 

ベンジャミン・トマ(フランス、23歳)

脚質:ルーラー

今年まさかの大爆発を果たしたフランスコンチネンタルチーム、エキップ・シクリスト・ドゥ・アルメ(通称、陸軍チーム)。まさかまさかのチーム自体が爆発して消滅してしまうとは思わなんだ。陸軍だけに。全て防衛大臣が悪い??

そんな中、このトマは22歳という若さで、ダンケルク4日間とツール・ド・ワロニーというHCクラスのレースで2勝している。チームを象徴する伸び盛り。その成績を引っ提げてさっさとワールドツアーチーム入りを果たしたことで、なんとかチーム崩壊の影響を受けずに済んだ。まだ若いからって残らなくて良かったね。

ダンケルクもワロニーも逃げ切り勝利を果たしている。ダンケルクは迫りくるデマールやボニファツィオといった強力なスプリンターたちからギリギリで逃げ切っての勝利だった。逃げはロマン。来年は、どこかのグランツールで、見事な逃げ切り勝利を果たす彼の姿が見られるかもしれない。ブエルタとかおススメ。

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トラック競技でも活躍。4月の世界選手権ではオムニアムとマディソンで金メダルを獲得した。マジ強い。 

 

 

 

2018年ツール 出場メンバー案

1.アルノー・デマール(エーススプリンター)

2.ダヴィデ・チモライ(発射台)

3.ミカエル・ドゥラージュ(平坦アシスト)

4.ダヴィド・ゴデュ(アタッカー)

5.ヤコボ・グアルニエーリ(発射台)

6.イグナタス・コノヴァロヴァス(スプリント10km手前牽引役)

7.ゲオルグ・プライドラー(アタッカー)

8. ラモン・シンケルダム(平坦アシスト&石畳要員)

 

あえて「ピノが出場しない」という大予想。ひたすらデマールの勝利に集中し、チモライ・グアルニエーリ・コノヴァロヴァス・ドゥラージュといった親衛隊で固めていく。その中で、ゴデュやプライドラーなどがタイミングを見つけて逃げ切り勝利を狙う、そんな体制でいいんじゃないか。

ピノを入れるならモラビトやライヒェンバッハ、モラールなどの山岳アシストもセットでつけなければならないが、そこまでして狙っても難しい気がするし、なぁ。

 

 

 

総評

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ピノグランツール総合上位争い、デマールでステージ優勝を狙っていくことは十分に可能。ただしいずれも、トップの選手以外は微妙。また、クラシック要員には乏しく、とくに北のクラシックは弱い。スプリンターズクラシックでも勝てるチームではないため、結果としてUCIポイントは微妙になりがち。

デマールやチモライなどがまずクラシックで勝利を狙えるようになることと、シンケルダムやベンジャミン・トマなど新加入選手の北のクラシックでの活躍に期待したいところ。 

 

 

 

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