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ツアー・オブ・カリフォルニア2018 プレビュー

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5/13(日)~5/19(土)の7日間で開催される、北米最大のステージレース。

日本時間では大きな時差があるため、14日(月)の早朝から20日(日)の早朝となる。同じ時期にジロもあるためリアルタイム視聴は困難だが、JsportsはDAZNよりも見逃し配信の期間が長いので多少はね?

 

実は今回のカリフォルニア、例年以上に期待が持てる出場選手のラインナップとなっている。まず、ジロ出場スプリンターが正直そこまでレベルが高くないのに対し、こちらのカリフォルニアには常連のサガン、カヴェンディッシュ、クリストフのほか、2年連続出場となるキッテル、そして今年初出場でツール初出場も狙っているガヴィリアとユワンまで揃っている。まさに「ミニ・ツール」と形容するのに相応しい顔ぶれだ。

総合優勝狙いの選手たちはそこまでではないものの、2年前のアラフィリップ、昨年のジョージ・ベネットと、若手の有望株の台頭が目立つ昨今のカリフォルニア。やはり今回の総合優勝争いにも若手に注目していきたいところ。その筆頭がスカイのエガンアルリー・ベルナルだ。また、今年ついにワールドツアー入りを果たした、2年前新人賞のネイルソン・パウレスの走りにも期待したい。

そんな注目の選手たちが走る今年のコースだが、純粋なスプリンター向けの平坦ステージが3つ、いくつかの登りをこなしたうえでの小集団スプリントが予想されるパンチャー向きのステージが1つ、そして本格的な山岳ステージが2つに、例年よりも距離の長い個人TTの合計7つと非常にバランスが良い。

スプリンターも、クライマーも、3週間のグラン・ツアーではまだ実力を発揮しきれないような若き才能も、みんな活躍する可能性をもった魅力的なレースに進化している今年のカリフォルニア。

早朝の眠たい時間ではあるものの、可能な限りチェックしていくようにしよう。

 

今回は全7ステージの概要と、個人的に選んだ注目選手9名をピックアップして紹介していく。

 

 

 

 

コース詳細

第1ステージ ロングビーチ 134.5km(平坦)

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ロサンゼルス南部の太平洋沿いに設定された、11.5kmの周回コースを12周するクリテリウム形式のレース。

最初の3.5kmはパレードランで使用されるため、実際のレース距離は134.5kmとなる。レイアウトは完全なるフラット。

残り1kmを切ってからも直角左カーブが待ち構えており、トレインを使用した位置取りが至極重要となる。

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今期、高いチーム力を見せているクイックステップ・フロアーズが、若きエース、フェルナンド・ガヴィリアを勝たせることができるか。

現状ではエリア・ヴィヴィアーニの8勝(5/7現在)に対して4勝と、怪我があったこともありまだまだ結果を出し切れていない。今年、ツールに初挑戦するガヴィリア。このカリフォルニアでまずは予行演習といきたい。

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昨年も第1ステージを制したクイックステップ・フロアーズ。そのときのエースはもういないが、今年、新たなエースで北米レースに挑む。 

 

 

第2ステージ ベンチュラ~ジブラルタルロード 155km(山岳)

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今年のカリフォルニアは、2日目にしていきなり超級山頂フィニッシュをもってきた。2年前の大会ではこのステージを制したジュリアン・アラフィリップがそのまま総合優勝を自分のものとした。今年も、この日の勝者が大きなチャンスを掴むこととなるだろう。

 

ジブラルタルロードのレイアウトは登坂距離12km、平均勾配8%。ツール・ド・フランスの難関ステージで採用されてもおかしくはないくらいの本格的な山頂フィニッシュである。登坂時間は約30分。残り2kmで10~14%の最難関区間が待ち受けている。

 

2年前は残り10km、9%弱の厳しい区間で、出場選手中最年少であったネイルソン・パウレス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンスバーマン)が集団から抜け出した。

共に飛び出したスイスチャンピオンのダニーロ・ウィスを引き千切って力強くペダルを踏み続けたパウレスは、残り4kmで追走してきたピーター・ステティナとラクラン・モートンに追い付かれるまで、単独で先頭を走り続けていた。

ステティナは10%以上の勾配が続く残り2km地点でペースアップして抜け出し、独走体勢に入る。ラスト1kmのアーチを通り抜けたタイミングでは、アンドリュー・タランスキーやジョージ・ベネットが控えるメイン集団とは10秒~20秒のタイム差を開いていた。

しかし、ここからのアラフィリップのペースアップが凄まじかった。上記のタイム差を一気に縮め、あっという間にステティナに追い付いたアラフィリップは、残り200~300mで再び加速。ステティナを完全に引き千切り、最後は15秒のタイム差をつけてゴールした。

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このときの勝利でアラフィリップは2016年大会の総合優勝を決定付けるわけだが、6kmの独走をかましていたパウレスもまた、この日のステージを30秒遅れの区間5位で終えている。ローハン・デニスやタランスキーよりも上位でゴールしているのだ。

これにてパウレスはその年の新人賞ジャージ獲得を決定付ける。

今年、再びプロトンの前に立ちはだかるジブラルタルロード山頂フィニッシュに向けて、チーム・ロットNLユンボの(おそらく)エースとして立ち向かうことになるパウレスは密かに心中燃えていることだろう。この山が、彼の栄光の入り口だったのだから。

 

 

第3ステージ キング・シティ~ラグナ・セカ 197km(丘陵)

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ラグナ・セカもまた、2年前のカリフォルニアでも使用されたフィニッシュ地点である。モータースポーツの聖地であり、この3月までは「マツダ・スピードウェイ・ラグナ・セカ」という名称だったこの地も、4月からは新たに自動車用品メーカーが命名権を得て「ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ」へと変更された。

全体的に山がちで、この日の獲得標高は2500mに達する。

ゴール前にも2級・3級山岳が連続しており、特に最後の山岳はゴール前3.6kmから始まり登坂距離1.1km、平均勾配10%の激坂となっている。

これらを乗り越えた末に、サーキット内でのスプリントフィニッシュとなる。最後は名物「コークスクリュー」を下ってのハイスピード・スプリント・バトルとなる。

ピュアスプリンターというよりは、パンチャー向きのコースレイアウトと言えるだろう。

 

2年前はペテル・サガンが勝利。BMCレーシングチームも4名を引き連れて対抗したものの、サガンの圧倒的な力の前にいとも簡単に蹴散らされてしまった。

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今年も、登りの連続を越えてここまで来れるスプリンターは、サガン以外ではアレクサンデル・クリストフくらい・・・いや、ガヴィリアは昨年ジロで山岳も平気で乗り越えていたし、カレブ・ユワンも今年、ピュアスプリント以上に登り勝ちなレイアウトでのスプリントで力を発揮している。

今年は2年前ほどのサガン独壇場には、ならなそうである。

 

 

第4ステージ サンノゼ/モーガン・ヒル 34.7km(個人TT)

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サンノゼはシリコンバレーと大学の街で、昨年は超級ハミルトン山を越える山岳ステージとなり、ラファウ・マイカが勝利した。

今年はここで個人タイムトライアルが開催される。5年前もサンノゼで個人タイムトライアルが行われたが、そのときは標高287mまで登ってゴールする準山岳TTといった様相であった。

今回はコース中心部の標高はやや高いものの、基本的にはフラット。

直線も多く、トリッキーなカーブも少ないので、純粋にTTスペシャリスト向けのステージと言えるだろう。

 

ツアー・オブ・カリフォルニアの個人タイムトライアルは20km前後のものが多いが、今回は35km弱と長め。

第2ステージの勝利だけでは勝ちを得ることは難しそうだ。マイカやアダム・イェーツにとっては不利と言わざるを得ない。

なお、この日はタグ・ホイヤーがスポンサーのようで、来期のスポンサー問題に苦しむBMCレーシングチームにとっては重要な1日となりそう。

ブレント・ブックウォルターティージェイ・ヴァンガーデレンのように、総合成績も狙えてTTの強い選手、そしてバスク1周の個人TTで実に惜しい区間2位に終わったパトリック・ベヴィンなどに期待。いや、来るよ! 今回はベヴィン来るよ! (ベヴィンには少し長い距離だけれど・・・)

 

 

第5ステージ ストックトン~エルクグローブ 176km(平坦)

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第1ステージ以来、久々の平坦ステージ。今大会多く出場している有力スプリンターたちが再び訪れたチャンスを狙う。

しかし昨年もまさかの逃げ切りが発生しているカリフォルニア。ゆめゆめ油断せぬように・・・とくにクリストフ。

 

下の図を見てわかるように、エルクグローブ近郊に入ってからはひたすら真っ直ぐな道が続く。

残り30kmを過ぎてからの「ツイン・シティーズ・ロード」はおよそ15km、そこから直角に右に曲がってからの「ブルースビル・ロード」もおよそ15kmといった長距離ストレートである。

かといってカリフォルニア都市部のひたすらだだっ広い道というわけではなく、基本的には狭い農道のため、必ずしも逃げにひたすら不利というわけではないが、常に前を走る集団と伴走する車列が見える状態というのは、追う側にとっては精神的に楽になるだろう。だからきっと、逃げ切りは発生しない・・・はず。

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なお、ラスト1kmを切ってから右に直角カーブして入る「シビック・センター・ドライブ」は幅の広い大通りで、複数のトレインによって作られる大迫力の集団スプリントが見られることだろう。

 

 

第6ステージ フォルソム~サウス・レイク・タホ 196.5km(山岳)

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シエラネバダ山脈のタホ湖畔に至る、今大会2つ目のクイーンステージ。

スタート地点から2500mほど登り、そこから一度1000m下ったのちに、再び2200m地点まで登る厳しいレイアウト。総獲得標高は4880mに達する。

勾配は第2ステージのジブラルタルロードほど厳しくはないものの、とにかく常に登っているか下っているかとなるため、総合リーダージャージを着る選手がどれほど耐え切ることができるか、が勝負である。チームの力も重要だ。

展開によっては逃げ切りも狙えるステージだけに、序盤からのアタック合戦も激しいものとなりそう。

 

同じ最高標高地点カーソン・パスを経由し、同じくレイク・タホ湖畔へとゴールするレイアウトだった2年前の第5ステージでは、トムス・スクインシュが2年連続となる逃げ切り勝利を達成。ジブラルタルロードで総合リーダージャージを獲得していたジュリアン・アラフィリップも、危なげなくジャージを守り切った。

スクインシュは昨年も期待されていたが第2ステージの落車でリタイア。脳震盪を起こしている可能性がある中で再びバイクに乗ろうとする執念を見せたが、チームからドクターストップがかかった。命に関わることなので、仕方がない。

悔しい結果に終わった昨年へのリベンジを、今年は果たすことができるのか。チームをトレック・セガフレードに変え、再挑戦だ。

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2年前のレイク・タホで逃げ切り勝利を決めたスクインシュ。一緒に逃げたラリー・サイクリングのアダム・デヴォスは悔しい2位に終わった。

 

 

第7ステージ サクラメント 146km(平坦)

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恒例の、州都サクラメント周辺部の平坦ステージ。中心部からスタートしたプロトンは一度、名物タワーブリッジを通ってサクラメント西部郊外のルートを辿る。

そして最後に再び中心部に戻ってきて、3.3kmの周回コースを3周してフィニッシュとなる。

最後の周回コースのレイアウトは以下の通り。

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サクラメントと言えば、サガンと並ぶキング・オブ・カリフォルニアであるマーク・カヴェンディッシュに注目したい。過去4回、サクラメントを舞台にした集団スプリントにて勝利している。

直近では2016年。長く不調に苦しんでいた彼が、復活の勝利を見せつけた。そしてその後、ツール・ド・フランスにて怒涛の4勝である。

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今年も、いや昨年ツールから、ひたすらツイてないカヴェンディッシュ。今年もこのカリフォルニアの勝利で、勢いを取り戻すことができるか?

 

 

 

注目選手

ペテル・サガン(スロバキア、28歳)

ボーラ・ハンスグローエ、スプリンター

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プロデビュー当初の8年前から毎年欠かさずに出場しており、16回のステージ優勝と5回のポイント賞、そして2015年には総合優勝も果たしているという、まさにキング・オブ・カリフォルニアである。2016年には山岳ステージで逃げにのったうえで最後の集団スプリントで2位にまで登り詰めるという、余人には想像できない芸当もやってのけるエンターテイナー。アメリカとの相性は非常に良い。

今年も昨年同様、ラファウ・マイカを総合エースに据えての参戦。サガン自身はステージ優勝とポイント賞獲得に集中することだろう。

今年はどんな「サガン節」を見せてくれるのか。

 

 

マルセル・キッテル(ドイツ、30歳)

カチューシャ・アルペシン、スプリンター

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「かつての」最強スプリンター。そんな言い方をしては彼にあまりにも失礼ではあるけれども、今年の彼は本当に苦しい時期を過ごしている。相性の良いドバイ・ツアーでも噛み合わず、3月のティレーノ~アドリアティコにてようやく2勝。だがその後も勝利はなく、引き続き苦しい時期を過ごしている。

今回のカリフォルニアを終えると、いよいよツール本番まであとわずかとなってしまう。チームとの良い関係をそこまでの間に作っていけるか。今、最も緊張感をもってカリフォルニアに臨む選手の1人であろう。

 

 

フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、23歳)

クイックステップ・フロアーズ、スプリンター

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「現」最強スプリンター、というのはまだ言い過ぎかもしれないが、それでも昨年のジロ初出場からの怒涛の4勝、そしてポイント賞の獲得は圧巻であった。昨年活躍したスプリンターの3本の指には確実に入る選手だ。

そんな彼が、今年いよいよツール・ド・フランスに挑戦。そのためにジロをパスし、この初出場となるカリフォルニアにて調整をすることに。かつての先輩、キッテルを超えることができるか。一応、今年唯一の直接対決となったティレーノでは惨敗しているため、このカリフォルニアでは密かに燃えていることだろう。

チームメートも相変わらず豪華。サバティーニと並ぶ最強発射台の1人、マキシミリアーノ・リチェセを軸に、若手期待のスプリンターであるキャスパー・アズグリーンやアルバロホセ・ホッジなど。

エクアドルチャンピオンの21歳、ジョナタン・ナルバエスも連れてきており、全体的に「若手に活躍の機会を」といった印象の面子でもある。そんな若手たちが絶好調の今年のクイックステップなので、これでも全然、やっぱり「豪華」と感じてしまうけれども。

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ジョナタン・ナルバエスは昨年、アクセオン・ハーゲンスバーマンに所属。ツアー・オブ・ジラやコロラド・クラシックで新人賞を獲得するなど、アメリカとの相性が非常に良い。クイックステップ若手注目選手の1人だ。

 

 

カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳)

ミッチェルトン・スコット、スプリンター

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ガヴィリアと並んで、今年ツール&カリフォルニア初挑戦のユワン。昨年はその派手さにおいてガヴィリアに差をつけられたような印象はあったものの、堅実に勝利を稼いで十分素晴らしい結果を出していた。

また、今年はミラノ~サンレモの集団内トップを記録したり、ツアー・ダウンアンダーでもスターリングの登りフィニッシュで勝利したことなど、これまでと比べ進化した走りを見せてくれている。

チームメートには頼れる発射台役としてルカ・メスゲッツとロジャー・クルーゲを連れてきている。昨年ではこのどちらかがユワンの相棒として参戦することが多かったが、今回は両方連れてきている辺り、本気度が伺える。ツールもこのスタイルでくるのか?

 

 

エガンアルリー・ベルナル(コロンビア、21歳)

チーム・スカイ、オールラウンダー

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期待されすぎなくらいに期待され、そのうえでその期待以上の成果を出し続けている男。最初、チーム・スカイに移籍と決まったとき、せっかくの才能が潰されてしまう可能性すら想像したが、むしろこの最強チームのエースを自らの力で掴み、チャンスをモノにした。10年に1人の天才と言っても過言ではない。

当然、今大会も文句なしのエースであり、総合優勝候補。ラファウ・マイカやアダム・イェーツなど強力なライバルは数多くいるものの、コロンビアのTTチャンピオンでもあるベルナルにとって、TTの距離が長い今年のレイアウトはよりチャンスと言えるだろう。

今期ここまで、総合優勝したステージレースはまだコロンビア・オロ・イ・パのみ。バスク1周総合2位も十分に凄いが、このあたりでワールドツアーの総合優勝を獲得しておきたい。普通ならネオプロに期待するレベルのものではないのだけれど。

チームメートのタオ・ゲオゲガンハートも、カリフォルニアで強い元アクセオン・ハーゲンスバーマンの選手。昨年総合8位。こちらも期待したい。

 

 

アダム・イェーツ(イギリス、25歳)

ミッチェルトン・スコット、クライマー

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ミッチェルトン・スコットはスプリントでユワン勝利を狙いつつ、総合優勝もこのアダムできっちりと狙ってくるはずだ。ティレーノ~アドリアティコ総合5位など、実力は十分。ジロ・ディタリアでサイモンがマリア・ローザを着用するなど活躍している以上、アダムもきっちりと結果を出さなくては(そしてこの2人は互いに呼応するかの如く結果を出すため、その可能性は十分にありうる)。

唯一の不安点がTTの力。実績だけで言うと、決してTTが得意な部類ではない。

しかし、同じようにTTが苦手と思われていたサイモンがジロ初日の個人TTで上々な結果を叩き出す。昨年のカリフォルニアも、同じくTTが得意ではないと思われていたジョージ・ベネットが意外な結果を出して逆転総合優勝を果たしている。もしかしたらアダムも今年、このカリフォルニアで覚醒するかも、しれない・・・。

 

 

ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、23歳)

トレック・セガフレード、クライマー

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2年前のツアー・オブ・カリフォルニアではアクセオン・ハーゲンスバーマンに所属し、総合13位、新人賞3位となった(新人賞1位はパウレス、2位はゲオゲガンハート)。昨年のトレック移籍後は、実力はありながらも目立った成果を出せてはいない。契約は一応、今年まで。そろそろ結果を出さないと、今後どうなるか・・・

とはいえ、今回のカリフォルニアで、この男は大きく成長する可能性があると踏んでいる。目指すは総合5位以内。新人賞対象ではあるので、その点でも期待したいが、その前にはベルナルという大きな壁が立ちはだかっており・・・。

個人TTが得意でない点も不利な点である。

 

 

ネイルソン・パウレス(アメリカ、21歳)

チーム・ロットNLユンボ、オールラウンダー

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2年前のツアー・オブ・カリフォルニアのジブラルタルロード山頂決戦で、ワールドツアー顔負けの走りを見せつけた当時最年少選手。新人賞も堂々と獲得したものの、まだまだ若く、2位のゲオゲガンハートや3位のゲレイロがすぐさまワールドツアーチームに移籍したのに対し、彼はアクセオンに留まり続けた。

そして今年、いよいよワールドツアー入り。加入したのは、昨年カリフォルニアの覇者、ロットNL。しかも、昨年総合優勝者のジョージ・ベネットはジロに出場するため、今回のカリフォルニアのエースは、いきなりこのパウレスに任せられることとなるかもしれない。

ベルナルと比べればまだまだ未知数。しかし、総合TOP10に入る活躍は間違いなく見せてくれるだろう。エリート部門の国内選手権ITT3位の独走力の高さも、注目すべきポイントだ。

 

 

ヤスペル・フィリップセン(ベルギー、20歳)

アクセオン・ハーゲンスバーマン、スプリンター

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2年前のツアー・オブ・カリフォルニアを席巻した「最強育成チーム」アクセオンの、今年の目玉選手である。

とはいえ、まだカリフォルニア出場選手が確定していないため、この選手が出場するかどうかは不明。しかし、今年のアクセオンで最も目立った活躍をしている選手であるため、ぜひ出場に期待したい。

主な実績は3月の「デパンヌ3日間レース」の3位。勝ったヴィヴィアーニ以外は第一線級の選手たち、というわけではなかったものの、それでもワールドツアーの選手たちを押しのけての表彰台獲得は、20歳という若さを考えると驚異的である。ベルギーのU23向けステージレース「ル・トリプティーク・デ・モン・エ・シャトー」も区間2勝と総合優勝、ポイント賞獲得と圧倒的な結果を出している。

出場すれば、豪華な面子の揃う今回のカリフォルニアスプリント対決においても、存在感を放ってくれることだろう。

 

 

その他注目選手

ティージェイ・ヴァンガーデレン(BMCレーシングチーム)

ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)

アレクサンデル・クリストフ(UAEチーム・エミレーツ)

ダニエル・マクレー(チームEFエデュケーションファースト)

ニキアス・アルント(チーム・サンウェブ)

イアン・ボスウェル(カチューシャ・アルペシン)

マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)

とくにBMCレーシングチームはスポンサー問題もあるため、ヴァンガーデレンとブレント・ブックウォルターには大きな期待が寄せられていることだろう。ヴァンガーデレンは総合優勝経験者だし、TTも強いし、普通に考えれば総合優勝候補筆頭なんだけどなぁ。。

アルントも十分勝ちを得られそうな選手の1人。バウハウスやワルシャイドなど、最近はさらに若手が活躍しつつあるので、ここら辺で先輩として一発ヤっちゃいましょう。

ボスウェルもカリフォルニアではフィールド効果でステータスUPする選手だ。

 

 

常に予想を裏切るのが自転車ロードレースという競技ではあるが、上記注目選手たちの活躍を願う。

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