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2018年シーズン 5月主要レース振り返り

華やかなワンデーレースの祭典となった3月~4月が過ぎ去り、いよいよジロ・ディタリアやツアー・オブ・カリフォルニアといった本格的なステージレースのシーズンを迎えつつある5月。

スプリンター向けのステージレースもいくつか行われ、アンドレ・グライペルやナセル・ブアニなど、ツール・ド・フランスに向けた彼らの現在の調子を見ていくことのできる1ヶ月になったとも言えるだろう。先月の注目選手であるクリストフ・ラポートも、今月も引き続き大活躍だ。

そしてサイクルロードレース界の革命児であり問題児、ハンマーシリーズもいよいよ登場。

ジロだけでない。注目レース盛沢山だった5月のレースを振り返ろう。

 

 

 

  

エシュボルン・フランクフルト(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ドイツ

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1962年初開催の、ドイツ最古のレース。昨年まではルント・ウム・デン・フィナンツプラッツ・エシュボルン=フランクフルトという名称のレースであった。

長年、HCクラスでの開催が続いていたが、昨年にワールドツアークラスに昇格。その名の通りエシュボルンからフランクフルトへと至るスプリンター向けのワンデーレースだが、コースの途中にある登坂区間を乗り越えることがこのレースを制する鍵となる。

今年は昨年よりもさらに登りの数を増やし、よりサバイバルに。地元ドイツの最強スプリンター、マルセル・キッテルにとっては厳しいレースとなった。昨年強力なリードアウトでクリストフの3連勝目をアシストしたリック・ツァベルも、今年は登りで早々に脱落してしまった。

 

逆に、レースの主役となるのは、4連勝目を狙うクリストフを始め、マイケル・マシューズ、フェルナンド・ガヴィリア、エドヴァルド・ボアッソンハーゲンなどの「登れるスプリンター」たち。

エマヌエル・ブッフマンやシモン・スピラックなどのクライマーたちも積極的な攻勢でチャンスを狙うも、残り3kmでスプリンターチームに捕まえられて、今年も集団スプリントへ。

残り400mで飛び出したのはガヴィリア。早すぎるようにも感じたが、後続を突き放すほどの勢いでもって先行する。

しかし、最終ストレート直前でミスコース? オーバースピード? 失速し、勝利のチャンスを失う羽目に。

強豪スプリンターたちを相手取っての勝利を狙うベルギーチャンピオン、オリヴァー・ナーゼンが先手を取るが、後方からペースアップしたヨーロッパチャンピオンジャージ、 アレクサンデル・クリストフが大会史上初の4勝目、4連勝を達成した。

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昨年はツァベルの強力な牽引のおかげで勝った感もあったが、今年は彼自身の力で勝利を掴んだ。

マイケル・マシューズの加速も素晴らしかったが、少々位置取りが悪かった。

 

 

ツール・ド・ヨークシャー(2.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:イギリス

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2014年ツール・ド・フランス開幕の舞台となったヨークシャー地方で、翌2015年から開催された1クラスのステージレース。4回目となる今年、ステージ数も増やして全4ステージ。

ワールドツアーチームも6チーム出場し、カヴェンディッシュやコルトニールスン、コカールなどの実力者の他、地元英国の最強チーム・スカイも、クリストファー・ローレスやクリストフェル・ハルヴォーシュン、イアン・スタナードなどの若手からベテランまで勢揃いの本気の体制を組んできた。1クラスとは思えないほどの豪華な顔ぶれである。

それでもやはり1クラス。ワールドツアーチームであっても最強メンバーを揃えているわけではない中、地元コンチネンタルチームも入り混じり、何が起きるか分からないカオスさがこのレースの魅力である。

 

キーワードは「意外」。第1ステージも、明らかにスプリンター向けのステージであった中で、地元コンチネンタルとプロコンチネンタルが中心となった5名の逃げが最後まで足を残し、最終的には今年のコモンウェルスゲーム個人TT銀メダリストのハリー・タンフィールドが優勝。プロレース(1クラス以上のレース)では本人にとってもチームにとっても初勝利となった。

同じチームに所属する弟のチャーリー・タンフィールドも今年のコモンウェルスゲームとトラック世界選手権で個人追い抜き金メダルを獲得するなど、今、英国若手で最も注目するべき兄弟である。

今後もその名を聞くことも多くなるに違いない。タンフィールド兄弟、要チェックである。

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第2ステージも「意外」であった。ラストに激坂フィニッシュが用意されたパンチャー向けステージ。昨年優勝者のパウェルスや、オリンピック金メダリストのグレッグ・ファンアフェルマートなど、一流のパンチャーたちが勝負を仕掛ける。

そんな中、彼らを後ろから追い抜き、勝利を掴んだのは、まさかのマグヌス・コルトニールスン。ピュアスプリンターという印象のあった彼の、この激坂スプリントの力強さはあまりにも意外であった。

僥倖とも言える勝利で総合リーダージャージを獲得したコルトニールスン。当然、そのリーダージャージを守るためにアスタナはチーム一丸となって彼を支える、はずだった。

しかしここも、今年のアスタナの調子の良さから考えると「意外」にも、最終ステージで完全な崩壊を迎えてしまった。

いや、これは意外ではないのかもしれない。アップダウンの激しいコースレイアウトの中で、アンディ・リース氏を喪い、チームも存続の危機を迎えている彼らが、執念の攻撃を繰り返したからこそ、アスタナはアシストを失い、そしてコルトニールスン自体も厳しい登りで力尽きたのである。最終的にファンアフェルマートは総合優勝。チームが勝ち取った、栄光の勝利である。

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最後の「意外」は、第3ステージで勝利したマックス・ワルシャイドである。彼は第1ステージでも集団先頭でゴールしている。

チーム・サンウェブとしては同じドイツ人スプリンターのフィル・バウハウスの方が実績としては上であり、エースであると考えられていた。しかし、今大会、より調子の良さを見せつけていたのがワルシャイド。思えば、4月のシュヘルデプライスでも、バウハウスより上位の6位でゴールしていた。

彼もまた、「意外」とは言わせない結果を今後も見せていってほしい。また新たなジャーマンスプリンターの注目株が現れてくれた。

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ジロ・ディタリア(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:イタリア

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エルサレムからローマへ。砂漠から活火山、アルプスの雪壁まで。

歴史と自然とを巡る3週間の旅路。戦前から期待されていたクリス・フルームとトム・デュムランの最初の本格的な激突も、フルームの完全なる勝利により幕を閉じた。

昨年のツールからグランツール3連覇を達成。史上7人目の全グランツール制覇者となり、ジロ~ツールの「ダブルツール」達成への王手をかけた。

圧巻の80km独走勝利。「最強」の意味をまざまざと見せつけたフルームに、もはや不可能はないように思える。

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敗北はしたが、まぐれでも偶然でもない実力の高さを見せつけたトム・デュムラン。

初日の個人TTで期待通りの勝利を掴んでマリア・ローザを着用し、第2ステージであえてそれを手放した後、一度たりとも総合2位を奪わせはしなかった。*1

一流クライマーたちに囲まれながら、決して崩れることなく、確実に自分の地位を守り続けた。その安定感の高さは、個人TT能力と並んでフルームを凌駕する能力であり、今後もまた、フルームに対する最大の対抗馬として期待を持ち続けることができる。

チーム力の差は如何ともしがたい。しかし、最終ステージでのサム・オーメンとの「互いが互いの成績を犠牲にしてでもチームメートを助けよう」とするコンビネーションなど、相変わらず、純粋な強さとは違ったチーム力の高さを見せてくれるサンウェブ。

ハンマー・スタヴァンゲルでも常に2位を保ち続けるなど、本当にこのチームは、他チームにはない魅力をもっていると感じる。

 

チーム力で言えば同じくスタヴァンゲルで活躍したミッチェルトン・スコット。

ジロではサイモン・イェーツの突然の覚醒に注目したものの、その最初の爆発と言えるエトナ山でのアタックは、エステバン・チャベスの逃げによって導かれたといっても過言ではない。

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その後も、ジャック・ヘイグとミケル・ニエベといった強力なアシストたちにより、マリア・ローザを着るサイモン・イェーツは守られ続けていた。

イェーツが全てを失った第19ステージでも、ニエベらが最後まで彼を支えようとしており、このチームであれば、今後再び頂点を目指すことも十分に可能だろうと感じさせてくれる。しかし、エースを失ったことがわかると早速ステージ勝利を取ってしまうニエベの強さは、さすが元スカイである・・・。

あとはイェーツが経験を積むこと。そして、チャベスが安定感を手に入れること。

 

スプリンターではエリア・ヴィヴィアーニが期待通りの成績を叩き出し、改めて今期最も勢いのあるスプリンターであることを証明した。とりあえず昨年のガヴィリアに並ぶ結果でよかった。

しかしそこに喰らいつくサム・ベネット。しかも、ヴィヴィアーニが遅れたときだけに勝ったわけではなく、彼の背後をしっかりと取るなど戦略的にも勝ち、最終日ローマでは力で真正面から捻じ伏せた。

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こちらもチーム力ではクイックステップには歯が立たない。そんな中、サガンゆずりと言うべきか? うまく立ち回る強さを見せて、昨年0勝からの飛躍となる3勝を掴み取った。

アイルランド人としても大きな成果を出し、今大会イェーツと並び急成長を遂げた選手だ。

 

というより、他のスプリンターたちが若干、不甲斐ないように感じる・・・。ダニー・ファンポッペルとかも、頑張ってはいたのだけれど・・・。

総合でも6位以下は10分以上離れているなど、総合でもスプリントでも、上位数名とそれ以外との差が大きく離れていた大会だったように感じる。

 

 

ダンケルク4日間レース(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:フランス 

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北フランス、オー=ド=フランス地域圏の北側を主戦場にして開かれるステージレース。北海から吹き付ける強い海風と、パリ~ルーベでも使われる石畳がレースに影響を及ぼす「北のクラシック」の残り香的レースである。

よって、ジロ・ディタリアの裏側ではあるものの、過去の優勝者も非常に豪華。ブライアン・コカールやアルノー・デマール、トマ・ヴォクレールなど。

今年もAG2Rラモンディアル、グルパマFDJ、ロット・スーダルの3つのワールドツアーチームが参加し、名うてのクラシックハンターたちが集結した。

なお、4日間という名で6日間開催なのはお約束。サイクルロードレース七不思議の1つに数えられる。

 

今期ここまで勝利なし、ツール・ド・フランスへの出場も危ぶまれていたナセル・ブアニが歓喜の勝利。また、同じくあまりの勝てなさに苦しんでいたコカールもなんとか今期2勝目を手にした。

苦しんでいたのはこの男も同じ。ロット・スーダルのエースとして出場したのはアンドレ・グライペル。例年のこの時期はジロ・ディタリアで大暴れしているこの男が、今年9年ぶりの出場を決めた。

目的は、怪我などもあり1月のツアー・ダウンアンダー以来遠ざかっていた勝利を再び手にすること。その狙いは的中し、見事2勝を稼ぎ出した。

そのうちの1勝は、彼にしては珍しい「逃げ切り勝利」。石畳の街カッセルの、2か所の急坂を含む周回コースを9周するサバイバルなクイーンステージ(第5ステージ)で、2名のお供を引き連れてゴリラが爆走した。

最終周で2名を突き放したグライペルはそのまま勝利。復活を印象付けた。

しかし、初日ステージでの24秒の遅れが響き、結局第5ステージで2位につけたクライスに、わずか1秒差で総合優勝を奪われてしまった。

それでもこの6日間、純粋な強さからこの逃げ切り勝利、さらにはデブイストのリードアウトをする姿など、様々なグライペルを見ることができた。

今大会でプロ150勝目を遂げた彼が、ツール・ド・フランスでまた圧倒的な強さを見せてくれることを楽しみにしている。

 

 

ツアー・オブ・カリフォルニア(2.WT)

ワールドツアークラス 開催国:アメリカ

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ベルナル、ついにワールドツアークラスで総合優勝。

期待され過ぎるくらい期待され、その期待すらも上回る結果を出し続けるこの男にはもはや脱帽である。

ブエルタ辺りに出場していきなり総合表彰台・・・なんてありえないことを想像してしまうが、それも彼ならばやってのけても不思議ではないだろう。むしろ総合優勝? いや、まさか・・・。まさか・・・。

 

しかし現状、ツールへの出場の可能性が浮上しつつあるようだ。その理由がまたすごくて、「ブエルタに出るとエースになってしまい本人への負担が大きすぎるから」だとかなんとか・・・。まだ21歳、今年ワールドツアー初年度の若造ですよ? ゲラント・トーマスやミハウ・クフャトコフスキなど才能が溢れかえっているチーム・スカイで、ですよ?

もはや基準がおかしい。

また、ツールに出たら出たでフルームとのエース争奪戦が激しくなることなどを期待してしまいそうで、いやはや。

とりあえず前哨戦のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネには出る予定。ジロに出場したフルームはドーフィネ不参加の為、ゲラント・トーマスがエースナンバーを着けるだろうが・・・ベルナルが実質的なエースとして振舞ってもおかしくはないだろう。

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また、今回のカリフォルニアはトップスプリンターが集結し、「ミニ・ツール」と形容しても良さそうな面子であった。

その中で他を圧倒し3勝したフェルナンド・ガヴィリアはやはり鬼才。これに喰らいついたユワンも、勝てなかったので目立っていないが十分に凄い。

そしてキッテルは相変わらず不調。ツールまでには戻せるか?

 

各ステージ優勝者以外の「若手」活躍選手たちについては以下の記事を参照とのこと。

suzutamaki.hatenablog.com

 

 

ツアー・オブ・ノルウェー(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ノルウェー

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ヴィヴィアーニやガヴィリアほどの派手さはないものの、勝つべきレースで着実に勝っていく印象のあるフルーネヴェーヘン。今回は3勝も成し遂げ、いよいよ「今期最強スプリンター」の一角であることは間違いない。

だが、残念ながら今年の「ノルウェー1周」は、昨年のようにスプリンターが総合優勝できるタイプのレイアウトではなかった。ゴール20km手前に登坂距離2.5km、平均勾配9.3%の激坂1級山岳が用意された最終ステージ。

フルーネヴェーヘン、ソンドレホルスト・エンゲル、エドヴァルド・ボアッソンハーゲンといった総合上位に鎮座していたスプリンターたちは軒並み崩れ落ち、唯一昨年総合優勝者のボアッソンハーゲンだけがなんとか喰らいついていったものの、抜け出したデンマークのコンチネンタルチームの選手が逃げ切り優勝を果たした。

9秒遅れの3位にはノルウェーの「チームジョーカー・イコパル」所属のカールフレデリック・ハーゲン。ノルウェーデンマークはコンチネンタルチームの選手が普通にHCクラスで優勝したり上位に入ってくるので、やはり勢いが違う。才能の宝庫である。

そんな中、この日もアレクサンデルと同タイムで2位に入り、総合優勝を果たしたのはスペインの新プロコンチネンタルチーム「エウスカディ・ムリアス」のプラデス。

2014年にはマトリックス・パワータグに所属し、Jプロツアー南魚沼ステージでも1勝している彼は、その後スペインのカハルラルに4年間在籍し、今回このバスクチームへの移籍を決めた。なお、彼はタラゴサ出身であり、バスク人ではない。

エウスカディ・ムリアスというチームにとっても、初のHCクラスレースでの勝利となった。往年の名門チームの復活を夢見て、チーム創設4年目となる今年。プロコンチネンタルチームへの昇格と共に、着実に成績を伸ばしている。

今年はミケル・ランダがプレジデントを務める「エウスカディ財団」がコンチネンタルチームとして発足。チームランクの差はあれど、同じレースに出ることも多く、象徴的なオレンジカラーを使用するこのチームには負けたくないという思いも強いだろう。

 

 

ツアー・オブ・ジャパン(2.1)

アジアツアー 1クラス 開催国:日本

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日本最大のステージレース。1996年から開催され、今年で21回目となる。

今年は引退イヤーとなったダミアーノ・クネゴ(ニッポ・ヴィーニファンティーニ)や、2年ぶり出場となった新城幸也(バーレーンメリダ)など、豪華メンバーが揃う。

その中で、昨年のジャパンカップでも活躍した若手の星、雨澤が京都ステージでいきなり勝利。日本のファンを沸かせた。

さらに、このとき2位だったグレガ・ボーレが翌日のいなべステージでリベンジ。その勝利の裏には、落車し、血を流しながらも前を牽き続けた新城の執念の走りがあった。彼はこの翌日にDNS。伊豆ステージも含めて2勝したボーレはそのまま今大会のポイント賞を最後までキープし、見事な結果を残した。

落車負傷した新城幸也の猛アシストを起点に、グレガ・ボーレを勝利に導いたチーム戦術とは? - サイバナ

山岳賞は伊豆ステージで逃げに乗った鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が逆転獲得した。日本人選手によるワンツーだ。最終日の表彰式では駆けつけたブリッツェンファンたちの歓声が印象的だった。

総合優勝は山本元喜選手も所属するキナン・サイクリングチーム。総合3位もトマ・ルバが獲得し絶好調。5/31から開催される地元レース「ツール・ド・熊野」での活躍にも期待したい。

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個人的に最大の注目選手は新人賞のクリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス)。今年のオセアニア大陸選手権ロードチャンピオンだ。

富士山ステージを3位、伊豆ステージを2位と、難関ステージで上位に入る強い走りで総合でも4位に喰い込んだ。今年24歳。

今後も、アジアツアーのレースでの活躍が見込める選手で、名前を覚えておいて損はないだろう。

 

 

ツール・デ・フィヨルド(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ノルウェー

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ツール・ド・ノルウェーの舞台となったオスロ周辺から南西に進み、半島のノルウェー部分の南端、北海沿岸を走る。さらに西に進めばハンマーシリーズの舞台、スタヴァンゲルに至る(さらに北へ進めばベルゲンだ)。ノルウェーフィヨルド→スタヴァンゲルと連戦するのが今後も基本スタイルとなるのだろうか。

その名の通りフィヨルド地形の美しいランドスケープを楽しめる。細かいアップダウンが連続するものの基本的にはフラットで、例年通りスプリンターに有利なステージレース。期待のネオプロ勢の1人で今年既に2勝している実力者ヤコブセンが3勝目を決め、最終日には同じくネオプロのランブレヒトが今季初勝利。昨年ツール・ド・ラヴニール総合2位で高い注目を集めていたが、トラブルにより年初のダウンアンダーに出られないなど不運に見舞われつつも、ようやく初勝利。

そして総合優勝者は名パンチャー・アルバジーニ。毎年のように勝利を挙げていたロマンディで今年は勝利なし。悔しい思いをしていた中で、ようやく勝ち星が巡ってきた。

直後のハンマー・スタヴァンゲルでも大活躍するなど、今年のアルバジーニは「北」向きなのか?

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ベルギー・ツアー(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ベルギー

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1908年から続く伝統的なステージレース。フラマン語ではロンド・ファン・ベルヒエとも。過去にもトニー・マルティンフィリップ・ジルベール、グレッグ・ファンアフェルマートなどの実力者たちが優勝者に名を連ねている。

グライペル、そしてコカールがダンケルク4日間に続いて勝ち星を挙げ、調子を上げてきていることを証明した。またダンケルクで活躍したブアニの代わりに、今年コフィディスで最も勢いのある男ラポートが更なる勝利を重ねた。

今年すでに5勝目だが、自身初のHCクラスレースでの勝利である。スプリント、激坂、石畳だけでなく、個人タイムトライアルでも安定して成績を出しており、まさに進化の途上にある男と言える。

だがそんな彼も、ユイの壁を含んだクイーンステージの第4ステージではついていけなかった。代わって総合優勝を決定づけた走りを見せたのは、昨年総合優勝者のクークレール。チーム移籍後、待望の初勝利となった。

 

 

ハンマー・スタヴァンゲル(2.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:ノルウェー

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第1回となった昨年のハンマー・リンブルフは、実にカオスな展開でもって大興奮の結末を迎えた。それが主催者の意図していたものであったかは別として。

第2回となった今回は、それと比べて比較的落ち着いた「まともなレース」となった分、面白さが伝わりづらい微妙な展開になってしまったのは否めない。

ロードレースは確かに、平坦ステージではとくに単調で冗長な場面も多いものの、その分、最後の集団スプリントは一瞬の熱量が凄まじく、観て分かる面白さがある。

一方、より分かりやすく、よりエンタテインメント性を、と考えて作られたこのハンマーシリーズが、むしろ複雑なルールの上で分かりづらい印象を与えているのは成程、皮肉なものである。

先頭でゴールラインを切った選手もポイント首位チームもいずれもガッツポーズを見せなかった場面もあったりと、選手たちもまだまだ戸惑いを隠せない様子。

おそらく、このルール自体はとても面白い。よくよく理解して楽しみ方を覚えれば、従来のロードレースにはない魅力がたくさん詰まっていることに気が付くだろう。本来このシリーズが目指していたものと一致するかはわからないが。

また、とくにハンマースプリントが面白かったな、という印象で、あれだけ毎周回本気のスプリントが繰り広げられることで、実績では随一であったはずのクリストフが、最後はネオプロのハルヴォーシュンに敗れるという意外な展開があったりと、見ごたえがあった。

これも普通のロードレースにはない展開だ。

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とにかく、まだまだ面白さに安定感がないのが否めないが、それでも、ついつい見続けてしまう新鮮さがあるのは事実だ。

裏で開催されていたジロ・ディタリアが、毎ステージドラマティックなジェットコースターのような展開の連続で、見ていて心労が溜まっていくようなものだったのに対し、そこまで緊張感なく、選手も「スポーツ」として純粋に楽しんでいる感のあるハンマーシリーズはなんか見ていて癒されもする。

 

なんだかんだでハンマーリンブルフも楽しみ。出場選手も豪華だしね。

 

 

*1:※間違っていました。第9ステージで一度だけチャベスに総合で抜かれて3位になっていました。それ以外では常に総合2位です。