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ジロ・デ・イタリア2018 コースプレビュー 第2週

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2014年ジロ最終決戦の舞台に選ばれたモンテ・ゾンコラン。その山肌を埋め尽くすかのごとく観客が集まった。今年もこの地で、大きな動きが巻き起こりそうだ。

 

前回の第1週に続き、第101回ジロ第2週のコースプレビューを行う。

第1週からエトナやグラン・サッソなどの頂上フィニッシュが複数登場したものの、本格的な山岳バトルはこの2週で待ち受けるモンテ・ゾンコランでこそ巻き起こるだろう。

それ以外にも激坂フィニッシュがあったり、平坦基調でもゴール前に厳しいコーナーが連続していたり、小さな丘が待ち構えていたりと一筋縄ではいかない。

また、ポイント賞を巡る争いも佳境を迎える。不調の選手は3週目を前にしてリタイアする可能性もあり、本気の集団スプリントを見られるのもこの週が最後かもしれない。

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第10ステージ ペンネ~グアルド・タディーノ 239km(中級山岳)

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今大会最長コース。

かといって平坦というわけでもなく、スタート直後に2級山岳、その後も小さなアップダウンが連続し、逃げ切りを狙えるステージとなるだろう。

総合勢も休息日明けでコンディションを整える必要があることから、無理に追いかけはしないはずだ。

逆に絶好調な総合争いの選手は、休息日明けでライバルが崩れる可能性を狙って攻撃を仕掛けてくるかもしれない。

 

もしも集団スプリントになるのであれば、気を付けなければならないのはゴール前1kmを切ってからの急カーブの連続。

致命的なクラッシュなど、ないようにしてほしい・・・。

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第11ステージ アッシジ~オージモ 156km(中級山岳)

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スタート地点となるアッシジは、フランシスコ会の創設者聖フランチェスコの生誕地として有名。世界遺産アッシジ、フランチェスコ聖堂と関連修道施設群」も存在する。

そして、ゴールまで残り30kmを残した地点で迎えるのは、今年のティレーノ~アドリアティコ第5ステージのゴール地点としても採用された「スカルポーニの街」フィロットラーノである。

最大勾配16%の激坂区間。ティレーノ~アドリアティコでは集団からアタックしたアダム・イェーツがそのまま逃げ切り勝利を果たした。今回も勝負所になる可能性がある。

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ただしゴール地点のオージモもまた、残り5kmを切ってから最大勾配16%の激坂区間が「2回」登場する。

総合勢の中でも多少のタイム差のつく争いが繰り広げられそうだ。

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第12ステージ オージモ~イーモラ 214km(平坦)

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コース前半はアドリア海沿岸を駆け抜ける真っ平なコースレイアウト。

しかし残り30kmを切ってからは内陸に入り、「イモラ・サーキット」で有名な街イーモラにゴールする。

近世ヨーロッパ史好きの自分にとっては、チェーザレ・ボルジアとカテリーナ・スフォルツァの街としての印象の方が強いけれども。

 

2015年ジロ第11ステージも同じイーモラにフィニッシュするコースであった。

そのときはイーモラ・サーキットと、それに隣接する4級山岳トレ・モンティを巡る周回コースを3周したが、今回は1周のみ。

また、3年前は全体的にアップダウンの激しいコースレイアウトだったこともあり少人数の逃げ集団の中から、当時頭角を現したばかりのイルヌール・ザッカリンが抜け出して逃げ切り勝利を果たした。

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今回のレイアウトは、全体的にフラットな中で、最後のトレ・モンティがスパイスを効かせる形となっている。

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スプリンターチームがしっかりとエースを最後まで守れるか、それともアタッカーたちがこれを出し抜いて逃げ切りを図れるか。

ミラノ~サンレモにも似た熾烈な攻防戦が楽しみである。

 

 

 

第13ステージ フェラーラ~ネルヴェーザ・デラ・バッタリーア 180km(平坦)

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嵐の前の静けさといったところか。

翌日に控える「モンテ・ゾンコラン」を前にして、ジロ主催者は今大会の2週目で最も平坦なステージであり、ローマに至るまでの間では最後のピュアスプリントステージを用意した。

ゴール手前20km地点には4級山岳が置かれてはいるものの、山とは言えないような規模であり、スプリンターチームの足を止める役割を果たすことはないだろう。

この日を最後のしてジロを去るスプリンターも何名かいるかもしれない。

 

4回目か5回目の集団スプリントがこのステージで演じられることだろう。

昨年、クイックステップ・フロアーズは3大グランツール全てでスプリント4勝以上を成し遂げる快挙を果たしている。

このジロで、エリア・ヴィヴィアーニが再びこれを達成できるか。

そして、イタリア人スプリンターとしては最高の名誉であるマリア・チクラミーノを決定付けることができるか。

 

 

 

第14ステージ サン・ヴィート・アル・タリアメント~モンテ・ゾンコラン 186km(山岳)

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いよいよプロトンは、東アルプス・ドロミーティの地に。

その最初の舞台となるのは、悪名高きモンテ・ゾンコラン

 

今回その登りのルートとして採用されたのは、過去のレースでも多く採用されている「オヴァーロ起点」。

その厳しさは全ルート中随一であり、ブエルタのアングリルと双璧を成す超激坂である。

その異様なまでの厳しさは、以下のプロフィール画像を見ていただければ一目瞭然であろう。もはや、言葉はいらない。

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4年前のジロでは、最終決戦の舞台として選ばれた。

逃げ集団の中から生き残ったマイケル・ロジャースとフランチェスコ・ボンジョルノの一騎打ちが繰り広げられたが、観客に後ろから背中を押されたことが原因でボンジョルノが失速。

結局はロジャースが逃げ切り勝利を果たした。

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そしてメイン集団では、マリア・ローザを着るナイロ・キンタナが危なげなくステージを終え、その年の総合優勝に王手をかけることに。

 

今年は第14ステージでの登場ではあるが、今大会の結末を決定付ける重要なステージになることは間違いないだろう。昨年もオローパにフィニッシュする第14ステージで、トム・デュムランがその才能を発揮してみせた。

3大グランツール制覇を目指すクリス・フルームも、この4月にゾンコランで練習する様子をツイッターで報告している。

昨年のツールではペイラギュードの激坂フィニッシュでライバルたちに後れを取ったフルームが、今大会、このゾンコランにこそ注目していることは間違いない。

 

果たしてこの「ゾンコラン」決戦を終えてなお、ピンクジャージを身に纏っているのは誰か。クリス・フルームは、自身の33歳の誕生日を、マリア・ローザを着用しながら迎えることができるのか。

 

 

 

第15ステージ トルメッツォ~サッパーダ 176km(中級山岳)

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激戦の翌日だけに、この日は総合勢も少し大人しいかもしれない。

3~4ステージぶりの大逃げのチャンスとなりそうだ。

 

もちろん、舞台はすでにドロミーティ。厳しい山岳が連続するステージであることは間違いない。

平坦区間はほぼなく、常に登っているか下っているかのジェットコースターのようなレイアウト。特に残り40kmを切ってからは激戦となりそう。

たとえ最初に20人規模の逃げグループができていたとしても、最終的にゴール前まで残れるのはごく僅かとなるだろう。

 

このサッパーダの街をゴールに定めていた1987年ジロ第15ステージでは、ステファン・ロッシュによる有名な「叛逆劇」が演じられた。

当時マリア・ローザを着用していたのはロッシュのチームメートであり前年ジロの覇者ロベルト・ヴィセンティーニ。

しかしロッシュはこのステージで、他のチームメートの力を借りながらヴィセンティーニを突き放し、そのジャージを奪い取ったのである。

この年、ジロを総合優勝したロッシュは、そのままツールも制し、さらには世界選手権でも勝利した。

史上2度目の(そして現在に至るまで最後の)トリプルクラウン達成者となった。

 

 

 

第3週に続く。