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2018年シーズン 3月主要レース振り返り

 すでに4月も3分の2が終了しGW目前だが、3月中に開催された主要レースを簡単に振り返っていく。

 北のクラシックが本格化する中、クイックステップ・フロアーズの圧倒的な強さが光った1ヶ月であった。この1ヶ月だけで8勝している。

 そして東南アジアでもレースが開催され、若手やマイナーチームの活躍も見ごたえのあるものだった。日本も台湾で活躍。

 中東も含めたアジアという地域は、ヨーロッパの次に大きく盛り上がる可能性を持っているのは間違いないだろう。  

 

 

 

ストラーデビアンケ(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:イタリア

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 3年前、わずか20歳のときにロンド・ファン・フラーンデレンで5位という驚異的な結果を残したことにより、全ベルギー人に注目され期待され続けてきた天才。しかしその期待とは裏腹に勝利はなく、ここまで来て・・・今回ついに、栄冠を手に入れた。

 シクロクロス世界王者ですら足が動かなくなるような厳しすぎるレースとなった今回。実力がはっきりと出る展開の中で、今ですらわずか23歳のこのベルギー人は、最強であることを証明した。

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  パリ~ニースの出場を蹴ってこのレースに初挑戦したバルデも2位と驚きの結果に。今年のツールは石畳もあるわけで、バルデのこの成績は期待ができるものとなる。

 そして何より、シクロクロス世界王者ワウト・ファンアールトの3位が凄い! いくら世界王者とはいえ、言わば門外漢である。しかもまだ23歳。最後のカンポ広場に突入したときには完全に体力が尽きかけていて登りで転んでしまうほどだったが、先日のオムロープに続くこの強さ。これからが楽しみな選手である。

 

 

GPインダストリア&アルティジアナート(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:イタリア

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 前日のストラーデビアンケに続き、同じトスカーナ地方で開催されたワンデーレース。フランドルクラシックとアルデンヌクラシックの両方の特徴を兼ね揃えていると言われるストラーデビアンケに対し、こちらのGPIAはアップダウンが豊富なアルデンヌ風味のレース。

 勝ったのはマチェイ・モホリッチ。かつてU23世界選手権ロードレースを制し、期待されながらもなかなか勝てずにいた彼が、昨年のブエルタで得意の「モホリッチ乗り」を披露して見事な勝利を掴んだ。今回もまた、同じく下りの圧倒的な強さを見せつけた!

 惜しくも2位に終わったマルコ・カノーラ。「悔しい表彰式になった。もし僕が躊躇うことなくあと数百メートル早くモホリッチを追いかけ始めていたら、勝利することはできていたと思う」と振り返る。昨年ツアー・アブ・ジャパンとジャパンカップで大ブレイクした29歳。クネゴ引退後のチームの中心となるべく、今年の活躍にも期待だ。

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ドワーズ・ドール・ウェストフラーンデレン(1.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:ベルギー

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 まるでル・サミンの焼き直しのような展開。クイックステップが2人がかりで敵を追い詰める。しかし喜ばしいのは、今度の2人が若手の有望株であるところ。かつて「数の有利(笑)」と言われていたことなど吹き飛ばすかのような、鮮やかな勝利である。

 カヴァニャは昨年プロデビューしたばかりの本当の若手。デビュー前は2年連続でフランス国内選手権U23個人TT部門優勝を果たしている。今回、石畳レースにも強いことを見せつけた彼は、今後はチームを引っ張る名ルーラーとして活躍することだろう。移籍してしまったベルモトのように、今後グランツールでも平坦の牽引役としての姿が多く見られるに違いない。

 フローリアン・セネシャルは元コフィディスのクラシックエースの1人であり、パリ〜ルーベでは比較的上位でゴールすることが多い。今年もテルプストラやジルベールのアシストとしての参戦が期待される。 

 

 

パリ~ニース(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:フランス

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 今年もまた、僅差の戦いが演出された。しかし今年は最後の勝負所エズ峠の後にもう1つ、難易度の低い山岳が用意された。にも関わらず、昨年までのコンタドールと同じように、エズ峠の1つ前のペイユ峠で勝負を動かしてきた。コンタドールの後継者とも呼ばれている男、マルク・ソレル。

 そして彼は、コンタドールが2度挑戦し、2度とも成し遂げられなかった逆転を果たしたのだ。昨年もこの春先に実力を見せながら、その後のシーズンはイマイチだった男。しかし、足踏みすることなく順調に成績を伸ばしてくれている。

 だが、そんな主人公たちに隠れつつ、多くの若き才能がアシストにおいて力を見せつけた1週間でもあった。

 

 第1ステージで、鋭いアタックを見せたヴュイエルモに集団が追いつくきっかけを作ったイヴァン・ガルシア・コルティナ。

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 もしくはクイーンステージで遅れかけたソレルを引き上げ、ある意味で今回の総合優勝を最もアシストした男とも言える、リチャルド・カルパス。

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  ほか、グロースシャルトナーなど、これからの活躍に期待したい若手が次々と台頭してきた1週間でもあった。

 彼らの名前は、これからも注目をしていきたい。

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ティレーノ~アドリアティコ(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:イタリア

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 意外な勝利が続いたパリ〜ニースと比べ、順当な実力者たちが勝利を掴んだティレーノ〜アドリアティコ・・・という感想は、結果だけを見れば出てくるだろう。

 だが、今回なによりも印象的だったのは、今期苦しみ続けてきたマルセル・キッテルが、復活の勝利を・・・それも2度、成し遂げたことだ。

 キッテル勝利の秘訣として、あきさねゆう氏の以下のコメントになるほど、と感じるものがあった。

  4月頭の現段階で、このとき以降の勝利はまだないキッテル。得意としていたスヘルデプライスでも勝利を得られず。

 しかしカチューシャのトレイン要員も十分に強力なので、今後の復活に期待したい! とりあえず、昨年もリック・ツァベルの強力な牽引によってクリストフが勝利したエシュボルン・フランクフルトにて、キッテルが母国勝利することを楽しみにしている・・・現段階では出場予定がないけれども。

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ロンド・ファン・ドレンテ(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:オランダ

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 オランダ北東部、ドイツ国境にも近いドレンテ州で開催されるワンデーレース。過去にはエドワード・トゥーンスなどが勝利している。昨年までは1クラス。今年からHCクラスに昇格した。

 勝ったのは集団スプリントを制したフランチェシェク・シス。2016年にはクイックステップの研修生として活動していたが、そのまま契約に繋がることはなく、昨年からCCCに。今回、プロ初勝利となった。

 なお、チームにとってもこの勝利が今シーズン初勝利。例年、ワールドツアーにも負けない走りを見せ、昨年はジロ出場と共にヤン・ヒルトという強力な選手を生み出したこの名門チームが、今年も暴れまわる姿を見せることができるか。

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ツール・ド・台湾(2.1)

アジアツアー 1クラス 開催国:台湾

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 昨年もチーム右京のベンジャミン・プラデスが総合優勝するなど、何かと日本との相性がよいツール・ド・台湾。今年も初日ステージで岡本がスプリント勝利し、新城が総合優勝を果たした。UCI1クラスのレースでの総合優勝はかなり大きい。

 そして何より、岡本や小野寺といった日本の未来を担う若手が、新城や佐野などのレジェンドたちの走りを間近で見ることのできたのは大きい。来年以降も楽しみなレースだ。

 

 

ノケレ・コールス(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ベルギー

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 ベルギー・西フランデレン州を舞台に開催される石畳セミクラシック。最大の特徴は、クールネ~ブリュッセル~クールネやドワーズドール・フラーンデレンにも登場する石畳の登り「ノケレベルグ(登坂距離350m、平均5.7%)」の存在。この登りを6回攻略し、最後は登りの頂上にフィニッシュが置かれている。

 いわゆる「登りゴール」というほど厳しいものではないが、単純なスプリント力だけではない、パワーのあるスプリントが必要となる。昨年はナセル・ブアニが不調の中での勝利を挙げた。

 今回も7つのワールドツアーチームを含む精鋭たちが挑んだが、今年プロデビューを果たしたばかりの新鋭が、最後の登りで他を圧倒する強すぎる走りを見せた。

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ハンザーメ・クラシック(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ベルギー

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 先日のノケレ・コールスに続き西フランドルで開催されたセミクラシック。ケンメルベルクなどお馴染みの石畳急坂が登場するものの、基本的にはスプリンター向け、という点でもノケレ・コールスと似通っている。

 そして、このノケレ・コールスに続き、クイックステップ・フロアーズが勝利。しかも、ノケレ・コールスのヤコブセンと同様に、昨年のツール・ド・ラヴニールでステージ勝利を挙げたことを買われ、クイックステップ入りしたばかりのネオプロ、オデーグ(ホッジ)が。

 登りが得意な選手が多いコロンビアにおけるスプリンターということで、早くも「ガヴィリアの後継者」と目されている。

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 本当に今年のクイックステップの若手は絶好調である。彼らの活躍によって、昨年以上の戦績を、4月中旬の段階では叩き出している。

 4月1日からはさらに、キャスパー・アズグリーンという、同じ「ラヴニール組」を獲得している。これからもクイックステップの若手の動きからは目を離せない。

 

 

ミラノ~サンレモ(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:イタリア

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「スプリンターズ・クラシック」における、まさかのクライマーの勝利。とはいえ、意外だったというわけではない。ニバリは過去にもこの勝利に挑戦し、わずかに競り負けて、そしてその後も幾度となく挑戦してきた男だったから。

 そしてそのニバリの素晴らしい攻撃に敗れはしたものの、他を圧倒する走りを見せたユワンにも賞賛を送りたい。ニバリが勝利するまでに10年かかったこのレースで、10歳年下の彼もまた、いつか勝利を掴むことができるだろう。

 終盤のジャンピエール・ドラッカー(ドリュケール)の走りにも注目。今年はクラシックにおけるトリッキーな動きが目立つ彼もまた、新たな可能性を見出しつつあるかもしれない。

 

 

グランプリ・ド・ドナン=ポルト・ドゥ・エノー(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:フランス

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 1959年から続く伝統的な北フランスのレース。2016年からHCクラスに昇格。

昨年まではブラバンツ・ペイルの翌日に開催され、地理的にもアルデンヌ・クラシックへの入り口的な位置づけのレースであったが、今年は開催を1ヶ月早めて「北のクラシック」シーズンのど真ん中に。

 レースとしては石畳区間を含めつつも、割と純粋なスプリンター向けの平坦レースであり、過去にはナセル・ブアニが連勝するなど、フランス勢の実力者が勝利を掴んできた。

 今年は氷点下近い気温の低さによってスタートが遅れ、総距離も30kmほど短縮されるなどトラブルもあり、冷たい雨が降りしきる中、例年以上にサバイバルな展開になったようだ。

 残り1周となったタイミングでカウンターで飛び出したデハースがそのまま逃げ切り勝利。2秒後に飛び込んできた集団もすでに20名程度と、かなり絞りこまれた中での争いとなっていた。

 ところで、今年のこの日程変更の意図など、知っている人はいるだろうか?

 

 

ツール・ド・ランカウイ(2.HC)

アジアツアー HCクラス 開催国:マレーシア

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 1996年初開催。全8ステージと、東南アジアでは最大級の規模を誇るレースとなっており、毎年ワールドツアーを含む強力な選手たちが出場し、本格的なシーズン開幕前の若手の調整などを行っている。

 平坦ステージが多く、全8ステージ中5ステージで集団スプリントによる決着となった。そのうちの2勝ずつを、グアルディーニとミナーリが分け合った。

 グアルディーニは今回の勝利で大会通算24勝目を記録する。まさにキング・オブ・ランカウイスプリンターだが、そんな彼が勝利を量産したのはアスタナ所属時代であった。

 そのアスタナから現れた新鋭が、22歳のイタリア人リカルド・ミナーリ。第2ステージでは途中の1級山岳で最大のライバルであるグアルディーニが遅れる中、チームメートの力を借りて乗り越えて勝利した。

 そしてミナーリを支え続けたのがカザフスタン人のエフゲニー・ギディッチ。最終ステージではミナーリよりも上位でゴールし、ベストアジアンライダー賞も獲得している。

 ミナーリとギディッチ。このコンビはこれからも注目し続けるべき存在だ。

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ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:スペイン

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 雪禍に見舞われコース短縮が繰り返され、そのコンディションの影響もあって逃げ切り勝利が続出した。結果だけ見ればバルベルデの順当な総合優勝という印象に移るが、その渦中では多くの驚きが含まれていた。

 まずは先日のハンザーメ・クラシックに続き、早くもプロ2勝目を記録したオデーグ。プロデビュー初年度の2勝目がワールドツアーレースというのは何たる贅沢か。しかも僅差ではなく、他を圧倒して抜け出すような形での勝利。彼の才能の底知れなさを感じさせた。

 そして、やはり冷雨によりコース短縮となった第6ステージで、わずか18秒差で逃げ切り勝利を果たしたのがまたもクイックステップの若手、シャッハマン。このチームでは珍しいドイツ人で、ジャイアント・シマノ(現サンウェブ)の育成チームなどを経て昨年からクイックステップ入りを果たしている。

 第5ステージはパンタノが久々の勝利を飾る。2016年にはツール・ド・スイスツール・ド・フランスで勝利を挙げ、注目を集めていたコロンビア人だったが、2017年はうまく歯車がかみ合わないシーズンを過ごした。今年はコンタドールが引退したトレックで、モレマと共にエースを担うべき存在。今回の勝利が、その起爆剤となるか。

 最終日に落車して残念ながらリザルトからは姿を消してしまったエガンアルリー・ベルナルも、前日まではバルベルデに16秒差をつけて総合2位と、新人とは思えない活躍ぶり。

 デヘントやバルベルデなどのベテランの順当な活躍と、オデーグ、シャッハマン、ベルナルら若手の意外なる活躍とが共に同居する名レースであった。

 

 

ブルッヘ~デパンヌ3日間(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ベルギー

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 例年であればロンド・ファン・フラーンデレン前の最後のレースとして開催され、昨年もロンドで復活したカペルミュールをコースに取り入れた第1ステージでジルベールが勝利するなど、その影響力を露わにしていた。

 しかし今年はその位置をドワーズドール・フラーンデレンに奪われ、レース自体も1日だけのレースへと縮小を余儀なくされた。昨年までは「デパンヌ~コクサイデ」だったが、ワンデー化したことに伴って、ブルッヘ(ブルージュ)~デパンヌへと名前を変えた。でも3日間というのは変えない。まあ、サイクルロードレース界には、4日間と言いながら6日間開催するレースとかもあるしね。

 例年の「デパンヌ」は、クラシックレースとスプリンター向きのレースとが混在するステージレースだったが、今年はお馴染みの石畳急坂は登場するものの、後半はほぼフラットでスプリンターのためのレースとなった。

 勝ったのは今年絶好調のクイックステップの、さらに絶好調のヴィヴィアーニ。週末に控えるヘント~ウェヴェルヘムも彼とチーム向きのレースであり、そこに向けた気合は十分といったところだ。

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セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ(2.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:イタリア

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 イタリア中部のエミリア・ロマーニャ州を舞台にした4日間のステージレース。初日は午前と午後に分かれての1日2ステージ構成となっており、全5ステージで争われる。

 初日勝利のエーンクホーンはフアンホセ・ロバトの「睡眠薬問題」で謹慎処分を受けていたネオプロの選手。高い独走力を活かした見事な逃げ切り勝利で、チームTTを経たうえでリーダージャージを維持して1日目を終えている。

 優勝者のラインナップを見ても、各ステージの上位を見ても、1クラスとは思えない豪華な顔ぶれ。その中で、ローザやローレスといった、最強チームの中でもイマイチ結果を出せずにいたメンバーが勝利を掴んだのは嬉しい。

 

 

コードバンク・E3ハレルベーケ(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ベルギー

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 連日のクイックステップ祭り、ここに極まる。

 クイックステップの強いところは、ジルベール、テルプストラ、スティバールといった常勝軍団だけでなく、ランパールトやセネシャルといった若手もしっかりと活躍し、全員が全員役割を持てるところにある。このチーム力は他のチームでは真似できないものである。

 そんな中、チーム力で追随したのはBMCレーシング。エースのファンアフェルマートだけでなく、ステファン・クーンとユルゲン・ルーランツも終盤まで残り、しっかりとエースをアシストすることができた。ファンアフェルマート自身も勝負所でしっかりと飛び出す調子の良さを見せた。

 一方のサガンは勝負所で遅れを見せて惨敗を喫したが、そんな彼にダニエル・オスが何度遅れても復帰してエースに仕える姿を見せるなど、ボーラ・ハンスグローエも例年の「サガン単騎」ではない姿を見せてくれた。

 その意味で、ナーゼンやベノートなども間違いなく強いものの、かつてのサガンのように単騎で勝負せざるを得なく、それでは勝てるイメージが湧かない。

 クラシックは意外にも、チーム力がモノを言うのである。

 

 

ヘント~ウェヴェルヘム(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ベルギー

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 今期クラシックで調子の悪さを見せ、不安視されていたサガンがついに勝利を掴んだ。彼自身の強さももちろんだったが、最後まで残ってエースに仕えつづけたマーカス・ブルグハートの努力あってのものでもあった。

 一方、惜敗したヴィヴィアーニは、これまでにないほどの悔しがり方を見せた。確かに、純粋なスプリント力だけで言えば彼は最強だった。ただただ、コース取りが悪かった。だからこそ悔しかったのだろう。今シーズン、自分を支えてくれるチームの存在の有難さをかみしめながら、栄光の6勝を重ねてきただけに、今日一日彼のために尽くし続けてきてくれたチームへの申し訳なさが、悔しさとなって爆発したのかもしれない。

 クラシックはたった1日のレースだからこそ、こういったドラマがまた生まれやすい。

 

 

ドワースドール・フラーンデレン(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ベルギー

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 昨年、フィリップ・ジルベールのアシストによって勝利をランパールト。今年は、自らの力で掴み取って見せた。

 残り30kmを切って、ファンマルケのアタックにランパールトが追随。これを追ったトゥニッセン、ボアッソンハーゲン、ペダースンの合計5名が集団から抜け出して、タイム差を開きにかかった。

 雨足も強くなり、メイン集団は追走のペースを上げることができず、勝負は先頭集団に絞られる。この5名の中ではボアッソンハーゲンが最もスプリント力を持つが、残り1kmで飛び出したランパールトの動きに、誰も反応ができない。

 そのまま独走で逃げ切りを果たしたランパールト。昨年の優勝以来、ベルギー国内選手権ITT部門優勝にブエルタ・ア・エスパーニャでのステージ優勝と実績を一気に積み上げつつある彼が、今年、彼自身の強さを見せつけた。

 しかし現チームにいる限り、これ以上のレースでのクラシックエースは任せられない可能性もあり、契約が今年までなのもふまえ、来年は別のチームに移籍するのではないだろうか、という予感がする。

 

 

ルート・アデリー・ドゥ・ヴトレェ(1.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:フランス

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 ブルターニュ地方のコミューン、ヴトレェで発着する平坦のワンデーレース。狭い道と、小さなアップダウンが特徴。アデリーとはこのレースをスポンサードしているアイスクリームブランドの名称らしい。

 北のクラシックでも盛り上がっている中で開催される1クラスのレースということもあり、出場しているワールドツアーチームはフランスのAG2RとFDJのみ。プロコンチネンタルチームも、地元のフォルテュネオ・サムシックとコフィディスディレクトエネルジー、ヴィタルコンセプトなどやはりフランスのチームが多い。

 そして、近年は当然、フランスチームのフランス人たちが勝利を重ねてきたが、今回はスイスチャンピオンジャージを着たディリエが勝利。とはいえ、彼もまた、フランスのAG2Rに移籍してきたばかりだ。このあと、パリ~ルーベで2位につける実力を見せた彼は、この時期から少しずつ、北のクラシックの主戦場からは離れた場所で調整を進めていたというわけだ。

 

 

グランプレミオ・ミゲル・インドゥライン(1.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:スペイン

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 週の半ばのドワースドール・フラーンデレンで意外にもいい走りを見せていたバルベルデが、スペインの地に戻って早速、今シーズン9勝目というスプリンター顔負けの成績を叩き出した。昨年優勝しているミッチェルトン・スコットは、バスク1周に向けての調整レースという位置づけで、出場選手も5名と絞り込んではいるものの、「逃げスペシャリスト」ジャック・ヘイグを先行させて狙いに行かせるなど積極的な動きを見せた。しかし、やはりバルベルデとモビスター・チームは強すぎた。最終的に最後の山で独走を決めたバルベルデに、ベローナはついていくことができなかった。

 バルベルデは今大会2勝目。そして、2年ぶりにスペイン人に勝利を取り戻した。