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サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2018年シーズン 2月主要レース振り返り

 ヨーロッパで、アジアで、各種レースが少しずつ盛り上がりを見せていく2月のレース。トップライダーたちも多く参加するものの、ここでシーズン入りを果たす選手も多く、番狂わせも起こりやすい時期でもある。

 今回も、2月に開催された主要レースの簡単なプレビューを行っていく。

 ※記事中の年齢表記はすべて、2018年段階での数え年表記となります。

 

 

 

ヘラルド・サンツアー(2.1)

オセアニアツアー クラス1 開催国:オーストラリア

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 勝敗を分けたのはクイーンステージとなった第3ステージ。全長218kmという超長距離ステージで、6時間にわたる戦いが展開された。

 そしてこの厳しいステージを制したのは、ミッチェルトン・スコットのコロンビア人エース、ヨアンエステバン・チャベス。2016年のジロ・ディタリア以来となる勝利。苦しい時期を乗り越えてきたはずなのに、相変わらず笑顔は無邪気そのもの。魅力的な男である。

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 ミッチェルトン・スコットのチームとしての強さも発揮された。ベテランのキャメロン・マイヤー、若手のダミアン・ハウスンが総合2位・3位も獲得し、表彰台を独占。トレックの若手成長株ルーベン・ゲレイロも頑張ったが届かなかった。

 

 ちなみにプロローグは1.6kmの超短距離個人TT。イギリスのトラック競技では名前が売れている(2回のオリンピックと5回の世界選手権を制している)エドワード・クランシーがロード競技でプロ初勝利。この距離感ならトラック選手は無敵といったところか。

 だがそこに1秒差で喰らいついたのが翌日・翌々日に勝利したハンセンとペダースン。今、頭角を現しつつあるデンマーク人若手ライダーたちの今後が楽しみである。

 

 

エトワール・ドゥ・ベセージュ(2.1)

ヨーロッパツアー クラス1 開催国:フランス

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 連日集団スプリントでタイム差がつかず、最終日の10.7km個人TTで、2位に20秒のタイム差をつけたギャロパンが総合優勝を果たした。ステージレースでの総合優勝は初。勝利自体も昨年の同じベセージュ個人TTでの勝利以来だ(そのときはカルメジャーヌに5秒届かず総合2位だった)。

 7年ぶりにフランスチームに戻ってきたギャロパン。今年はグランツールでの平坦牽引役など、独走力を活かしたアシストに期待がかかる。それだけに個人TTでの勝利と総合優勝というのは、シーズン開幕戦としては非常に望ましい結果だったと言えるだろう。

 

 マルク・サロー、クリストフ・ラポルテといった、普段はアシスト役に徹する若手フレンチスプリンターの活躍も喜ばしいことである一方、新天地で意気揚々であったはずのブライアン・コカールが勝利なく終えてしまった。このレースで通算7勝している彼が、である。

 特に、古巣のトマ・ブダに2度も負けてしまったのは結構悔しいんじゃないか。復活なるか、コカール。

 

 

ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ(2.1)

ヨーロッパツアー クラス1 開催国:スペイン

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 バルベルデが絶好調。第2ステージ、フールサンのアタックにいち早く反応する勝負勘の鋭さは見事。逆にこれに対応しないことを選んだスカイは悪手だったと言えるかもしれない。そのあとの下りでクフャトコフスキを使えなかったのも痛い。

 2vs1でセオリー的には圧倒的優位だったアスタナだが、バルベルデはあまりにも強すぎた。最後、苦笑いするしかないLLサンチェスの下の写真は結構お気に入り。今年最初の「ガッツポーズ選手権」ノミネート作品である。

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 第4ステージでは今度はスカイが面白い動きを見せた。まずはキリエンカを逃げに乗せ、さらにそこにクフャトコフスキをブリッジさせるという手法。モビスターも全力で追いかけるがなかなか追いつけない。ここでアスタナが追走牽引に加わったことでなんとか捕まえることができた。失敗には終わったが、普段なかなか見ることのできないスカイの積極的な攻撃というのは新鮮だった。そしてアスタナ強い。

 最後のバルベルデの強さはこれこそもう笑うしかないといったところ。コンチネンタルチームからCCCに移籍したポルトガル人アントゥネスの走りも力強く、今後が楽しみである。

 

 結論から言ってバルベルデが強すぎたレースだったが、チームTTが機能していたらまたちょっと違った展開になったかもしれない。

 

 

ドバイツアー(2.HC)

アジアツアー クラスHC 開催国:アラブ首長国連邦

↓詳細はこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

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 昨年ステージ3勝&2年連続となる総合優勝を果たしていたマルセル・キッテル。チームが変わったことでトレインがうまく機能しなかった? いやいや、最終日に関しては完全に自らの不調が招いた結果となっていた。一方で、1月から好調だったヴィヴィアーニが大爆発。第1ステージこそコース取りの失敗により勝利を逃したが、中央からしっかりと攻めていった第2ステージ以降は他の誰にもまけないスプリント力を発揮した。一方の大ベテラン、マーク・カヴェンディッシュは、バイクさばきや極力力を使わないようにするクレバーな走りで勝利をもぎとった。

 第4ステージのハッタ・ダムは劇的な展開を生み出した。新プロコンチネンタルチームのラリー・サイクリング。そのさらに若手の19歳、ブランドン・マクナルティが、残り100mまで逃げ続ける驚異の走り。最後は、ニバリすら牽引に加わるチーム力を示したバーレーンメリダの、ソニー・コルブレッリの恐ろしいまでの登坂スプリントに飲み込まれてしまったが、それでも「記録には残らないが記憶に残る」マクナルティの走りは、数年後には結果となった再び私たちの前に帰ってくるだろう。

 

 結果だけ見ると、本当に戦国時代といった様相の今年のドバイツアー。キッテルは復活できるのか。そして、エリア・ヴィヴィアーニは、このまま好調のまま、本格的なシーズンへと突入することができるのか?

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ツール・ド・ラ・プロヴァンス(2.1)

ヨーロッパツアー クラス1 開催国:フランス

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 マルセイユを舞台にして行われる、4日間のステージレース。今年で3回目の開催となる。UCI登録名はツール・シクリスト・アンテルナシオナル・ラ・プロヴァンス

 ボーナスタイムが設定されない関係もあり、初日に勝利したジェニエがその後もタイム差を保ち、総合優勝まで果たした。昨年トレヴァッレ・ヴァッレジーネでも勝利したジェニエ。今期早速2勝である。

 さらに活躍したのがラポルテ。ベセージュでの勝利と合わせ今期早くも3勝。本来親分役のはずであるブアニよりもずっと目立っているという・・・(笑)

 

 

コロンビア・オロ・イ・パ(2.1)

アメリカツアー クラス1 開催国:コロンビア

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 今年初開催となったコロンビアでのステージレース。しかし全てのコロンビア人有力選手が出場したのではないかと思えるほどの参加率と、観客の多さと、さらにはコンタドールなどのゲストの豪華さなど、初回から随分と力の入ったレースであった。

 結果としてはまさにコロンビア祭り。コロンビア最強スプリンターのガヴィリアがスプリント全勝したほか、昨年ツール総合2位のウランも強さを見せつけ、さらにはキンタナに次ぐ若き才能と期待が膨らんでいたベルナルが、膨らみ切った期待をさらに超えるかのような結果――すなわち総合優勝まで叩き出す。これはさすがに予想できなかった。

 そんな燦然と輝くコロンビア勢に混じって、しっかりと山頂フィニッシュを制したアラフィリップ。今年26歳、「若手」から脱しつつあるこのフランス人が、今年はグランツールでの総合上位争いに加われるような逸材になれるか。

 

 

ブエルタ・ア・ムルシア(1.1)

ヨーロッパツアー クラス1 開催国:スペイン

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 まるでバレンシアナでのリベンジを果たすかの如くであった。途中まではバレンシアと同じで、抜け出したバルベルデにサンチェスが追い付くという格好だったが、そのまま最後までいけばまたスプリントで負けてしまう――そう考えたサンチェスは、残り2kmを残してアタックを仕掛けた。

 バレンシアナではフールサンのアタックにも、イェーツのアタックにも余裕で喰らいついていったバルベルデだったが、この日はすでに体力が残っていなかったようだ。離れていくサンチェスを追いかけることもできず、そしてサンチェスはついに勝利を手にした。

 昨年秋のブルーノ・ベゲッリのとき同様に、両手を天に突き出した。昨年春に事故で亡くなったチームメート、スカルポーニに捧げる勝利だ。

 そして、表彰台でサンチェスと抱擁するバルベルデバレンシアナのときのサンチェスの笑顔といい、この2人、本当に仲が良い。

 

 

トロフェオ・ライグエーリア(1.HC)

ヨーロッパツアー クラスHC 開催国:イタリア

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 イタリアで開催される、起伏の多いワンデーレース。過去の優勝者にはフィリッポ・ポッツァートダヴィデ・チモライ、ファビオ・フェリーネといった、パンチャー気質のスプリンターたちが名を連ねている。

 そして今年の優勝者はやはりパンチャー寄りのモレノ・モゼール。今大会2度目の優勝であり、アスタナに移籍後としては初の勝利である。

 元々実力がありながらもなかなか勝ちきれずにいる選手として、この選手は密かに応援していた。今年はアスタナ全体の調子も良いので、この勢いで今年、もう1勝くらいはしておきたいところ。

 

クラシカ・デ・アルメリア(1.HC)

ヨーロッパツアー クラスHC 開催国:スペイン

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 ブエルタ・ア・ムルシアの翌日に開催。標高の高い山岳もあり、クライマー寄りのムルシアに対し、こちらはスプリンター寄りのワンデーレース。結果、今期調子の良いユワンとファンポッペルの2人が勝利を争った。

 いや、ユワンは果たして調子が良いのか。昨年4勝したダウンアンダーで今年は1勝しかできていない。とはいえ、そのダウンアンダーではかつて歯が立たなかったスターリングの登りで勝利を掴んでいたりと、良い変化を生んでいるようにも思う。

 今年はツール・ド・フランスに初挑戦だというユワン。最強のスプリンターが集う彼のレースで、勝利を掴むことができるか。

 

 

ツアー・オブ・オマーン(2.HC)

アジアツアー HCクラス 開催国:オマーン

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 スペインのレースでフールサン&サンチェスが活躍する一方、中東ではドバイでのコルトニールスンの(勝てはしなかったが)強力なスプリントに続き、総合でもロペス&ルツェンコが驚きの結果をもたらす。第5ステージでのこの2人のワンツーフィニッシュは今年のガッツポーズ選手権ノミネート間違いなしである。

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 また個人的には、昨年のツール不出場から続くコカールの踏んだり蹴ったりに終止符を打つかのような勝利が感動的だった。なんだかんだ言いつつ、こういうタイプの選手好きなんだなぁ、と。クリストフもやっと勝利できたりなど、JspotsでもDAZNでも放送しなかったけれど見ごたえのあるレースばかりだったように思う。

 

 

ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ポルトガル

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 ポルトガル最大のステージレース。山岳ステージが2つと個人TTという、バランスの取れたステージ構成となっており、毎年非常に見応えのあるレースが展開される。昨年はTTスペシャリストからオールラウンダーへと着実にステップアップしつつあるプリモシュ・ログリッチェが総合優勝。過去の総合優勝者を見ても、ゲラント・トーマス、ミハウ・クフャトコフスキ、トニー・マルティンなど、TTが強い選手たちが総合優勝を飾っている。

 今年は2つの山岳を共に制したクフャトコフスキが2度目の総合優勝を果たした。昨年は2位だったのでリベンジを果たした形だ。トーマスも個人TTで昨年に続く強さを見せるなど、スカイの準エースたちがしっかりと仕上がってきつつあることを示した。主将フルームはイマイチなのとは対照的に・・・。

 勝つべくして勝った選手が多く、昨年のアントゥネスのようなサプライズがなかったのはやや残念。

 

 

ブエルタ・ア・アンダルシア(2.HC)

ヨーロッパツアー クラスHC 開催国:スペイン

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 サルブタモール問題で話題を集めているクリストファー・フルームが参戦するということで注目されたが、当のフルームは登りで遅れるわパンクで遅れるわ終いには期待されていたTTでも結果を出せずと、全く存在感を示せなかった。

 とはいえ、チームメートのプールスやデラクルスが活躍し、チームとしては悪くない結果に。元チームメートのミケル・ランダも十分な走りを見せられた。

 そして、驚きの結果を示せたのがティム・ウェレンス。以前よりアルデンヌ・クラシックでの強さは見せていたし、独走力の高さも期待通りだったが、まさか第4ステージのあの厳しい激坂での強さはまさに驚きの結果であった。昨年のツアー・オブ・グアンジー総合優勝に続き、彼の可能性のさらなる拡大を予感させる結果であった。

 もう1人、期待のできる走りを示したのがモビスターのマルク・ソレル。ステージ優勝などの華々しい活躍は見せなかったものの、2つの山岳ステージと、そして個人TTでの驚きの走りによって、いつの間にか総合3位に喰らいついていた。

 昨年のカタルーニャ1周総合3位で次期グランツール総合エースとしての才覚を発揮したように思えた彼が、その後のシーズンではイマイチ埋もれてしまった印象を覚えていたが、ここにきて再び台頭。春先だけではない強さを今年は見せてほしいところ。

 

 

ツール・デュ・オー・ヴァル(2.1)

ヨーロッパツアー クラス1 開催国:フランス

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 フランスのプロヴァンス地方、ヴァール県で開催される2日間のステージレース。2008年まではワンデーレース。エトワール・ドゥ・ベセージュやツール・ド・ラ・プロヴァンスなど、シーズン序盤に南仏で行われるステージレース群の集大成とも言えるレースで、この後のパリ~ニースに向けて、フランス籍のライダーたちが仕上げにかかっていく伝統的なレースと言える。今年で50回目を迎えた。

 近年はアルトゥール・ヴィショやベン・ガスタウアーなど、アルデンヌ風味のクラシックにも強いパンチャー/オールラウンダー系の選手が勝利を掴んでいる。

 今年はプロコンチネンタルチーム在籍歴の長いイヴェールが両日勝利し総合優勝&ポイント賞獲得。アレクシー・ヴュイエルモなどのワールドツアーチームの選手たちは届かなかった。

 

 

アブダビツアー(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:アラブ首長国連邦

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 クリストフ、ヴィヴィアーニと実力者たちが次々と勝利を重ねる中、昨年ドーフィネでも優勝したバウハウスが自身2度目のワールドツアー勝利を飾った。ニキアス・アルントと並び、ジャーマンスプリンターの新世代として、確実に実績を積み重ね中である。また、この勝利によって、ワールドツアーチーム全18チームすべてが、今シーズン1勝以上したことになった。おそらくこのワールドツアーチームの制度が始まって以来、最も早いタイミングでの達成である。

 ローハン・デニスも、この距離(12.6km)のTTであれば無敵。ただし翌日の山岳ステージでは早々に遅れ、まだグランツール総合ライダーとしての大成は難しいか?

 そして最後にバルベルデがやはり全てをもっていった。ミゲルアンヘル・ロペスも、オマーンの好調を引き継いだ良い走りを見せていたが、この37歳スペイン人は容赦なくこれを叩きのめした。それでこそバルベルデ。自由奔放な走りである。

 個人的にはケルデルマンの好走が嬉しい。昨年、TT能力の更なる向上と合わせ、新世代の総合エースとしての成長が見られた彼が、今回のアブダビでも個人TT5位、ジェベルハフィートでもなんとか喰らいついての5位と、デュムランと並ぶサンウェブの総合エースとしての力をしっかりと見せつけた。今年、ジロとツールをデュムランが総合エースとして走るらしいので、今年こそブエルタでの総合表彰台を目指してほしい。

 

 

クラシック・ドゥ・ラルデシュ(1.1)

ヨーロッパツアー クラス1 開催国:フランス

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 昨年まではスッド・アルデシュと呼ばれていたレース。オーヴェルニュ・ローヌ・アルプス地域圏のアルディシュ県を舞台とするアルデンヌ風味のクラシック。正式名称はクラシック・ドゥ・ラルデシュ・ローヌ・クリュソル。

 2月頭の事故で左でを負傷し、ブエルタ・ア・アンダルシアも欠場する羽目になったバルデが、復活の勝利を遂げた。ライバルはカルメジャーヌやゴデュなど、フランス人若手の有望株が多かったが、最後から2番目の山でアタックをしたバルデは、残り20kmを独走で勝利した。今後のワールドツアーレースに向けた、理想的な勝利の仕方と言える。これまでのように、ただついていって総合上位を狙うとか、抜け出しても後から追い付かれてしまうとか、そういった形で総合優勝を逃すのだけは避けたい。今年こそ表彰台の頂上へ――バルデの野望の為の次のレースは、3月のティレーノ~アドリアティコだ。

 

オムロープ・ヘット・ニウスブラット(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ベルギー

↓詳細はこちら↓

suzutamaki.hatenablog.com

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 2018年シーズン「春のクラシック」開幕を告げるレース。今年は2011年までのロンド・ファン・フラーンデレン「伝統」のレイアウトを終盤に採用。ドラマチックな展開が期待されたものの、最後のカペルミュール・ボスベルクを越えてなお10人以上の集団が残るという事態となった。

 その中で、集団で唯一3名もの選手を送り込んでいたアスタナが、そのチームワークを活かして勝利を掴んだ。ミケル・ヴァルグレンという、確かに北のクラシックもそれなりに走るがどちらかというとパンチャー気質な選手が勝つという、意外な結果に終わった。今期好調のアスタナ。個々の力だけでなく、そのチームワークの妙が活かされた形だ。

 終始積極的な動きを見せていたものの決定力に欠けることでまたしても表彰台どまりで終わったファンマルケ。この先の北のクラシック本番に向けては、よりチームメートの力が重要になってくる。もう単騎では・・・厳しすぎる。

 

 

クールネ~ブリュッセル~クールネ(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ベルギー

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 フルーネヴェーヘンの強さが改めて浮き彫りになった。

 フルーネヴェーヘンについては「サイバナ」の以下の記事で詳細に記されている。

ついに覚醒!?ディラン・フルーネウェーヘンのパワースプリントとは? - サイバナ

 その特徴はパワーで勝負する「先行逃げ切り型スプリント」。昨年ツールのシャンゼリゼもこれで勝利した。

 そっして今回のKBK(クールネ~ブリュッセル~クールネ)においても、アルノー・デマールを背後に置きながらスプリントを開始し、そのまま彼に抜かせることなく走り切った。あまりにも力強いスプリント。

 これまでは強くとも一線級とは言い難かったフルーネヴェーヘンだが、今年はついに、キッテルやサガンと並ぶ第一線級スプリンターになったと断言できるだろう。今年のグランツールで大暴れする姿が楽しみだ。

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ル・サミン(1.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:ベルギー

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 石畳+急坂という、ロンド・ファン・フラーンデレンに通じる特徴をもつオムロープに対し、こちらはパリ~ルーベに近い石畳の平坦路を中心としたクラシック前哨戦。場所も同じベルギーでも北のフランドル地方で行われるロンドやオムロープと違い、南のワロン地方、フランスにもほど近いフランス語圏での開催となる。地理的にもパリ~ルーベに近いわけだ。

 勝ったのはパリ~ルーベを制した経験もあるテルプストラ。展開としては、このテルプストラとジルベール、そしてゴダンの3名が抜け出して、そこからクイックステップ2名でゴダンを苛める展開に。抜け出したライバルを頑張って追いかけて追い付いてもずっと背後で足を貯めていたもう1人のライバルにカウンターアタックをされるとか悪夢以外のなにものでもない。クイックステップの数の有利というのはフラグであることが多いが、そこは割とチームワークを活かす方法を知っているジルベールとテルプストラだったため、問題なく上手く働いた。

 ジルベールは今年、パリ~ルーベに挑戦するとか。テルプストラも当然狙っていくだろうし、現時点でのこの2人の状態が良いと言えるのは間違いない。

 

 

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