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ドバイツアー2018 プレビュー

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今年で5回目を迎えるドバイツアー。もうすっかり、2月のお馴染みのレースとなった印象だ。

このレースを一言で言い表せば、「スプリンターのためのステージレース」。

昨年から全5ステージとなったが、そのほとんどが平坦ステージで、スプリントによるボーナスタイムを稼ぐことで総合優勝もスプリンターの手に渡ることになる。

過去の総合優勝者も、マーク・カヴェンディッシュマルセル・キッテルとなっており、ピュアスプリンターが総合優勝を飾れる数少ないステージレースとなっている。

 

今年も、数多くのトップスプリンターが出場を決めている。

マルセル・キッテル、ナセル・ブアニ、エリア・ヴィヴィアーニ、マーク・カヴェンディッシュ、ジョン・デゲンコルブ、ジャコモ・ニッツォーロ、ディラン・フルーネヴェーヘン、そしてアレクサンダー・クリストフ。

そこにアダム・ブライスやマグヌス・コルトニールスン、リカルド・ミナーリ、ソニー・コルブレッリ、ジャンピエール・ドラッカー、そしてヤコブ・マレツコなどの「挑戦者」たちが挑みかかる。

 

HCクラスとは思えないほどの、最強スプリンター同士の本気の競演。

そんなドバイツアーを、今年も昨年に続きDAZNでライブ放送。しかも昨年と違って日本語実況・解説付である。

 

今回はその、大注目レースのプレビューを行っていく。

 

 

 

ステージ詳細

第1ステージ ドバイ~パーム・ジュメイラ 167km

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毎年恒例の開幕ステージは、ペルシャ湾に浮かぶ人工島「パーム・ジュメイラ」を目指す。世界一高いビルである「ブルジュ・ハリファ」にも注目。

 

第2ステージ ドバイ~ラアス・アル=ハイマ 190km

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ドバイと同じ、UAE(アラブ首長国連邦)を構成する首長国の1つ、ラアス・アル=ハイマにゴールするステージ。第1ステージ同様にフラットなレイアウトだが、コース後半は海岸線を走るため横風に注意。

 

第3ステージ ドバイ~フジャイラ 183km

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第2ステージ同様にパーム・ジュメイラを横目にスタートし、北上した第2ステージと違って東の砂漠地帯に向かい、半島を横切ってUAE東海岸フジャイラ首長国に向かう。例年とは違ったレイアウトであり、ステージ後半に350m近い標高にまで登る。

とはいえ、登りは決して厳しくはなさそうなので、結局は集団スプリントでの争いにはなるだろう。下りでアタックする選手が出るかどうか。

 

第4ステージ ドバイ~ハッタ・ダム 172km

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こちらも毎年恒例、ハッタ・ダム登りゴール。ラスト100mが17%の激坂ゾーン。

2年前のドバイ・ツアーなんかでは、この登りでの攻防によって、一時ニッツォーロが総合リーダージャージを獲得。しかしキッテルも喰らいついており、最終ステージのスプリントで勝利したことで逆転した。

そんな、手に汗握る展開を生み出す鍵となるのがこのハッタ・ダム登りゴールなのだが、昨年は砂嵐によってステージキャンセルとなり、デゲンコルブも非常に残念そうな表情をしていた。

今年はちゃんと開催されるのか。

 

第5ステージ ドバイ~ドバイ 129km

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最終ステージはこれも毎年恒例。距離の短い、ドバイ市内を使ったピュアスプリントステージ。前日までの状況によっては、総合優勝を巡る熾烈なボーナスタイム争いが繰り広げられるだろう。

 

 

基本的な構成は例年同様だが、今年の新要素としては、第3ステージの、コース後半の若干の登り。とはいえ、決して厳しい登りではないため、大勢に影響を与えることはないだろう・・・。

ステージよりも、今年の選手たちの状況の方が気になるところ。デゲンコルブも調子は良いし、ヴィヴィアーニはこれまでにない力を発揮している。キッテルが頭一つ抜けている、というような状況には、ならなそうである。

 

 

注目チームプレビュー&スタートリスト

※ゼッケンNo. については暫定のものであり、今後変更の可能性はあります。

1~.チーム・カチューシャ・アルペシン(TKA)

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いよいよ、「赤キッテル」がデビューを果たす。引き連れるアシストも、昨年クリストフを支えたハラーやツァベルなど、一流発射台を揃えている。新加入のダウセットも強力なTTスペシャリストとして、残り10kmからのチーム牽引を担ってくれるだろう。

2年前、クイックステップ・フロアーズに加入して初となるドバイ・ツアー初日ステージでも、きっちりと勝利を掴んでいるキッテル。最近は1人でも勝てる強さも身に着けているので、開幕勝利の可能性は非常に高いだろう。

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昨年ツール5勝。その圧倒的な強さを、新チームでも見せることができるか。

 

21~.アスタナ・プロチーム(AST)

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元オリカ・スコットの新加入コルトニールスンは、ドバイツアーは初参戦となる。2年前のブエルタで2勝し、飛躍が期待された彼も、昨年は調子があがらずにHCクラス以上の勝利はなし。

スプリンター不足にあえぐアスタナへの移籍によって活躍の場は広がるだろうが、チームメートには昨年ドバイツアー第5ステージで3位に入り込む強さを見せつけたリカルド・ミナーリがいる。直近のダウンアンダーでは強さを見せることができなかったミナーリだが、コルトニールスンとどちらがエースになるかは、簡単には言い切ることができなさそうだ。

 

31~.BMCレーシングチーム(BMC)

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スプリントではドラッカーが勝負することになるだろう。だがそれ以上に個人的に注目したいのは、ディラン・トゥーンスのハッタ・ダム勝利。勝てる要素は十分にある、はず。

 

71~.クイックステップ・フロアーズ(QST)

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新チームに移籍し、いきなりの絶好調ぶりを見せ続けているヴィヴィアーニ。ランパルト、サバティーニ、テルプストラといった最強発射台を揃えて、旧エースたるキッテルに宣戦布告を行う。完全にヴィヴィアーニの為であり、ヴィヴィアーニを勝たせることしか考えていない布陣。時代を塗り替えられるか。

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オーストラリアで圧倒的な強さを見せ続けていたヴィヴィアーニ。この勢いを、真のトップスプリンターたちが集うドバイで、どれだけ再現できるか。

 

91~.ディメンションデータ(DDD)

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カヴェンディッシュと、彼の最強のアシストたるレンショー&アイゼルが集う。さらに、昨年ツールでキッテルの為に平坦を牽引し続けた職人ヴェルモトも加わり、こちらも本気中の本気の布陣。

カヴェンディッシュは昨年、辛いシーズンを過ごした。今年は復活の年にしたいところ。

 

101~.チーム・ロットNLユンボ(TLJ)

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昨年シャンゼリゼを制したフルーネヴェーヘンは、このドバイにおいてトップスプリンター同士の戦いの中に堂々と割って入る資格を持つ男である。むしろ、ここでどれだけの実力を見せられるのか・・・。最低でも各スプリントステージで、上位数名の中に入り続けるだけの走りは見せてほしいところ。

チームとしてはクイックステップやカチューシャ、ディメンションデータといった一流のスプリンター向け布陣と比べると一歩劣るか。リンデマンやマルテンスなどのパンチャーにハッタ・ダムを頑張ってほしい気持ちはあるが・・・フアンホセ・ロバトを失ったのは結構痛い。

 

121~.トレック・セガフレード(TFS)

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ブエルタ・ア・サンフアンで1勝をかましたニッツォーロ、そしてチャレンジ・マヨルカで2勝をかましたジョン・デゲンコルブ。同じくチャレンジ・マヨルカで1勝をかましたトムス・スクウィンシュも加わり、今最も勢いに乗っているトレックの、その勢いを生み出している面子が勢ぞろい。そして、マヨルカでデゲンコルブを支えたラストとファンポッペル、サンフアンでニッツォーロを支えたアラファーチも連れてきている。

今回、キッテル-カヴェンディッシュの2強体制に風穴を開けるとしたら、ヴィヴィアーニかこのトレックの二頭が最大の候補となりそうなところである。

なお、このチームはもう1つ、ハッタ・ダムにおけるスクウィンシュ勝利というカードもあるのが強み。ディラン・トゥーンスと並ぶ優勝候補だ。そして実績ならばスクウィンシュが一枚上手。

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昨年もドバイツアーで1勝を飾っているデゲンコルブ。昨年はステージキャンセルになってしまったハッタ・ダムが今年はしっかりと開催されれば、総合優勝へのアドバンテージもしっかり持っている選手である。

 

141~.UAEチーム・エミレーツ(UAD)

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キッテル、ヴィヴィアーニと並んで、チーム移籍を果たしたトップスプリンター、クリストフ。ヨーロッパチャンピオンジャージを着ての参戦となる。

例年この時期はツアー・オブ・カタールとツアー・オブ・オマーンで勝利を荒稼ぎしている頃なので、実はドバイツアーの参戦は初。近年、トップスプリンター同士の戦いではなかなか勝てていないクリストフだが、心機一転、勝利の芽を掴むことができるか。

ただし個人的には、ダウンアンダーでも調子の良さを見せつけたコンソーニの活躍に期待している。どうしたってクリストフの発射台役となるのだろうが、何かしらの形でチャンスが・・・巡って、こない、かなぁ。

また、ワールドツアーチームでは唯一の地元選手、ミルザさんの活躍にも期待。確か昨年も逃げに乗ってくれていた気がする。

 

151~.ウィリエール・トリエスティーナ(WIL)

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直前に同じUAEで開かれたシャルージャ・ツアーにて、ブライアン・コカールを下しての勝利を2度も達成したヤクブ・マレチュコがエースを張るはずだ。メンバーもそのシャルージャ・ツアーのメンバーとほとんど変わっていない。そもそもマレチュコもウィリエール自体もアジアでめっぽう強い。昨年のアジアツアー個人ランキング3位がマレツコで、5位はモスカだったりする。また、パショーニも1月のアミッサ・ボンゴで1勝している。

もちろん、あくまでも彼らの戦績は1クラスとか、せいぜいHCクラスでのものであり、ワールドツアーの、その中でもトップスプリンターたちが集うこのドバイで同じように達成されるとは限らない。しかしマレチュコは昨年のジロでも区間2位を2度獲っていたりもするので、もしかしたらもしかして・・・というのは十分ありうるだろう。

同年代のイタリア人スプリンター若手の成長株ミナーリとコンソーニは、それぞれ自チームのエースのアシストで忙しい。このドバイでは、彼らの中でこのマレチュコが最も目立てる可能性はありそうだ。

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ガヴィリアの躍進の裏で・・・そのガヴィリアの番手を取る形で2度のジロ区間2位を果たしているマレチュコ。プロコンチネンタルチームながら、イタリア人若手スプリンターの中で最も期待できる逸材だ。なお、昨年の10月だけで区間10勝している。

 

 

 

ここで紹介している以外にも、冒頭で挙げたように強力なスプリンターが大挙して押し寄せる。今シーズン最初の「スプリンター頂上決戦」となることは間違いない。

スタートは2/6(火)、日本時間の18:30から! 残業の関係でリアルタイムでは見られそうにないが、見逃し配信でも日付が変わる前には観終わることができそうな、良心的な時間設定だ。

初日は木下さん&別府さんの黄金コンビ。楽しみである。