読み:フォルテュネオ・サムシック
国籍:フランス
略号:FST
創設年:2005年
使用機材:Look (フランス)
2017年ヨーロッパツアーランキング:5位
(以下記事における年齢はすべて2018年における数え年表記となります)
2018年ロースター
昨年ツール2勝、山岳賞のバルギルの加入が最大の目玉。同じくワールドツアーチームから引き抜いたモワナールと、元々このチームのエースであったフェイユという2人のベテランが、このフランスの若き才能の脇を固める。果たしてこの体制が成功するのか否や。
在籍3年間でチームに5勝をもたらしてくれたエーススプリンター、ダニエル・マクレーを放出し、スプリントでの勝負が難しくなったこのチームにとって、バルギルでの勝利は是が非でも手に入れたいものとなる。
また、このチームの特徴である積極的な逃げに関しては、ペリションやデュラプラス、フォンセカといったスペシャリストが残ってくれているので心配する必要はないだろう。昨年ネオプロながら最終週まで活躍したエーリ・ジェスベールは、このチームにとって最も重要な若手の1人となるだろう。
注目選手
ワレン・バルギル(フランス、27歳)
脚質:クライマー
2012年ツール・ド・ラブニール総合優勝。同年にトレーニー登録していたアルゴス・シマノ(現サンウェブ)に翌年より正式加入し、フランス人期待の若手として大事に育てられてきた。2013年ブエルタ区間2勝、2014年ブエルタ総合8位など、順調に実績も挙げていた。
しかし2015年ツールで「バルギルアタック」を引き起こし、以来、思うような結果を出せない時期が続いた。勝負所でも遅れる姿が目立つようになり、何名かの「期待のフランス人若手」同様に期待以上の成果を出せずに埋もれてしまうのか、そんな風に思われつつあった。
そんな中で昨年、ツール・ド・フランスでの2度の区間勝利と山岳賞獲得。とくにイゾアール山頂フィニッシュでの勝利は、彼の実力を如実に示した。
だからこそ、その直後のチーム移籍発表、しかもプロコンチネンタルチームのフォルテュネオへの移籍という発表は、驚きをもって迎えられた。
確かに、フォルテュネオは彼の地元であるブルターニュ地方を本拠地とするチームであり、ツール・ド・フランス出場常連チームでもある。2018年ツールへの出場もすんなりと決まった。
そして、サンウェブにそのまま在籍していたとしても、トム・デュムランという絶対的エースの存在や、昨年ブエルタで活躍したウィルコ・ケルデルマンの台頭などもあり、オランダ国籍色の強い同チームではエースを張り続けることは難しい、と判断したことはおそらく間違いではないだろう。
そして、もしかしたらバルギル自身が、かつてのように「期待され過ぎること」を望んでいなかったのかもしれない。今年のツールもほぼ確実に出場するだろうが、総合成績は狙わない旨の発言もしていたりする。
ある意味それは賢明な選択かもしれない。しかし一方で、やはり寂しくもある。
なんだかんだで万全の状態を確保し、再びツールでかき回してくれることを、強く期待しながら待っていたいと思う。
アマエル・モワナール(フランス、36歳)
脚質:クライマー
2011年から7年間、BMCレーシングチームに所属した。15回のグランツールに出場し、カデル・エヴァンスのツール・ド・フランス総合優勝の際にも傍にいた。2016年からはリッチー・ポートのお供にもなった。そんな彼が、今年は同国の若き才能、バルギルのアシストを務めることを選んだ。
13年間のプロ生活で勝利はたったの3つだけ。8年前のパリ~ニースでの勝利が最大の成績だ。そんな、根っからのドメスティックである彼だからこそ、その経験と実力をもとに、最高のアシストをバルギルに捧げることができるだろう。
ブリース・フェイユ(フランス、33歳)
脚質:クライマー
チームの元エース。ツールに毎年出場し、昨年も総合14位と敢闘する。だが、さすがにもう、エースとしての存在感を発揮し続けることは難しい。
今年はバルギルという新エースが加入。モワナールと共に、彼に対するアシストとしての活躍が期待される。頼むぞ!
エリ・ジェスベール(フランス、23歳)
脚質:クライマー
元フランスジュニアロードチャンピオン。
ネオプロながら昨年ツールに出場。最年少選手であり、初日ITTの第1出走者となった。
そして、そのツールの第10ステージで敢闘賞獲得。のみならず、終盤の山岳を含んだステージでも積極的に逃げるなど、プロコンチームに所属するネオプロとは思えない体力を見せつけた。
その後もツール・ド・リムザンで総合2位&新人賞など、将来に向けた可能性を感じさせているフランス人選手。
ミケル・カルベル(デンマーク、23歳)
脚質:ルーラー
昨年はデンマークのコンチネンタルチーム、「ヴィルトゥ・サイクリング」に所属。ティンコフ・サクソを解任されたビャルヌ・リースがGMを務めるチームである。
ジュニア時代にデンマークロードチャンピオンに輝き、今年、U23部門でも優勝。さらに世界選手権U23ロードにおいても3位を記録した。1位と2位の選手は既にワールドツアーチーム入りを果たしている選手であり、WT所属選手の出場が許されなかった昨年までの基準で考えれば優勝相当の記録である。
今後が非常に楽しみな若手の1人。